秘密結社とワタリガラス   作:ガチタン愛好者

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いつまでもテープぐるぐる巻きでいるわけにもいきません。頑張った人、努力した人は報われないといけません。なぜ存在しないのかウォルター生存ルート。


第5話~第一歩~

面接を終えたYAGOOとロボ子さん。普通ならその後は帰るだけだが

 

「ごめんYAGOO、ちょっと時間もらえるかな?数分でいいから」

 

「構いませんよ」

 

そう言ったロボ子さんは621ではなくこよりの元へ

 

「こよ、あの子の経過はどんな感じ?」

 

「難航してます。こよは1を100にはできますが、0を1にはできません。621君は肉体が機能してないんじゃない、存在しないんです」

 

「そうだろうと思ったよ、ぼくの助けはいるかい?」

 

「なんでロボ子先輩が…あ!」

 

思い当たる節があるこより。何せ目の前の存在は

 

「もしかして、確認ですけどロボ子先輩は…」

 

「うん、ぼくは高性能だからね、飲んで食べて、歌ってお喋りして、そういう意味では生身の人間となんにも変わらないよ。当然五感もきちんと機能してるし…スペアパーツ、あるよ?」

 

「本当ですか!?是非!」

 

「そこで脳移植のリスクとかが出てこないあたりこよは優秀だね~。ただ一つ問題があって…ぼくのスペアパーツだから女性パーツしかないし、ぼくが贔屓にしてるショップは女性パーツしか扱いがないんだ。でも男性パーツの取り寄せもできるし、本人と相談してね。連絡してくれれば直接ここに届くようにしてあげるから」

 

「分かりました!何から何までありがとうございます!」

 

「いやいや~、ホロライブ所属ならあの子もぼくの後輩でしょ?助けるのは当然だよ」

 

普段は高性能(笑)等と言われるロボ子さんだが仮にも最古参メンバー、頼もしさという意味ではトップクラスである。

 

「それじゃあぼく達は帰るね、ごめんねYAGOO、待たせちゃって」

 

「いえいえ、それでは皆さん。また」

 

帰っていく二人を見送るholoXメンバー。しっかりと見送ったところで

 

「ラプちゃん?」

 

「ああ、傭兵を呼ぶぞ」

 

 

 

★★★

 

 

 

621を交えての話し合い。ロボ子さんからの提案とその実現性、そして621の意思の再確認を行う。

 

「確認だが、もしやるとなると難易度はどれくらいだ?」

 

「移植そのものは簡単だよ。不幸中の幸いといえばいいのか分からないけど、621君の脳は機械と接続することを前提に弄られてるからね」

 

「なるほど、あとは傭兵の意思だ。お前はどうしたい?」

 

『その手術をすれば普通の人生が送れるのか?』

 

「普通の人生が何なのかは置いておくとして、今よりは普通の人生に近づくだろうな。我輩たちと同じような生活は送れるはずだ」

 

『なら話し合う必要もない。頼む』

 

「実はもう一つ課題があってな、新しい体の性別なんだが…」

 

『どちらでも構わない。性別という概念を知らないまま生きてきたからな』

 

何せ手術前の記憶がないことに加えて、生殖器などあるはずもなく。そういう意味では621の肉体は無性に分類されるだろう。

 

「笑えないネタを使うのはやめてくれ……ホロライブとして配信活動をするのなら女性が望ましいがアシスト要員だからなぁ。ロボ子さんのパーツなら力とか強度は同じだろうし」

 

『確か女性パーツならストックがあるし、時間も掛からないんだったか。違いが無いならそれで頼む』

 

「傭兵、お前さぁ…まあらしいっちゃらしいな。それでいこう。こより!」

 

「ロボ子さんに連絡入れたよ。数日以内に手足のパーツは届けられるけど、ボディとヘッドは時間が掛かるって。特にヘッドは同じのを使うわけにはいかないからね。良い感じのにしてって言っといたけど良い?多分なんでも良いって言いそうだけど」

 

『そのとおりだ』

 

「傭兵…もっと個性というかこだわりをだな…。まあこれからやっていけばいいか」

 

621のこれまでの生活で染み付いた習慣はなかなか抜けない。寝ても覚めてもACのことを考えていた621はそれ以外への興味関心が皆無だ。

 

「パーツが揃い次第621君の手術を始めるね。今日は解散!」

 

 

 

★★★

 

 

 

それから数日後、holoXのアジトに届いたのは人型ロボットのパーツ一式。届いてすぐに始まる621の手術。621にとっては久しぶりの手術台に寝そべり…

 

 

 

 

 

 

「さてと、手術は無事終了。起動するかな?ポチっとな」

 

心臓部に車椅子で使っていた超小型コーラルジェネレーターを埋め込んだ、新しい体の621を起動する。失敗はしていないとはいえ緊張の瞬間

 

キュイィ

 

コーラルジェネレーターが起動し、621の脳と体に動力を供給する。少しの間をおいて

 

「…ん?」

 

僅かに開く目、微かに聞こえるモーター音が異常なく起動したことを示す。

 

「終わった、のか?」

 

「あれ?感動とかあまりない?」

 

「今までも外部の機械に頼っているだけで聴覚や視覚はあった。味覚や触覚、嗅覚は分からないが」

 

「その辺は追々やっていこうね」

 

ひとまずは一般的な人間と同じような体を手に入れた621。普通の人生への第一歩をようやく踏み出すことができたのである。

 

「あ、今回の手術で621君には結構な額の借金が発生したからそのつもりで」

 

「…?」

 

宇宙猫状態の621。脳波を読みとって表情を出力するため、今まで表に出ていなかった621の感情がダイレクトに出てしまう。

 

「借金とはどれくらい?」

 

「一応ロボ子先輩が一旦払ってくれて利息は要らないよって言ってくれたからだいたい…これくらいかな?あ、holoXは以前よりマシになったとはいえ財政難だから助けてあげられないよ」

 

「ちょっと傭兵家業を…」

 

「今の君はholoX専属傭兵でしょ?だ~め」

 

「口座凍結されてなければ…」

 

提示された額は莫大だが、だいたい依頼を5つくらいこなせば返せる金額だ。だが621がルビコンで稼いだ巨額の財産は当然のごとく凍結されてしまっている。面倒なことと、ACパーツを買ったり弾薬購入だけにしか使わないからとRB23、識別名レイヴン名義の口座に全額入れていたのが仇となった。

 

「財政難だから当然だけど君への報酬も多分そんなに多くないから…」

 

何せ用心棒への報酬もろくに支払えていないholoXが、621へ満足な額の報酬など出せるはずもなく

 

「これから末長くよろしくね?621君」

 

とどのつまり、永久就職というわけである。

 




筆者の妄想設定

コーム:宇宙全域で使用可能な通貨。どこでも使えるように純金製の硬貨のみが流通しており、その重量も相まって基本は口座支払いを行う。

多分621が一部でもコームを現金として持ち歩いていれば結末は変わったかもしれません。
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