「よし。話が終わったところで何組かに別れて学園祭を回ろうじゃないか」
お互いの事情を話終わったところで兄貴が提案した。
「というわけで子荻ちゃん、私と一緒に――」
「私と一緒に回りませんか?」
兄貴が子荻ちゃんを誘おうとしたけど、子荻ちゃんは無視して欠陥製品を誘った。
「師匠、私も一緒に行っていいですか?」
「いいよ。友もそれでいい?」
「僕様ちゃんはこの後は試験召喚システムを見てくる予定だからいいよ」
「ああ、そうだったな。じゃあ、崩子ちゃんも来るよね」
「私は常にお兄ちゃんと一緒にいます」
欠陥製品のヤツって、年下にモテるのか?確か、年上がタイプじゃなかったか。
「じゃあ、伊織ちゃん。私と――」
「曲識さん、私と一緒に行きませんか?一回、話してみたかったんですけど」
さすがの俺も同情するな。まぁ、変態と一緒にいたくないという気持ちも分かるな。俺も兄貴とは行きたくないし。
「ああ、それも悪くない」
「人識くんも一緒に行きますよね?」
「……ああ、いいぜ。玉藻はどうするんだ?」
まだ俺の背中に乗っている玉藻に聞く。いい加減降りてほしいな。玉藻が背中に乗っているせいで、俺だけ椅子に座れてないからな。
「私はひしときくんの背中に乗れればいいよ」
どんだけ俺の背中が気にいってんだよ!めんどくさいな。
「じゃあ、メンバー分けも終わったところで行こうか」
「そうですね。今日しかないんだし、早く行きましょう」
欠陥製品と子荻ちゃんと一姫と崩子ちゃんで一組。そして、俺と伊織ちゃんと曲識の兄ちゃんと玉藻の一組で学園祭を回ることに決定した。
後、大将と青色は試験召喚システムを見に行くになった。
「……あれ。私は?」
一人取り残された兄貴には哀愁が漂っていた。
「で、何処行くんだ?」
「僕は音楽系の部活を――」
「翔子さんのいるAクラスに行きましょう。お腹も減りましたし」
自分から話したいとか言いながら曲識の兄ちゃんの意見を無視するとは。相変わらず自由だな。
「お帰りなさいませ、ご主人様にお嬢様」
Aクラスに着くと代表である霧島がメイド服で出迎えた。
「人識、メイド喫茶とは何だ?」
曲識の兄ちゃんはメイド喫茶を知らないのか。まぁ、曲識の兄ちゃんにメイド喫茶は似合わないよな。
とりあえず、俺も詳しい訳じゃないけど、知っている範囲で説明した。
「なるほど。メイド喫茶とはそういう場所か。レンが喜びそうだな」
「まぁ、そうだな。兄貴なら、こういうのにも詳しいだろうな。後、玉藻。そろそろ降りろ。俺が座れないんだが」
「いや」
「いや、じゃねーよ。後でまたおぶってやるから今は降りろ」
俺がそう言うと、玉藻は渋々降りた。
「……伊織、あの二人は知り合いなの?」
「はい。私のお兄ちゃんと俊希くんの恋人です」
「だから違うって言ってるだろ!」
曲識の兄ちゃんの言葉を信じてのんかよ!
「私はひしときくん、好き、だよ」
「お前は黙ってろ!」
「……伊織のお兄さんって、ロリコン?」
何で俺にロリコン疑惑が掛かっているんだよ!俺は背の高いお姉さんがタイプなのに!
「それよりもそろそろ注文したいだがいいか?」
相変わらず、曲識の兄ちゃんはマイペースだな。何で零崎一賊にはまともなヤツがいないんだ。
「そうですね。もうお昼過ぎですし、早く食べましょう」
とりあえず、俺は特大のパフェを頼み、玉藻は俺と同じヤツを頼んだ。
伊織ちゃんはオムライスにケッチャプで文字で『俊希くんlove』と書いてもらっている。正直、かなり恥ずかしい。
そして、曲識の兄ちゃんも伊織ちゃんに勧められて同じヤツを頼んだ。書いてもらって文字は『そろそろ楽器を弾きたい』。もうヤバいかもしれない。
「さて、次はどこに行きましょうか?」
食べ終わると伊織ちゃんが言った。
「伊織ちゃん。次は吹奏楽部に行こう。そろそろ曲識の兄ちゃんがヤバい」
「よっこいしょ」
いきなり、玉藻が背中に乗ってきた。戦闘時以外はのんびりしてると思っていたのに。せめて、会話が終わってからにしてくれよ。
「そうですね。じゃあ、行きましょうか」
吹奏楽部に着くと体験演奏というものをやっていた。
「よかったな、曲識の兄ちゃん。やっと弾けるな」
「ああ、久し振りだ。いい」
まさか、口癖の『悪くない』じゃなくて『いい』と言うなんて。もしかして、兄貴に誘われたからじゃなくて楽器を演奏するために地獄から出てきたのだろうか?
「曲識の兄ちゃん。殺さないように気をつけてやれよ」
「ああ、分かっている」
そう言うと、サックスをとって準備をしていた。吹奏楽部の連中が他の人にコツを教えたりしていたが、燕尾服を着ている兄ちゃんに近付こうとしている人はいなかった。さらに周りを気にせずに黙々と準備をしているから余計に近付きづらいのだろう。
「何で楽器を演奏するだけで殺さないように気をつけなければいけないんですか?」
「ああ、曲識の兄ちゃんは音使いだからな。衝撃波を出したり、音で相手を支配したり出来るんだ」
「それは凄いですね。でも、衝撃波はともかく、音で支配ってむしろ『呪い名』みたいですね」
話していると、曲識の兄ちゃんが準備を終えたようで演奏を開始した。
後、今気付いたが玉藻がまた寝ていた。腹がいっぱいになったら寝るとか、どんだけ自由なんだよ。
曲識の兄ちゃんが演奏を開始すると、周りの連中も静かになって演奏に集中した。
俺に音楽は良く分からないけど、やっぱり曲識の兄ちゃんの演奏は凄いんだな。
一時間後、曲識の兄ちゃんはまだ演奏していた。
「そろそろ、他の人に迷惑だから止めないか」
「それは無理だ。地獄に戻ると演奏出来なくなるから、今日、出来るだけやっておきたい。それに音楽家は演奏時間が終わるまで演奏を止めることはない」
今、喋るために演奏を止めたがな。
だが、喋り終わるとすぐに演奏を再開した。
伊織ちゃんは途中で飽きて何処かに行っちまったし、他の連中の視線が痛いな。
そして、清涼祭の一日目の午後は曲識の兄ちゃんの演奏会と玉藻を背負っているだけで終わってしまった。
玉藻のせいで座れないし、かなりキツイ。下手したら、人類最強の依頼並みにしんどい一日になったな。
次の番外編は戯言遣いの方の話を考えているけど、内容が思い付かない。それに戯言遣いのキャラは難しいので、考えがまとまると同時に書き始めようと思っているけど遅くなるかもしれません。
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