トロフィーを獲得しました 【夜明けの鐘と花吹雪】   作:白鷺 葵

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【諸注意】
1.書き手はACⅥ勉強中のにわか。
2.あまり深く考えないで書いているため、世界観のすり合わせがふわっとしている。
3.ハーメルンに掲載している拙作『問題だらけで草ァ!!』シリーズ×スパロボシリーズ(00参戦作品のみ)×ACⅥのクロスオーバー。
4.『問題だらけで草ァ!!』シリーズは機動戦士ガンダム00×スーパーロボット大戦シリーズ(00参戦作品メイン)×地球へ...のクロスオーバー作品で、前提としてグラハム×刹那♀要素あり(重要)
5.『問題だらけで草ァ!!』シリーズは機動戦士ガンダム00×スーパーロボット大戦シリーズ(00参戦作品メイン)×地球へ...のクロスオーバー作品で、前提としてグラハム×刹那♀要素あり(重要)
6.『問題だらけで草ァ!!』シリーズは機動戦士ガンダム00×スーパーロボット大戦シリーズ(00参戦作品メイン)×地球へ...のクロスオーバー作品で、前提としてグラハム×刹那♀要素あり(重要)
7.『問題だらけで草ァ!!』はZシリーズ、OE、UX、BX、Vを下地にして混ぜたような架空の世界線となっている
8.オリキャラ多数。
9.オリ主(人外)×エア、ラスティ×621♀が主軸となっている(重要)
10.オリ主(人外)×エア、ラスティ×621♀が主軸となっている(重要)
11.オリ主(人外)×エア、ラスティ×621♀が主軸となっている(重要)
12.原作および登場人物のキャラクター崩壊。
13.『◆◆◇』が「虚憶⇒現実」、『◇◇◆』が「現実⇒虚憶」、『◆◆◆』が「虚憶⇒虚憶」、『◇◇◇』が「現実⇒現実」、『◆』が「特殊な意味合いが含まれている」場面転換、及び視点切り替え
14.『*』は「短時間経過での場面転換・視点はそのまま」、『**』及び『***』が「長時間経過での場面転換・視点はそのまま」を意味している

このような作品でよろしければ、どうかよろしくお願いします。

『問題だらけで草ァ!! -Toward the sky- <1st Season>』はこちら(完結済み)<https://syosetu.org/novel/321938/
『問題だらけで草ァ!! -Under the Flag-<2nd Season>』はこちら(連載中)<https://syosetu.org/novel/327713/



ゴールドトロフィー 【邂逅と交錯】
すっげぇキモい挙動だな!!


 

<『登録番号Se39、識別名“ソルジャー”。貴方の実績情報が更新されました』>

 

「はい!」

 

<はい、ピア>

 

「傭兵支援システムALLMIND!」

 

<正解!>

 

「あー! 悔しいー!」

「答えは分かってたんだ。分かってたんだよ!」

「早押しさえ競り勝てればな……」

 

 

 ロダンの声帯模写(ものまね)に対し、即座に回答ボタンを押したのはピアだ。彼女は淀みなく正解を言い当てる。それを見ていた面々が悔しそうに声を上げた。

 

 ルビコンに在留する星外企業・悪の組織は、今日もかりそめの平穏の上で元気に過ごしている。今日も人々はルビコンを舞台(リング)に、コーラル争奪戦でドンパチを繰り返していた。二大企業と解放戦線がバチバチ火花を散らし合い、封鎖機構がそれらすべてに喧嘩を売り、そんな彼らを尻目に悪の組織は“人とコーラルの未来”を追い求めて駆けずり回る日々が過ぎていく。

 そんな中、最近注目を浴びるようになったのが“とある独立傭兵”――レイヴンの活躍だ。“飼い主(ハンドラー)”・ウォルターと呼ばれる老紳士に傅く猟犬であり、第4世代の強化人間。滅多なことでは顔出ししないのと、身体全体に刻まれた手術痕の影響で全身包帯だらけであることも相まって、公では“性別不明”で通っている。

 レイヴンと協働したコーデリア曰く、『レイヴンは女性』で『廃棄処分寸前だったところをウォルターに見出された』過去があるそうだ。『その恩義の他に、“人としての機能を取り戻すための再手術代を稼ぐ”という条件で、ウォルターとはビジネスパートナーになっている』とも。

 

 

