広い大地の片隅で眠る   作:黒兎可

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今回はガッシュパートオンリー。


P041.Groovy!

 

 

 

 

 白い本の予言通りに倒れたコトハの母親。彼女を助けるため、これもまた予言の通りに森の洞窟に入った俺達。

 途中、アカツキとかいう魔物に襲われたが、今の俺達の敵じゃない。相手がかなり油断していたのもあったが、わざわざラウザルクを使うまでも無く、ザケルとラシルド、ザグルゼムでどうにかできてしまった。

 

『くそ……! ガッシュがこんなに強くなってるとか聞いてないぞ…………! ハイドの奴ならいざ知らずっ』

『ハイド……? お主ら、あの風の魔物の子を知っておるのか!?』

 

 驚くガッシュに、去り際のあの魔物は捨て台詞を吐いた。おそらく俺達に対する魔物としては、アイツらが一番の強敵になるだろうと。人間の方はアカツキが消えたのに呆然としてたが、その場で魔物に「済まねぇ」と謝り始めたのを見て、何かするような気にはならなかった。「お前の全力を出してやることが出来なくて、済まねぇ」と。

 いかにも「悪い」魔物とパートナーらしい振る舞いで現れた二人だったが。それでも残り40を切る魔物の子の生き残りの一人だったんだろう。お互い、ちゃんとしたパートナーシップが出来ていたんだ。

 

 そして、そんな風なことがあったら巻き込んでしまったコトハに、流石に説明せざるを得なかった。アカツキって魔物の攻撃で砕けた木、そこに乗っていた鳥の巣を、小鳥たちを、自分の身を挺して庇うような心優しい子なのだ。知らないまま何かの拍子に巻き込まれるようなことになっても、俺達を下手に庇ったりしないようにという意思を込めての情報共有だ。

 最初は戸惑っていたコトハだったが、それでもガッシュの「友達なのだ!」という言葉を受け入れてやってくれた。

 ただ……、いや、小鳥自体には触っていないし最終的にはガッシュが巣に触れたから、人間の臭いを嫌って親鳥がもう寄ってこないと言うのはないか。大丈夫だ、そのあたりは以前に意図せず検証したことがあった。

 

 そして道中。いくつか洞窟があると言っていたコトハの言葉通りに、一か所にいくつもの洞窟の入り口が集中している。つい最近人が来たような足跡の形跡もあったが、ここでまた誘導するように本にメッセージが浮かんだ。それに従い、足跡や人の形跡がない場所を……いやちょっと待て、何か「イェ~~~~~~エス‼」とかビッグ・ボインみたいな声が聞こえた気がするが、多分気のせいだろう。千年前の魔物たちとの戦いのとき、フリードマン()()……、ナゾナゾ()()がずっと一緒にいた後遺症かもしれない。あの人、しれっと俺だけ本名と「ナゾナゾ博士じゃない方の」連絡先を教えてくれたりしたけど、かけたらかけたでビッグ・ボインが「イェ~~~~~~~エス!」って電話に出たりとあったり、子供を揶揄うことに全力すぎないか? うん。

 

 まあ、とにかくそんな風に三人で入った洞窟を、俺とガッシュでこじ開けようとする。

 小さい洞窟の中だから、下手にザケルで攻撃して崩落したらまずい。だから腕力でどうにかこじ開けようとして────。

 

『ありがとう! 危うく遭難するところだった。君たちのお陰で、やっと出ることが出来そうです!』

 

 まるで雪が解ける様に掻き消えた岩の壁。現れたのは「五芒星のような星形の穴」。奥から現れたのは、首から何かの草が封じられたペンダントを持った、一人の青年だった。

 金色の髪、とコトハが呟き、不思議そうに近づく。と、その「玉虫色に光る草」を見て、驚いた声を上げる。どうやらそれが例の薬草で、彼はあらかじめ洞窟の奥で摘んでいたと。

 

 岩が崩落して出られなくなっていた、という体で話しているが、どうにも微妙な胡散臭さを感じる。「この薬草を必要としているんですか? でしたら、喜んで力になります!」と殊勝そうなことを言っているが、俺の脳裏には不意にエシュロスと秋山進一のペアのことが脳裏に浮かぶ。

 どことなく青年の表情に、あの人間に擬態していたエシュロスが纏っていた無駄に盛られた善意のような、上手く言葉にできない違和感を感じる。

 

『君は、それを何故つんでいたんだ? こんな富士山の樹海の奥なんて、ガイドも無しに来るには危険極まりないような場所で』

『フジサン……? ええっと、僕は…………、()()()()と言います。皆さんからは魔力を感じられない。……ひょっとして、人間? えっ、どうして人間が()()に?』

