――チームニューワールド。
世間ではあのチームラグナロクをも凌駕する大人気チーム……なのだが、歴史改変の影響から逃れたチーム5D'sなどのごく一部の人間からすれば不明点が多い。何故ここまで人気になったのかについての過程を実際に見ていないため置いてけぼりにされているためだ。
彼らは結成当時から好成績を上げ続け多くの大会を制覇してきた実力者……という歴史になっているため、当然過去のデュエルログが残っている。そこでシグナー達はチームニューワールド対策の一つとして過去のデュエルを調べてみたものの、使用されたカードに目新しいものはなかった。
確実に切り札を隠している相手を前にできることはこれまでの全てを出し切ることのみ。決闘者達は魂のデッキを手に決戦の舞台へと立つ。
座席は満席、観客の興奮は最高潮。
『泣いても笑ってもこれがラストデュエル! 優勝の栄光を勝ち取れるのはチームニューワールドかチーム5D'sのどちらか一方のみ! ――間もなく、ライディングデュエルチームの頂点が決まる!!』
ファーストホイーラー同士がスタート位置に着く。
『WRGP決勝戦! 試合開始だ――ッ!』
――ライディングデュエル、アクセラレーション!
合図と共に駆け出すのはジャックのDホイール、ホイール・オブ・フォーチュンとルチアーノのDボード、
スピードはほぼ互角。二人は第一コーナーを先取して先攻を得ようと競り合う。
彼らが搭乗するのはライディングデュエル用の乗り物だが、その見た目のみを表現すればバイクとスケートボード。当然ながら重量には大きく開きがあるため、両者がぶつかった場合ルチアーノの方が当たり負ける。
どちらが先手を取ってもおかしくないギリギリのせめぎ合いは、負傷によるリタイアを避けるためにルチアーノが身を引いたことで決した。
『第一コーナーを制したのはジャック・アトラスだ――!』
「先攻は頂いた! オレのターン、ドロー! 《ソウル・リゾネーター》を召喚!」
《ソウル・リゾネーター》
星3/守200
「《ソウル・リゾネーター》の効果でデッキより《ボーン・デーモン》を手札に加える。そして手札のカード1枚を墓地に送り《ボーン・デーモン》の効果を発動。自身を特殊召喚する!」
赤き竜の紋章を背負った悪魔が先陣を切る。澱みない手捌きで手札に加えたモンスターを出そうとしたが、その途中でルチアーノが待ったをかける。
「チューナーからモンスターをサーチしてさらに展開、ね。シンクロ召喚の準備をするならその効果にチェーンして手札のこのカードを使わせてもらうよ。《増殖するG》!」
ソリッドビジョンだとはいえ、現実のものと全く同じ害虫の姿を大勢集まった観客に見せるのは流石によくないとシステムに判断されたのか、ざわざわと隠れた存在の気配だけが強まる。
「む……」
ルチアーノの口から発せられたのはジェイドが前世で嫌というほど見てきた――自身が使うならば頼もしいが、相手に使われるととてつもなく厄介なカードの名前。思わずうげっ、という声が漏れる。
以前ジェイドがカードショップで探しても見つからなかったソレが、どうしてかこの時代にある。どうやって? なんて深く考える必要はない。こちらの強化に対抗するべく、イリアステルは未来からカードを持ってきたのだ。
「どうやらこの効果を止められるカードは手札に無いみたいだね? ……きひひ、それじゃあ逆順処理だ。僕はこのターン中、相手がモンスターを特殊召喚する度に1枚ドローする効果が適応される!」
「こちらの特殊召喚をドローに変えるカード……! その処理後、《ボーン・デーモン》が特殊召喚される」
《ボーン・デーモン》
星4/守0
肉を失い骨のみとなった悪魔がジャックのフィールドに出現すると同時に、ルチアーノのデッキからカードが引き抜かれる。
「シンクロ召喚なんかしない方がいいんじゃない? どんどん僕が有利になっちゃうよぉ?」
ドローした1枚をすぐに手札には加えず、ルチアーノはカードを持った手をゆらゆらと揺らしながら煽る。