『ハンドラー・ウォルターを調べてみたんですけと、あまりいい噂を聞かないんですよ。『旧世代の強化人間を買い叩き、過酷な仕事に従事させて使い潰す』とか』

 

『ルビコンに来る以前には、レイヴンの他に“猟犬(ハウンズ)”と呼ばれる複数人のAC乗りがいたそうですよ。でも、今は1人も見かけませんね』

 

『噂が正しいとしたら、“猟犬(ハウンズ)”と呼ばれていたAC乗りたちは“ウォルターからの任務を受けて戦死した”と考える方が普通かも知れません』

 

『……レイヴン、大丈夫でしょうか。酷い目に合ってなければいいんですけど……』

 

 

 コーデリアにとってのレイヴンは、先に起きた“メリノエ初陣”における僚友であり恩人だ。その関係者に『黒い噂がある』と聞き、レイヴンのことを心配しているのだろう。

 それは彼女の上司であるイグアスも同じらしく、2人してちょくちょくレイヴンにメッセージを送ってやり取りをしているという。

 今のところ、ウォルターの悪評を証明するような話題は出ていないそうだ。『レイヴンは彼に強い恩義を感じており、心酔している様子だった』という。

 

 コーデリアとミライが話している現場に居合わせたエクトルが、何かを思い出したようにポンと手を叩いた。

 

 

『そういや、ウチの医療部門に来たぞ。そのウォルターっていう老紳士』

 

『本当ですか!? その人、何て言ってたんです!?』

 

『『近々纏まった大金が入るから、その金で機能回復手術を受けさせたい奴がいる』って。データを見る限り、手術を受けさせたい相手は“キミが協働したレイヴン”だろう』

 

『それなら良かったぁ! 安心です!!』

 

 

 本来、患者の情報を第3者に漏らす行為は問題である。それをエクトルが開示したのは、“モニターの向こう側にいたコーデリアがレイヴンのことを心配し、気にしていたため”だろう。

 ……無理もない。コーデリアは『レイヴンのビジネスパートナーが“曰く付き”である』ことを知り、『恩人が酷い目に合っているかもしれない』と不安がっていた。

 

 『共に過ごした友人知人、或いは気に入った相手への対応が甘くなってしまう』のは、悪の組織関係者の悪い癖。自分たちの団体は“同じ銀河の出身である”という共通点で結びついているため、『身内贔屓になりやすい』環境にいるのも原因の1つなのかもしれない。閑話休題。

 

 ウォルターの新たな猟犬としてこの地に降り立った独立傭兵レイヴンは、この惑星で着実に成果を挙げている。ベイラムやアーキバスの傘下企業だけでなく、解放戦線からの依頼もこなしていた。

 現時点での依頼達成率は、脅威の100%。と言っても、傭兵歴の長い人々からは――恐らくはやっかみや嫉妬の意図から――『ラッキーパンチ』や『ビギナーズラック』と揶揄されている。

 しかし、ひねくれていない人間たちからの評価や期待は鰻登り。つい先日も、“解放戦線の武装採艦が所属不明機に襲われた際、敵機を手早く全滅させることで、被害を最小限に留めた”という。

 

 これでまた、レイヴンの名声は高まることだろう。

 何せ、武装採掘艦を破壊したのは()()()()()()()だったからだ。

 

 

『そういえば、武装採掘艦の乗組員をやってた人の読心に成功()()()()()んだけど、奇妙な情報が手に入ったよ』

 

『なんか、『得体の知れない兵器に襲われた』んだってさ。その兵器、“コーラルを動力源にすることで動かす”特性があるみたい』

 

『“コーラルを動力源にして動かす兵器の技術”は『アイビスの火の元凶になった疑いがある』らしく、ギチギチに規制されてるっぽい。“非常に珍しいモノになってる”んだってよ』

 

『……経験則的に考えると、『曰く付きの兵器が徒党を組んで襲い掛かって来る』ってキナ臭くない?』

 

 

 元々読心術持ちであったクレイは、ひょんなことから意図せず“襲撃・破壊された武装採掘艦の乗組員の心を読み取ってしまった”らしい。結果、何やらキナ臭い情報を手に入れたと言う。

 

 他にも、『元々レイヴンは“武装採掘艦の護衛任務を引き受けていた”が、予定・予想外の襲撃が発生して武装採掘艦が大打撃を受けた』ことや『武装採掘艦は使い物にならなくなったが、乗組員は重軽傷を負いながらも、全員脱出に成功した』ことを読み取ったそうだ。

