AC6の軽いネタバレあります。発売からこれだけ経っているので心配ないでしょうが、一応記載しておきます。
翌日、621は総帥であり雇い主のラプラス・ダークネスと話をしていた。
「今日は傭兵に仕事をしてもらう前に顔合わせをしておく必要がある。我らholoXが所属しているホロライブ、そのホロライブの大元締めであるカバー株式会社社長だ。勝手に構成員を増やしてしまったから事後報告になってしまうがまあ大丈夫だろう。YAGOOだし」
『了解。このまま待てばいいか?』
「本当は我輩たちが出向くべきなんだろうが、今の傭兵は目立ちすぎる」
『自分としてはこのままでも構わないが』
「我輩たちが困るんだ。行く手間が省けたと思ってくれ」
★★★
ほどなくしてholoXに来客がやってきた。カバー株式会社代表取締役社長YAGOOその人である。
「こんにちは、総帥。いつもご苦労様です。そしてあなたがC4-621さんですか?大まかな話は聞いています。私はあなたたちholoXが所属しているホロライブ、その運営をしているカバー株式会社社長の谷郷といいます。皆からはYAGOOと呼ばれているので好きなように呼んでください。今日はよろしくお願いします」
『すまない。自分は礼儀というものを習っていない。谷郷社長、無礼なことがあれば許してくれ』
「いえいえ、お気になさらず。今日はあなたがどのような人なのか。そしてそのままholoXに居てもらって大丈夫な人なのかを判断しに来ました。ああ、紹介が遅れました。隣にいるのが今回私の護衛でついてきてもらった…」
「はろ~ぼ~。ホロライブ0期生のロボ子だよ~。流石に社長を丸腰で向かわせるわけにもいかないからね~。ちょうど予定が空いてて暇してたからついてきたんだ。よろしくね~」
ほんわかした雰囲気の女性。だが股の内側から覗く機械部品が彼女がただの人間ではないことを主張している。
「見ての通り、ぼくは高性能ロボットなのだ~」
本当に高性能なら自分で言わないだろうというツッコミはさておき、歴戦の傭兵である621はその口調とは裏腹に油断なく自分を警戒していることを察した。目線は自分から外れていないし、何かあれば社長を庇える立ち位置をしている。
「では早速面接といきましょう。すみませんが総帥は席を外してください」
「分かりました。こちらの部屋へどうぞ。傭兵、くれぐれも失礼の無いようにな」
ラプラスが去ることで621とYAGOOとロボ子さんの三人だけとなる
「ロボ子さんは昔からホロライブを支えてくれている最古参メンバーの一人です。十分に信頼できる方ですので同席を許してください。それでは早速ですが質問をさせてください。あなたはどこからどうやってここ地球へ来ましたか?」
『ルビコン3という惑星から長い間宇宙を漂流してここへたどり着いた』
「つまりは偶然と。ではあなたは何をしたいですか?いわゆる行動理念を聞かせてください」
『自分は独立傭兵だ。雇われ、雇い主の意向に従うのが行動理念と言える。自分が危険にさらされたり、騙されたりすればその限りではないが。ただ以前の自分の世話をしてくれていた恩人からは度々、再手術をして普通の人生を送れと言われていた。今は雇い主のラプラス・ダークネスの意向に従う』
「なるほど…」チラッ
「調べたよ~。惑星ルビコン3。ここからずいぶん遠くにある惑星で、だいたいあっちの時間軸だと100年くらい前に謎の大災害で廃星になったんだって。なんでもその大災害は一人の独立傭兵が引き起こしたとか」
『!?』
この短時間で大昔のデータから、遥か彼方のちっぽけな惑星のニュースを引っ張ってきたロボ子さんに驚く621。高性能は伊達ではないようだ。
「確か君も100年くらい宇宙を漂流してたんだって?しかも独立傭兵だったとか。大災害が何なのかまでは分からなかったけど凄い偶然だね~」
