いざ、ナスカへ
ジェイドの正体について明確な名前が与えられたことにより調べるのは簡単だった。その過去の重さとこれまでの変な言動の答え合わせ……そして、ジャックに向けて言いかけた名前が誰のことなのかもチーム5D'sは理解した。
エルナン・コルテス。金髪の白人、というケッツァーコアトルが人として姿を見せる時の特徴と同じだった男。彼の到来によりアステカは滅びの道を歩むことになった。
……混濁する記憶の中、属性だけを見て男を別人に見間違えてしまった。あれほど取り乱したのも当然だ。
後悔ばかりの記憶が蘇ったジェイドだが、これからどうするかの目標を定めたことで表面上はいつも通りにしていた。しかし、ふとした時に見せる影の混ざった表情はどうしても隠しきれずにいた。
そんな彼を見かねてか、精霊自身の経験談を交え、最も信頼する人を決して間違えてはならない過去と重ねてしまったのは無理もない……との慰めの言葉を龍可経由で《レグルス》から頂いた。
ジェイドの中にあると明言された冥府の力。言い方を変えるとそれはマイナスのエネルギー。それがいかに恐ろしいことを招いたかはダークシグナーとの戦いの中で龍可が精霊界で見てきている。
草木が枯れていく荒れ果てた大地、反転する五感、無意識な言葉の変換、肉体の退行。
カースド・ニードルを取り付けられた《レグルス》には龍可が人間ではなく喋る屍に見え、《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》を救いに行こう、が一緒に殺そう、と極端な反対の言葉に聞こえていた。
《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》の封印にも使われたマイナスエネルギーは取扱注意の危険物だ。それを持った生命の創造など、よほどの理由がない限り許していいはずがない。
その結果エンシェント・フェアリー様は過剰に反応したのでしょう……と臣下のような言動で擁護する獅子の精霊の言葉を《冥骸合竜-メメントラル・テクトリカ》はちゃんと聞いていたが、残念ながら仲直りまではできなかった。
ジェイドの体調が良くなってからの海外旅行となるため、各々が準備する時間は十分にあった。その間にカーリーは編集長とかけ合って今回のナスカ旅行にて必要になる金銭を一部経費で落とせるようにしていた。
小さなコラムになるからほんのちょびっと足しになるだけしかくれないんだけど、と恥ずかしげな彼女が書くことになった記事――それは、あの人は今なにをしているのか、そんな内容。
取材対象はフォーチュンカップに出場し不動遊星と激闘を繰り広げた、ナスカに住むとある決闘者。だからなのだろうか、それは彼らの元へ届いた。
「……ボマーからメールだと?」
「遊星の知り合い?」
「ああ、フォーチュンカップで戦った相手だ」
アルターエゴの修復作業中の受信通知。普段なら気にすることはないのだが、差出人がまさかな人物だったため遊星は手を止める。その様子が気になってブルーノは問いかけた。
滅びた故郷の仇を赤き竜とレクス・ゴドウィンだと誤認し、その復讐心を利用されダークシグナーとして蘇り――そして、地縛神を召喚した際に真実を知ることになった、運命に翻弄された一人。
「んぉ? ボマーがどうかしたのか?」
かの戦いにて共通点の多かったクロウとしてはボマーのことが気になるのかなんだなんだと覗きこみ、メール内のとある単語でぎょっとする。
「ジャックが死ぬだぁ!? そんなわけねえだろ!」
「なんだと! そんな戯言をこんな時に寄越すなどどういった了見だ!」
己を馬鹿にしたような内容に黙ってはいられないジャックが立ち上がり、問題のメールを見せろとメカニック二人を押しのけ画面に食らいつくように眺める。
ジャック・アトラスが己の力である《レッド・デーモンズ・ドラゴン》により焼き尽くされる……という不吉な夢。