『魔界……!?』

 

 コトハがガッシュと何かを話し込んでいる間に、自分の違和感を相手にぶつけるが。返って来た相手の言葉に、むしろ困惑が増した。その言いぶり、こいつ魔物か? それに魔界……、まるで自分がいる場所が魔界であるようなその言いぶりに、強烈な違和感を感じる。

 そんな俺をガッシュが急かして、背を押して、無理やり歩かせる。コトハが「行ってらっしゃーい!」と笑いながら手を振ってるが、聞かなきゃならないことがまだまだ多い。そして肝心のネムシゥを名乗っていた青年も、コトハに手を取られて困惑した表情だった。

 

『清麿、すぐ私の母上を探しに行くのだー! 全力全開で行くのだ―!』

『全力全開って何だよ!? というか、本当にこんなところにお前の母親がいるってのか?』

『あの本、いまのところ間違ったことは言っていないのだ。だから大丈夫なのだ────』

 

『────お~い! ガッシュ、そっちに居るのか!? ティオ、カンカンだぞ~!』

『────恵も心配してるわよー、清麿!』

 

 そして、後ろから走りながら聞こえてきた声。アルベールにレイラ!? 何でと後ろを振り返ると、半袖な青系のシャツにジーンズな動きやすそうな恰好のアルベールと、いつもの恰好に麦わら帽子を被った(ちょっと破れて角が出てる)レイラの二人が追い付いてきた。

 聞けば、俺がガッシュを探しにいっても流石に遅いからということで、探しに来てくれたらしい。

 

『あの中じゃ、一番魔力の扱いにたけているのが私だもの。キャンチョメやティオなら二次遭難しかねないわ』

『ウマゴンはどうなんだ?』

『あの子、術込みなら一気に走って森を抜けるくらいはできそうな魔力量だし』

『確かにそうだが方向感覚が……、あっ、上に飛べば良いか』

『そういうこと。どこに向かったら良いかも、木より上に飛べれば問題なくわかるじゃない。

 …………で、二人は何をしてるの? こんなところで』

 

 さっきすごい顔の良い()()とすれ違ったけど、というレイラの言葉に、驚く俺やガッシュ、ついでにアルベール。レイラは特に驚きもせず、淡々と続けた。

 

『魔物? 魔物と言ったか、レイラ』

『ええ、そうよガッシュ。…………たぶんここ、ビクトリームが昔言ってた()()ってところね。魔界と人間界を誰かが繋げて大混乱になりかけて、安倍晴明とタマモが封印したっていう魔界への入り口』

『魔界への入り口!? じゃあ、さっきのアイツは本当に魔物……!』

 

 そうよ、と俺に肯定するレイラ。

 

『この戦いに参加している子じゃなくて、文字通り現地の魔物の子。……こっちに走ってくるときすれ違いざま、早く戻ってくるように言ったから多分大丈夫だと思うけれど』

『何がだ?』

『よくわからないけど、ビクトリームが散々煮え湯を飲まされたオンミョージ(ソーサラー)の封印よ。何か開けるのに条件がいるのに出て来れたってことは、一時的にとはいえそれが解除されたってこと』

『どういうことだ? レイラ。封印が解けたならもうそれは……いや危ないって言えば危ないんだろうが────』

『……そうか、その封印っていうのは、解かれてもまたすぐに────────』

 

『つまり魔界に通じてるということか? …………母上! 母上にやっぱり私は会えるのだな!?』

 

 こうしてはおれぬ、と走り出そうとしたその瞬間、さっき崩れたように見えた岩が消えたのと同じ音が響き、強烈な風が────────。

 

 そして、それに飛ばされた俺達は────。

 

 気が付くと、俺は仰向けで。アルベールにゆすられて声をかけられていた。

 

「────ろ、清麿! おい大丈夫か、しっかりしろ!」

「……っ、あ、アルベール……? さっき何が…………って、あー!? この懐中時計、せっかくこの間アメリカで買ったばっかりなのに! 高かったのにぃ…………」

「あー、吹き飛ばされた時に壊れたんだな……。同情する。

 どうやら倒れて、そのまま一日くらい気絶してたみたいだ」

「一日!?」

「帰りたくないなあ……、ティオ、怖くないか?」

「それは、えっと、はい。

 ……でもこの時計は、イギリス旅行に行った時に同じ型のやつがあって、ちょっと気になったから買ったんだ、アルベール」

「災難だったな…………(現実逃避したな清麿……)。

 ……って、もしかしてアメリカで買ったって? それって帰る前にちょっと、恵に連れられてショッピングに行った時のやつか? 二人っきりでちょっとショッピングした時の」

「なっ!? あ、アルベール、一体どうしてその話を!!?」

「春彦の見舞いをした帰り、アポロにちょこちょこっとな」

「アーポーロー!?」

 

 はっはっは、と笑うアルベールと、絶対からかい目的で情報共有したアポロに怒る俺はともかく。

 倒れた俺をアルベールが起こしてくれたのと同様に、レイラもガッシュを起こしに……いや待って!? びんたで起こすのは止めてやってくれ! というかそうまでしても全然起きないガッシュはどうした一体!

