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体育館
「うぷぷ。それはねぇ……」
モノクマは、いったん言葉を切り、また沈黙を楽しむ様に口を噤んでから、結論を口にした。
「人が人を殺す事だよ……!」
「こ、殺す!?」
私は思わず声を漏らしてしまった。
周囲の、17人も大半が似た様な反応を示している。
一方のモノクマは、より一層、笑みを深くしている。
「殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺惨殺呪殺……殺し方は問いません。誰かを殺した生徒だけが此処から出られる……それだけの簡単なルールだよ。最悪の手段で最良の結果を出せる様に、せいぜい努力して殺し合って下さい。」
ゾワリとした……
誰かを殺した生徒だけが此処から出られる……
その言葉を聞いた途端、強烈な寒気が足元から背中を通り、頭のてっぺんまで一気に駆け上がった……
「うぷぷ・・・・・・こんな脳汁迸るドキドキ感は、鮭や人間を襲う程度じゃ得られませんなぁ……!」
「な、何を言ってるよ……?殺し合うってそんなの……」
櫛田さんが顔を青白くしながらボソリと呟く。
「えっ? もしかして嫌なのっ?」
モノクマが驚いた表情でこちらを見つめる。
「あ、当たり前でしょ……!何言ってんのよアンタ!?」
「そうだ!どうして仲間同士で殺し合わねばならんのだ!」
神室さんと葛城君が、動揺しながらモノクマを睨み付ける。
「……誰が『仲間』なんて言ったの? オマエラは仲間同士なんかじゃ無いよ。お互いの命を狙って殺し合う……敵同士なんだよ……」
モノクマが不敵な笑みを浮かべる。
敵同士……? 私達が……?
確かに高育では互いに競い蹴落とし合う敵同士だったけど、こんな状況になっても敵同士だなんて……
「……一つ、聞きたい事がある。」
「なになに? 時間も押してるから手短に頼むよ」
綾小路君の質問にモノクマが答えた。
「俺達はどうやって殺し合えばいいんだ? それぞれに武器でも与えられるのか?」
「ちょっ……な、何を聞いてんのよっ!」
軽井沢さんが顔を引き攣らせる。
「まずは、モノクマから情報を引き出すのが先だと思ってな。 何も分からなければ対処のしようも無いからな。」
彼は淡々と答えた。
「……武器って? え? そんな野蛮な想像していたの!?
そういうのじゃなくて、この学園内で行われるコロシアイはね…… もっと、知的エンターテインメント性に溢れたコロシアイなのでーす! その名も『学級裁判』だよ!」
学級裁判……?
皆、その言葉に首を傾げた。
勿論、私もその1人だ。
「じゃあ、今から学級裁判についての説明をするから良く聞いておくんだよ!」
そう言うと、モノクマは説明を始めた。
「オマエラの間で殺人が起きた場合、全メンバーが強制参加する学級裁判が行われる。学級裁判では、殺人を犯した『クロ』と、それ以外の他の生徒の『シロ』が対決するんだよ。この学級裁判の場で『クロは誰なのか?』をオマエラに議論して貰うんだよ。そして、その後の『投票タイム』で多数決によって導き出された答えが正解だった場合は、殺人を犯したクロだけが『オシオキ』されて、残った他のメンバーで共同生活を続行させるって訳だよ。但し、もしも学級裁判で間違った人物をクロに選んでしまった場合は、罪を逃れたクロだけが生き残って、残ったシロ全員が『オシオキ』されてしまうんだよ。……以上が学級裁判の簡単なルール説明だよ。まぁ、他に気になる事があれば、その時にまた質問してね。ボクが答えられる範疇でなら答えてあげるからさ。」
随分と凝ったルールなのね……
「まぁ、要するに、ただ殺すだけじゃ駄目なんだ。殺した上で学級裁判を乗り切らなきゃ、外には出られないんだよ。」
説明が終わるとモノクマは、長文の読み上げに疲れたのだろうか、息をハァハァと荒らげながら壇上の上に座り込んだ....
