私達が通う文月学園では、新学期最初の行事である清涼祭の準備が始まりつつあった。
他のクラスは、その準備にどこを見ても活気に溢れている。
だが、私達のクラスは逆に静かだ。
その理由は、クラスの大半が清涼祭に興味がなく、グラウンドで野球をしているからだ。
ちなみに、教室に残っているのは私と人識くん、木下くんに姫路さん、後、島田さんだけです。
人識くんは寝てしまっているし、姫路さんは自習をしている。後のメンバーはすることもないので適当にトランプで遊んでいる。
「何で、このクラスはこんなにガラガラなんだ?」
様子を見にきた西村先生が 若干、怒った様子で聞いてきた。
「先生、アキたちなら清涼祭とかやる気ないとか言って、グラウンドで野球しています」
「何をやっとるんだ、あのバカ共は。今からあいつらを連れてくるから、お前たちは自習をしているように。後、寝ている汀目も起こしたおくようにな」
「そろそろ春の学園祭、『清涼祭』の出し物を決めなくちゃいけない。そこで、とりあえず、実行委員を決めて、そいつに全権を委ねる。後は、そいつに任せる」
西村先生に連れられてくると、めんどくさそうに、そう宣言した。試召戦争の時のやる気はどうしたんですか?
「俊希くん、せっかくの学園祭ですよ。寝てばかりいないで、もうちょっと楽しみましょうよ」
「いや、そうは言ってもめんどくさいし。それに、昨日も人類最強の依頼があって疲れてんだよ。逆に伊織ちゃんは、何で元気なんだよ?」
確かに潤さんの依頼、多いんでよね。しかも、結構命懸けですし。
まぁ、潤さんからお金を貰って生活しているから文句は言えないんですけど。しかも、殺人衝動の発散にもなりますしね。
「そんなの俊希くんとの学園祭が楽しみだからに決まっているじゃないですか」
「そうかよ。俺は別に学園祭なんか興味ねぇよ」
「んじゃ、学園祭実行委員は島田ということでいいか?」
不意に飛び込んで坂本くんの発言で今の状況を思いだした。学園祭についての話し合いの途中でしたね。
正直、してみたいんですけど、潤さんの依頼で学校に来れなくなったりしてクラスの人達に迷惑をかけるのも嫌ですし。どうしましょうか?
私が考えているうちに実行委員は美波さんに、副実行委員は吉井くんにきまった。
「それじゃ、ちゃちゃっと決めるわよ。クラスの出し物でやりたいものがあれば挙手してもらえる?」
坂本くんがダルそうに席に戻ると、美波さんが出し物を決める会議を始めた。
「はい、土屋」
数名が手を挙げると、美波さんが土屋くんを指名した。
「……写真館」
「……土屋の言う写真館って、かなり危険な予感がするんだけど」
美波さんが嫌そうな顔をしている。
まぁ、土屋くんの撮っている写真って、ほとんど盗撮ですからね。私もたまに撮られるけど、スカートの中はスパッツだから問題ないです。でも、スパッツを見るたびに残念そうな顔をする土屋くんが少し気になります。
人識くんの写真を土屋くんに頼んでいるけど、中々撮れないらしく悔しそうな顔をしていた。本来なら男の写真など撮りたくないけど、俺のプライドの為に絶対撮ってやる、って言ってましたね。
「アキ、一応意見だから黒板に書いてもらえる?」
「あいよ」
そう言うと、吉井くんが黒板に意見を書いた。
〔候補① 写真館『秘密の覗き部屋』〕
え!?なんですか、秘密の覗き部屋って。なんか18禁の匂いがするんですけど。
「次。はい、伊織」
「女装喫茶とか、どうでしょう?」
「え~と、伊織。それ、本気?」
周りからも女装なんてしたくないという意見が聞こえるけど無視です。
「本気ですよ。俊希くんの女装なら集客率アップ間違いなしです」
「ふざけんなよ。伊織ちゃんが俺の女装を見たいだけだろ。女装なんて絶対しないぞ」