「たかが悪夢ではないか。馬鹿馬鹿しい」
「ただの夢ならいいんだけど……悪夢を見たからってわざわざメール送る? 紅蓮の悪魔がいるなら、ナスカにいるボマーさんを使ってジャックを挑発しているかもしれない」
一笑に伏そうとしたジャックだったが、ジェイドからの言葉を聞き考えを改める。
イリアステル曰く、これからの未来をわかっているジェイドがそう言うのならば……これはきっとそういうことだ。
「……向こうの狙いはオレ、ということか」
「…………あ、可能性の話ね! 可能性!」
「うんうんそうだね、可能性だね」
ジェイドのとってつけたような言い訳にはブルーノのみがとりあえず同意し、これからについてを話し合う。
「もし来るならば泊まっても構わないとある。ここは好意に甘えてもいいんじゃないか?」
「確かに、あちらに着いたとて紅蓮の悪魔がすぐ現れるとは限らん。探すのに手間取るかもしれんしな」
彼らは観光に行くわけではない。古の邪神討伐に向かうのだ。そんな旅路に設備の整ったホテルは期待するだけ無駄だろう。ならばある程度知った現地の友を頼るのが一番だ。
「ホテル代とメシ代が浮くにこしたことないだろ。俺は賛成だな」
「私も問題はないけど、カーリーさんはどうだろ。ボマーさんの家に泊まらせてもらうかの確認しておくけど……元ダークシグナーってことも一緒に教えておいたほうがいいよね?」
「ああ」
ジェイドの問いかけにジャックは頷く。それを見て電話をかけたジェイドは数分ほど話し、カーリーも問題ないと許可を得た。
遊星が人数と到着予定日時、そしてナスカに向かう理由についてを書き添えたメールを送ればすぐに返信が来た。
――そちらの事情は了解した。かのジャック・アトラスを会えるのを私のきょうだいも待ち望んでいる。
短い文章と、それで終わらせてはあまりにもそっけないから最後に付け加えられただろうボマー側の様子。多くは語らないが、だからこそ想像で補完された微笑ましい光景が各々の脳裏に思い浮かぶ。
「それじゃあ急がないとね!」
ほのぼのとした空間になるが、それにずっと浸ってはいられない。ぱん、と緩んだ空気を引き締めるようにブルーノが手を叩く。乾いた音を合図にしてそれぞれがするべき仕事へと戻っていった。
飛行機に乗るまでにそこまで目立ったことはなかった。かつて改札を通れなかった男がチケットを手にゲートを通過する姿にカーリーが感動していたぐらい。
飛行機に乗って20時間という空の長旅。カーリーはすぐにスヤスヤしていたが、兄弟は眠れないでいた。
「不安なのか?」
デッキのカードを入れ替えるでもなく、ただ心を落ち着かせたいために広げて閉じてを繰り返す。カードは変わらずにあり続けるが、決闘者の心は揺らいでいる。
「……本当にこれでうまくいくのかな、とか。やっぱり考えちゃってね」
ジェイドは視線を手元のカードに向けて俯いたまま弱気な返事をする。
うまくいったとしても、奥底に眠っていた彼の記憶と混ざってしまって……最終的に知らない自分になってしまうのではないか。皆をこれ以上困らせたくないからナスカへ向かうのに、自覚のないまま別人になってしまっては意味がない。そんなもしかしたら、を考えてしまって眠れずにいた。
そんなジェイドを鼓舞するようにジャックは真っ直ぐ言い放つ。
「ジェイドはジェイドだ。誰がなんと言おうと、オレはそう信じている。もし違う存在になったとしても力尽くで連れ戻してやるわ」
飛行機の中のため声を張り上げることはないが、隅々まで自信に満ちたとてもジャックらしい言葉。
「……ありがと」
変わらずにいてくれる彼へにこりと笑う。ジェイドは気持ちが少し楽になったのか、デッキをしまって姿勢を変えて……そのまま静かに目を閉じる。兄が寝付くのを見届けた後、ジャックも腕組みをしたまま眠りについた。
「着いたぁー! うう、ずっと座ってて体が……」