 解放戦線側は“武装採掘艦の大破”という結果に思うところがありそうだが、最終的には『“レイヴン側に落ち度は無し”、“乗組員を全員脱出させるための時間稼ぎに貢献してくれた功労者”と判断を下した』ようだ。レイヴンに対し、それ相応の報酬金を支払ったという。

 そういう経緯もあり、レイヴンの依頼成功率は未だ100%を維持している。以後もベイラム・アーキバスの傘下企業や解放戦線の枠組みに捕らわれることなく、様々な仕事を引き受けては、着実に成果を叩き出していた。閑話休題。

 

 

<解放戦線は、武装採掘艦を襲ったMT部隊や兵器軍の残骸を調査するつもりのようですね>

 

「Cパルス変異波形とコーラルが深く関わっていることを考えると、曰く付き兵器の解析に一枚噛みたいッスね」

 

「向こうは星外企業に関わってほしくなさそうだがな。技術提供してる俺たちに話を持ってこないのがその証拠だ」

 

 

 解放戦線のデータベースを弄繰り回していたエアは、彼らにとっての秘匿情報をぶっこ抜いてきたらしい。端末のモニターに映し出された情報を覗き見ながら、ミライとアマトは顔を見合わせる。

 いざとなれば抜け穴――主にエアやロダンの力を借りることになるが――を使えば何とかなりそうだし、そちらの方が最善の手段だと理解している。……理解はしている、のだが。

 

 

「……解放戦線から、この件絡みの依頼出てないッスかね」

 

<出ていますね。調査に当たって、独立傭兵を複数名募集しているようです>

 

「現在アサインしている面々と、残り枠は?」

 

<以下の通りですね。残りは1枠です>

 

 

 エアが表示した情報には、複数名の独立傭兵の名前が並んでいる。全員アリーナランク圏外の傭兵たちだ。恐らく、兵器のジャンク集めを生業にしている者たちなのだろう。

 ルビコンで着々と実力をつけているニューフェイス・独立傭兵レイヴンの名前はない。このままミライ――否、“独立傭兵ソルジャー”が名乗りを上げれば、問題なく滑り込むことが出来そうだ。

 

 ミライのもう1つの名義――Cパルス変異波形と関りある人間たちに接触するための用途だ――も依頼をこなして、地道に実績を積み立てている。

 今回の依頼に参加すれば、武装採掘艦を襲った“曰く付きの兵器群”のデータを入手することも出来るし、独立傭兵ソルジャーとしての実績を積むことも出来る。文字通りの一石二鳥だ。

 ミライの意図を察知したのか、アマトはミュウとしての力を行使してチアキやクレイに《聲》をかける。彼の体を包み込むように蒼穹(あお)の光が瞬く。アマトのサイオン能力、及び思念波の色だ。

 

 青系列の思念波は『ミュウの中でも最強クラス』と謳われる荒ぶる青(タイプ・ブルー)。思念波は大きく分けて4種類あり、全能力高水準の荒ぶる青(タイプ・ブルー)を筆頭に、攻撃特化型の苛烈なる爆撃手(タイプ・イエロー)、サポート特化型の思念増幅師(タイプ・レッド)、防御特化型の堅牢なる護り手(タイプ・グリーン)に分かれている。

 オペレーターをしているオーリーとカーターは思念増幅師(タイプ・レッド)のミュウであり、アマトとチアキの双子は荒ぶる青(タイプ・ブルー)のミュウである。更に言うなら、アマトとチアキの先祖やミライの養父(ちち)荒ぶる青(タイプ・ブルー)のミュウとしての側面を持つ混合(ハイブリット)系の新人類(イノベイター)であった。閑話休題。

 

 

<独立傭兵ソルジャーへの“協力者”ってテイで乗り込めば、読心術や思念波で()()()()拾えるかもしれない。クレイ、ちーちゃん、サポートと解析も兼ねて同行頼めるか?>

 

<了解だよあっくん! 解析は任せろ!>

 

<ボクは何かあったとき用に、適当なAC組んどくね。いざとなったら“協力者”ってごり押しすればバレないでしょ>

 

<<雑ゥ!!>>

 

 