「くだらん! これしきの障害でオレを止められると思うな!」
相手にアドバンテージを与えると分かりながらも、王者は歩みを止めず突き進んでゆく。煽りの効果はあまりないとわかったからか少年はそれ以上の言葉は付け加えず、ドローしたカードを大人しく手札へと加えた。
「《ボーン・デーモン》の効果を自身を対象に発動。デッキの悪魔族チューナー――《ヴィジョン・リゾネーター》を墓地に送り自身のレベルを1つ上げる。また、墓地に送られた《ヴィジョン・リゾネーター》の効果でデッキより《スカーレッド・ゾーン》を手札に!」
《ボーン・デーモン》
星4→5
レベルを変化させたことによりモンスターの合計レベルは8になる。ここからどのシンクロモンスターが呼び出されるか、そんなものは改めて問うまでもない。
「レベル5の《ボーン・デーモン》にレベル3の《ソウル・リゾネーター》をチューニング!」
「王者の鼓動、今ここに列を成す! 天地鳴動の力を見るがいい! シンクロ召喚! 我が魂、《レッド・デーモンズ・ドラゴン》!」
《レッド・デーモンズ・ドラゴン》
星8/攻3000
王者が悪魔らを使い呼び出したのは赤の魔竜。ジャックがシンクロ召喚を行った姿を見てルチアーノはきししと笑う。
「その特殊召喚で1枚ドローさせてもらうよ!」
「カードを2枚伏せターンエンドだ!」
エースモンスターと罠を構え、1ターン目としては良好な滑り出し。ジャックは最短でシンクロ召喚に繋げることで《増殖するG》の効果適応回数を最低限に抑えた。……とはいえ、相手に2枚ドローさせてしまったのは事実。
「僕のターン! ドロー!」
ジャック SPC 0→1
ルチアーノ SPC 0→1
「貴様がメインフェイズに入る前に永続罠《スカーレッド・ゾーン》を発動する!」
ルチアーノの手札はターン開始のドローを含めて7枚になった。ジャックは相手の行動を牽制すべく永続罠を表にし、動きを待つ。
「《
ルチアーノ SPC 1→5
スピードの世界で必須となるカウンターを一時的に加速させたためルチアーノは魔法を使うことが可能になった。となれば、次に出てくるのは。
「これでこっちも準備万端さ。《スカイ・コア》を召喚!」
《スカイ・コア》
星1/守0
ルチアーノのフィールドに現れたのは未来の技術が詰まった機械仕掛けの卵。その殻が壊れる時、それは恐るべきシンクロキラーがこの時代に顕現することを意味する。
「スピードカウンターが2つ以上のため《
「墓地の《ソウル・リゾネーター》を除外し破壊の身代わりとする!」
墓地に眠る悪魔の魂は魔龍が描かれた永続罠を守護する。何者にも守られなかったルチアーノのモンスターは魔法の効果により壊れていく。
「その罠は退かせなかったけどこれで《スカイ・コア》が効果によって破壊された! よってデッキから《機皇帝スキエル
《機皇帝スキエル
星1/攻0→2200
《スキエル
星1/攻600
《スキエル
星1/攻1000
《スキエル
星1/攻200
《スキエル
星1/攻400
空色の機械が消えた後には青い機械群が出現。起動、変形、合体――核となる無限のコアがパーツ達の攻撃力を束ね、鳥の形を模した兵器は羽ばたくことなく悠々と空を舞う。
『1ターンで行われたシンクロ召喚に対しルチアーノも負けじと応戦! 互いのエースモンスターが揃った今、どちらが勝利を掴むのか――!』
「《機皇帝スキエル
少年の指示により機皇帝の中心部に位置する無限の穴が開き、その奥から青白い光がぞろりと這い出てくる。
「相手がカードの効果を使ったことで《スカーレッド・ゾーン》の効果を《機皇帝スキエル
「その永続罠はやっぱりこっちを妨害するためのものか。だけど無駄だよ! この《機皇帝スキエル
「ぐっ……ならば対象は《スキエル
大元を断ち切ればエースモンスターが吸収されることはないと狙ったジャックだったが、その矛先は大きく逸れることとなった。思い通りに進まなかったことで顔を歪める。
