バカと殺人鬼と家族愛   作:二重世界

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第3話 勝利への証明

「俺たちには試験召喚戦争で勝つことのできる要素がある」

周りの生徒たちが「勝てるわけがない」と言っている中、代表の坂本くんは自信ありそうに宣言した。

 

「根拠はあるのか」

1人の男子生徒がそう聞いた。

 

「根拠ならある、それを今から説明してやる。まず、ムッツリーニ。姫路のスカートを覗いてないで前に来い」

 

「………!!(ブンブン)」

凄いですね。明らかな覗き行為をしながら、それを否定するなんて。ちなみに私のスカートの中も覗こうしていたけど、中がスパッツだからなのか残念そうな顔をしていた。

 

「土屋康太。こいつがあの有名な寡黙なる性識者だ」

 

「………!!(ブンブン)」

ムッツリーニという名前を聞いて他の男子生徒たちが驚いている。というかムッツリーニってムッツリスケベのことじゃないですよね。

 

「姫路さん、あの人って有名なんですか」

 

「いえ、私は知りませんけど」

姫路さんに聞いてみたけど知らないみたいです。

 

「姫路については説明しなくても、みんな知っているだろう。ウチの主戦力だ」

 

「姫路さんって頭がいいんですね」

 

「そ、そんなことはありませんよ」

姫路さんが照れて顔を赤くしている。可愛いですね。妹にしたいです。

 

「木下秀吉だっている」

 

「あの人、女の子ですよね。何で男子の制服を着ているんですか」

 

「あいつが男だからだろう。顔は女ぽっいが体つきが明らかに男だ」

姫路さんに聞いたのに人識くんが返事をした。

っていうか、あの顔で男の子なんですか。どう見ても女子よりも可愛いですよ。

 

「うれしいのじゃ!」

木下くんが急に笑顔で人識くんに抱きついている。

 

「ワシを一目で男と見抜いたのはお主が初めてじゃ」

 

「待て、暑苦しいから離れろ」

クラス中が羨ましそうに人識くんを見ているけど、さすがにさっきみたいに殺気を出している人はいない。

 

「それにさっきの汀目を見ただろう。あの殺気はただ者じゃない」

 

「確かにさっきの殺気は凄かったな」

「あぁ、俺少しチビったからな」

「待て、気持ち悪いから近づくな」

 

おお、さすが人識くん、いきなりクラスの有名人ですか。

にしても、さっきのでチビった人がいるんですか。近づかないようにしないと。

 

「当然俺も全力を尽くす」

 

「確かになんだかやってくれそうな奴だ」

「坂本って小学生の頃は神童とか呼ばれてなかったか」

「それじゃあ、振り分け試験の時は姫路さんと同じく体調不良だったのか」

「実力はAクラスレベルが二人もいるってことだよな」

 

おお、クラス中の士気が上がっています。なんか、いけそうな気がしてきました。

 

「それに、吉井明久だっている」

 

 

………シンー

 

えっ、いきなり士気が下がりましたよ。どういうことでしょう。

 

「ちょっと雄二。何で僕の名前を呼んだのさ」

吉井くんが坂本くんに抗議をしている。

他のクラスメイトも吉井くんのことを知らないみたいだ。

 

「そうか、お前たちは知らないのか。こいつは《観察処分者》だ」

 

そう言えば、潤さんにもらった資料の中にバカの代名詞とかいう説明があったような。本当にいたんですね。

 

「あの、それはどういうものなんですか?」

 

「簡単に言うと、教師の雑用係だな。力仕事とかいった類の雑用を、特例として物に触れるようになった召喚獣でこなすといった具合だ」

何だか面倒くさそうですね。

 

「何かメリットはあるんですか?」

吉井くんに聞いてみた。

 

「まぁ、一応あるよ。雑用で召喚獣が使えるから他の人よりも扱いに慣れているんだ」

 

「へぇ、そうなんですか」

 

「とにかくだ。俺たちの証明として、まずはDクラスを征服してみようと思う」

坂本くんがそう宣言した。

 

「ということで、まずは明久にDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう」

 

「……下位戦力の宣戦布告の使者ってたいてい酷い目に遭うよね?」

 

「大丈夫だ。奴らがお前に危害を加えることはない。騙されたと思って行ってみろ」

 

「いや、今回は騙されないぞ。1年の頃に何回お前に騙されたことか」

 