 3人の会話を聞いたミライは、思わず目を細めた。

 何せ、いつも通りの微笑ましい光景だったので。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ミドル・フラットウェルは解放戦線のナンバー2だが、実質的には帥叔/“戦争指導者”の立ち位置にいる。“アーキバス傘下の星外企業・シュナイダーにツテを築いた”という功績や“戦術指揮官としての才能を見込まれた”こと、そうして“精神的指導者たるサム・ドルマヤンの高齢化”に伴う形で今の地位に納まった。

 彼に関しては『潜入先のシュナイダーから帰還後、譫言のように『ツバサ』、『空力』、『軽量化』等と繰り返した挙句、機体のアセンを大幅に変更し、機体名を“ツバサ”に改名した』、『シュナイダーとツテを築いた代償として空力汚染された』という噂がまことしやかに囁かれているようだが、信憑性は不明だ。

 参考になるかは分からないが、彼が“シュナイダーから帰還後、機体のアセンを大幅に変更し、機体名をツバサに変更した”のは事実(ガチ)である。火のない所に煙は立たぬ。火種は恐らくコレが原因だろう。最も、周囲は空力汚染を恐れて話題に触れないし、当人も何も語らないので放置されているのだが。閑話休題。

 

 今回の任務――武装採掘艦を襲った兵器群の調査――では、非常に珍しく、フラットウェルは作戦行動を生中継で見ていた。勿論、参加者の名簿や機体構成にも目を通している。

 

 その中に、『シュナイダーの回し者』を見事に体現したACを駆る傭兵がいた。どこぞの星外企業の総帥(しゃちょう)とよく似た機体構成のACだった。

 敵陣へ潜伏中の後継者/教え子とよく似た機体構成のACだった。自己紹介文の時点から、所謂『空力汚染』を受けているタイプのやべー奴だった。

 

 

「うわ……」

 

「気持ち悪……」

 

 

 映像を見ていた面々は文字通りドン引きしている。フラットウェルも、もれなくその1人になっていた。件の独立傭兵ソルジャー、及び彼が駆る機体・“アルティメットクロス”の挙動は、この依頼を受けた独立傭兵及び彼/彼女らが駆るACの中で一番異質だった。

 

 調査依頼という形で募集をしたこともあってか、参加した独立傭兵たちの大半がアリーナランク圏外の面々である。依頼を出したフラットウェル自身も“兵器群の残骸調査を行う”ことがメインだったからだ。一応、保険と言う形で雇ったのが、アリーナランク圏内にいた独立傭兵ソルジャーだった。

 フラットウェルのかけた保険は今、正しい形で機能している。企業勢力からの横槍を想定したものであったが、調査部隊に襲い掛かって来たのは所属不明の兵器群。以前、武装採掘艦を襲った奴らと同系列のものだ。アリーナランク圏外の傭兵たちは軒並み駆逐され、残っているのは独立傭兵ソルジャーとその関係者のみ。

 

 

「なあ。今何が起きたか説明できる奴いる?」

 

「分からない……。瞬きしたら兵器群が爆散していたことしか分からない……」

 

「やべえ挙動してることしか分からない……」

 

「頭も眼も追いつかない……」

 

「こ……これが、空力?」

 

「なんて素晴らしいんだ……!」

 

「解放戦線にもシュナイダー製ACを導入すべきでは……」

 

 

 これでも、戦闘開始時にはもうちょっと感情があったのだ。特に驚愕と歓喜。時間経過を経てそれは困惑や恐怖に変わり、今ではもうどうすればいいのか分からない。一部から不穏な単語と感想が聞こえてくることに気づかないレベルで置いてけぼりだ。

 関係者の援護を受けながら戦場を飛び回るソルジャー/アルティメットクロスの挙動は、いつぞや多重ダムでレッドガンを裏切ったレイヴン/クロスアライズよりも圧倒的に“速い”。各種ブーストの合間に“近接攻撃をキャンセルする”ことで速度を稼ぎ、縦横無尽に奇襲を仕掛けているのだ。

 戦場の端から端を超高速で移動し、パルスブレードによる奇襲で相手を切り捨てにかかる。時にはレーザーショットガン――通常とチャージを使い分け、時にはプラズマミサイルで兵器群を牽制し、時には――パルスブレードの冷却中――レーザーブレードを振るう。完全な近接特化型の構成だった。

 

 

「【トランザム】してるみたいだ……」

 

