那須隊のトリオンモンスター・ガンナー   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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14 B級ランク戦・ラウンド4 ③

〈隠岐〉

〈はいはい〉

「うへぁ!?」

 

 水上の指示に従い、隠岐がメイを狙って撃った。

 メイは香取隊を倒してドヤ顔を決めていたせいで反応が遅れたが、奈良坂お兄ちゃんとの特訓が功を奏したのか、サイドエフェクトと合わせてどうにか防御が間に合う。

 

〈弾道解析完了!〉

「そこかぁ!」

 

 小夜子が素早い仕事で狙撃地点を解析し、近くにいるメイ、玲、熊谷の視界に転送。

 メイはそこにガトリングを向けた。

 思い出すのはラウンド1。

 小夜子のアドバイスでスナイパー二人を爆殺した戦法。

 

 あの時は味方ごと全滅させてしまったが、なんだかんだでメイも成長している。

 姉と熊谷は別方向、茜は向こう岸。

 ちゃんと巻き込むことは無いことを確認してから、

 

「ファイア!」

 

 メイはガトリングの弾をアステロイドからメテオラに切り替えて引き金を引いた。

 スナイパーで唯一グラスホッパーを装備した機動型スナイパー隠岐は、即座に後ろへ飛んで爆発範囲から離脱。

 同時に、

 

「ハウンド」

「!?」

 

 バッグワームで隠れていた水上が、メイに向かって弾速と射程特化のハウンドを、可能な限り細かく分割して散らして放つ。

 狙いはメイの──ガトリングから発射されるメテオラの雨。

 

「あっ……!?」

 

 咄嗟にハウンドが飛んできた方向にシールドを出してしまったせいで、そっち方向の防御ができない。

 霧のように細かく散ったハウンドが、いくつかのメテオラの弾丸にぶつかって──

 

 チュドドドドドドド! とメイの目の前で連鎖爆発が起こった。

 

「「〈〈メイ(ちゃん)!?〉〉」」

 

 すぐ近くにいた二人の肉声による悲鳴と、遠方とオペレータールームにいる二人の通信による悲鳴が重なる。

 それをレクイエムに、メイはベイルアウトした。

 

『おぉ!? 水上隊員の技ありハウンド! 那須隊員のメテオラを誘爆させるというまさかの方法で最強火力を撃破!』

『わぉ。さすが、みずかみんぐ。魅せてくれるね』

『隠岐くんにメテオラじゃないと届かない位置から撃たせて誘ったわね。大駒無しの状況で、癖のある小駒の特徴を活かして最短手数の詰み。お見事』

 

 戦闘力的には決して突出した駒ではない水上と隠岐。

 しかし、爆撃から逃れられる機動型スナイパーの隠岐と、手札が多くてやれることの多いシューターである自分自身。

 まるで香車や桂馬のような癖のある小駒を最大限上手く使い、生駒がやられる前どころか、すぐ近くにいた玲と熊谷が駆けつける前にメイを仕留めた。

 

「成長も、成功体験も、必ずしも良いようには作用せん。

 一回上手くいったことは、相手に読まれて利用される可能性がある。

 それが戦略や。よお覚えとき」

 

 将棋のプロ予備軍、元奨励会員という異例の経歴を持つ指揮官は、そんな台詞をメイに送った。

 技で押し切られた遊真や太刀川の時とも違う、ハメ殺されるという新感覚に、メイはしばらくベイルアウト用のベッドの上で呆然とした。

 

〈カッコつけとる場合やないで!? はよ、イコさんとこ行けや!〉

〈すんません〉

 

 オペレーターに怒られた水上は、メイの爆撃を避けた足でそのまま西岸に向かっている隠岐に続いて走る。

 当然、その背中を玲と熊谷の二人が追撃した。

 

「待ちなさい!」

「不覚だったわ……! あとでいっぱい謝らないと……!」

 

 もう少しで合流できる位置にいたのに守れなかった自分達の不甲斐なさを嘆きつつ、せめて仇を取って、メイのおかげで勝てたんだよと言えるように、チームの勝利を目指して動く。

 

変化弾(バイパー)炸裂弾(メテオラ)……!」

 

 逃げる水上を仕留めるために、玲が大技の準備をする。

 メインとサブのトリガーで同時に出した弾丸を混ぜ合わせ、二つの弾丸の特徴を合わせ持った強力な弾丸を生成。

 

「『変化炸裂弾(トマホーク)』!」

「うぉわ!?」

 