 

「急に魔力のバランスが崩れたか何かして、ショック状態になってると思うの。だからこうして、魔力を込めてビンタして気付けを、えいっ!」

「ぬ、ぬおぉ!? な、何をするレイラ!!?」

「ほらね?」

 

 ね、じゃないんだが……。ガッシュが涙目で絶叫するのを引き取ってあやして、とりあえずバルカン300でも出そうかと思ったんだが、肝心のバルカンもバルカンでさっき飛ばされたせいで潰れてしまっていて全然慰めにならない。

 

「さ、そんなことよりもっと驚くべきことがあると思うわ!」

「レイラ!? 驚くべきことより何か私に言うことがあるのではないかレイラっ!!?」

「そ、そんなことより!」

「悪かったなガッシュ、レイラも悪気はないんだ……。たぶんちょっと悪ノリしちゃっただけで、信頼の裏返しだと思うんだ、たぶん。きっと」

「アル!? そ、その、ガッシュが心配だっただけで別に途中からガッシュの顔が楽しい感じになってたのが面白かったとかじゃ────」

「レイラ―!?」

 

「(そういえばビクトリームと友達だったなレイラ。なるほど……)」

 

 本人は否定するだろうが、レイラも割と愉快と言うか、ヘンな魔物の子の一人ではあったらしい。いや、ビクトリームほどじゃないにしてもだが。まあちょっといじめっ子みたいな嫌な感じはしたので、アルベールにそれとなく伝えたりして、最終的にガッシュに謝るレイラであったが。

 それよりも驚くべきこととは。レイラの視線の先を見て、俺達は言葉を失った。

 

 

 

 紫の空にそびえたつ、超高層ビルも真っ青な高さの緑生い茂る崖。その更に上を見上げれば、はるか高きにある光の球のようなものを覆うようにそびえたつ。崖「のように思われた」四つの柱と、その上にある何かの建物。

 

 

 

「魔界第七小学校……、本当いやになるわね。千年前からなーんにも変わらないのだもの」

「千年前から…………って、じゃあここは本当に、魔界!?」

 

 言葉を失う俺やガッシュたちを前に、何故かレイラは前に立ち、振り返り、得意げに笑った。

 

「ようこそ清麿。アル。

 私たちの────────私たち魔物の子のふるさと、魔界へ」

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 面白そうだから行ってみるのだと、記憶がないからこそガッシュは無邪気に走って行ってしまった。

 レイラは「仕方ないわね」とお姉さんぶりながらも微笑み、背後、俺達が出てきたと思われる大穴のある木の根を一瞥して後追う。

 俺達も流石についていかないわけにもいかず、そして色々と道中、目にすることになる。

 

 小学校というだけあって、この建物(建物?)では色々な授業が行われていた。音楽だったり美術だったり、念力……、念力? だったり(レイラいわく魔力操作の授業だとか)。

 そのどれもが「人間よりもはるかに大きな」魔物の先生によって行われていて、軽く小突かれただけで身体に大穴が開いてしまいそうな俺は、アルベールと一緒に冷汗をかいていた。

 

「昔の知り合いとかいたか? レイラ」

「やっぱりダメね。…………美術の先生やってるヒトは、たぶん知り合いの子孫だと思うけど。流石に千年も生きられる魔物なんて、竜族とか限られた子ってところかしら」

「そうなのか?」

「毛を使ってるのとか、あの()()くらいしか属性として確立してなかったと思うし」

「「鼻毛……?」」

 

 何だそいつ、鼻毛でも使って敵を鞭うったりでもするんだろうか。

 しかし特に知り合いがもういない、というのに強がってる風でもなかったレイラだったが。麦わら帽子越しにその頭を撫でるアルベールに、不思議と微笑ましい気持ちになる。同時に照れたように帽子の鍔を押さえて目線を隠すレイラは、見た目相応に子供らしく、だからこそ複雑な気持ちだった。

 

