ようこそコロシアイ学園生活へ   作:yellowpurple

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《CHAPTER 1 イキキル》(非)日常編⑤

 

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次回の投稿は出来れば1週間以内に行う予定ですので気長にお待ち下さい。

 

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自室

 

昼食会が終わり、そのまま自室に戻り数時間、特にする事も無かったのでベッドに腰かけて現状について考えていた。

犯人は誰なのか、動機はなんなのか、どうすれば出られるのか等……どれだけ考えても分からない事をずっと考え続けていた。

そうでもしないと不安に押しつぶされてしまいそうだからだ。

その様子を監視カメラがじっと見下ろしている。

無表情なレンズから目を逸らし、私は時計の針を確認した。

夜時間まで時間がある……今の内にシャワーを浴びておいた方が良いだろう。

シャワールームのドアノブをひねり押し開く。服を脱ぎ、頭から温水を浴びた。時間が経過するのがやけに遅く感じられる。今までは、あんなにも一日が短かったというのに。

校舎内には、テレビもなく、小説もなく、教科書もない。

ただ食事をして眠るだけ。する事といえば、誰かと雑談したり、脱出口を探したりするだけ。

それさえも今は八方塞がりになっている。

18人で手分けして探しても脱出口は見つからない。

一体いつになったら出られるのか……

降り注ぐ温水が、直立した自分の身体を流れ、脚を伝って落ちていく。シャワーを止め、張り付く髪をかきあげた。

身体を拭いて服を着ると、昨日と同様に、倒れ込むようにしてベッドに身を横たえた。すると……

 

『キーンコーン、カーンコーン…… えー、校内放送です。午後10時になりました。只今より夜時間になります。間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止とまりま〜す。ではでは、いい夢を。おやすみなさい……』

 

夜時間を告げるチャイムが部屋中に響き渡る……

その数分後、私の意識は完全に消え、深い眠りへと落ちてちった……

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

食堂

 

翌朝、それぞれ食堂に集まって朝食を摂った後の事……

 

「ねぇ。あれから脱出の手がかりを見つけた奴いないの?」

 

伊吹さんの発言に、それまで雑談を交わしていた面々が一斉に口を噤んだ。

私が昨日した事といえば、洗濯をし、櫛田さん達と昼食を摂った位だ。取り立てて報告する様な事ではない。

伊吹さんは変化のない状態が長く続く事に相当、苛立ってる様だ。

頭をかきむしり、責め立てる様な目で食堂を見まわす。

 

「何でもいいから……誰か、なんかないのッ!?早くこんな所から出たいんだけど……」

 

「落ち着きたまえ、伊吹ガール。そんな事じゃ長生きは出来ないよ……」

 

「は?」

 

高円寺君の漏らした不安な一言に驚いたのは、彼女だけではない。

その場の全員が、涼しい顔で腕を組む彼を見つめていた。

 

「今の様に他人の前で弱みを見せているようだと、長生きは出来ないよ。昨晩、リトルガールも言っていただろう?『適応力こそ生命力だ』と。」

 

がたりと音を立てて席を立ち、伊吹さんが高円寺君を睨みつけた。

 

「アンタ、頭おかしいんじゃないの?」

 

伊吹さんの嫌悪感に満ちた視線など、高円寺君はどこ吹く風といった様子だ。

それが彼女の嫌悪感を更に増幅させていく。

 

「伊吹……ソイツは放っておけ。お前がどうこう出来る相手じゃねぇ……」

 

龍園君の言葉に、渋々ながらも彼女は席に着いた。

しかし、険悪な空気が払拭される事はない。

 

「それで結局、手がかりは何もねーのか?」

 

橋本君の問いかけに、再び場が静まりかえる。

大半の者は暗い表情を浮かべていたが……

 

「手がかり……とはちょっと違うけど良いかな?」

 

手をついて一之瀬さんが立ち上がった。

どうやら彼女は、悲しみにくれていないようだ。

 