デュエルの様子をピットで眺めていた龍亞はぐいっと前のめりになっていた。
「対象に取られない、って……嘘だぁ! 俺たちとデュエルしたときはそんな効果なかったはずなのに!」
ルチアーノとデュエルしたことのある龍亞が抗議する。龍可も兄の調子に釣られたのか前傾姿勢でこくこくも頷く。
あのライディングデュエルでは《
つまり、あの時は対象耐性を持っていなかった。間違いなく強化されている。しかも、あの耐性は……ジェイドは他者に聞こえない程度の声を漏らす。
「タッグフォース版……!」
――OCGにはならず、ゲームの中でのみ扱うことができたもの。
「僕の《スキエル》を破壊して《レッド・デーモンズ・ドラゴン》が奪われるのを止めたかったんだろうけど残念だったね! これでお前のシンクロモンスターは頂いた!」
迫り来る絶望の光を前に狼狽えることなく、王者は宣言する。
「そうはさせん! 更に効果をチェーンだ! ――墓地の《地縛神 スカーレッド・ノヴァ》を除外して効果発動!」
ジャックは手を胸に当てる。腕に刻まれたドラゴンウィングの痣が赫く輝き、紅蓮の魔竜は炎球に包まれる。
「墓地から発動ってことはそいつが《ボーン・デーモン》の効果発動のために使われたカード……だとしても、その名前って……!」
「《レッド・デーモンズ・ドラゴン》よ、紅き魔神を糧とし己が力とせよ!」
悪魔が変じた紅蓮の炎を喰らい尽くす。真紅の殻の中より顕現するのは――。
「出でよ! 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》!」
《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》
星12/攻3500→4000
赤をより紅く染め、魔龍となったモンスターは先ほどよりも遥かに熱い炎を纏う。
「対象がいなくなったため吸収失敗……チッ、僕のターンでそいつを出してきたか」
対象としていたシンクロモンスターが消えたことで吸収のために伸ばした光は行き場を失い戻っていく。さらに、己を構成していたパーツが破壊されたことで《スキエル》の攻撃力はわずかではあるが減少した。
《機皇帝スキエル
攻2200→2000
「……攻撃はしないよ。カードを4枚伏せてターンエンド!」
エンドフェイズ。機皇帝を出すための一時的な加速をもたらした《
「伏せカードは4枚か……その障害ごとパワーで踏み潰す! オレのターン、ドロー!」
ジャック SPC 1→2
ルチアーノ SPC 1→2
「手札のカードを墓地に送り墓地の《ボーン・デーモン》の効果発動! 蘇れ!」
《ボーン・デーモン》
星4/攻1800
「そして《ボーン・デーモン》のもう一つの効果を発動。デッキから《チューニング・ガム》を墓地へ送り《ボーン・デーモン》のレベルを5にする!」
墓地のチューナーの数が1体増えたことにより《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》の攻撃力は4500に上昇。シンクロキラーを容易く粉砕できるパワーが強化される。
「バトル! 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》で《機皇帝スキエル
攻撃を無効にできる《スキエル
「攻撃はさせないよ。罠カード《パルス・ボム》発動! 相手モンスターを全て守備表示にする!」
「ダメージを避けるか……ならばお前の効果発動により《スカーレッド・ゾーン》の効果をチェーンして発動! 対象は一番右の伏せカードだ!」
罠の効果により相手のカードを削ることが可能。ルチアーノの場に残る伏せカードは3枚。その内ひとつを破壊するはずだったが……赤髪の少年はにいっと笑った。
「自分フィールド上に『∞』と名のついたモンスターが表側表示で存在するため、墓地の機械族モンスター《スキエル
「ぬぅ……っ!」