『…』
「で、実際のところどうなのかな?隠し事の一つや二つは誰にでもあるものだけど、想像が本当なら聞かなきゃいけないな。ね?YAGOO」
「ええ、あなたの今の心境は分かりませんが、悪いようにはならないとだけ言っておきます。もしあなたがルビコン3の廃星に関わっていたとしましょう。しかしその事件から100年は経過しているうえ、遠すぎる場所での出来事、ロボ子さんから聞くまでは私も知りませんでした。それにあなた自身が自らを危険な存在だと思い込んでいるとすれば…」
「それは杞憂です。あなたがどれほどの存在かは知りませんが、ホロライブには一人で世界を壊せそうなメンバーが何人もいます。何なら時間に干渉できる者もいます。どうか、本当のことを話してもらえますか?」
『……分かった。話そう。今までのことを全て。だが今からの話はholoXにも話していないことだ。holoXの皆も呼んでもらえないか?遅かれ早かれ話すつもりではあった』
「分かりました」
そうして集まったholoXの皆とロボ子さんとYAGOOを前に、621の過去が語られ始めた。
★★★
621は文字通り全てを話した。大義名分を作るためにラプラスに命令をさせてまで。大義名分を作ったのは傭兵として信念か、はたまたかつての飼い主への言い訳のためか
621にはウォルターに拾われて起動する前の記憶がない。脳を弄ったことで記憶が消し飛んだのだ。廃棄寸前だった自分を拾い上げてくれたハンドラー・ウォルターのこと。
コーラルを求めて、少なくない犠牲を払ってルビコン3へ密航したこと。偽りの名義で独立傭兵を始めたこと。
シンダー・カーラと愉快な仲間たち、笑えるAIのこと。
Cパルス変異波形との出会い、そして別れ
ハンドラー・ウォルターの本当の目的、彼の生きざまと信念。
それら全てを吐き出した621はどこか憑き物が落ちたような様子で
『以上が自分の過去だ。柄でもない饒舌になってしまったが……すまない』
それを聞いた皆の反応は千差万別だった。社長はいつもの穏やかな笑みを浮かべるばかり。ロボ子さんは壮絶な過去とやったことに驚きを隠せない。しかし意外な反応を見せたのは
「…!」
凄まじく不機嫌な顔のラプラス・ダークネス。理不尽とやるせなさなどが入り交じった複雑な感情が漏れ出ていた。他のholoXメンバーも聞いているときは同情しがちな表情だったがそんなラプラスを見て感情が引っ込む。
「ある程度…見えてはいたがそれほどだったとは…すまない。我輩は席を外す。少し気持ちを整理したい…」
第三者視点ならただ飼い主の命令に従っただけの猟犬。だがそこに普段の飼い主の言動と信念が混ざれば、気持ちがぐちゃぐちゃになるのは仕方のないこと。
「傭兵、話してくれてありがとう。さあ皆も、ここからはまたYAGOOと傭兵とのお話だ。我輩たちはおさらばしよう」
holoXの皆が出ていって再び三人だけの空間に。沈黙を破ったのは
「話してくれてありがとうございました。今の話とあなたのやってきたことをまとめると私としては…」
「タレントではなく、holoXのアシスト要員としてホロライブへの所属を認めましょう」
『いいのか?自分で言うのもなんだがまともではないぞ?』
「何がまともかは考え方次第でどうとでも変わります。それに、ホロライブには個性的な方々がたくさんいます。あなたの恩人が残した言葉の意味をここで探すのも良いのではないでしょうか?」
『普通の人生…か』
「ええ、ではあなたにこの言葉を送りましょう」
「ホロライブへようこそ、歓迎しましょう!盛大に!」
YGAOOはこんなこと言わない?うるせぇ!ACで誰かを心から歓迎するときはこの言葉と相場が決まってるんだ!そうだろ!?メルツェル!