あれから数日は経った。
私はあの後、学生さん達に守ってもらい、
先生と名乗る大人と数名の生徒達に救われ保護された。
泣き止まなかっためんどくさい私をそれでも見捨てずに落ち着かせてくれて、
その後どうしてこの場所から動けなかったのかを聞かれたのですべて正直に答えた。
レネゲイドウイルスが撒き散らされた私の世界の事を。
命を落とした筈の私が何故かキヴォトスにいた事を。
色々と信じられない話だっただろうに、
その話を信じてくれて身分証明書となる学生証まで作ってくれたし、
連邦生徒会という組織のシャーレという部活に所属する形で保護してもらった。
それでも生き延びられて情報を集めてみたが、一つだけ不明な事はある。
何故この学園都市キヴォトスに突如現れたのか、それは先生達でもわからなかったのだ。
私自身どうやってこの街に来たのかは
もうそこはゆっくりと調べていくしかないとは思うけども。
ちなみに銃を持ち歩いていないというだけで、
この学園都市では凄まじい少数派らしい。
持ってないだけであれだけ危険だと
銃社会どころかこの学園都市は無法地帯なのでは?
と、また震えて泣きかけたのは内緒。
そんなキヴォトスに未だ慣れる事が出来ずにいる私は、
シャーレの書類仕事や家事手伝いをしつつぼんやりと呟いた。
「先生キヴォトスに順応するの早すぎじゃないかな?
確かに皆さんは凄く優しい人ばかりだったけど、
銃撃戦は先生だって怖い筈なのに……」
そう、実はキヴォトスに先生として赴任して来たばかりらしいのだ。
どう考えても銃火器に慣れてなさそうに見えるのに。
……だからこそ凄いなぁとも思うけれど。
「もっと私も頑張った方が良いのかな……でもなぁ。
でも、今から私が死ぬ気で訓練しても神秘を持つ生徒の皆さんに、
僅かでも抵抗できるレベルの練度にまで成長出来る自信がない」
彼女達にはヘイローという天使の輪のようなものが頭上に浮かんでいる。
そして神秘を帯びているのだという。詳しくは良く分からなかったが、
つまり簡単に言ってしまえば私達の肉体以上の強度とか身体能力とか再生力とかもあるのに、
その上で銃弾一つでも彼女達の神秘を帯びているのだろう。
それ程までに肉体的な能力差などがあるのだから、
少なくとも気が遠くなる話ではある。その上、
「もう少し、何か先生や皆さんに手伝える事があるなら良いんだけど」
今の私は凄く周囲に頼り切って依存しているような状況だ。
私としても好ましくない状況なのでせめて、
他にもバイトでも増やせればいいのにとは思うけど、
銃火器も持っていない私が外を出るのは本当に自殺行為である。
そうして私は悩みながらシャーレの部室で家事をテキパキと終わらせつつも、
私は焦りを感じ始めていた。
その違和感にようやく気付いた。
「んぅ、え!?これって……」
体内で何か蠢くような力を感じたのだ。
そしてその能力を発動させてしまい、
私は先程考えていた物をその手に
その
危険物を安全に片付けつつも。
ようやく落ち着けたからこそ気付いたのだ。
私はもう普通の
死んだ事で私は、
「そっか、死を引き金に
私もそうだったんだ。でも……だからこそ!」
私は非日常に関わってしまう訳にはいかなくなった。能力を多用して、
下手に浸食率を上げ過ぎてしまえばジャーム化して取り返しのつかない事になる。
それこそ本末転倒だと思った。
だったら、私を受け入れてくれたからこそ。
この話を先生には共有しておいた方がいいかもしれない。
信頼できる人じゃないと危ないけど。
先生ならこの僅かな共同生活の間に不思議な、
でも既に信じられる人だと分かっているので、
万が一の場合は先生達が暴走してしまった私を倒せるように。
対策方法も伝えられる限りは伝えないと。
聞かせるだけで困らせてしまう話だけど。
というよりも自分がその立場になるとは思っていなかった。
「ジャーム化の可能性は平和に暮らしていてもゼロじゃない。
だったら知ってる事は全部伝えておかないと」
私はもう後悔したくないから。
前世ではロクに親孝行も出来なかった。
誰か友達と雑談したり遊んだり、
買い物に行ったりもほとんどしなかった。
そんな私に沢山の物をくれたから。キヴォトスとシャーレの皆さんや先生に、
もし暴走してしまった私を対処しなきゃいけない時が来た場合に備えて。
「私はもう
もしもの時に伝えられなくなるよりは、マシかな」
私はそう呟いた時、
上手く自分の表情を押し殺せていたかな。
先生の表情を曇らせてしまうだろうと分かっているのに、
伝えない訳にはいかない情報を隠すわけにはいかなくて。
でも、先生がシャーレの部室に帰ってきたら伝えないと。
そう思えば思う程にどうしても心が痛かった。
キヴォトスって転生・転移先としてはすごく大変な場所だと思いますがそこを描写し過ぎた気がします。反省。後一話続けばいいなぁ(願望)