「ちっ、騙されなかったか」

本当に騙していたんですか。酷い人ですね。

 

「じゃ、誰が行くんだ。お前が行かないと他の奴が酷い目に遭うぞ」

 

「僕は酷い目に遭ってもいいのかよ。お前がいけよ」

 

「断る」

 

「なんて奴だ。そうだ、汀目くんが行けばいいんじゃないかな。彼なら返り討ちにできるよ」

 

「いきなり転校生にそんなことをさせるのはな。まぁいい。汀目、行ってくれるか?」

 

「面倒くさい」

 

「いいじゃないですか。クラスと馴染むチャンスですよ」

 

「じゃあ、伊織ちゃんが行けよ」

 

「いえいえ、こういうのは兄がやるものです。お兄ちゃんなら喜んで行きますよ」

 

「はぁ、仕方ない。坂本、Dクラスの場所は何処だ。行ってきてやる」

 

「本当。助かるよ、汀目くん。でも気をつけてね」

 

人識くんはDクラスの場所を確認してから、クラスメイトの歓声と拍手に送りだされた。

 

 

 

「よぉ、大丈夫だったか、汀目」

帰ってきた人識くんを代表の坂本くんが出迎えた。

 

「ああ、襲ってきた奴らは怪我しない程度に撃退した」

 

「そ、そうか。助かった。ありがとう」

坂本くんの顔が少し歪んでいる。

 

「じゃあ、後で一緒に昼飯食べないか。お前らの点数も確認したいし」

 

「ああ、別にいいぜ。伊織ちゃんもいいだろう」

 

「はい、別にいいですよ」

 

「じゃあ、また後でな」

 

 

昼休み、坂本くんや姫路さんら数人と昼飯を食べていた。

 

「凄い量ですね、汀目くん」

 

「そうか、普通だろう」

姫路さんの言うとおり、人識くんの弁当は凄い量だ。どう見ても3人分はある。

 

「それよりもそいつの昼飯は何だ。水と塩しかないじゃないか」

 

「仕方ないんだ。仕送りが少ないから」

 

「明久は食費も遊び代に使うからな」

凄いですね。水と塩だけで生活なんてプロのプレイヤーでも厳しいですよ。

 

「そんなことはどうでもいい。転校生の点数を教えてくれ」

 

「実は振り分け試験の日は用事があって受けていないんです」

 

「そうなのか。じゃあ、戦争が始まったら姫路と一緒に回復試験を受けてくれ。その後は試験召喚戦争は初めてだろうから参加はしなくていい。どんなものか見ておいてくれ。まぁ、危なくなったら参加してもらうが」

 

「分かりました」

 

「じゃあ、自己紹介でもしない。無桐さんたちは遅れて来たから全員は知らないんじゃない」

吉井くんがそう提案した。

人識くんの方を見ると弁当に集中して話をまともに聞いていなかった。

 

「そうだな。知っていると思うが代表の坂本だ。よろしく」

「………土屋康太。よろしく」

「ワシは木下秀吉じゃ。どうもよろしくじゃ」

「僕は1回したけど、僕は吉井明久。よろしくね」

男性陣が自己紹介を終えると次は女性陣がはじめた。

 

「じゃあ、私も。姫路瑞希です。よろしくお願いします」

「ウチは島田美波よ。ちなみに趣味は吉井明久を殴ることです☆」

最後の人、凄くいい笑顔で怖いこと言ってますね。危険な人なんでしょうか。

 

「私は無桐伊織です。一番大事な人は俊希くんです」

 

「おい、それって近親相姦じゃないよな」

 

「駄目よ。義理でもそういう関係は」

 

「………禁断の愛(ボタボタボタ)」

 

「いきなり土屋くんが鼻血出してますけど大丈夫ですか!?」

 

「気にするな。こいつは想像力がゆたかなだけだ」

姫路さん以外は特に気にしていないし、いつものことなのかな。

 

「別に近親相姦とかじゃないですよ。家族を愛するのは普通のことじゃないですか」

何故か、その言葉を聞いて吉井くんと坂本くんが難しそうな顔をしていた。

 

「俊希くん、弁当ばっかり食べてないで一応自己紹介してください」

 

「はぁ、しかたねーな。汀目俊希だ。好きなものは甘いものだ」

 

「えっ、好きなのは私じゃないんですか!?」

 

「んな訳ないだろう、バカか」

こうして文月学園での初めての昼休みは終わっていった。

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