人識くんが何か叫んでいるけど無視です。
「何言ってるんですか、伊織ちゃん」
「そうだ、姫路。伊織ちゃんにちゃんと言ってやれ」
「吉井くんの女装の方が可愛いに決まっているじゃないですか」
くっ!?確かに吉井くんの女装も可愛いそうですね。
「姫路、ツッコむところを間違っているぞ!」
「ちょっと待って、姫路さん。その話に僕を巻き込まないで」
「そこまで言うなら清涼祭でどっちの女装が可愛いか、客にアンケートを取って勝負しませんか?」
「分かりました。吉井くんが負けるわけありませんから」
「何で俺と吉井が勝負することになってんだよ!?」
「僕は女装なんてする気ないよ」
人識くんも吉井くんもうるさいですね。
「というわけで、美波さん。出し物は女装喫茶に決定でいいですか?」
「もうめんどくさいし、それでいいわ」
「いいわけないだろ。もうちょっと真面目に考えろ!」
「汀目くんの言うとおりだよ。皆も嫌だよね?」
吉井くんがクラス中に問いかける。
「ワシは賛成じゃ」
「秀吉!?」
「皆もワシの苦しみを理解するべきじゃ」
「まさか秀吉が裏切るなんて!」
おお、木下くんも乗り気みたいですね。メイク係として木下くんにも協力してほしかったので、好都合です。
「じゃあ、お前らも男装しろよ」
「構いませんよ」
「私もいいですよ」
「くっ!男と違って、女は異性の格好をするのに抵抗がないのか」
まだ人識くんはどうやって説得するか、考えているようだけど、そろそろ諦めてほしいですね。
「そうだ、俺の顔には刺青があるぞ。外部からの客も来るのに、この顔じゃあ人前にでれないだろう」
「それじゃたら、ワシが演劇用のメイク道具で隠せるぞ」
「木下め、余計なことを言いやがって」
そろそろ人識くんも諦めたですかね?
「皆は本当にそれでいいの?」
「私と瑞希さんの男装姿の撮影会をしてもいいですよ」
「「「ウォーー」」」
これで他のクラスメイトも味方ですね。坂本くんも寝ているし、これで決まりですね。
「そうだ、人識くんたちの女装姿を撮影して、客に売るというのもいいですね。そうすれば、売上も上がりますし」
我ながらナイスアイデアですね。後で潤さんと欠陥製品さんにも写真を送りましょうか。
「待て、伊織ちゃん。そこまでする必要はないだろ」
「そうだよ、無桐さん。そんなことをされたら、今後の学園生活に影響するよ」
「大丈夫ですよ。きっと二人とも女装姿が似合いますから。それに私の男装姿の写真も一緒に売っていいですから」
「いやいやいやいやいや、そういう問題じゃないだろ」
「吉井くん、きっと可愛いから大丈夫ですよ」
「最近、姫路さんの言うことが分からない時がある。姫路さんもFクラスに毒されたのか」
「お前ら、出し物は決まったか?」
大将さんが教室に入ってきて聞いた。
「今、女装&男装喫茶店に決まりましたよ」
「は?何だ、その気色わるそうな喫茶店は」
「そうだ、大将。こんな訳の分からない出し物を駄目だよな?」
「そうです、式岸先生。止めてください」
「お前ら、遅れてんだから多少変な出し物でも早く準備を始めろ」
大将さんのこの台詞で二人も諦めたのか静かになった。
この後、男女逆転喫茶という名前になって私の提案に決定した。
人識くんにどんな格好をさせるか、今から楽しみですね。
どうして、こうなった。
最初は、原作通りに中華喫茶のはずだったのに。
書いている途中で女装喫茶を思いついて、それで書きだしたら、どんどん変な方向にいってしまった。
他にもネタを考えているのに。清涼祭はどうなってしまうのだろうか?
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