藤丸立香のオカルト的事件簿   作:SoDate

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人喰いマンション エンディング

 突然俺とオルガマリーさんの目の前に現れた男の人は、深々と俺に向けて頭を下げる。それがどういう意味なのか困惑していると彼は口を開く

 

「すまない、本来なら俺がなさねばならない事を君に負担させてしまった」

「い、いや……俺も助けてもらったからその恩返しをしてただけで……」

「はぁ……本人も気にしてないみたいだし頭を上げたら」

 

 そう言われた男の人は頭を上げる、一体この人が誰なのかわからないが1階へ戻るため歩き始めると彼も後を付きてきて、一緒に階段を下りる

 

「あの、貴方は誰なんですか?」

「……そう言えば、自己紹介をしていなかったな。俺の名前は宮本紫紀と言う」

「宮本さん……俺は藤丸、藤丸立香です」

「藤丸は、改めて謝罪をさせてくれ。すまなかった」

「だからもういいですって……それでこっちが──」

「彼女については聞いている、オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア。時計塔を統べる十二のロードが一角、アニムスフィア家の次期当主だと」

「アニムスフィア家?」

 

 彼女の事を知っているらしい宮本さんの口から発せられた、時計塔やアニムスフィア家と言う言葉に疑問を感じているとオルガマリーさんは手を叩き意識を自分に向かせ宮本さんへ言葉をかける

 

「貴方、ペラペラしゃべり過ぎよ、からは民間人なんだから」

「民間人? オルガマリーさんの弟子ではないのか?」

「そんな訳ないでしょ、私に弟子なんていないし……藤丸は、よくて小間使いよ」

「……小間使い」

「そ、れ、よ、り。貴方がこの街の管理者が言ってた協力者で間違いないのね」

「あぁ、その認識で間違いない……最も、諸事情により遅れ、雑魚狩りにうつつを抜かしていた木偶の坊だがな」

「雑魚狩りって……何してたのよ」

「このマンションに蔓延っていた肉人形の処理だ」

 

 何ごともないように言っているがあの肉人形は俺的には結構強かった記憶があるんだけど……もしかして魔術師にとっては何でもない存在だったんだろうか

 

「その件については後ほどお叱りを受ける……それよりオルガマリーさんは目的の物を手に入れられたのか?」

「えぇ、貴方の代わりに藤丸が手を貸してくれたからね」

「そうか、藤丸くんには本当に苦労をかけた、すまない」

「もういいですってば……それより、あの部屋はどうなるんですか? さっきの言葉通りなら宮本さんが何かするんですか?」

 

 そう言うと宮本さんは顎に手を当てて思考を重ねた後、オルガマリーさんの方を見る

 

「彼にはどこまで話して大丈夫だろうか?」

「……ここまで関わっちゃってるんだから、そっち側の事情を多少濁せばいいんじゃない?」

「そうか」

 

 何故かすごい投げやりに言葉を発したオルガマリーさんから了解を受けた宮本さんは再びオレの方へ視線を向けた

 

「先ほどオルガマリーさんも言っていたが、この街には管理者と呼ばれる役職の人物がいる」

「管理者?」

「あぁ、この街──正確には土地を管理している人物の事だ。どうやらこの場所は魔術師から見てもかなりの好物件らしいからな」

「そうなんですね……知らなかった」

「本来ならこうした裏の事柄に関わらなければ、生涯かけても知ることのない事柄だからな……それで、今回の一件も管理者の耳には入っていてな、もとより内部の厄介事を片付けた後解体処分される予定だったんだ」

「そうだったんですね」

 

 解体予定なら入居者が居ないのにも説明が付く……それにしては随分と管理がガバガバだった気もするけど

 

「解体予定ならもう少し厳しく管理しておくべきじゃないの? 今回もこうして2人ほど死ぬところだったんだから」

「……その通り故、こちらからは何も言わないし、二人分の治療費はこちらで出すよう進言しておく」

 

 憂鬱そうな表情を見せる宮本さんを見ながら、少しばかり同情の念を向けていると1階に到着したらしい。外にはサイレンのランプを光らせている救急車やパトカーの姿も見える

 

「宮本さんが通報したんですか?」

「あぁ、空間の歪みが元に戻った直後に……藤丸くんには悪いが形式的な事情聴取──と言っても今回の一件は警察の上層部も把握しているから親御さんが迎えに来るまでのちょっとしたお話だ」

「オルガマリーさんはいいんですか?」

「あぁ、そっちも上層部が把握済みだ」

「何なんですか、この土地の管理者」

「長い間一族の積み上げたコネクション……気にしたら負けだ」

「そうですね……」

「もう行くといい、残りの処理は俺がやっておく……明日は一限から授業だが、徹夜か、最悪欠席するしかないな」

「えっ? 宮本さん社会人じゃないんですか?」

「? あぁ、今年から入学仕立ての大学生だぞ」

 

 しっかりしてそうだからすっかり社会人だとばかり思いこんでいたが、どうやらそれは勘違いだったらしい……何はともあれ、この場は宮本さんに任せて俺は待っていた警察の方に連れられて警察署へ、保護された深崎は救急車で病院へと運ばれた

 俺の方は本当にあのマンションであったことの調書を軽く取った後に警察の方と少し話して親と一緒に家に帰った。死体を見たことを警察官に話すと辛かったねと言う言葉をかけられた後にしばらくメンタルケアに通うようにとのことらしい

 

 

 

 

 

 

 それから1週間が経った頃、重傷の深崎は未だ入院中で俺もすっかり元の日常に戻っていた。色々と知りたくなかったことや見たくなかったものも多かったが自分の中ではある程度踏ん切りがついたし日常の裏に関しては心の中に仕舞ったまま墓に持っていくつもりだ

 

「きりーつ、気を付け、礼」

 

 いつものように始まる朝礼の言葉を聞きながら自分の席に座ると担任の教師が話を始める

 

「あー、突然だがこのクラスに転校生が入る事になった。それじゃあ、入って来てくれ」

 

 この時期に転校生は珍しいな等と考えていると担任が転校生の事を教室に招き入れる。入ってきたのは綺麗な白髪の一部をオレンジ色のリボンで三つ編みにしている日本人離れした外見の女性……何故だろう、ここ最近で凄い見た事のある人に似ている気がする

 

「この度、海外から留学してきたオルガマリーさんだ」

「オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアです」

 

 どうにも最近俺が知り合った人と同じ人物らしい。彼女は教室の中にいる俺の方を見ると少し意地悪気な笑みを浮かべた

 

「これから、よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

―― 人喰いマンション END ――




ここまで読んでいただきありがとうございました

この後書きにて少々本作の諸々を少し開示したいと思います

・世界線について
 本作の世界線は人理の力が少しだけ強い世界となっています
あくまで”少しだけ”強い世界であるためfateか月姫かで言ったら僅かにfate側に傾いている世界です

・オルガマリーについて
 本作のオルガマリー・アニムスフィアはfgoよりロードエルメロイⅡ世の事件簿に近い人物になっています
 年齢は16歳で、事件簿で起こった事件については本作でも起きてます。そのため友人?と呼べる存在がいて、日本に来る以前の生活もそこそこ充実していたから精神的に余裕がある、それが本作におけるオルガマリーです



 今回登場した宮本紫紀と本作を書き始めた理由に関しては、活動報告に記載するのでそちらにも目を通して頂けると幸いです

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