「さらにチェーン4で《積み上げる幸福》発動! それじゃあ逆順処理だ。僕は2枚ドロー、さらにお前の永続罠は《ゴースト・コンバート》によって無効になり破壊――そして《ゴースト・コンバート》は発動後、墓地に送らずそのままセットする」
王の場から熱が失せ、相手の効果の発動を無効にし破壊できる罠が裏側になって次のターンの出番を待つ。最後の締めとばかりにバチンと電撃が炸裂し、ジャックのモンスター達は強制的に表示形式が変化される。
「遊星の《くず鉄のかかし》と同じ、毎ターン使える罠カードか……! カードを1枚伏せターンエンドだ!」
顕になった妨害はルチアーノのみではなく、プラシドら後続へと引き継いでも十全に力を発揮できる強力なカード。どう対応するべきか、その手段を仕込みながらジャックはターンを終えた。
「僕のターン、ドロー!」
ジャック SPC 2→3
ルチアーノ SPC 2→3
「《スキエル
《スキエル
星5/攻1400
《機皇帝スキエル》
攻2000→3400
《スキエル
「《スキエル
「墓地の《チューニング・ガム》の効果発動! 自分フィールドのシンクロモンスター1体のみを対象とする魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、墓地のこのカードを除外しその発動を無効にする!」
墓地から薄い膜のように伸びたガムが相手からの干渉をシャットアウトし、彼の魂の龍を守る。
「……ま、防がれるだろうとは思ってたけど。これでお前を守るカードがひとつ無くなったってワケだ」
「《ゴースト・コンバート》を使わなくて良かったのか?」
「こんなことで使うわけないだろ。そいつがフリーチェーンでフィールドから逃げられるのは知ってる。――《スキエル
強化された機皇帝は攻撃制限が取り払われている。故に相手モンスター1体の攻撃を無効にできる、という効果は焼け石に水。
「行け、《スキエル
「罠カード《リジェクト・リボーン》発動! 効果によりバトルフェイズを終了する!」
「ならその発動に対して《ゴースト・コンバート》を使わせてもらうよ! 墓地の《スキエル
防壁を突破され総攻撃による大ダメージが迫る中、ジャックは焦ることなく伏せカードの発動を宣言する。
「ならば我が炎で迎え討とう! 貴様の罠の発動にチェーンして罠カード《スカーレッド・レイン》発動! 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》以外のフィールドのモンスターを全て除外する!」
「な――」
龍の雄叫びに応えるかのように空から赤い流星群が降り注ぐ。悲鳴のようにも聞こえる金属が軋む音が、視界を奪うような光がルチアーノの精神を揺さぶる。
敵味方どちらにも平等に襲いかかる雨が止んだ時、フィールドにはただ一人――真紅の王者のみが佇んでいた。
「その罠が妨害されない時まで温存されてたのか、っくそ……! カードを1枚伏せてターンエンドだ!」
ルチアーノが焦るのも無理はない。《ゴースト・コンバート》は再び伏せられてこのターンはもう使えない状態。残る1枚の伏せカードは《スカーレッド・レイン》を前にしても表になる気配はなかった。
……それ即ち、そこに残るのは効果の発動を止められないカードだ、とジャックに見透かされたということ。
「オレのターン、ドロー!」
ジャック SPC 3→4
ルチアーノ SPC 3→4
相手が隙を見せた今、ジャックは余計な行動はせずに突き進む。
「カードを1枚伏せ、《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》を攻撃表示に変更――バトルだ! 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》でダイレクトアタック!」
墓地のチューナーの数が減ったとはいえ、《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》の攻撃力は初期ライフポイントと同じ4000。炎を纏った突進がルチアーノに当たる……その直前。