 『合成弾』と呼ばれる技術。

 使うには結構な集中力が必要で、弾丸の合成に時間がかかる上に、準備中・発射中は他のトリガーが使えないという致命的な欠点があるが、その分だけ強力なシューターの切り札。

 

『那須隊長のトマホークが炸裂! 水上隊員の進行方向を爆撃で塞いだ!』

『おお、ナスレイの合成弾は初めて見た』

『あの子もとうとう使い始めたのね。それをここで解禁するなんて、妹を仕留めた男を絶対に許さないっていう漆黒の意思を感じるわ』

 

 ボーダー屈指のモテモテガールの怖い顔に、観客席のC級達がヒュンとなった。

 もしかしなくても、次に戦った時は遊真も危ないかもしれない。

 

〈水上先輩、熊谷さん来てるっぽいですよ〉

「……アカンわ」

 

 降り注ぐトマホークの雨。

 完全に塞がれた退路と、迫ってくる熊谷。

 どうやら玲は合成弾の生成に集中し、熊谷を先行させているようだ。

 追いつかれてしまえば、怒れる熊と姉との2対1。

 

 水上はイチ戦闘員としてはそれほど強くない。

 頼れる仲間は逆にこっちが助けなければならない危機的状況で、唯一自由に動かせる隠岐は一刻も早く向こうの救援に行かせたい。

 

(やれること言うたら足止めやけど、ここでこの二人を止めとく意味があるかっちゅうと……)

 

 無い。

 むしろ、早く西岸の二宮隊との戦いに乱入して、場をごちゃつかせてほしい。

 ならば、

 

「しゃーない。撤退や」

 

 ランク戦のルールで、半径60メートル以内に敵がいる時は自発ベイルアウトが禁止されている。

 その距離まで熊谷に近づかれる前に、水上は自主退場。

 

『水上隊員、自発ベイルアウト! 得点を与えずに撤退しました!』

『最後まで判断が早いね、みずかみんぐは』 

『当たる相手がいなくなって、那須ちゃん達は面白くないでしょうね』

 

 加古さん、正解。

 熊谷と玲は苦虫を噛み潰したような顔をし、けれどまだ試合は終わっていないと即座に気を引き締めて、茜と合流するために橋へ向かった。

 

『水上隊員の自発ベイルアウトにより、残るは二宮隊、生駒隊、那須隊がそれぞれ三人ずつ!

 得点は那須隊が3点、生駒隊が1点! ……いえ、たった今、更に戦況が動きました!』

「おぶっ!?」

 

 西岸にて生駒隊アタッカー、南沢が蜂の巣になった。

 対峙する辻が弾トリガーを使った……わけではなく、気づかぬうちに近づかされて射程内に入ってしまった射手の王、二宮による攻撃だ。

 行けると思って突っ込み過ぎた。

 

「やっちまいました」

〈アホー!〉

『南沢隊員ベイルアウト! 二宮隊に1点が入り、3対1対1対0! 生駒隊は残り二人! しかもエースの生駒隊長も大分削られている! ここから逆転できるか!?』

〈タスケテ〉

 

 二宮と犬飼の集中砲火に晒されている生駒が、ギャグと切実さが半々くらいの感じでタスケテ通信を連呼する。

 片手片足を削られているが、どうやらまだ余裕があるらしい。

 

〈お待たせしましたー。隠岐現着です〉

〈辻、警戒に戻ります〉

〈来たわよ、茜ちゃん!〉

〈準備は良いね!〉

〈どうわぁあああ! 生きた心地がしませんでしたぁ!〉

『ここで残った隊員が全員集結! 最終決戦開幕か!?』

 

 矢面に立っているのは片手片足を失った生駒と、南沢が落ちたことで手の空いた辻が索敵に戻り、いつでもフルメンバーを揃えられるようになった二宮隊。

 それを遠くから狙う茜と隠岐の二人のスナイパー。

 忍び寄る玲と、その隣に撹乱のためにバッグワームを着た熊谷。

 最後の攻防が始まる。

 

「バイパー+メテオラ」

 

 最初に仕掛けたのは玲。

 二宮達から離れた場所で立ち止まり、射線の通らない建物の陰で合成弾を作り始める。

 

〈後方約200メートル。レーダー反応が止まりました〉

〈誰だろ?〉

〈那須姉か水上だろう。レーダーに映っているのに、わざわざ足を止める可能性が一番高いのは奴らだ〉

 