「私もはやり、ここに通っていたのかもしれぬ。記憶はないと思うのだが、身体がこう、慣れておるというか」

「頭の中の記憶じゃなくて、身体が覚えてるということか」

「習慣とかってのは一度身につくと、無意識に身体が反応するからな。ガッシュの無くしてる記憶の糸口になったり……するか? いや、確か何か術っぽいので奪われてるんだよな、ガッシュは」

「あ、ああ。イギリスでそう思い出したんだよな」

「ウヌ!」

 

 

 

「────あれ、ガッシュじゃねぇか!?」

 

 

  

 誰だ今の声は!? と。俺達が周囲を見回してると、そいつは開けた螺旋階段の外側の柱にとりつけられていた掃除用具入れから飛び出した。

 一言で言うと……、モップ? モップのブラシの部分に顔がついていて、下の引っ掛ける部分が脚みたいになっているというか。よくわからないなコイツ。

 

「俺だよ俺! モップのモップンだよ! どうしたガッシュ、シュナイダーもレインの馬鹿デカも全然帰ってこねぇし、その割に姿を見ないと思ってたけどついに負けたのか!?」

「ぬ、ぬぅ!? お主、私のことを知っておるのか!?

 ……というかシュナイダーとレインとは誰だ?」

 

 確かにそれは俺もちょっと気になるが……、口ぶりからしてガッシュの魔界時代の友達か?

 そのモップは語る。かつてないほどの落ちこぼれ、この学校が始まって「今の」千年で最も落ちこぼれだったガッシュのことを忘れはしないと。

 

「幼年学校終わって寄宿舎に入ってから、よくあっちにある風車村の方を見て『父上、母上、兄上! 私は元気なのだ……! 今日も!』って言いながら泣いてて、励ましてやったろうが」

「ぬ!? 父上に、母上に────()()()()()!!?」

 

 何かショックを受けたように、愕然とするガッシュ。どうした一体、声をかけようとする俺を前に、ガッシュは震えながらその風車村のある方角……、窓から向かって大きな風車が見える、縮尺が狂いそうだがそれなりに距離の離れた小さい農村を見ている。

 

 そして、モップンが呆れたように笑う。自分が生まれ育った場所だろう一体どうした? と。どこか労わるような音が声音に混じって聞こえるのは、モップンがガッシュを敗北したからだと思っているからだろう。

 

「お兄ちゃん、ね。兄上じゃなくて」

「レイラ?」

「いえ。ちょっと気になって────」

 

 

 

「────ようやく罪の意識に負けて帰って来たのか、ガッシュ! 遅いんだよお前、図々しいっていうか!」

「早く本燃やせよなー! 自分で! ズルして百人の中に潜り込んだって話なんだし」

 

 

 そして、そんなガッシュとモップンに声をかける魔物の子。頭がちょっと野菜っぽい子(外套がスギナのそれを思わせる)に、ちょっと太った牙の生えた豚のような魔物の子。

 

「あのワイズマンを差し置いてガッシュなんかが王候補なんてのに選ばれるのがおかしいんだからな!」

「ぬぅ、お主たちも知り合いなのか? ……それよりワイズマン?

 ウヌゥ、当然なのかもしれないが今の私が知らない名前が多いのだ…………」

「今のって何だよ? というか魔界始まって以来の天才児、ゾル(覇気)属性のワイズマンを忘れるとか、本当何があったお前?」

 

 最後のモップンの説明にも不思議そうにしてるガッシュに、モップンも本格的に「これは何かあったか?」と訝し気な表情だ。強大なバケモノが現れた時も、竜族の神童と共に戦い、大地の気を操り山から火を放ち攻撃をし、傷ついてなお反抗の意思を持っていたバケモノを、心の気を操る魔術で癒して大人しくさせた。大事件、ゆえにそれに参加したワイズマンは英雄だと。

 確かに、この魔界でそうまで言われる規模の事件に参戦したなら、小学校で表彰されるような規模を超えた大事件として有名であっても不思議じゃない。モップンがガッシュのことを不思議がる理由もよくわかる。

 

 そして連中、誰も後ろに居る俺達のことを気にしてない。清々しいまでの無視っぷりだ。ガッシュを心配しているモップンはともかく、それだけ俺達みたいな不審者なんかより、ガッシュに対して思う所があるということか、あるいは……ガッシュを虐めるのが無意識になるほどに日常だったか。

 

「凄い者がおるのだな、魔界は……。ヌ? ならばどうして、その者は魔界の王を選ばれる戦いに参加できなかったのだ?」

「ガッシュがズルして蹴落としたに決まってるだろ! 早く認めろよ!」

「いや、その……例え記憶があったとしても、そのようなことを私はしないと思うのだが」

「えっ何その反応……?」「もっと嫌がれよ……」「本当、どうしたガッシュ?」

 

