バカと殺人鬼と家族愛   作:二重世界

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第14話 清涼祭、開始

「いやぁ、坂本くんの統率力ってすごいですね」

 

「いつもはただのバカなのにね」

清涼祭初日の朝。私達のいつもの教室が立派な喫茶店に姿を変えていた。

 

「はぁ。何で俺がこんな格好してんだ?」

 

「このスカート短くない?」

 

「いつもは女扱いするのにこんな時だけ男扱いされても嬉しくないのじゃ」

 

「……何で俺まで」

 

女装が終わって、皆が戻ってきました。

人識くんがメイド服、吉井くんがセーラー服、木下くんがナース服、土屋くんがワンピースです。

さすが、木下くん。いい仕事をしますね。全員、良く似合ってます。

木下くんは第三の性別、秀吉だから、どっちにするか揉めましたけど多数決で女性の服に決まりそうました。

 

「さすが、俊希くん。ものすごく可愛いですよ。(カシャカシャ)」

 

「吉井くん。すごく似合ってますよ。(カシャカシャ)」

 

「やっぱりアキちゃんは最高ですね。でも、メイド服の子も捨てがたいですね」

一瞬、教室の外に見たことのない女の子が見えましたけど誰だったんでしょう?

 

「何で写真撮ってんだよ!」

 

「潤さんと欠陥製品さんに写真を撮っておいてくれ、って頼まれましたから」

潤さんに女装のことを言ったら、プロのカメラマンが使うようなカメラを貸してくれたんですよね。撮り方も丁寧に教えてくれました。

 

「姫路さん、写真を撮るのをやめてくれると嬉しいんだけど」

 

「大丈夫ですよ。可愛いですから」

 

「姫路さんが何を言っているか理解できない」

確かに吉井くんも可愛いですね。

それに木下くんと土屋くんも可愛いですね。これなら、写真の売り上げも期待できますね。

 

「うーっす。戻ってきたぞ」

坂本くんが戻ってきましたけど、私も姫路さんも写真を撮るのをやめません。気づいたら土屋くんも一緒に写真を撮っています。

 

「って、ムッツリーニはともかく、何で無桐と姫路も写真を撮っているんだ?」

 

「気にしないでください」

 

「……(カシャカシャ)」

姫路さんは坂本くんの言葉も聞こえないほど集中しているんですね。て言うか、同じことを私が言うのもなんですが、姫路さんってもしかして変態なんでしょうか?

 

「まぁ、いいか。それよりもほとんど準備はできているようだな。後は女子が着替えるだけか」

 

「ああ、須川達の方もできているようじゃ。それより、雄二はどこに行っておったのじゃ?」

須川くんは厨房の方の責任者です。本当は土屋くんも厨房の予定でしたけど、女装が似合いそうという意見がでてホールに決定しました。

 

「ああ、ちょっと話し合いにな」

なんだか歯切れの悪い返事ですね。どこに行っていたんでしょうか?

 

「じゃあ、少しの間、喫茶店は木下とムッツリーニに任せる。俺は明久と召喚大会の一回戦を済ませてくるからな」

私も人識くんと出たかったんですけと、説得できなくて参加できないんですよね。女装姿で目立ちたくないのか言ってましたけど、喫茶店をする以上、どうしても目立つから気にしなくていいのに。

 

「そういや、もしかして僕って、この格好で出るの?」

今頃、気づいたんですか?

 

「当たり前だろ。それとも、お前は試合のたびに着替える気なのか?」

 

「て言うか、アキ達も召喚大会に出るの?」

 

「え?あ、うん。色々あってね」

坂本くんと一緒で何か歯切れが悪いですね。もしかして、何か企んでいるでしょうか?

 

「もしかして、賞品が目的とか?」

 

「う~ん。まぁ、そんなところかな」

 

「誰といくつもりなの?」

 

「吉井くん。私も知りたいです。誰と行こうと思っているんですか?」

姫路さんも、いつの間にか写真を撮るのをやめて吉井くんに詰めよっていた。

 

「明久は俺と行くつもりなんだ」

え?男二人で行くんですか?