 合成弾の弱点。

 使用中はバッグワームもシールドも使えず、生成に集中力がいるので、動きながら作るのはかなりの達人でも難しい。

 シューターの頂点として、そのことをよく知る二宮にはお見通しだ。

 

「『変化炸裂弾(トマホーク)』!」

〈バイパー、いえ恐らくトマホーク飛来!〉

〈那須姉だったか〉

 

 降り注いだのは、二宮、犬飼、生駒をもろとも狙った変化弾の雨。

 事前に予兆があったことで、二宮隊は初見の那須ホークを普通に見抜いた。

 ゆえに、慌てず騒がずメイのメテオラ流星群対策として決めておいた動きを実行。

 犬飼のハウンドでトマホークを撃ち落とす。

 

〈おっと、さすが合成弾。全部は無理っぽいです〉

 

 ただのメテオラであれば全弾撃墜できたかもしれないが、予測困難な軌道を描くトマホークとなると難しい。

 半分ほどはハウンドで撃ち落としたものの、もう半分は弾道変化によってすり抜け、生駒との戦場のアチコチに着弾して爆発を起こした。

 

〈狙撃警戒!〉

〈わかっている〉

 

 メイならともかく、玲の爆撃は単品で必殺技になるほどではない。

 なら爆撃は崩し目的の牽制。

 本命は──

 

「いっ!?」

「うっわ」

『犬飼隊員を狙った日浦隊員と隠岐隊員の狙撃を、二人がかりのダブル集中シールド、名付けるならクワトロ集中シールドで二発とも止めたぁ!』

『サラッとやってるように見えるけど、言うほど簡単なことじゃないよアレ』

『カッコつけちゃって』

 

 二宮を狙っても犬飼が死んでも防ぐと判断し、茜と隠岐は裏をかいて護衛の犬飼を先に狙った。

 使ったのは二人とも威力特化の狙撃銃アイビス。

 集中シールドでも防げないそれを、二宮と犬飼の両方が二枚の集中シールドを重ねて二発とも止められた。

 狙いもバッチリ読まれていたらしい。

 

『でも、まだよ』

「旋空──」

〈二宮さん! 後ろです!〉

「!」

 

 メイの奇襲対策で索敵(どうせ那須隊とぶつかったらカカシになるし)を任せていた辻からの通信。

 見れば、背後からバッグワームを着た熊谷が忍び寄っていた。

 二人揃ってダブルシールドを使ってしまった直後の二宮隊に向けて、既に弧月を振りかぶっている。

 

「弧月……ッ!?」

『あぁっと!? 熊谷隊員被弾!』

 

 そんな熊谷に背後から無数の弾丸が突き刺さる。

 弾丸を生成する暇なんて無かったはずの二宮の攻撃。

 咄嗟にシールドを張ったものの、防ぎ切れずに弧月を握る右腕がやられた。

 その出所は──

 

「置き弾……!?」

「正解だ」

 

 生駒と戦いながら、そこら中にバラまいておいたハウンドの置き弾。

 誘導設定をマックスにしておいたので、戦略的な軌道は描けないが、どこからどんな角度で撃ち出されようと、確実の敵のところに飛んでいく。

 爆撃で結構な数が吹き飛んでしまったが、ちょうど熊谷の死角に残っていた弾が彼女に喰い込んだ。

 

「狙いは悪くなかった」

「うっ…!?」

『削れた熊谷隊員に二宮隊長が連射連射連射! 確実にトドメを刺して熊谷隊員ベイルアウト! 二宮隊に2点目です!』

『一手及ばなかったね。でも……』

『ええ。良い仕事だったわ、熊谷ちゃん』

「旋空──」

 

 そこで、最後のエースが動く。

 B級最強との遭遇事故を起こしたせいで、ここまでロクに活躍できなかった達人剣士。

 生駒達人が、牽制に放たれていた犬飼の射撃をくぐり抜け、ついに射程距離に敵を捉えた。

 

「弧月!」

 

 通常15メートルまでブレードを伸ばして斬撃を拡張する技、旋空弧月。

 数多くの旋空使いの中で唯一、技量のみでその射程を40メートルにまで伸ばした、ボーダー随一の旋空使い。

 それが生駒隊隊長、生駒達人である。

 

「すみません。抑え切れませんでした」

『出たぁ! 生駒旋空炸裂で犬飼隊員がベイルアウト!』

『二宮さんがくまもんに一手煩わされた結果だね』

『熊谷ちゃんは一手及ばなかった。その一手をイコくんが引き継いだというか、かっ攫った形よね』

 