機内アナウンスに起こされ、三人は特にトラブルもなくペルーの地を踏んだ。カーリーは同じ姿勢だったので固まった体をほぐそうとぐるぐる肩を回している。
「待たせたな」
「それじゃあ行こうか」
破損や盗難なく無事に空を渡りきった白と黒のDホイール二台を貨物カウンターにて受け取り、兄弟がカーリーに声をかける。
アトラス兄弟はDホイールに乗って移動できるが、カーリーはDホイールのライセンスを持っていない。運転経験はあるがダークシグナー時代なので無免許運転である。
二人乗りには向いていないホイール・オブ・フォーチュンに無理に乗るか、サイドカーをレンタルしてレストインピースに取り付けて乗るかを悩んだ末にカーリーが選んだのは後者。舗装されていない悪路を行くのに二人乗りは負担をかけてしまうからだ。
けっこう飛ばすから万が一石が跳ねて当たるかもしれないし眼鏡はしまっておいてねとカーリーに忠告しメットを被せ、これといった目印のない荒野を疾走。
途中休憩にて水分補給と軽食をつまんだのだが、なぜかジェイドは口にスティックパン(チョコチップ入り)を突っ込まれていた。
……とりあえずチョコレートを与えたらなんとかなると思われている? と思いつつも小腹を満たすのにはちょうどいいし貰ったものにケチをつけるわけにもいかず、ジェイドは黙ってモグモグしていた。
紅蓮の悪魔を倒す――そのためにはるばるナスカまでやってきたジャック・アトラスはずっと力を求めている。
遊星はアクセルシンクロを習得した。ライバルと認める男が更なる力を得て強くなる中、オレはこのままでいいのか?
オレが自慢としているパワーは兄のエースモンスターに劣り、その突破には魔法や罠の小細工を要する。
シンクロを進化させたアクセルシンクロのような、ジャック・アトラスのパワーを正統進化してくれる戦法。そんな都合のいいものはどう探しても見つからなかった。
紅蓮の悪魔とのデュエルが新たな戦術を切り開くきっかけとなるかもしれない。そんな望みを心のどこかに抱いたまま、魂がずっと叫んでいる。
機皇帝にも、イリアステルにも負けない――我が兄を苦しませている全てを倒せる、究極のパワーが欲しい!
『んふふ……それが貴方のお望みならば! 最高の舞台を整えてお待ちしておりますよ、ジャック・アトラス様』
誰かの笑う声が聞こえた気がして振り向く。そこには誰もいなかった。
……わけのわからない空耳が聞こえるほどに悩んでいたとは。ジェイドのことを言えんな、とジャックは一人自嘲していた。
「あれがそうか……?」
だんだんと見えてきた石造りの神殿とその近くの一軒家。ボマーが住んでいるその前に手を振る人影が見える。どうやら外で待っていたようだ。
Dホイールを停止すればボマーの弟と妹、マックスとアニーが駆け寄ってきた。
「わぁい、キングだ!」
二人はジャックを見て嬉しそうに大はしゃぎ。すでに失った称号で呼ばれたジャックは戸惑いを隠せないでいた。
「オレはキングでは……」
遅れてきたボマーが申し訳なさそうに頭を下げる。
「すまない、この子たちは地縛神に囚われていた時のこと知らぬ。故にキングとは不動遊星ではなくジャック・アトラスなのだ」
ジャック・アトラスは子供の期待を裏切らないみんなのキング。この憧れを壊すわけにはいかない。いつか真実を知ってしまうとしても、それは今であってはならない。
「――そうとも、キングは一人! このジャック・アトラスだ!」
天を貫くように指差す、キングの象徴たるポーズ。間近で見ることができたため子供達はさらにテンションが上がっていく。
「ボマーだ。予選での三人抜きは中継で見せてもらったよ。かのジャック・アトラスに兄がいると聞いた時は驚いたが、あれほどの華麗なデュエルはそうそうできるものではない。流石のキングの兄だな」
挨拶とともに差し出された手を握る。