 

「坂本とペアチケットで『幸せになりに』に行くの?」

幸せにって、どういう意味でしょうか?後で聞いておきましょう。

 

「俺は何度も断っているんだがな」

つもり吉井くんから誘っているということですか。吉井くんは姫路さんが好きなんだと思っていましたけど違うんでしょうか。それとも、吉井くんはバイで両方いけるということでしょうか。もし、そうだとしたら節操がないですね。

 

「同じ男の子なら坂本くんよりも木下くんの方が可愛くて、いいと思いますよ」

 

「僕も雄二なんかよりも秀吉の方がいいに決まっているじゃないか」

 

「だったら、何で木下くんじゃなくて坂本くんと行くんですか?やっぱり女の子よりも男の子の方がいいんですか?」

 

「ちょっと待つのじゃ、姫路。それでは、ワシが女の子みたいに聞こえるのじゃが」

正直、女の子の格好をしているせいで姉の優子さんと見分けがつきませんね。

 

「っと、そろそろ時間だ。行くぞ、明久」

 

「……っく。と、とにかく、誤解だからね」

まるで小悪党の捨て台詞のような弁明をして、吉井くんと坂本くんは教室を後にした。

 

 

 

現在は清涼祭が開始して、客が段々増えてきているところです。

やっぱり、人識くんの女装は客からも好評のようですね。まだ昼前なのに写真も何枚か売れましたし。

 

「ここが零じゃなくて汀目が通っている教室か。思っていたよりもボロいな」

 

「前の私達の骨董アパートよりはマシですよ、お兄ちゃん」

 

「よぉ、伊織ちゃん。遊びにきたぜ」

 

「ぐっちゃんはどこにいるのかな?」

教室に潤さんと欠陥製品さんと崩子ちゃん、そして見たことのない青い髪をした女の子が入ってきた。潤さんと欠陥製品さんの組み合わせって、なんだかトラブルの気配しかしませんね。

 

「そこの綺麗なお姉さん、清涼祭を案内しましょうか?」

 

「その綺麗な足で僕を踏んでください」

 

「ちょっと、お兄さんと遊びにいかないかい?」

 

「ロリっ娘、ハァハァ」

急にクラスの男子達が潤さんと崩子ちゃんと青い髪の女の子に詰めよりました。て言うか、最後の人、かなり危なくないですか。

 

「はは。何だ、こいつら。おもしれえーな」

 

「何ですか、この人達は」

 

「うにー。いーちゃん、怖いよ」

 

「よしよし。大丈夫、僕がいるからな」

欠陥製品さんが青い髪の女の子を慰めている。

 

「野郎は帰りやがれ」

 

「ハーレムか、この野郎。一人ぐらい俺に渡しやがれ」

 

「リア充は死ね」

うわぁ、相変わらず醜い人達ですね。凄い変わりようです。さすがの潤さんと欠陥製品さんも引いてますね。

 

「てめえら、何してやがる。ちゃんと仕事をしやがれ。ぶっ殺すぞ!」

急に大将さんが表れて、見たこともないような怖い顔で皆を怒鳴っている。

詰めよっていたメンバーはビビって、仕事に戻りました。

にしても、ぶっ殺すって元殺人鬼が言うには物騒ですね。

 

「ひさしぶりだね、ぐっちゃん」

 

「お久しぶりです、暴君」

この人が前に聞いた暴君ですか?予想していたのと違いますね。もっと怖い人を想像していました。

 

「何やってんだ、大将。そんなところにいたら客が入れないだろうが」

大将さんは今、入り口の前で暴君って人の前にかしずいています。周りの視線が痛いです。

 

「先に席に案内してもらえませんか?」

 

「そうですね、崩子ちゃん。席に案内するので付いてきてください」

 

「そういや、伊織ちゃん。汀目くんはどこにいるんだ?」

 

「どこって、さっきから目の前にいるじゃないですか」

もしかして、気付いてなかったんですか?

 

「え?もしかして、この可愛い女の子が汀目くんか?いーたん、気付いていたか?」

 

「全く気付きませんでした。刺青はどうしたの?」

 

「お前らは刺青で俺を判断してんのかよ?後、刺青はメイクで隠したんだよ」

刺青みたいな派手な特徴がなくなったんですか、気付かないのも無理ないですかね。

 

「そうだ、いーちゃんも女装したら。絶対に似合うよ」

 

「おい、友。何で僕まで女装をしなくてはいけないんだ?」

 

「ナイスアイデアだぜ、玖渚ちん。私が持ってきている衣装を貸してやるよ」

 

「何でそんなものを持ってきているんですか?」

 

「伊織ちゃん、いーたんを着替えさせるから更衣室かなんかに案内してくれ」

潤さんは欠陥製品は女装させるのにノリノリですね。あれ、そういえば仕事はどうしたんでしょう?もしかして、またサボっているんでしょうか。

 

「分かりました。その後で撮影会ですね」

 

「伊織ちゃん!?」

 

「諦めろ、欠陥製品。お前も俺と同じ苦しみを味わえ」

欠陥製品さんに味方はいないようですね。

 

「あのそろそろ席に案内してほしいんですけど」

崩子ちゃんが困ったように呟いていた。




次の回で戯言遣いにどんな格好をさせるかで、現在悩んでいます。

最初は崩子ちゃんの変わりにみいこさんを登場させる予定だったけど、突っ込み役が一人ぐらいいるだろう、ということで崩子ちゃんになりました。みいこさんが突っ込む姿は想像できません。

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