 これで生駒隊も2点目。

 しかし、肝心の生駒は既に半死半生。

 片手片足もがれた状態で、犬飼を持っていけただけでも大金星だ。

 

「いやん」

『二宮隊長が生駒隊長を撃破! 二宮隊に3点目!』

 

 生駒ベイルアウト。 

 

『これで残るは二宮隊長、辻隊員、那須隊長、日浦隊員、隠岐隊員の五人です!』

『また面白いメンバーが残ったねー』

『スナイパー二人が残ってるから、一番強い二宮くんは大胆な手が打てない。

 辻くんを上手く使おうにも、3分の2の確率で苦手な女の子に当たっちゃうから難しい。

 そんな状況で那須ちゃんとのシューター対決。確かに凄く面白いわ』

 

 実況解説席で加古がニヤリと笑い、ステージでは玲が動いた。

 山なりのフルアタックバイパーで、建物を無視して二宮を狙う。

 

『那須隊長の鳥籠再び!』

『これはめんどくさいわよ〜。那須ちゃんの得意分野は、機動力を活かして建物を盾にしながら、敵の射線を切って自分だけバイパーの射線を確保して一方的に撃つこと』

『地味に二宮さんは相性が悪い。おまけにスナイパーを二人も警戒しなきゃだと、展開次第ではもしかしてがあるかもしれないね』

「チッ」

 

 二宮は舌打ちした。

 こちらも山なりハウンドで撃ち返すことはできるが、バイパーとは自由度が雲泥の差。

 まず当たらないし、有利にもならない。

 

 メテオラ+ハウンドの誘導炸裂弾(サラマンダー)を使えれば仕留められるだろうが、そんなことをしたらスナイパー二人に撃ってくださいと言うようなもの。

 一人なら辻を護衛につけて強行できなくもないが、二人だと危険過ぎる賭けだ。

 

〈二宮さん、どうしますか?〉

〈……致し方ない。真っ当に撃ち合って狙撃を釣る〉

〈了解〉

 

 合流した辻にそう命令を出した。

 隠れていた駒が全員正体を現したことで、既にメイが落ちていることが確定。

 もう防御不能の不意打ちを警戒して辻に索敵をさせておく意味も無い。

 

『二宮隊長と那須隊長のシューター対決が続く! しかし、お互い決定打に欠けるか!』

『二宮くんは機動力と弾種の差、それとスナイパーへの警戒もあって、相性差をひっくり返せない感じね』

『ナスレイも一人だと護衛付きの二宮さんを崩すのは難しい。

 ヒウランを使おうにも、オッキーが残ってるんだからカウンタースナイプが怖い。

 そのオッキーもカウンタースナイプが怖いし、自分が落ちたらチームは全滅。

 誰も彼も慎重になってるね〜』

 

 派手な絵面とは裏腹に、戦いは膠着状態に陥っていた。

 お互いにそう簡単に崩せないことがわかっているので、狙撃警戒で攻撃も控え目になる。

 そして──

 

『ここでタイムアップ! 最終結果3対3対2対0! 那須隊と二宮隊の引き分けです!』

『三チーム五人も残るなんて珍しいね』

『二宮くんは消化不良になってそう。二試合連続で那須隊を仕留め損なうなんて、実はロリコンだったの? プークスクスって、あとで笑いに行くわ』

 

 悪魔だ。悪魔がおる。

 

『今回の試合の決め手はなんだったと思いますか?』

『メイナードが香取隊を全滅させたところ。イコさんが二宮さんに捕まったところ。みずかみんぐがメイナードを倒したところ。くまもんが良い仕事をしたところ。この四つあたりかな』

『そうね。香取ちゃん達はメイちゃんをすぐに仕留められなかった時点で半ば詰んでいたわ。

 前回よりもお姉ちゃん達が近くにいたし、難易度調整なのか二人がそこそこ近くに来てから動いていたし』

『そして、あえなくナスレイの鳥籠に捕まって、メイナードのガトリングでトドメ。

 あれはエグ過ぎて、来るとわかっていても防げる人は少ないでしょ』

『まさに必殺戦法ですね!』

『その通り』

 

 必殺戦法。相手は必ず死ぬ。

 あれはどうやって破るかではなく、いかにして使わせないかを考えるべき技だ。

 