「永続罠《無限霊機》を発動!」
「ッ!?」
このタイミングでまさかカードを使うとは、とジャックは目を見開く。それは前のターンで新たに伏せたカードではなく、《スカーレッド・レイン》に対して使われなかったカード。万が一の可能性を考えるが、その反応を見てルチアーノは嘲笑うかのように効果を説明する。
「安心しなよ、コレは《
ルチアーノ
LP 4000→0
霊器カウンター
0→40
不気味な装置は何もしない。ただ痛みを数える。
魂を揺らすほどの一撃を受けたルチアーノは大きく減速し、Dボードは敗北の証として後方から白煙を吐き出す。
『シンクロモンスターとシンクロキラー、相反する存在のデュエル! 最後に残ったのはシンクロモンスター! ファーストホイーラーとして熱戦を制したのはジャック・アトラスだ――!』
「僕に倒されなかったのを必ず後悔することになるぜ。きっひひひひ……!」
「……何だと?」
後方から負け惜しみにも聞こえる脅しがジャックの耳に届く。その言葉がどういう意味かを問うよりも早く、ルチアーノは交代のため去っていった。
「よくやった、ルチアーノ」
「成すべきことを忘れるなよプラシド。お前のせいで準備が全部無駄になりましたー、なんてなったら……」
「フン……」
カード達を受け渡しつつも互いに不機嫌そうな顔で交わされるやりとりに対しホセは口出しせず、ただ見守るだけだ。
――伏せられたカード2枚と発動済みの永続罠《無限霊機》。
40という異様な数のカウンターを乗せたカードを引き継ぎ、プラシドが出撃を開始する。
次のデュエルが始まるまでの僅かな時間でチーム5D'sはチームニューワールドの戦術についてを相談し合っていた。
「Dホイールとの合体はする気配が無いな」
『まだデュエルは始まったばかりだ。奴らが本気を出すには早すぎる』
遊星の呟きに対してアルターエゴが答える。
「《無限霊機》……だっけ。カウンターがあんなにある罠、絶対に何かあるって!」
「ダメージを数える……なら、一撃必殺のバーンダメージを決める、とか?」
「でもジャックを倒しても次はクロウが相手になる。効果ダメージに対抗できる《ブラックフェザー・ドラゴン》がいるとわかっていてそれは違うんじゃないかしら」
双子とアキが戦法の考察に勤しむ中、ジェイドは少し首を捻っていた。
「…………うん、うん……?」
「ジェイド、何か気になることでもあるのか?」
「言葉にしにくいんだけども、うーん……。まあ、自分の使った《スカーレッド・レイン》で《ボーン・デーモン》除外しちゃったのは痛いよなあって」
「それは確かにな。あのモンスターは墓地から何度でも蘇ることができる上に、チューナーを墓地に送って《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》の攻撃力を高めることもできる」
「強化して得られたカードは複数枚入ってないからねえ」
クロウにはそれっぽく誤魔化したが、ジェイドが本当に考えているのは三つの絶望を束ねた姿となった際の彼のエースについてだ。
パーツごとに分かれている機皇帝とは違い、合体の必要がない機械の魔神を出すために必要な永続罠が使われなかったことに対し彼は困惑していた。
チームラグナロク、ハラルドとのデュエルでも似たような違いがあったが、あれは《オーディンの眼》を使うと不利になる状況だったから使わなかっただけであって、エースモンスターの準備に必要なカードを使わなかった今回の場合とは全然違う。
引き継いでいくにあたり魔法罠ゾーンが圧迫されるから、その回避………は、理由としてはちょっとあるかもしれない。罠を思うように使えなくなるのは不便だ。
ホセのデッキは絶望を束ねた彼のデッキと同じと呼んでも問題はないため、召喚のために必要な機皇帝3体は入っていてもおかしくない。……だとしても手札任せ、は流石に無いと思うが。
謎を残したまま、次なるデュエルが始まろうとしていた。