「私達が、ここに閉じ込められてから今日で3日目だよね。急に連絡が取れなくなった私達を心配して、そろそろ警察も動くんじゃないかな……?」

 

「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

 

「うわぁ!?」

 

またもや、唐突な登場だった。

どこから湧いて出たのか、モノクマは長テーブルの上に出現し、一之瀬さんの前まで移動していく。

 

「警察なんて当てにしてんの!? オマエラ……警察にはどんな役割があるか知ってる? 引き立て役だよ。悪役やダークヒーローの。アイツらがやられる事で、悪役が引き立てられるの。そんな安直な役割しか無い警察なんかを当てにするなど、お約束とは言えども、どうかと思いますぞ。そんなのに頼ってないでさ、そんなに出たいなら殺しちゃえばいいじゃーん!」

 

「そんな……私達が人殺しなんてする訳ないよ!」

 

一之瀬さんの発言にモノクマが「しょんぼり……」と言葉で分かりやすく感情を表現しながらテーブルの中央へ歩いてくる。

 

「オマエラ、ゆとり世代の割には以外とガッツあるんだねぇ……。でも、僕的にはちょっと退屈ですぅ〜!」

 

トコトコと目の前にやってきたモノクマを私は思い切り睨み付けた。

本当は、蹴り飛ばしたいところだが、モノクマに暴力を振るうのは校則違反なので、ここは我慢するしかない。

その代わり私は睨みながら言った。

 

「一之瀬さんの言う通りよ。何を言われても私達は人殺しなんていない!」

 

「そこでボクはピコーン!と閃いたのだ!!」

 

私を無視して、モノクマはパッと明るい表情を浮かべる。

 

「場所も人も環境も、ミステリー要素は揃っているのに、どうして殺人が起きないのか……ズバリ動機が足りなかったんだね!という訳ではオマエラにあるものを用意しました〜! 視聴覚室に行けば、それが見られるかもねッ!」

 

「どうせ、ろくでもない物に決まってるわよ。そんなの見に行く必要なんか……」

 

「そんな事言っていいのかな……?」

 

ずいっと私の鼻先に迫ったモノクマが笑う。

卒業の条件を提示した時と同じ、醜悪な笑みを浮かべながら。

 

「ボクが用意した映像はねぇ……この学園の外の映像なんだよ!」

 

「外!?」

 

場に動揺が走った。

だが、それも当然だ。ここに居る全員、外に家族や友人、仲間などを残している。誰もが今、最も知りたい事……それが外の現状の筈だ。当然、私もそうだ。

 

「それなら、今すぐ確認しに行こう。だが、その前に一つ聞いても良いか?」

 

そう言うと綾小路君がモノクマを見据える。

彼の目には喜びも怒りもなく、ただ懐疑的な光だけが宿っている。

 

「お前は、何故この様な事をするんだ? 結局、俺達に何をさせたいんだ?」

 

「……ボクがオマエラに何をさせたいのかだって?」

 

何故そんな事を聞くのか、と言いたげにモノクマは、ため息混じりに小首を傾げた。

そして、まるで当然の事だと言わんばかりに返ってきた答えは……

 

「絶望させたい。ただ、それだけだよ。」

 

その短い言葉には、得体の知れない力があった。

理解の及ばない存在を前にした時の様な、覆す事の出来ない圧倒的な恐怖感に囚われ、その場の大半の者が凍りついた。

 

そんな中、綾小路君は冷静なままで「ふぅ」と息をついた。

 

「これ以上の質問は無駄だな……さっさと視聴覚室に行くとするか。」

 

彼は席を立ち、振り返る事なく食堂を出て行った。

 

「さーて!ボクも楽しませて貰おーっと!」

 

モノクマの不自然に陽気な声が響く。

そんな声と共に消えていくモノクマを気にする者など、この場には誰も居なかった。

嫌な予感が頭の中に生まれ、膨らみ、脳細胞の一つ一つを侵食していく。

そんな中、私はゆらりと席を立ち視聴覚室へ行くと言った綾小路君の後を追った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

視聴覚室

 