『カトリーヌは考え無しに仕留めに行くんじゃなくて、何かあると断定して慎重に行った方が良かったね』

『観客席からだと初めてのおつかいに見えたけれど、現場からだとメイちゃんを囮にしようとしているように見えたはずだし、実際結果的にはそういう形になったのだから、浅慮だったわね』

『ミューラーとジャクソンも、とりあえずカトリーヌを救出っていう動きは安直だった。

 隊長がピンチで焦ったのかもしれないけど、あの状況なら他に打てる手はいくらでもあったよ』

 

 ボロッカスに言われる香取隊。

 やられた直後は「もぎゃぁあああ!」と叫ぶ元気もあったが、そこから試合終了まで数十分も暇な時間が続き、香取は完全に魂が抜けている。

 三浦はオロオロし、若村は怒りと落ち込みが混ざり合った複雑な状態で停止し、オペレーターの染井華はため息を吐く。

 チームの雰囲気は最悪だった。 

 

『イコくんに関してはただの遭遇事故……まあ、お互いに橋を目指していた以上、全くの偶然ではないのだけど』

『あれが無ければ伝家の宝刀、壁越し生駒旋空とかを警戒して、盤面は更に複雑化してたでしょうね。ちょっと見てみたかった』

『でも、護衛付きの二宮くん相手にしばらく耐えたのは偉かったわ。最後もキッチリ仕事したし、さすがね』

 

 美人に褒められて生駒のテンションが上がった。

 

『水上くんのメイちゃん討伐は技ありとしか言えないわね。ステージギミックみたいなところがあるあの子の脱落で、その後の展開が一気に変わったわ』

『メイナードがもうちょっと生き残っていれば、すぐ近くにいたナスレイとくまもんに合流。

 メテオラ流星群で追い立てて、置き弾トラップ地帯に引き込んで、ラウンド2の悪夢再びになってた可能性もある。

 みずかみんぐは勇者だったね』

 

 勇者みずかみんぐ。

 やってることは、どっちかと言うと悪の組織の幹部みたいだったが……。

 

『その水上隊員は自発ベイルアウトで逃げ切り! 南沢隊員も落とされ、生駒隊が減った状態で決戦に突入しましたね!』

『あそこからこの点差に抑えたのは凄いと思うよ』

『そうね。削れたイコくんの使い方、最終局面で隠岐くんに撃たせないという使い方。とことん駒の動かし方が上手かった印象よ』

 

 戦いは駒の強さだけでは決まらない。 

 それを体現した戦いだった。

 勇者みずかみんぐに拍手だ。

 

『その策士くんは、那須隊の頑張りに上手く乗っかったのよね』

『くまもんの良い仕事ですね。

 最初にナスレイのトマホークで崩しつつ、建物を壊して射線を確保。

 そこへヒウランと、ヒウランに合わせたオッキーの狙撃。

 最後に三の矢としてくまもんの突撃。旧那須隊三人がかりの波状攻撃でした』

『二宮隊じゃなければ落ちてる良い連携だったわ。

 熊谷ちゃんは基本的に那須ちゃんの護衛を優先するから、普段との違いで揺さぶったのもグッド。

 特に良いのは、失敗しても二宮くんが熊谷ちゃんに構った時間でイコくんが動いて仕事して、犬飼くんを落としたところね』

『得点という目に見える戦果は生駒隊がかっ攫いましたが、二宮隊の削りというもう一つの目的はしっかり達成したってことですね。

 ナスレイめ。メイナードの上手い使い方を考えてるうちに、他の駒の使い方まで上手くなっちゃって』

 

 同じB級のライバルとして、王子は玲を称賛した。

 エースと司令塔を兼任して能力を活かし切れていなかった前期より明らかにパワーアップしている。

 玲だけに限った話ではないが、今能力値を測り直したら別物になっていそうだ。

 

『しかも、この攻防があったおかげで、二宮くんが逃げるスナイパー二人を追えなかった。

 その結果、パワーバランスが釣り合って盤面が膠着、五人残してのタイムアップに繋がったわね』

『な、なるほど……! あの一瞬の攻防に、そんな沢山の意味があったんですね……!』 

 

 B級トップクラスの戦いのレベルの高さに、C級やB級下位の観客達がザワつく。

 メイも必死に理解しようとして、頭がパンク寸前になっていた。

 

『ラウンド5を終え、二宮隊、那須隊、生駒隊の順位は変わらず! 香取隊は玉狛第二に抜かれて中位落ちとなりました!』

『このロースコアだと、生駒隊も夜の部の結果次第で影浦隊あたりに抜き返されそうね』

『僕達も上を目指せる余地が残っていそうだ。夜の部で頑張るとしよう』

 