「トランザムが現実に存在してたら、きっとあんな感じなんだろうな」

 

 

 【トランザム】――『クロスアライズ』に登場する太陽炉搭載型の機体が有する特殊な戦闘機能。“GN粒子の貯蔵量を短時間に一定量消費することと引き換えに、一時的に高速機動で戦闘を行うことが出来る”という代物だ。但し、1度使用すると一定時間のクールタイムを必要とする。一言で言えば『デメリット有りの必殺技』だ。

 そんな言葉が飛び出したのも、“アルティメットクロスの挙動が、トランザム状態の太陽炉搭載型機体を彷彿とさせる”程の速さを叩き出していたためだろう。“驚異的な加速を叩き出すために、近接攻撃をキャンセルすると言う挙動を挟む必要がある”点も、デメリット有りの必殺技を彷彿とさせるようだ。

 

 勿論、件の機体を援護するAC2機も個性的だった。共通はアルティメットクロスの援護役という点だろう。

 

 片方は、エルカノを中心にシュナイダーの混合で組まれた機動力重視の2脚。手にはレーザーダガーとニードルガン、肩にミサイルとパルスシールドランチャーを積んでいた。特に後者は、ばら撒いて“置き防御壁”を展開している。遠距離攻撃で狙い撃ちされたアルティメットクロスは、件の機体がばら撒いたパルスシールドまで高速移動し、盾として利用していた。

 もう片方は、エルカノ製品で統一されたバランス重視のタンク。手には火炎放射器とスタンバトン、両肩には実弾ミサイルを積んでいる。主に使うのは火炎放射器で、“周囲の視界を炎と熱源で潰して行動範囲を制限した後、スタンバトンで強制放電を引き起こす”のがメインらしい。肩装備は牽制用と割り切っているようだった。

 

 

「多重ダムで見かけた花嫁ACも中々に『バカ機体』だったけど、これもこれで『バカ機体』だな……」

 

「録画したあの回、もっかい見返したくなってきた」

 

「ああ、“赤い彗星の昔の女大集合”の回?」

 

「よく刺されないで生きてたよな、赤い彗星」

 

 

 半ば現実逃避じみた雑談をしている間に、兵器群は次々と残骸になっていく。地元企業へ解析に回せるような壊し方をしているあたり、ソルジャーとその協力者は当初の目的を忘れていないらしい。

 

 

「……教え子(あいつ)は大丈夫だろうか……」

 

 

 途中から「ツバサ」、「空力」、「軽量化」等と譫言のように呟いていたフラットウェルが、とても小さな声でぽつりと零す。

 彼がそんな呟きを漏らしたのと、ソルジャー/アルティメットクロスが最後の1機を切り捨てたのは、ほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

 

「うわ、気持ち悪……」

 

 

 C兵器を差し向けた張本人も、眼前で繰り広げられた“バカみたいな光景”にドン引きしていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

<『ロックオン・ストラトス、狙い撃つぜ!』>

 

「「はい!」」

 

<同時だね。では、オーリー、カーター、ご一緒に>

 

「「初代ロックオン・ストラトス!」」

 

<両者正解!>

 

「んで、“2307年時点で9歳年下の未成年に手を出した、オーリーくんのご先祖様”!」

 

「よくも言いやがったな殺すぞ!!」

 

 

 ロダンの声帯模写(ものまね)に対し、即座に回答ボタンを押したのはオーリーとカーターである。同時に押したと言うことで、回答権は両名に与えられた。

 回答内容はどちらも正解ではあるのだが、余計な補足を加えたカーターがオーリーの地雷を爆破させたため、そのまま取っ組み合いに発展。周囲が慌てて止めに入った。

 

 今回の一件で入手したC兵器の残骸――主に、その残骸から入手したデータは、今回の仕事を引き受けたドサクサに紛れる形で悪の組織側にも齎されている。その解析を行うため、チアキ率いる技術開発者やミライの端末は忙しそうに動き回っていた。

 

 

<カーラちゃんが『コーラルに詳しい』って言ってたから、そっちにも解析依頼出したよ。なんか凄い険しい顔してた>

 

<カーラ()()()()の心、読んだんスか?>

 

<いーや。“ああいう顔をしてる時に読み取ったら、無理やり心を暴くようなもの”じゃん。そういうの、紳士(イケメン)のすることじゃないでしょ>

 

