やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件   作:へーれ

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25話だけ見るやつも同様。
筆者はその2話しかリピートしてない最雑魚。


第十二話 48話だけ見る奴は雑魚

「あんたが賀﨑って奴か、チョイと面貸せよ。」

 

新年度というか入学式の翌日、隆景は新入生に因縁を付けられていた。

 

名簿で見た顔からするとコイツが秤金次で、後ろでオロオロしてるのが星綺羅羅か。

改めて見ると顔老けすぎだろ。ホントに俺と同い年か?

 

「何の用だ。仮にも上級生に対する口の利き方じゃないな。」

 

「あいにくダブっててね。年はタメなんだから仲良くしようぜ。」

 

それは知っている。ていうかソレは俺の台詞だろ。

 

「あんた、いいとこの坊ちゃんなんだろ?エリート様に実戦指導をお願いしたくてね。」

 

「それは誤解だ。俺は出奔した身だし、そもそも家も下級術師の家だ。君は術式持ちなんだろ?術式の無い俺が教えられることは無いよ。」

 

だからとっとと帰ってくれ。早く帰って遅れている術式鍛錬を進めたいんだ。

 

バギャッ!

 

秤の手元から飛んで来たレコード盤をすんでのところで頭をずらして躱す。

 

「流石に冗談が過ぎるんじゃないか。」

 

躱したレコード盤は校舎の壁に突き刺さってから消失した。

 

「とにかくアンタと戦ってみたいんだよ。お互いのことを知るなら殴り合うのが手っ取り早いだろ?」

 

どうやら相手をしなければ納得してくれなさそうだ。だったら今後のためにも衝突は早い方が良いだろう。諦めて要望に従うとしよう。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

手続きを済ませて、隆景と秤は演習場にて対峙していた。

 

秤は武器を手にしていない。どうやら徒手で戦うスタイルらしい。

 

一方の隆景は模造刀を腰にしている。前の刀を夏油に奪われて以降は数打ちの品で任務に当たっており、新しく調達した愛刀は五条家の敷地で保管している。

 

その刀は術式に関する疑いを避けるために鍛錬の時にしか使用しておらず、外部へは滅多に持ち出さない。

 

以前とは違い、最近は特段こだわった品は使っていないので真剣を持ち出す必要はないと判断してのことだ。

 

両者の間の空気が張り詰める。開始の合図は必要なかった。

 

初めに仕掛けたのは秤だ。先ほどと同じくレコード盤が飛んでくる。まだ距離があるので一つ一つを躱していく。

その間に距離を詰めてきた秤の殴打を同じく拳で受けるが感触がおかしい。

込められた呪力以上の痛みを感じる。

 

(受けきっているのに感覚がおかしい。重い、というよりは細かく刺されているような感触だ。)

 

これが秤の呪力特性なのだろう。同じく呪力特性で勝負する身だ。直感で判断し、殴打を正面から受けるのを避け軌道をそらすように流す。

 

「勘が良いなぁ!大抵の奴は違和感に戸惑っているうちに仕留めちまえるのによぉ!」

 

レコード盤と殴打、そしてなぜか時折挟まるポテチ。

術式の全貌はつかめないが対応できない程ではない。

 

ひとしきりの応酬を続けたが互いに有効だといえる攻撃は決まっていない。

 

「見掛け倒しの雑魚じゃないことはよくわかったぜ。」

 

そう言うと秤はより濃密な呪力を纏う。

そして弁財天の印を結びながら笑みを浮かべる。

 

「これならもっと熱くなれそうだ。」

 

(馬鹿な!そこまでのレベルなのか!?)

 

回避のために簡易領域を発動させるべく呪力を回す。

だが、その前に。

 

「領域展開 『坐殺博徒』」

 

秤金次は呪術の極致、領域展開の発動を完了させた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『CR 交響詩篇エウレカセブン』

 

2005~2006年に放送されたTVアニメ「交響詩篇エウレカセブン」を題材としたパチンコ遊技台だ。

 

領域展開と同時にその遊技台の演出などの情報が領域内の者の脳内に流れ込み、ゲッコー号の艦内環境を模したステージが展開される。

 

その情報から推測するに、先ほどまでのレコード盤やポテチによる攻撃はこの領域内の演出を利用して通常空間での攻撃に転用しているらしい。

 

激しい動揺が心を襲うが、緩められることのない秤の攻撃には対応を続けなければならない。

依然として続く殴打の応酬の横では、筐体の演出が発生してはいわゆる外れ演出として消化されていく。

 

どうやら秤の攻撃の度にリーチが発生し、演出が流れるようだ。

術式開示の際は大当たり時に起こる現象については「お楽しみ」として伏せられていた。

 

「どうした!キレがわるくなってるぜ!」

 

「黙ってろ!」

 

(『シン・陰流 簡易領域 体纏』!)

 

『体纏』は自身の身体を包むように狭い範囲だけに展開する代わりに展開中の高速移動が可能なアレンジ技だ。

術式の発展のために修練している技だが、接近戦であれば迎撃速度を高めるのにも使える技術だ。

体表数十センチまで知覚範囲が広まったことで秤への攻撃を加速させる。

 

その間にも演出は進行している。

 

レントンがコンビニで店番をする演出では来店する客ごとに選ぶ商品が変わる。先ほどから飛んできているポテチはここで購入されるものだ。

 

レコードの方は、マシューがDJプレイをゲッコーステイトメンバーの前で披露する演出中に登場するものだ。

 

攻防の間に大きめなリーチを引かれてしまった。

 

背後で進行しているのは月光号と銀河号という二つの戦艦が戦うリーチだ。月光号が敵戦艦の銀河号を撃破すれば大当たりだが、この演出の期待度は低い。

 

【主砲発射!】

 

本来ならタルホが言うセリフをホランドが叫んでいる!