 上位がロースコアでもつれるということは、下が追い抜くチャンスが生まれるということ。

 それをしっかりと活かし、中位に叩き落された玉狛第二が、新戦術を引っ提げて大量得点。

 次のラウンド5は那須隊、玉狛第二、鈴鳴第一による三つ巴に決まり、早すぎるリベンジマッチが勃発することとなった。




PARAMETR(パラメーター)〉更新

・那須 (メイ)

 トリオン:37→38?
 攻撃:22→24
 防御・援護:3→4
 機動:4
 技術:2→3
 射程:5→9
 指揮:0
 特殊戦術:1→4
 TOTAL:74→86

〈トリガーセット〉

・メイン
アステロイド(機関砲)
メテオラ(機関砲)
メテオラ(擲弾銃)
シールド

・サブ
ハウンド(機関砲)
バッグワーム
メテオラ(擲弾銃)→スコーピオン
シールド

SIDE EFFECT(サイドエフェクト)
超危機回避

未熟極まるがゆえに伸び代も大きい子。
トリガーセットも変わり、初期の面影が着々と無くなっていく。
一度にセットできるトリガーは八つまで、同時に使えるのは二個までって設定ホント神。
おかげで色々考えるのが楽しい。


・那須 玲

 トリオン:7
 攻撃:8
 防御・援護:6→7
 機動:8
 技術:8
 射程:4
 指揮:5→7
 特殊戦術:4→6
 TOTAL:50→55

〈トリガーセット〉

・メイン
バイパー
アステロイド
シールド
メテオラ

・サブ
バイパー
FREE TRIGGER
シールド
バッグワーム

エースとの兼任から解放されて指揮力が伸び、妹の面倒を見ているうちに防御・援護も伸び、鳥籠ガトリングとかいうエグい技が評価されて特殊戦術も上がったお姉ちゃん。
ただし、安定性はちょっと下がったかもしれない。
妹が戦場に出てるのは中々慣れない。


・熊谷 友子

 トリオン:5
 攻撃:5
 防御・援護:8→10
 機動:7
 技術:8
 射程:2
 指揮:4
 特殊戦術:2
 TOTAL:41→43

〈トリガーセット〉

・メイン
弧月
旋空
シールド
FREE TRIGGER

・サブ
FREE TRIGGER
FREE TRIGGER
シールド
バッグワーム

やっぱり妹分のフォローのために個人ランク戦で鍛えまくった結果、防御・援護が成長し、達人の域に踏み込んだ母熊。
個人ランク戦の勝率は決して高くないけど、一試合の平均時間が凄いことになってるそうな。
そのしぶとさ、二宮さんやゾエさん&犬飼レベルが連射連射連射ァ! をやらないと落ちないレベル。やべぇ。
ただし、原作と違ってメテオラを装備していないので、攻撃力と射程が落ちている。


・日浦 茜

 トリオン:5
 攻撃:6
 防御・援護:5→6
 機動:5→6
 技術:8
 射程:7
 指揮:3
 特殊戦術:2
 TOTAL:41→43

〈トリガーセット〉

・メイン
イーグレット
アイビス
シールド
ライトニング

・サブ
バッグワーム
FREE TRIGGER
シールド
FREE TRIGGER

この子も妹分のフォローを練習してるうちに防御・援護が上がり、早く駆けつけられるように鍛えてたら機動力も上がった(他二人が上がってないのは、元から高レベルで伸び代が少なかったため)
でも、転送運が悪過ぎてメイのピンチに駆けつけられた試しは無い。
熊谷同様、原作と違ってメテオラが無いので、攻撃力が少しダウン。
代わりに離脱の話も無くなったんだから、いつまでも那須隊でワチャワチャしててほしい。


・志岐 小夜子

 トリオン:7
 機器操作 :9
 情報分析:7→8
 並列処理:7→9
 戦術:7→8
 指揮:5→7
 TOTAL:35→41
※オペレーターのパラメーター合計にトリオン能力は含まれない。

最もメイのお世話の負担が大きかったことで、最も成長した女。
育児ナーバスにならないか心配だが、超危機回避はそういうところにも敏感なので、アフターフォローとして物語の裏で玲をシスコンにした甘える攻撃の集中爆撃に晒されている。
このままだと男性恐怖症と相まって、そっちの扉を開いてしまうかもしれない。
血の繋がった姉とは違うと早く気づけ!
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