「はじめまして、ジェイドです。あの時は色々あって荒れて……とはちょっと違いますけど」
「ある程度の事情は聞いた。無理はしないでくれ」
「ところで……やっぱりボマーさん、記憶が」
「少しは、な。貴方ほどではない」
囚われていた時のことを知らない。その言い方をするということはダークシグナーだった時の記憶があるのでは……カーリーからの問いにボマーはイエスを返す。
「これで元ダークシグナー三人目かぁ。世界って広いのか狭いのかわからなくなってきたかも」
「私と貴方。そして伝説のチームサティスファクションのリーダー、だったか。彼とも一度デュエルしてみたいものだ」
ふと視線を感じて振り向けば、さっきまでジャックにべったりだったアニーがなぜかカーリーをじいっと見ている。
「え、えーっと、何かついてたりする?」
顔に砂利でもついているのだろうか、と身だしなみを整えようとした。しかしアニーはカーリーとジャックをきょろきょろと見比べて、とんでもないことを言い出した。
「……もしかしてキングのおよめさん?」
「はいっ!?」
「なっ!?」
二人は揃って戸惑う。
「いやそんな、夫婦決闘者とかちょーっと考えたことはあったけどそれは気の迷いっていうかぁ」
カーリーはもにょもにょごにょごにょ過去の妄想混じりの思い出を早口で捲し立てる。
「めおと? キング、けっこんしたの?」
「か、カーリー! 余計なことを! いやっ、それはだな」
ジャックは子供に優しい。だからこそ弱い。純粋な目を前にしてタジタジだ。ジェイドはそんな様子を見てンフフって顔をしていた。
微笑んでいるのはジェイドだけではなくボマーもだ。来客を起因としたきょうだいの楽しげな姿が癒しになっているのだろう。ただ、ずうっと迷惑をかけるのはよろしくない。
「こら、二人とも。困らせるのはそこまでにしておくんだ」
ボマーは優しく止めに入る。
「えー? でも、男の人と女の人が一緒にいるならけっこんしてるんじゃないの?」
ねー、と顔を合わせるアニーとマックス。その言葉を聞き、あれ? とジェイドは首を傾げる。
「じゃあ私は何……?」
「うーん、キングのお兄ちゃん?」
「保護者枠かあ」
こんな話をしている中でも日はだんだんと沈んでいく。暗くなっていく空の下で話を続けるのも、とボマー家に招かれお茶を頂く。席についた三人は男が何故この地に留まる選択をしたのか、その経緯を語った。
そして、この地で起きつつある異変も。
近隣の村で飼われている家畜の不審死が相次ぎ、それらは紅蓮の悪魔の仕業であると村人は噂した。
大事な財産である家畜を失ってはたまったものではない。生活を脅かす姿の見えない悪魔に怯え、村人達はこの地を捨てようとしている。
「無関係の人を苦しめるなんて!」
「フン、いかにも裏でコソコソするしかない小悪党がやりそうな事だ」
赤き竜に封印されている紅蓮の悪魔復活の兆し。今はまだ家畜で済んでいるが、放置していては人間に直接危害が出るかもしれない。早くに討伐しなければナスカは人間が住めない土地になってしまう。
「その紅蓮の悪魔がもしかしたら鎮魂の神殿に潜んでいるかもしれないんです」
記憶が全て戻っていない彼の前で流石に邪神達の名前を出すわけにもいかず、情報提供者については伏せてジェイドは話す。
「あの神殿は私達が石を積み上げて作り上げたもの。……にわかに信じがたいが、君達が来たということは真実なのだろう。かの悪魔をどうやって探すつもりなんだ?」
三人でコツコツ作った立派な石の神殿。紅蓮の悪魔がどうやって隠れているかはわからないが、彼らの目の前で破壊するのは流石に無理だ。
「デュエルで誘き出せばよかろう。あちらもオレを狙っているようだしな」
だからこそ、決闘者らしく待ち構えることにした。
「紅蓮の悪魔……《地縛神 スカーレッド・ノヴァ》。となるとライディングデュエルが良いだろうな。燭台を使った手製のデュエルレーンがある。それを使おう」