視聴覚室は、購買部の向かいに位置している。

室内には大型のモニターやスピーカーが並んでおり、手前の再生機の上には開封されたダンボールの箱が置かれていた。

覗き込んでみると、底にはラベルの貼られたDVDが乱雑に散らばっいた。

ラベルには、それぞれの名前が雑な字で書かれている。

 

「これは……?」

 

私は、自分の名前が書かれたDVDを拾い上げた。

後から駆けつけた他の人達も次々と箱に手を突っ込み、自分に割り当てられたDVDを拾い上げている。

高円寺君は既に部屋の前方にある席に座り、DVDの内容を確認している様だ。

それにしても、外の映像が動機になり得るとは、一体どういう意味なのか……

私は、疑問を抱きながらも適当な席に座り、透明なケースからディスクを取り出し、目の前の映像再生機に入れてみた。

しばらくモニターを見つめていると、ザーザーという耳障りな音と共に、砂嵐の様な映像が浮かび上がった。

その映像が晴れたかと思うと「あ……ッ!」と思わず声が漏れてしまった。

それもそのはず、モニターに映っていたのは、高育の生徒会室だった。

そこには、副会長の南雲雅、書記の橘茜、そして自分が最も敬愛する兄……堀北学の3人が雑談している様子が映っていた。

話している内容までは聞き取れないが、兄の表情から見ても、特に何ともない日常の一コマなのだろう。

それにしても、全員の視線がカメラに向けられていない……という事は盗撮かしら……?

そんな事を考えていると直後、唐突に画面が暗転した。

ザーザーと砂嵐が再び画面を占め、それが晴れた瞬間……

 

「!?」

 

満足に声も出ず、ただ驚きで息が止まった。

そこに、兄達の姿は無かった。

ただ、切断されて中綿の飛び出たソファや、粉砕された窓ガラスに、引きちぎられたカーテンがあるだけだった。

まるで激しい戦いが行われたかの様な惨状。

室内は暗く、夜とも早朝とも分からない。

いつの間にか、ぶるぶると手が震えていた。

 

『希望ヶ峰学園に入学した堀北鈴音さん。そんな彼女のお兄さん達……どうやら彼らの身に何かがあったようですね?では、ここで問題です!彼らの身に何があったでしょうか!?』

 

モノクマの、不自然に陽気な声が流れ出した。

その声が途切れると同時に……

 

『正解発表は卒業の後で!!』

 

と、画面にチープな音声と共にポップな文字が、でかでかと表示される。

 

「何よ……なんなのよ、これッ!?」

 

私は机に拳を叩きつけた。

 

「こんなの捏造に決まってる!」

 

「嘘よ……」

 

「ふざけんな!!」

 

周囲から悲鳴や怒声が聞こえてくる。

具体的な内容までは分からないが、恐らく彼らも似た様な映像を見せられたらしい、という事は容易に推測できた。

 

「成程……これがモノクマの言ってた動機の意味か……」

 

「この状況を見るに、動機としての効果は覿面な様だねぇ……」

 

困惑と恐怖が渦巻く中で、その2つの声だけは、奇妙な程に冷静だった……

私は顔を上げた。

部屋の前方と斜め前、高円寺君と綾小路君がじっとモニターを見つめている。

その表情には動揺など微塵も見られず、目は水面の様な静けさを様していた。

家族、もしくはそれに等しい人の危機が映っていたのにも関わらずだ……

私は感心以上に彼らに対する底知れない恐怖を感じた。

それと同時に再び彼が口を開く。

 

「俺達の『出たい』という気持ちを煽って、殺し合いをさせようとしている…… これがモノクマの魂胆という訳か……」

 

確かに、映像を見終わった後に私の心を占めたのは「ここから出て、兄さんの安否を確かめなければ」という強い思いだった。

だが、学園から出る為には、ここに居る誰かを殺さなければならない……そんなジレンマが私を襲う。

 

そんな中、ひとつの声が辺りに響く。

 

「あ、あのさ……もし良かったらなんだけど、お互いに話し合ってみない……?」

 