これは!期待度大幅アップのレア演出!

 

銀河号が撃破され、大当たりが発生する。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

領域が閉じると同時にアニメOP曲が流れ出すと、秤の呪力が爆発的に増大する。

 

(これが大当たりの効果!呪力の底が図れない!)

 

打撃の威力が桁違いに増し、拳では受けられなくなる。

対応のために刀を抜き、殴打に対応するがそれでも秤の拳の威力に圧倒される。

 

「おもちゃの刀でいつまでやるつもりだ?本気で来いよぉ!」

 

正面から拳で迎撃され、模造刀を半ばから叩き折られる。やむなく水の呪力によるウォーターカッターを発動させ刃の代わりにする。

 

威力過剰だと自重していたが、尚も秤の勢いは止められない。

いや、刀で迎撃した箇所は確かに切断されているが、斬ったそばから治癒していっている。

 

(反転術式!?そんな素振りは無かったぞ!?)

 

事実、大当たりを引くまでは模造刀の攻撃であろうが秤の体には打撲らしき損傷をつけることが出来ていた。

しかし、今の秤の体にはその傷は無く、いくら傷つけようとその体は瞬時に再生していく。

 

「切れ味が増したな、さっきまでの眠てぇ攻撃よりは殴り甲斐があるぜ!」

 

尚も応酬が続くが、OP曲尺の89秒が経過すると秤の呪力が収まっていく。

成程、大当たりを引けば一定時間呪力量と出力が増すのが秤の領域の効果なのか。

 

(だったら、術式が焼き切れているここで押し切る!)

 

すっかり本気になっていた隆景は攻撃を仕掛けようとするが、再び弁財天の印を結ぶ秤を見て思わず硬直する。

 

「領域展開 『坐殺博徒』」

 

秤の領域が再度展開される。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

(連続で領域展開!?あり得ないだろ!?)

 

領域の使用中は常に術式を行使し続ける。その行動は術式を司る脳に膨大な負荷を掛ける。

その負荷の反動で領域の使用後はしばらく術式の使用が困難になる筈だ。

 

故に領域を連続で発動することはどんな術師であろうとあり得ない。

だが、事実として眼前では秤の領域が再び展開されている。

 

そして秤が先の領域から数えて20回目のリーチを起こすと、領域内ではキャラクター達によるフットサルが開始する。

 

(サッカー回!?殆ど見返してないから展開を覚えていないぞ!?)

 

フットサルコートではレントンとエウレカがキャプテン翼じみたウルトラシュートを決めたことで、スロットの図柄が当たりが出やすい目に変化し、演出が更に進行していく。

 

今はCGモデルのニルヴァーシュとジ・エンドの戦闘が繰り広げられている。

LFO同士の格闘戦、ジ・エンドのマイクロウェーブ攻撃が繰り広げられるが、あくまで演出であるそれは隆景に攻撃を加えるものでは無い。

 

重要なのは、秤がいつ大当たりを引くか否かだ。

 

「決まりだ。」

 

秤がそう宣言する。

 

言葉の通り、ドミニク&アネモネverの大当たり確定のリーチ演出が始まる。

 

(これはマズイ!)

 

(【アネモネー!】

 

四散した飛行機の残骸と共に遥か上空から落下するドミニク。

だが彼の頭を占めていたのは死への恐怖ではなくとある少女への愛だった。

 

 

【…………】

 

信じられない。やっと来てくれた。相反する気持ちに少女はこれまで秘めていた青年への愛を叫ぶ。

 

【ドミニクー!】

 

残虐な人体実験の結果、偶然生まれた成功体。

敵を殺さなければ。価値を示さなければ。

役目を果たせなければ彼女に価値は無い。

 

絶望の淵にいた少女が出会ったのは堅物で鈍感で不器用な青年士官。

ただの部品に人として接した馬鹿な男。

 

もう会えないと思っていた。

あの人がいない世界に意味などない。

そう思っていた。

 

だけどあの人は来てくれた。

相変わらず不器用で不格好で格好悪いけど。

だけどそんな姿がたまらなく愛おしい。

 

手枷であった黒い兵器は少女の想いに応え、銀色の巨人へと姿を変える。

少女の願いに応えるために。

二人の手と手を繋ぐために。)

 

交響詩篇エウレカセブン、屈指のエピソードである第48話「バレエ・メカニック」。

 

物語上、レントンとエウレカのカップルの対となる二人のエピソードの到達点。

 

演出の進行中も隆景の元に秤の攻撃が殺到するが、隆景は反撃することが出来なかった。

 

領域内で再現されたこの演出を見逃さないためである。

秤の拳撃は勢いを落とさずに隆景の体にダメージを与え続ける。独特の呪力特性により身体にはダメージが蓄積し続ける。

 

そして…

 

アネモネとドミニクが地表で手を繋いでレントンたちを見送るところで、隆景の身体は限界を迎え、秤の大当たりラウンドに突入する前に意識を失った。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

突然反撃を辞め、それまでの粘りが嘘のようにあっと言う間に倒れた隆景を見やりながら、秤はこう溢した。

 

「アンタ、オタクだったんだな…」

 

 




どうしても秤に私鉄純愛列車以外のパチンコをやってほしくて書きました。
秤君かわいそう。
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