やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件   作:へーれ

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チート主人公になりかけてますが、最終的な比較対象が五条、宿儺、羂索なのでこれくらいインフレさせてもバレへんか!の精神で頑張ります。


第十六話 浄剣完成

伏黒津美紀が受けた呪い。そして同様の症状を持つ多数の被呪者。

今回の呪いは発動した時の危険度が計り知れない。万が一呪物を埋め込まれていた場合、彼らは呪いに体と心を食い尽くされることになる。

それだけは絶対に阻止しなければならない。

 

幸い解呪のサポートについては、家入先生が守秘の件も含めて了承してくれた。

今の俺がやらなければならないのは解呪のために技術を完成させること。

 

呪術師は対象に対してより強い呪いを行使することで呪いを祓う。

だが呪いが実体を持って体内に潜んでいる場合、強い呪いで祓うだけでは被呪者を助けられない場合がある。

今回の事件はその類のものだ。

 

仕掛けられた呪いが甚大な被害をもたらすと判断された場合、「やむを得ない犠牲」として被呪者ごと祓うという判断が降りかねない。

故に一刻も早く解呪法を確立する必要がある。

 

入手した呪具「顕明連(けんみょうれん)」は鈴鹿御前の伝承に登場する三刀の一つである。

伝承では所持者に遠見の力をもたらしたそうだが、今のところこの呪具にそう言った兆候は見られない。

だが、『退魔の剣』に使用する媒介をこの顕明連(けんみょうれん)に置き換えると、これまでとは桁違いの出力を発揮するようになった。正のエネルギーとの相性が良いためだろう。これならば解呪にも目途が付く。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

2017年7月xx日

 

今日は伏黒津美紀の解呪及び治療を実施する日だ。

 

隆景はこの日のために最低限の任務しか受けず、殆どの時間を術式の完成と研鑽に費やしてきた。

 

「五条先生。」

 

「盗聴、盗撮。呪術による監視はすべて排除した上で、監視の妨害も完了している。上下のフロアからも人は退避済。準備オッケーだよ。」

 

不測の事態を考慮して、伏黒津美紀には呪術業界と繋がりのある医療施設に転院をしてもらった。このフロアに居るのは隆景と五条、家入の3名と別室で待機している医療スタッフのみだ。

 

「打合せ通り、解呪が成功したら自分はそのまま治療術式で応急処置に移ります。」

 

「跋祓が完了したことを五条が確認したら、その後は私が引き継いで通常治療に移る。」

 

「じゃあ、始めようか。あくまで手順通りに。」

 

隆景、家入、五条の三人がそれぞれの分担を確認したのち、施術が始まった。

 

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「お疲れ、隆景。津美紀と一緒に移動した硝子から容体は安定したって連絡があったよ。」

 

「お、終わったぁ~。」

 

緊張から俺は床にへたり込んでしまった。状況を嗅ぎ付けた犯人からの襲撃も考えられるが、ここにはあの「五条悟」が居る。少し気を抜いても問題はないだろう。

 

「予想通り、封印の内側には何か隠してありましたね。体内だから俺には見えませんでしたし、まとめて消し去っちゃったから確かめようはないですね…」

 

「今回は初回で何が起こるか分からなかったからね。安全重視でまとめて消し飛ばす。当初のプラン通り完了出来たんだから気にしなくていい。グッジョブだよ。」

 

(封印の中身は呪物…恐らく術師が宿儺の指の様に姿を変じたものだろう。生物の呪物化は未だ確立されてない技術。)

 

「この件、やはりかなりの手練れが絡んでいるな。」

 

一連の事件の犯人は現代の術師を凌駕すると思われる封印術を持つ上に、恐らく総監部に深く入り込んでいる。今は小康状態の呪術界だが近い内に大きな動乱が発生するだろう。そう判断した五条は小さく懸念を漏らしたが、

 

「先生、何か言いましたか?」

 

「いや?これから全国の被呪者を巡らなきゃならないからね。ちょっとした独り言だよ。」

 

だが、戦闘ならば自分は絶対に勝利する。それは揺るぎない事実だ。故に今は大仕事をやり遂げた生徒を労うだけで良い。身構えられない不安を伝える必要は無い。

 

「硝子の処置が終わったら打ち上げに食事に行こうか。今日は最高級店に連れて行ってあげよう。これから全国行脚で忙しくなるからねー。」

 

「マジすか!やったー!顕明連(けんみょうれん)の支払いローンでカツカツだったんですよ!先生最高です!」

 

それにしても、秤に乙骨と近年目覚ましく学生達のレベルが上がってきているが、この調子だと隆景もそこに加わることになりそうだ。能力の開花は遅かったが、今や先の2人とは別方向の才覚を示している。

 

「これも教師の僕が優秀なお陰だね。」

 

学生らの将来に期待を寄せながら五条は生徒とともに帰り支度を始めたのだった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

某所

 

「あら、仕込んでた呪物が祓われてしまったようね。これは…万かしら。」

 

カフェのテラス席で何でもないように額に縫い目のある女がつぶやく。女は故人虎杖香織の死体の皮を被った外道。名は羂索。

平安の時代から幾多の死体を乗り換え生き永らえてきた呪詛師。

 

女は自身が地道に仕掛けてきた仕込みが壊されたにも関わらず飄々としていた。

 

「五条悟にバレないように仕掛けるのは大変だったけど、今となってはアイツにバレずに仕掛けられた達成感の方が爽快だったし、まあ良いかな。」

 

「おい。そんなことで本当に宿儺様は復活できるんだろうな?」

 

羂索の体面に座った女、氷見汐梨…その肉体を乗っ取って受肉した平安の術師である「裏梅」は目の前の女を睨みつける。

 

「宿儺のことなら心配は不要よ。既に天元と星漿体、六眼の輪廻の輪は崩れている。後は天元の確保さえ出来れば世の均衡は崩れて自ずと呪いが跋扈する時代が来るわ。そのためには五条悟封印のためのピースを着実に揃えないとね。」

 

既に獄門疆は手にした。後は呪霊操術の体を手にするのみ。

縫い目の女はまるで青春を謳歌する少女のように目を輝かせながら理想の未来を夢想する。

 

「楽しみだわぁ。」

 




万アウトー
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