「そういうズルとか、しないわねガッシュなら。……というより多分、それだけ有名な相手だとしても、潜在能力的にはガッシュの方が上よ? きっとガッシュ、()()()()の血筋の子だもの」

「ダウワン?」

 

 ガッシュが特に落ち込んでる様子もなく、不思議そうに聞いているものだからいじめっ子のように見える子たちも段々と困惑していたが。そんな彼らを見ながら、階段の下でレイラがぼそりと呟いた。気になって聞いてみると、少し悩む素振りのレイラ。

 

「ダウワンは……、ダウワン・ベルの血筋が今の魔界でどうなっているかは知らないけれど、()()()()()()()()()使()()()のだから間違いなく、ガッシュはダウワンの血筋なの。千年前、幾人もの仲間と共に戦っていたあのダウワンなら」

「嗚呼……」

 

 そういえばいつだったか。パムーンが「ベルの子」と、そうガッシュに呟いた姿を俺は思い出していた。

 きっとパムーンもまた、ガッシュの先祖と知り合いだったのだ。だからこそあの時、パムーンの心を助けたいと戦っていたガッシュに、かつての誰かの姿を重ねたということか。

 

「当時のバオウ・ザケルガは、伝聞だけど幾人もの魔物にとって恐怖の対象だったわ。ある意味ゴーレンより(たち)が悪かった」

「そ、そんなにか?」

「『心悪しき者の魂を八つ裂きにして喰らう』と。そんな噂が立つくらいには強力な術で、ダウワンもパートナーの子も、ガッシュや清麿(あなた)みたいに誰かのために戦える人だったみたいから」

「そうか…………」

 

 その噂とやらは物騒だが、悪いヤツは許せないと、そういう気質だったらしい。

 だとしたら、その気質がガッシュにも受け継がれているのだとしたら。自分からそういう不正を働くことはないし、やっぱりそれは言いがかりか。

 だが、ワイズマンという魔物の気持ちも、少しわかってしまうから同情してしまう。天才なんて周りが勝手に期待して失望して、嫉妬して追い詰めてってことがよくあった。俺にはガッシュや水野がいたけど、ワイズマンはあの魔物の子たちの口ぶりからして、ずっと一人だ。共闘はあっても、仲間や友達はいない。

 誰にも頼らず、一人で必死にもがいて、そして大きなことを為した────努力した。それはきっと、生半可なことじゃない、強い心が求められることだ。

 

 そんな話をしていると、アルベールが「……あー、ガッシュたち行っちまったが」とぼそりと呟いて、俺とレイラは思わず階段の上の方に誰もいないのを見て、慌てた。

 

 

 

 

 


・今回の差分:

 - ハイドを知ってるアカツキ。

 - ワイズマンのリアクション。

 - 追って来たレイラ(そもそも映画だと居ない)。

 - 魔界の入り口について諸々(ビクトリームが日本に来てた魔物だったことに端を発するオリ)

 - 魔界に行った後の細かいセリフ回し(原作コミックス終盤およびガッシュ2より)

 

・ハイドを知ってるアカツキ:

 アカツキは劇場版のコトハ向けの解説のためのモブ噛ませ犬系立ち位置だった魔物の子(メタ)。

 本作では病院でリハビリ通いしている泳太と付き添いのハイドに襲撃かけて、返り討ちに遭って自信を失ってからわざわざガッシュの魔力を辿って来てる。何気に「シン」を喰らってから逃げてるイメージなので、案外強いイメージ。

 

・しれっと本名教えてるナゾナゾ博士:

 本編では言及してないけど、ファウード篇とかの付き合い方?的に多分これくらいはやってるんじゃないかなあというイメージでした。

 

・洞窟付近の誰かの痕跡:

 実は春彦たちが先行してるニアミス。ただ清麿たちは、もっと目立たない方の穴に入ったので微妙にわかってない(丁度スギナは秘密基地内で微妙に感知してる頃)。

 

・ネムシゥ(ワイズマン)のリアクション:

 アニメよりも清麿が訝し気だったので、急遽それっぽいアドリブをかましてる。こういうアドリブとかは慣れてないので、咄嗟に出した分偽名が安直(Wise Man →Name-siw)。

 

・バオウを知るレイラ:

 あくまで伝聞で知ってたイメージなので、バオウが本当は何なのかとかは細かくはぼかしぼかし(ガッシュ2にも関連してきそうだし)。

 

 

 

 

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