バカと殺人鬼と家族愛   作:二重世界

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第22話 変態

「……零崎?全滅したという話だったが、生き残りがいたのか」

 

「この殺気。恐らくハッタリではないと思います、お兄様」

 

私の口上を聞いて蜻蛉兄妹が驚いています。

この隙に二人を瞬殺しましょう。

私と人識くんが同時に二人に向かって勢いよく駆け出します。

 

「まぁ、ちょっと待て」

 

ズドーン

 

朝陽さんに手で制止されて私と人識くんはまた同時に勢いよく倒れ込みました。

 

「さすが私と張り合うだけあって兄とのコンビネーションは良いみたいね」

 

「いやいや夜月さん!今、シリアスモードに入ろうとしていましたよね!?何で止めたんですか!?」

 

何か文月学園に入ってからシリアス展開というものを経験したことがないような気がします。何ででしょうか?

 

「こんなところで戦ったら、この二人にも被害が出るが良いのか?」

 

「……そう言えばそうでしたね」

 

確かに下手したら吉井くんと坂本くんが死んでしまうかもしれません。それは蜻蛉兄妹からしても困るんでしょう。

それに死ななくても私達の正体がバレる可能性があります。

 

「何てな」

 

朝陽さんが嫌らしい笑顔を浮かべながら右足を振り上げて吉井くんを踏もうとしています。

さっきのは嘘だったんですか。良い人だと思っていたのに性格が悪い人だったんですね。残念です。

 

「あめぇよ」

 

人識くんが朝陽さんの右足目掛けてナイフを投げました。

 

「ちっ!」

 

朝陽さんはそれをギリギリのところで避けることに成功しました。

 

「うぅ……」

 

ナイフが吉井くんの顔の真横に突き刺さります。今、少し起きそうでしたが。て言うか、数ミリずれただけで吉井くんが大怪我だったんですが。

私は無言で人識くんの方を見ます。

 

「……そんな目で見るなよ、伊織ちゃん。大丈夫だったんだから良いじゃねぇか」

 

「まぁ、そうですけどね」

 

それに放置していたら吉井くんは怪我をして試験召喚大会に出れませんでしたし。

 

「じゃあ、蜻蛉兄妹。ちょっと移動しようか。このまま戦うのは貴様らも困るだろ?」

 

「移動するのは良いが、どこに行くつもりなんだ?今は祭りの最中でどこも賑わっているぞ」

 

「それなら校舎裏に人気のないところがある。そこで良いか?」

 

ああ、あそこですか。確かにあそこなら人が来る心配はないですね。

……ん?人気のない場所?

 

「もしかして人識くん、人気のない場所に連れ込んで私に人には言えないような十八禁的なことをするつもりなんですか?」

 

「するわけないだろ!何でそんな発想になるんだよ!?」

 

何だ、違うんですか。残念です。

 

「も、もしかしてお兄様も……。いやぁ、さすがに困ります。まだ覚悟が出来ていませんから」

 

夜月さんがお兄さんとの行為を想像しているのか涎を垂らしながらクネクネしています。

その気持ちは私にもよく分かります。

 

「違うに決まってるだろ!殺し名の妹には変態しかいないのか!?早蕨のところの弓矢もそうだったし!」

 

早蕨って確か零崎になる前の私の家族を殺して、私がこっちの世界に入る切っ掛けになった人達ですね。

あそこの妹も私達と同じだったんですか。

 

「まぁ、いいです。子作りはまた次の機会にするとして早く移動しましょう」

 

「次の機会なんてないぞ、伊織ちゃん。まぁ、移動するのには賛成だが」

 

いえいえ、私は決して諦めたりしませんよ。

人識くんが私が家で見せる無防備なエロや裸にムラムラしているのは知っています。

私は人識くんの理性が崩壊して私を欲望のままに無茶苦茶にするまで頑張ります。

 

「……おい、伊織ちゃん。何か邪悪な気配を感じるんだが」

 

「いえいえ、私は何も変なことは考えていませんよ。そんなことだから人識くんの身長は伸びないんです」

 

「身長のことは関係ないだろうが!」

 

おっと、人識くんが本気でキレそうです。

身長とファッションのことはタブーでしたね。ちゃんと気を付けないと。

 

「おい、零崎兄妹。いつまでも夫婦漫才してないで行くぞ」

 

朝陽さんに呼ばれて私達も移動を開始します。

 

「ん?何か騒がしいですね」

 

移動中にFクラスの近くを通ると物凄い人だかりが出来ています。と言うよりFクラスの男子達が何かに群がっている感じですね。私達が教室を出てから、そんなに経ってないのに何かあったのでしょうか?

近くにいた美波さんに事情を聞きます。

 

「何かあったんですか?」

 

「白衣姿のエロいお姉さんが来てね。それで、あの有り様よ」

 

白衣姿のエロいお姉さんですか?何か妙列に覚えがあるのですが。

 

「あ!可愛い男の子発見!ねぇ、お姉さんとえっちぃことしない?」

 

人だかりの中から白衣姿の女性が出てくると、人識くんに詰め寄って誘惑を始めました。

いきなり何を言ってるんですか、この人は!?

私はすぐさま人識くんと白衣の女性の間に割り込みます。

 

「ちょ、いきなり何をしているんですか!?俊希くんは私のものですよ!」

 

「ん?君は確か伊織ちゃんだっけ?何だ、もう君のものだったのか。残念」

 

何となく予想していましたが、やっぱり貴女でしたか。人識くんは歳上のキレイ系の女性が好みだから気を付けないと。

 

「この変態と知り合いなのか、伊織ちゃん」

 

「ええ、この変態は春日井春日さん。前に潤さんの依頼に付き合った時に会ったんです」

 

あの時は本当に大変でした。変態……いえ、春日さんは何がしたいのかも何を考えているのかも分からない人ですからね。

 

「こら、汀目!お姉さんとエロいことをするのは俺だ!」

 

「何を言っている!俺に決まっているだろが!」

 

またもやクラスメイト達が醜い争いを開始しました。

とりあえず無視でいいでしょう。

 

「この状況は何なんですか?」

 

「いっきーが高校の学園祭に行くって言うから暇潰しについてきたの。そしたら食べ頃の男の子達がいたらから食べようと思ったら、こんなことになっちゃて。テヘッ」

 

テヘッ、じゃないですよ!?可愛らしい口調で何て恐ろしいことを言ってるんですか、この人は!

 

「よく見たら、こっちの男の子も可愛いね。君はどう?このままお姉さんと保健室に行く気ない?」

 

春日さんが今度は朝陽さんを誘惑しています。

 

「お兄様に手を出したら殺すぞ、ババァ」

 

夜月さんがさっきまでとは別人みたいになって低い声で物騒なことを言っています。

 

「え~、良いじゃない?見た感じ君って童貞でしょ?お姉さんが筆下ろししてあげるわよ」

 

「いや、え~と……」

 

春日さんの色っぽい仕草に朝陽さんがどうしようか迷ってます!もしかして朝陽さんも歳上の女性が好きなんでしょうか?

 

「お兄様、こんなババァに惑わされないでください!お兄様には私がいますから!」

 

もう何か戦闘って空気じゃないですね。まぁ、このまま平和に終わるならそれが一番ですね。




まさかの春日井春日の登場です。番外編の方でどうにかして出そうと考えていたのに本編に出るとは。まさに予想外の女です。

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