やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件 作:へーれ
2024/03/10 2015年の秋とするところを2016年と誤記していたので訂正しました。
なので主人公はまだ1年です。ややこしくして申し訳ありません。
2015年の秋から東京高専一年生賀﨑隆景の生活は大きく変わった。
まず授業と任務以外の時間は殆どを五条家の私有地で術式を磨く日々を過ごしていた。
そして身に付けたのが…
『拡張術式 退魔の剣』
刀状の正のエネルギーとして振り回しまわすだけだった順転を効率よく使用する為に開発した拡張術式だ。
刀をコーティングするように正のエネルギーを固形化して纏わせる。
そうすることで、これまで磨いてきた剣術と術式を組み合わせることが可能になり、対呪霊戦ならば一太刀が必殺になるほど威力が向上した。
術式により正のエネルギーを武器に出来るようになったがここで問題が招じた。
それは固形化した正のエネルギーには重さが殆ど無いため、振り心地が悪いという点だ。
重心も日本刀とは全く異なるため、従来の剣術を使おうとしてもタイミングがずれて威力も速度も落ちてしまう。
その解決のためにこの拡張術式が必要だったのである。
ちなみに以前使用していた愛刀は夏油との戦闘時に取り上げられたままパクられてしまっている。
呪具でもないので、俺以外が使っても大した代物ではないが意外とチャッカリしている。
そのため現在はお宮に奉納される刀と同様の製法で作られた新しい刀を使用している。
将来獲得を目指している「浄」の力を活かすには呪いの性質は邪魔になるため、こちらの方が媒介として相性が良いと考えている。
もう一つ改善したことが忍術の印だ。
夏油戦時に印を結ばずに無理に水忍術を使って呪力を無駄遣いしてしまった反省として、そちらにも改良を加えた。
腕に印と同様の働きをする紋様を刻み、両手の平を合わせることで水遁忍術を一種類使えるようにした。
これはタイプムーンのルーン魔術と鋼の錬金術師から着想を得たもので、『水遁 水断波』を使用出来る様に紋様等を調整した。
咄嗟のタイミングで口からウォーターカッターを打ち出せば不意をつけるはずだ。
相手に衛生的な嫌悪感を抱かせられれば一石二鳥だ。
(ただし絵面がキモいので術師仲間からの悪評は増す。)
それから、交流会での成績を受けて昇級審査を受けることになった。
任務をこなす内に年が明けて2017年の2月には無事に三級術師へと昇格を果たした。
その昇格通知を知らせに来た先生が一緒に知らせてくれたのが…
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「この二人が来年の入学予定者ですか。」
先生から渡された名簿を見やりながら先生と問いかける。
バリバリの個人情報だが気にしないでおこう。
「そ、秤金次と星綺羅羅。二人とも術式持ちでタイプは違うけど、どっちも優秀だよ。」
「どんな奴らなんですか?」
「秤はゴリゴリの格闘タイプで並みの呪霊なら素手でも祓えるだろうね。星は特殊な術式持ちでサポートに向いたタイプだね。二人で組むといいコンビになるかも。」
なるほど、既に適性はチェック済みというわけだ。頼りになりそうな新入生だ。
そう思いリストを見ていると、気になる項目を見つけた。
「先生、秤の生年月日のところタイプミスじゃないですか?俺と同じ学年になってますよ。」
「いや、間違いじゃないよ。秤は中学を1年留年してるから隆景と同い年の後輩ってことになるね。」
マジか。義務教育で留年なんてよっぽどだぞ。学校教育を受けてない俺が言えることじゃないが、義務教育での留年となると素行不良での停学で出席日数不足くらいしかあり得ないんじゃないか?
学年は違うが生徒数の少ない学校だ。顔を合わせないなんてことは無いだろう。入学前からマイナスなイメージを持ってしまったなあ。
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「あんたが賀﨑って奴か。チョイと面貸せよ。」
そう思っていたのが数ヶ月前。
今俺はツーブロックのゴリゴリに眉剃り込みを決めたパンチパーマに因縁を付けられています。