一之瀬さんが、ぎこちない笑みを浮かべ提案する。

 

「自分が……どんな映像を見せられたのか、話したら少しは楽になるんじゃないかな……?」

 

話を聞いて貰えば「家族の安否が分からない」という不安な気持ちが和らぐかもしれない……成程、確かに一理あるわね。

それに、皆が見た映像の内容を聞けば、自分達だけが辛い状況にある訳では無い、今は力を合わせるべきだと改めて確認出来る。

そう思い、私は賛成の意を示した。

他の皆も概ねその意見に賛成の様で各々首を縦に振る。

1人の男を除いて……

 

「私は遠慮させてもらうよ。」

 

高円寺君が声高らかに宣言する。

 

「ど、どうしてかな高円寺君……皆で話し合えば、少しは不安も晴れると思うんだけど……?」

 

一之瀬さんが、憂色を浮かべる。

それに対し高円寺君は、いつも通りの横柄な態度で言い放った。

 

「ノープロブレムだ一之瀬ガール。私は不安など感じてはいない。それに、話し合いなどした所で意味など無いからねぇ……」

 

「意味がないって……どうしてそう思うのかな?」

 

一之瀬さんが不安と困惑を織り交ぜた様な表情で口を開く。

 

「理由かい?そうだねぇ……たとえ、我々がこの映像に対して議論を重ねた所で真偽は分からない。要はただの傷の舐め合いだ。そんなものに私は興味など無いのだよ。では、失礼させてもらうよ……」

 

高円寺君は淡々と理由を述べ、そのまま視聴覚室を後にした。

 

「行っちゃったね……」

 

一之瀬さんが彼の背中を見つめ、呟く。

 

「……まぁ、高円寺以外の16人は賛成しているのだから、残った面子で話し合えば問題ないんじゃないか?」

 

「それもそうだね……じゃあ、始めようか。まずは私から……」

 

「ちょっと、待って欲しいのですが……良いですか?」

 

神崎君の提案に納得し、話し合いを始めようとする彼女を制止する声が視聴覚室に響いた。

 

「ど、どうしたのかな?坂柳さん……」

 

「私も一之瀬さんが提案した『皆で話し合う』という事には賛成なのですが……その前に一人で考える時間を1時間ほど頂けないでしょうか……その、恥ずかしながら、まだ自分の中で整理がついていないので、自分の映像について上手く言葉に出来る自信がありません……」

 

やはり彼女ほどの人物でも、この映像に対して気持ちの整理がついていない様だ……

でも、それは至極当然の事である……

家族が危険に晒されているかもしれないというのに平静を保つ事など出来る訳が無い……

勿論、私も頭の中が不安と恐怖でグチャグチャだ……

むしろ、冷や汗ひとつかいていない、あの二人が異常なだけだ……

 

「確かにそうだよね……じゃあ、1時間後に食堂で話し合うってのはどうかな?」

 

「はい、それでお願いします。」

 

「皆も、それで大丈夫かな……?」

 

辺りを見渡すと、皆その意見に賛成の様だ。

勿論、私もその内の一人だ。

 

「じゃあ、今から1時間後に食堂で集合ね。」

 

そう言うと彼女は席を立ち、視聴覚室を後にした。

彼女が部屋を出ると皆、ガタガタと音を立てて席を立つ。

私も皆に倣って腰を上げ自室へと歩を進める。

 

To be continued...

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

次回、遂に事件が起きます。

お楽しみにお待ち下さい!

 

どのクラスから犠牲者が出ると思いますか? (※もう既に誰かは、決まっていますのでアンケートの結果で変わる事はございません。予想程度で、ご記入下さい。)

  • Aクラス(坂柳、神室、橋本、葛城)
  • Bクラス(一之瀬、神崎)
  • Cクラス(龍園、石崎、伊吹、椎名、山田)
  • Dクラス(綾小路、櫛田、須藤、平田)
  • Dクラス(堀北、軽井沢、高円寺)
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