そんなモノクマに対し坂柳さんが問いかける。
「……想像は付きますが一応、念の為に聞いておきます。先程の説明に出てた『オシオキ』とは一体何を指すのでしょうか?」
「うん、濁さずに言うと処刑だねッ!!」
「しょ、処刑!?」
まるで、さも当たり前の様にモノクマが発した『処刑』という単語を聞いた瞬間、顔から血の気が引いた気がした……
「別に特別、おかしな話って訳でも無いでしょ?外の世界と一緒だよ。罪がバレたら、罰を受ける…… 勿論、『命懸けの罰』だけどね。だって……これってコロシアイだからね。」
あたりを静寂が支配した……
『殺し合い』や『処刑』といった、日常生活では到底聞く事の無いであろう単語に皆、一様に静まり返ってしまった……
勿論、私もその内の一人だ。
だが、そんな静寂を打ち破ったのは彼の怒声だった……
「おい!テメェ……殺し合いだの、処刑だのって一体どう云う事だよ!何でオレ達がそんな、巫山戯た事に付き合わされなきゃなんねぇんだよ!」
須藤君が声を張り上げる。
「殺し合いは、殺し合いだよ。そのまんまの意味さ……それ以上でもそれ以下でも無いよ。」
「テメェ……!」
須藤君は額に青筋を立てながらモノクマを睨み付けた。
「後さ、巫山戯てるのは、そんな事も分からない君の脳味噌なんじゃないかな?」
「んだとゴルァ!!」
怒号と共に、須藤君の長身が軽やかに跳躍した。
「須藤……待て」
静止する綾小路君を無視し彼は壇上に降り立ち、と同時にモノクマを鷲掴みにしていた。
「テメェ……捕まえたぞコラ! 」
「キャー!学園長への暴力は校則違反だよ〜ッ!?」
モノクマが短い手足をバタつかせる。
「今直ぐオレらを此処から出せッ。でなきゃ、ぶっ壊すぞ……!」
突如モノクマは口を閉ざし、直後、その内部からピーピーという電子音が微かに聞こえて来た。
「おいおい。シカトかぁ?」
須藤君が手に、更に力を込める。
電子音は更に音量を増し、離れた位置にいる私の耳にもハッキリと届く様になった。
「なんとか言いやがれッ!」
その時、一団の前方に居た綾小路君が前へ出て来た。
「須藤、そいつを投げろ!」
「ああ?」
「いいから早く!」
綾小路君の唯ならぬ様子に気付いたのか、須藤君は舌打ちしつつも大きく腕を振り、モノクマを空中へ放り投げた。
見事な放物線を描き、回転しながら宙を舞ったモノクマは……体育館の天井近くで、大爆発を起こした。
「うわっ!」
私は思わず手で顔を庇った。
視界が赤い光に覆われ、熱風が襲いかかって来る。
火薬の焦げ臭い匂いが鼻をついた。
モノクマの欠片が無数に飛来し、足元に転がる。
「な……なんなんだよ……」
床で黒煙をあげるモノクマの残骸を見つめながら、須藤君は、呆然と呟いた。
「モノクマさんじょーう!」
「うわっ!!!」
突如として聞こえた、存在しない筈の声に私を含む複数の人が悲鳴を上げる。
またも壇上に出現したモノクマが、それを聞いて満足そうに頷く。
「うぷぷ……オマエラ、なかなか良いリアクションだね……」
どうやらあのヌイグルミ……モノクマには複数の予備が存在しているらしい。
呆気に取られたものの、須藤君は、ハッとして声を上げた。
「ふ……ふざけんな!テメェ、マジで俺を殺そうとしやがったな!?」
「校則違反するのがいけないんでしょ?ボクがこんなにも秩序を守った学園生活を推奨しているのにさぁ・・・・・・守らない子は、お尻ペンペンじゃ済まないんだからね!」
体罰どころの話ではない。
あのままモノクマを掴んでいたとしたら、須藤君は確実に爆死していた。
先程の、モノクマの話が思い出させる。
学園から出る方法は、人が人を殺す事。
それは、ネットやテレビの向こう側の出来事だと、自分には無関係な事だとばかり思っていた。
だが、たった今、そうではないと思い知らされてしまった。
死は間近にある。目の前にある。
「うぶぶ……そうそう、オマエラがボクの見えない場所で校則違反をしようとしても、そうは問屋が卸しませんぜっ!ボクの第三の目とも言うべき監視カメラが、校内至る所を見張っているからねぇ〜。ボクの監視からは逃れられないのだ!」
教室に設置され、じっとこちらを見つめていた監視カメラ。あれは不審者から生徒を守る為の物ではなかったのだ。
むしろモノクマが私達を見張るための物だった……
「さっきは特別大サービスで警告音を出してあげたけど、次からはいきなりグレートな体罰を発動しちゃうからねっ。ボクも絶対外さないように命中精度を上げとくから、オマエラも気をつける様に!」
私は、凄まじい吐き気に襲われた。
また世界が歪んだ様に感じた。
モノクマは本気だ。
私達は、本当に閉じ込められてしまったんだ......
