伊織side
私たちが文月学園の校門前に着くと、筋肉ムキムキの先生が立っていた。
「ん、お前たちは誰だ。見ない顔だな」
「私たちは転校してきた無桐伊織と汀目俊希です」
「あぁ、お前たちがそうか。私の名前は西村宗一だ。学園長から話は聞いているがその格好はなんだ。特に顔に刺青というのはどうなんだ」
「問題ないですよ。私たちの格好については学園長からはちゃんと許可もとってあるみたいですから」
「そうなんだよな。何で学園長も許可したんだろうか」
西村先生が不思議そうにしている。多分、潤さんが無理やり話を通したんだろうな。
「まぁいい。お前たちは振り分け試験を受けていなかったな。クラスは最低レベルのFクラスだ。場所は旧校舎だ」
振り分け試験の日に潤さんからの仕事がはいったせいでテストを受けられなかったんですよね。
その後西村先生に旧校舎の場所を聞いて移動した。
「なぁ、伊織ちゃん。ここに来るまでに見たAクラスとか凄かったよな」
「そうですね。高級ホテルみたいな教室でしたね」
「だったら何で旧校舎はこんなにボロいんだよ」
人識くんが叫ぶように言った。
「たしかに文月学園は学力によって設備が違うとは聞いていましたけど、ここまで違うとは思いませんでした」
途中で道に迷ったから少し遅れましたけど、なんとかFクラスの場所に着きました。
教室の前にピンク色の髪をした女の子が立っている。
「あなたもFクラスの人間ですか。私たち転校生なんですけど、場所はここであってますか」
「はい、あってますよ。私は姫路瑞希と言います」
「私は無桐伊織で、こっちは汀目俊希です」
「よろしくお願いします」
「挨拶はそのへんにして、早く教室に入らねーか」
「はい、そうですね。入りましょう」
「「「ダアァーーリィーーン!!」」」
「おい、何だ今の気持ち悪い叫びは。ここは今みたいのが普通にあるのか」
確かに今のはものすごく気持ち悪かったですね。何だったんでしょうか。
「いえ、私に聞かれても困ります」
私たちの学園生活は不安全開で始まった。
明久side
ガラリ、教室のドアがあいた。女子2人と男子1人が入ってきた。
1人は姫路さんだけど残りの2人は誰だろう?見たことがないけど凄い格好しているなぁ。
女子のほうは学校なのに何故かニット帽をかぶっているし、男子のほうにいったっては顔に刺青、耳にはピアスを付けている。不良なのかな、あの人。
「遅れてすみません」
姫路さんが教室に入ってきて、そう言った。っていうか、どうして姫路さんがFクラスの教室にいるんだろう。
「えーと、姫路さんと転校生の2人ですよね。今、自己紹介しているところなのでお願いします」
教室中が驚いている中、担任の福原先生がそう言った。
なるほど、あの2人は転校生なのか。どうりで見たことがないわけだ。
「は、はい。姫路瑞希です。よろしくお願いします」
「家庭の事情の引っ越してきました、無桐伊織です。よろしくお願いします」
「汀目俊希だ。別によろしくしなくていい」
無桐さんは優しそうだけど、汀目くんはなんか感じが悪いなぁ。
「はい、姫路さんに質問です。何でここにいるんですか?」
男子生徒の1人が質問した。
聞きようによっては失礼だけど僕も気になる。
姫路さんは学年でもトップクラスの成績を誇っている。そんな彼女がこんな最低のFクラスに何故いるのか。
「振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして」
あぁ、そういうことか。
試験途中での退席は0点扱いとなる。だからFクラスになってしまったのか。
「そう言えば、俺も熱が出たせいでFクラスに」
「ああ。化学だろ?あれは難しかったな」
「俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出しきれなくて」
「ああ。わかります。弟は可愛いですもんね」
「前の晩、彼女が寝かせてくれなくて」
「今年一番の大嘘をありがとう」
急にクラス中に言い訳の声が上がる。っていうか、今無桐さんも混じってなかった。
「馬鹿ばっかだな、このクラス」
汀目くんがそう言った。僕もそう思う。
「じゃあ、次の質問。無桐さんと汀目くんはどういう関係ですか」
別の男子生徒が転校生に質問をした。
確かにそれも気になる。もし、恋人とかだったらFFF団の全力で彼を闇に葬らなければならない。
「私と俊希くんは兄妹ですよ」
「えっ、名字が違うのに兄妹なの?」
今度は僕が質問をした。どういうことだろう?
「はい、複雑な家庭環境というやつです。つまり義理の兄妹だと考えてくれればいいです」
つまり血は繋がってないということか。義理の兄妹か。なんか羨ましいな。
それはクラスの連中も同じか。殺気を纏って、上靴を構えながら汀目くんを睨んでいる。
「おい、俺に殺気を向けるということは殺されてもいいってことか」
汀目くんが凄い殺気を放ちながら僕らを睨んでいる。
凄く怖い。島田さんや鉄人よりも迫力がある。
「駄目ですよ、人識くん。これからクラスメイトになるんだから仲良くしないと」
無桐さんが汀目くんをなだめている。こういうことに慣れているのかな。というか、怖くないのだろうか。
「先に殺気を向けたとのはあっちだろうが。まぁいい。だが次に殺気に向けたらどうなるかわかっているだろううな」
汀目くんがそう言いながら殺気をしずめた。彼には逆らわないようにした方がいいな。
「えーと、じゃあ、3人とも空いている席に座ってください」
福原先生が空気を変えるためにそう言った。助かった。
姫路さんが僕の隣に汀目くんは僕の前、無桐さんはその隣に座った。
何で汀目くんが僕の前に。まぁ、他に席が空いてなかったから仕方ないけど。
「あ、吉井くん。これからよろしくお願いしますね」
「姫路さん、こっちこそよろしく」
「姫路さんの友達ですか。無桐伊織です。よろしくお願いします」
僕と姫路さんが話ていると転校生の無桐さんが話かけてきた。
「よろしく。姫路さんと知り合いなのかな」
「いえ、さっき教室の前で少し話しただけです」
「そうなんだ、僕は吉井明久です」
「そこ、静かにしてください」
僕たちが話ていると先生に注意された。
「坂本くん、キミが自己紹介最後の一人ですよ」
「了解」
先生に呼ばれて雄二が席を立つ。
そして、雄二は教壇に上がり、僕らの方を向いて言った。
「Fクラス代表の坂本だ。俺のことは代表でも坂本でも、好きに呼んでくれ。さて、みんなに聞きたい」
ゆっくりとみんなの目を見るようにして言った。
「Aクラスと比べてFクラスの設備はひどいものだ。みんな、………不満はないか?」
「「「大ありじゃぁっ!!」」」
2年Fクラス生徒の魂の叫び。
「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている」
「そうだそうだ!」
「いくら学費が安いからと言って、この設備は酷すぎる。改善を要求する!」
「そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる!」
クラス中から不満の声が上がる。
「みんなの意見はもっとだ。そこで」
自信に溢れた顔に不適な笑みを浮かべて、
「俺はFクラスの代表としてAクラスに試験召喚戦争を仕掛けようと思う」
Fクラス代表、坂本雄二は戦争の引き金を引いた。
「かはは、多少は面白くなってきたじゃねーか」
雄二の言葉を聞いて、汀目くんは楽しそうに笑っていた。