「えっ!?瑞希さん、転校するんですか?」
放課後、帰ろうとしていたところを美波さんに呼び止められて瑞希さんことで相談を受けていた。
「いや、まだ決まったわけじゃないんだけど。でも、このままだったら転校することになると思うわ」
「どうしてなんですか?」
「瑞希の両親がFクラスの環境にいることを心配しているのよ」
成る程、確かにFクラスの環境は酷いものですからね。
ござにミカン箱という設備に、周囲の人間はバカばかり。まともに勉強のできる環境ではないですからね。普通の両親なら心配して転校させるのも納得ですね。
「というわけで瑞希を転校させないために協力してほしいのよ」
「で、美波。何かアイデアはあるの?」
大好きな姫路さんの為に吉井くんも本気ですね。
「んーと、喫茶店の売上で設備を向上させたりとか」
「成る程。なら、俊希くんにおもいっきり可愛い格好をさせて客を呼ばないといけないですね」
「いや、料理で客を集めろよ」
どんなに美味しい料理よりも人識くんの女装姿の方が価値があるに決まっているじゃないですか。
「そうだ、汀目くんたちって文月学園のスポンサーと知り合いだって、前に言ってたよね。どうにか出来ないかな?」
「それは無理だ。あれはただのはったりだからな」
ああ、前にそんなこともありましたね。Bクラス戦の時でしたね。
そういえば、戦争に負けて、彼女にフラれて、女装させられた上に撮影会をされた憐れな代表がいましたね。フラれた彼女に、未練タラタラで猛アタックしているという噂を前に聞きましたね。
「そうだったの?じゃあ、何で刺青の許可をあの妖怪ババアから貰えたの?」
妖怪ババアって酷いですね。私達が学園長に会ったのは、転校前に挨拶に行った時に一回会っただけですね。確かに醜い容姿ではありますが、妖怪と呼ばれるほどではなかったと思いますけど。
「スポンサーではないけど、学園長が逆らえないほど恐ろしい女が俺らの保護者代わりだからな」
「あの妖怪ババアがまともに相手の言うことを聞くなんて。どんなに恐ろしい人なんだ」
確かに潤さんに逆らえる人なんて、私の知り合いには真心さんぐらいしかいませんね。
「アキ、今はそんなことどうでもいいでしょ。後は試験召喚大会で優勝して、Fクラスにも勉強できる人がいるって証明するとか」
「試験召喚大会って何ですか?」
「簡単に言うと二人一組で参加するトーナメントね。確か優勝商品は白金の腕輪と如月ハイランドのプレオープンプレミアムペアチケット」
「如月ハイランドのプレオープンプレミアムペアチケットですか。俊希くん、優勝して二人で一緒に行きましょう」
「優勝する確率を上げる為にも二人には参加してほしいのよ。伊織の点数と汀目の操作技術なら優勝も十分に狙えるし」
「正直、興味ないんだが。それよりも、坂本にも協力してもらった方がいいんじゃないか」
めんどくさいから話を誤魔化しましたね。でも、私は諦めませんよ。
「正直、厳しいんじゃないかな。雄二は興味のないことには徹底的に無関心だからね」
「でも、坂本くんにも協力してもらった方がいいと思いますけど」
「確かにそうだよね。こうなったら、なんとしても雄二を焚き付けてやるさ。まずは雄二に連絡だね」
そう言うと、吉井くんは携帯を取り出して連絡した。
そういえば、携帯って持ってきてよかったんでしたっけ?私達はOKですけど。
Prrrと、呼び出し音が受話器から響く。
「もしもし」
「あ、雄二。ちょっとが話が」
「明久か。丁度いい。悪いが俺の鞄を後で届けて、げっ!翔子!」
「え?雄二。どうかしたの?」
「ちっ!見つかっちまった!とにかく、鞄を頼んだぞ」
プー、プー、という無機質な音が携帯から返ってきた。
「坂本くんはなんて言ってたんですか?」
「えっと、『見つかっちまった』とか『鞄を頼む』とか言ってた」
「……なにそれ?」
美波さんが役立たずを見るような目で吉井くんを睨んでいる。
「たぶん、翔子さんから逃げているんでしょう。普通、翔子さんほどの美人なら男性は逆に追いかけ回すものだと思いますけど」
「これはチャンスだ」
「え?どういうことですか?」
「雄二を喫茶店に引っ張り出すには丁度いい状況なんだよ。ちょっと皆も協力してくれるかな?」
「それはいいけど。坂本の居場所はわかっているの?」
「大丈夫。相手の考えが読めるのは、なにも雄二だけじゃない」
吉井くんは自信満々にそう言うと、教室をあとにした。
「……そうか。姫路の転校か」
吉井くんは宣言通りに坂本くんを連れてきました。でも、吉井くんが妙にボロボロになっているのが気になります。
「でも、そっちでも色々考えているみたいだし、俺は必要ないんじゃないか?」
「やっぱ、こういう時ってアキよりも坂本の方が役に立つじゃん」
「ふむ。確かに島田の言うとおりだな」
やっぱり吉井くんの評価って、かなり低いんですね、
「こら。雄二も美波もそれじゃあ、僕が雄二よりもバカみたいじゃないか」
「「その通りだろ(でしょ)」」
吉井くんがバカというのは共通認識なんですね。
「くっ!僕が雄二よりも役に立つということを証明してやる」
「だったら、何かアイデアをだしてみろよ」
「……う~ん。そうだ、学園長に直訴するのはどうだろう?」
「ふむ。明久にしてはいいアイデアだな。いくら方針とはいえ、生徒の健康に害を及ぼす状態なら、改善要求は当然の権利だからな」
確かにそうですよね。て言うか、今までにそういった意見とかはでなかったんでしょうか?まぁ、出ていたら、もう少しましな設備になってますよね。
「そうだよね。僕もそう言いたかったんだ」
思いつきで言っただけで、そこまで考えてなかったんてすね。
「じゃあ、早速学園長に会いにいくか。他の皆は学園祭の準備計画でも考えておいてくれ。それと、鉄人と式岸先生を見かけたら俺たちは帰ったと言っておいてくれ」
「分かりました。ついでに翔子さんも見かけたらそう伝えておきます」
翔子さんの名前を出すと、坂本くんは言葉に詰まっていた。
「アキ、しっかりやってきなさいよ」
「オッケー。任せておいてよ」
美波さんの声援を受けると、吉井くんと坂本くんは学園長室を目指して教室を後にした。
「じゃあ、俺は帰るわ」
「帰しませんよ。俊希くんも学園祭の計画を一緒に考えてください」
昨日、女装喫茶にしたら強化合宿の時に明久が脅される理由がなくなることに気づいた。
正直、強化合宿の話は全く思いつかないし、なくてもいいかな。
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