「じゃあ最後に入学祝いとして、オマエラにこれを渡しておきましょう!モノクマ秘技、分身の術!」
舞台袖からモノクマが大量に出現し、私達の足元へ駆け寄る。
須藤君は思わず蹴り飛ばしかけたが、何とか思い留まった様だ。
私の前にも一体が歩いてきた。
手にした薄い電子機器を差し出して来る。
「な、何よこれ・・・・・・?」
「何よこれって、さてはカードキーロックにも馴染みがない超ド田舎出身者かい?カードといえばスタンプカードしか持った事のない新種の人類なのかい!」
壇上から小馬鹿にしたような声が降ってくる。
私はモノクマの手から電子機器を奪い取った。
表面に指を滑らせると、青い画面と『堀北 鈴音』という文字が浮かび上がる。
「うぷぷ……これは電子生徒手帳だよ。格好良いでしょ?電子生徒手帳は学園生活に欠かす事の出来ない必需品だから、絶対に無くさない様にね!無くす様な悪い子には……お尻ペンペンの刑だからねッ!」
校則違反さえしなければ、大抵の事は尻叩きで許されるらしい。
「起動時に持ち主の本名が表示されるから、ちゃんと確認してね!漢字が違う、なんて時はすぐに報告して下さい!ちゃんと各自、一文字一文字確認しておくんだよ!単なる手帳以外の使い方も出来るからねぇ・・・・・・」
意味深な言葉を残して、十五体いたモノクマがふっと消える。
どうせ手品の類いだろうが、無駄に手が込んでいる。
モノクマは再び壇上の一体だけに戻ると……
「ではでは、入学式はこれで終了となります!豊かで陰惨な学園生活をどうぞ楽しんで下さい!それじゃあ、まったね〜!」
そう言って演壇の向こう側へ消えていった。
呆然とする私達を残して……
「な、何なんなの……この状況は……」
一之瀬さんが顔を引き攣らせながら呟く。
「どうも……何も……全然意味が分からないよ……」
「こ、ここで一生暮らす……?出る為には誰かを殺す……?一体、何の冗談なのよ……」
軽井沢さんと伊吹さんも狼狽した様子を見せる。
「皆さん……一旦落ち着いて、今の話をもう一度まとめてみましょう。」
坂柳さんが提案する。
「あの、モノクマとやらの発言によると、私達には2つの選択肢が与えられた事になります。1つは、皆さんとこの学園内で期限のない共同生活を送るか……もう1つは……」
「生きて此処から出る為に、仲間の誰かを殺す……だったよな……」
龍園君が、溜息混じりに吐き捨てる。
「こ、殺すなんて……そんな……」
「いきなり拉致されて……閉じ込められて……殺し合いを強要されるって一体どんな状況なんだ……」
椎名さんと神崎君も疲弊した様に呟く。
「嘘よ……そんな馬鹿げた話、嘘に決まってるよ!」
「本当か嘘かは全くもって問題ではないのだよ櫛田ガール。この状況で問題になるのは……この中にその馬鹿げた話を本気にする愚か者が居るかどうかなのだよ……」
その言葉に……私達は再び押し黙った。
押し黙ったまま……互いの顔を見回していた。
互いの胸の内を探ろうとする視線からは、薄らとした敵意まで感じ取れた。
そして……そこで私はモノクマが提示したルールの本当の恐ろしさを知った……
『誰かを殺した生徒だけが此処から出られる……』
その言葉は、私達の思考の奥深くに、『恐ろしい考え』を植え付けていた。
『誰かが裏切るのでは?』という疑心暗鬼を……
こうして、私の新たな学園生活が始まった……
それは、ポイントを賭けた試験から、命を賭けた殺し合いへと姿を変貌させて……
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PROLOGUE「ようこそ絶望学園へ」END
残り生存者数 18人
to be continued……
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どうしても、展開が思いつかなかったので爆発の所と終盤のくだりはダンガンロンパ無印に似せて書いてみました。
本当に自分の文才の無さに辟易します。
次回からは、もっと良いストーリーが書ける様に努力したいと思いますので、次回の投稿まで気長にお待ち下さい。
次回から、セリフの前に発言してるキャラクターの名前を書くべきかどうか?
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書くべき
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いらない