 

 ミライの端末(にくたい)越しにそう言って笑うチアキは、つい先日BAWSとエルカノに技術提供し共同開発した近接武器――所謂“爆発金鎚(ハンマー)”に関するデータをファイリングしていた。本業も充実しているらしい。

 

 爆発鉄鎚の元ネタはガオガイガーのゴルディオンハンマーである。再現性はそこまで高くはないし、本家本元のように相手を『光にする』ところまで行かないし、原理として使ったのはベイラムのパイルバンカーとアーキバスのレーザーランスだったが、“BAWSとエルカノ製では数少ない近接武器”としての需要は大きかった。

 “パイルバンカーやレーザーランスより威力はやや劣るも、軽量且つEN負荷が軽い”という立ち位置故、『星外企業と対立しているため、二大企業製品を購入できない』解放戦線のAC乗りから人気らしい。他にも、愛機や戦闘スタイルの関係でパイルバンカーやレーザーランスが重量オーバーになる独立傭兵にも需要があったようだ。

 悪の組織は着々と活動の範囲を広げていく。武器やフレームパーツの開発だけでなく、各分野――特に医療や娯楽関係――でも、ルビコンの地元企業との関係を深めていた。星外二大企業とまでは行かずとも、『ルビコン地元企業の技術支援者』として独自の地位を確立しつつある。二大企業関係者からはフィクサー呼ばわりされていたのはご愛敬だ。

 

 このままルビコニアンたちとの関係を深め、良好な間柄と築き、彼らの生活に密着するような形で根を伸ばす。

 そうして、満を持して、己の正体――“人類種ルビコニアンとの共存を望む異種族生命体”であることを明かすのだ。

 

 

(きっと、大きな混乱が起こる。それは避けられない。――けど、そういうときこそ、今までの積み重ねがモノを言うんス)

 

 

『見ろ! ELSに、フェストゥムに、バジュラが……』

 

『みんなが、助けてくれた……!?』

 

 

『――そうだ。僕たちが積み上げてきたことは、間違いなんかじゃなかった……! 間違ってなんかいなかったんだ!!』

 

 

 いつかの戦場が脳裏を過る。旧きELSが、バジュラやフェストゥムらと一緒になって、クロスアライズの救援のために馳せ参じたときのこと。

 黒幕が彼や彼女らの故郷に差し向けた軍勢から、彼や彼女の同族たちを守るために、みんなと共に馳せ参じたときのこと。

 彼や彼女らの積み重ねてきた――共に生きたいと願い、手を差し伸べてくれた――偉業や奇跡(こと)に応え、報いるために。

 

 ミライが目指すのは()()()()()()だ。人類相手にこれを目指すのは、きっと、文字通り荒唐無稽だろう。

 だって、人類はELSやフェストゥム、バジュラのように純粋ではない。善意と悪意がごちゃ混ぜに絡み合っている。

 

 だとしても――

 

 

『未来への水先案内人は、このグラハム・エーカーが引き受けた!』

 

『ああもう、勝手に先に行くんじゃないよ! このおばか!!』

 

 

 ――暗闇を切り裂くような群青(あお)を見た。

 

 

『これが、ラストミッション!』

 

『この銀河(せかい)に生きるすべての命と!』

 

『人類の存亡を賭けた!』

 

『『『対話の始まり!』』』

 

 

 ――暗闇を照らすように輝く(みどり)を見た。

 

 

『だから、示さなければならない。世界はこんなにも、簡単だと言うことを……!』

 

 

 ――“分かり合う”という理想を最後まで貫き通した女性(ひと)がいた。

 ――そうして、彼女の想いを受けた異種族が咲かせた金の花を見た。

 

 

『――刹那が咲かせた花の色だ』

 

 

 ――異種族と融合して生還した男が、己の瞳を指さして笑っていた。

 ――木漏れ日の様な色合いは失われても、最愛の人が咲かせた花の色が宿っていた。

 

 

(俺に奇跡を見せてくれたのは、他でもない“ヒト”だったんスから!!)

 

<――ミライ。ちょっといい?>

 

 

 ミライがそんなことを考えていたとき、《聲》が響いた。同時に入ったのは、酷くくすんだ暗紅色。企業関係者と交信に成功()()()()()()以降、久方ぶりとなったCパルス変異波形――ライアンからのものだった。

 

 

 

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