「でゅえる? ――ねえ、僕ジャックとデュエルしたい!」
準備をしようと席を立ったのと同時に元気よくマックスが手を上げる。ボマーが返事に困っていると、キングと戦いたいーいいでしょー、と腕をぐいぐい引っ張り駄々をこね始めた。
「マックス、これからするのは大怪我の可能性があるライディングデュエルなんだ。危ないから待っていなさい。デュエルは明日でもできるだろう?」
「やだ! ぜったいにキングとデュエルするー!」
説得しようとしたが話を聞いてくれない。完璧に駄々っ子になっている。
「囮のためのデュエルだし……気乗りしないんだけど、《テクトリカ》がいるなら万が一は起きないかな……?」
地縛神が出現したら闇のデュエルとなってしまいダメージは現実のものとなるだろう。子供を巻き込みたくないが、一応ジェイドのデッキには神様がいる。牽制としては十分な働きができるだろう。
「復活の兆しが見えたのなら即座に貴様がデュエルを引き継ぐのだぞボマー!」
「当然だ」
縄で繋がれた等間隔に並んだ燭台に火をつければ赤い光で彩られた鯱の地上絵が完成する。外はすっかり日が沈み空の星々がよく見える暗い暗い夜となっていた。
その間、神殿の前でジャックとマックスが何か語り合っていたようだが、デュエルレーンの準備をしていたジェイドにその内容まではわからない。
マックスはボマーのDホイールに取り付けられたサイドカーにちょこんと乗り、デュエルディスクを起動。
ジェイドはレストインピースに跨り、カーリーをサイドカーに乗せ、彼らのデュエルを追いながら観戦を開始した。
マックスが使うのは自壊効果を持つ《
どれも低レベルで、ジャックに憧れているにしては全く違うデュエルスタイルを要求するカードだ。
「子供なのにすっごい癖のあるモンスターを使うのね……」
「同名モンスターを貯めていく、となると【ワイト】と似たタイプのデッキかな」
例に出したあちらが墓地のモンスターによって攻撃力を上げるのに対し、彼の使うモンスターは守備に向いた効果をしている。
どんどんと墓地に消えていくモンスター。そして現れた《
《レッド・デーモンズ・ドラゴン》の攻撃――そのカウンターパンチとして伏せられていた《魔鏡-スモーク・ミラー》が発動。
自分の墓地に同名モンスターが3体存在する場合に発動する事ができ、守備表示モンスター1体の守備力を相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力分アップする。
それを2枚使ったのだ。当然、守備力は相手の攻撃力の倍の――。
「守備力6000!?」
反射ダメージのエフェクトとしてジャックへと襲いかかるのは炎の《レッド・デーモンズ・ドラゴン》。
「これは! 夢で見たものと同じ……!?」
己の力により滅びる、ボマーからのメールに記されていた悪夢の再現。
ジャックは反射ダメージ3000を受けたがライフポイントはまだ1000残っている。デュエルは続くと思われたが…… 精神的なダメージが大きかったのだろう。操作ミスによりホイール・オブ・フォーチュンがクラッシュしデュエルは中断。
まさか子供の戦術にいいようにされた挙句負けそうになるとはよほど屈辱的だったのか、ジャックは一人ホイール・オブ・フォーチュンに乗ったままどこかへと走って行った。
――一方その頃。ジェイドの神様はデッキの中で唸っていた。
煙に鏡。ポカの野郎の気配はしないが紅蓮の悪魔の気配はしている。……ケッツァーコアトルに一番近い男にあの名前のカードを発動ってしもべの野郎クソ度胸か? ここ一応ケッツァーコアトルが守り神してるとこだぞ??
というかしまった。ここにいる人間だれも精霊見えないから我の言葉が伝えられないぞ。困った。
ジェイド! ジェイドー! はやく気付いてー! あの子操られてるー!! 目をつけられてるジャックをほっとくのも不味いってー!!