やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件   作:へーれ

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シャーマンキング要素解禁です。

2024/03/23 文面修正
呪術ゼロを読み返したところ、夏油の宣戦布告の時点で乙骨が入学から3ヶ月経っていたので日時を「8月某日」から「9月某日」に変更しました。
新しい被呪者が見つかる量は元がひと月で14人と多めにしすぎていたので、およそ2か月で14人とペースダウンさせたという言い訳で元のままです。
解呪のペースもそのままです


第十七話 全国行脚解呪祭り

9月某日

 

「津美紀さん、意識が戻ったんですね。」

 

『うん、寝たきりだったからまだ退院というわけにはいかないけど、他の呪いも残っていない。他の治療者も順調に回復に向かってる。治療方針は現状のままで進めて問題ないね。』

 

津美紀さんの経過が順調なことを確認出来てからは同様の被呪者の治療のため俺は全国各地を飛び回る生活を続けている。

 

術師の治療を担っている家入先生は長く高専を離れるわけにはいかないので同行はしていない。

幸い俺にも反転術式は使えるため、それをナルトの医療忍術だと偽って解呪後の治療も行っている。

 

医療スタッフは五条家から呪術医療に詳しい人達を増員して派遣してもらっている。秘密が漏洩する可能性はゼロではないが、現状での最善の策としてこの方法が取られることになった。人員の選抜は五条先生に行ってもらっているため、スパイが紛れ込む可能性はかなり低いと言えるだろう。

 

その五条先生当人は多忙に多忙を極めている。

元々の特級術師としての任務、高専での教職に加えて、今は全国の被呪者の元も巡る仕事も加わっている。常人には物理的に不可能なスケジュールだが交通機関と術式による移動を併用して何とか実現している。

驚くべきことに、あの五条先生でさえ日に日にやつれていっているように見えるが、解呪の旅はいつか終わる筈なのでそこまでは頑張るとは先生の言だ。

…連日、新しい被呪者が見つかり続けているのでなかなか終わりそうにないのが問題なのだが。

 

『あれから追加で14人の被呪者が見つかったから、合計38人。まだまだ増えるだろうけど無理させて悪いね。』

 

「先生こそ会うたびにやつれていっていますよ。同行している五条家の方々も心配していますよ。」

 

『僕の方はしょうがない。祓除の確認は僕以外じゃ代わりが利かないからね。それでも最近は秤たちが頑張ってくれているから特級案件の方は大分負担が減りそうだよ。』

 

先生によると、秤と星の二人は最近メキメキと実力を延ばしているらしい。これまでは先生が受け持っていたような危険度の高い任務も、秤、星と一級術師の三人編成でこなしていっているとのことだ。

秤の攻撃力と回復力、星による攻撃の回避、事例に応じて参加する一級術師。この組み合わせで大抵の特級を何とかしてしまえているらしい。特に領域持ちの呪霊に対しては秤の領域が特攻となることから安定して呪霊を祓って回っているそうだ。

 

同行する術師は事前情報に合わせて選出されており、情報が少ないときは主に冥冥術師が主に同行し、術式で偵察を担って任務の確実性を上げているらしい。逆に情報が集まっているときは七海術師が同行して強力な攻撃力で手早く仕留めているそうだ。

 

おかげで秤らの評価は保守派も無視できないほど高まり、二人とも2級に昇格を果たした上に秤には1級への推薦の話も上がってきているほどだ。

 

『七海は学生を第一に動くし、冥冥さんはお金を積んでおけば信用出来るからね。あの二人が中心でサポートしてくれているのは心強いよ。』

 

先生の声は電話越しでもわかるほど喜色に溢れていた。

 

「頼もしい後輩たちですね。支えてもらっている分、こっちも頑張らないと。」

 

そういえば、と俺は言葉を続ける。

 

「1年に新顔が加わったそうですね。年齢と学年がずれている上に年度途中の入学となると秤以上の訳ありでしょう?また先生が拾ってきたんですか?」

 

『そうそう、乙骨憂太君ね。特級の位に収まらないほどの怨霊に取り憑かれたとんでもないルーキーだよ。入学段階で特級認定。うっかり出くわしても祓おうとしないでね。大ケガじゃすまないよ。』

 

「うへぇー、そりゃまたとんでもないことで。そんな奴が入ってきて1年達は上手くやってけてるんですか?」

 

『パンダと棘は問題なくやっているよ。真希とも最初は揉めてたみたいだけど、任務を一緒にこなすうちに打ち解けてきているみたいでさ。憂太自身は素直な優しい子だからね。時間が経てばわだかまりもなくなるさ。』

 

「そんな子がいきなりこの業界に放り込まれるのは正直同情しますね。でも爆弾級の生徒を新しく受け持ったなら益々時間が厳しくなるんじゃないですか?」

 

『うーん、解呪は今のところ準備も含めて週に1人、月に4人が精々。このペースで新しい被呪者が増えていくとなると頭が痛いね。」

 

「そうですよね…。ちょっと、そのことで提案というか相談があるんですけど良いですか?」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

翌週、解呪現場にて隆景は先日持ちかけた相談の内容を打ち明ける。

 

「実は顕明連(けんみょうれん)を使っているうちに分かってきた機能がありまして…」

「人体内部の呪いに限って透視に近いことが出来るようになりました。」

 

 

「…マジ?」

 

「マジです。伝承の「三千大千世界を見渡す」という部分が限定的に発現してるみたいなんですよね。なので今回の解呪はこの能力の信頼性もテストしたいんです。」

 

「その呪具、長年使われてなかったぽいからねー。使い込むことで本来の性能を取り戻しつつあるってことかな?まあ、話はわかったよ。それじゃあ今回は解呪する箇所を逐一隆景と僕で確認する形で顕明連(けんみょうれん)のその能力を確認することにしよう。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

施術に入る前に、先ずは隆景が顕明連(けんみょうれん)を通して被呪者の体を診る。

 

やはり紋様の封印を解いていない時点では体内に潜んでいるであろう呪物は発見できない。

 

今回はこれまでとは異なる手順での解呪となる。

まず『退魔の剣』で一層目の封印を破壊する。

それから、体内の呪物が受肉を開始しないように、反転術式で正のエネルギーを体内に流し続けることで呪物の活動を抑止する。

 

この状態で被呪者の身体を顕明連(けんみょうれん)を通して観察し、呪物を発見できれば実験は成功だ。

 

早速、一層目の封印の破壊と反転術式による受肉抑止を開始し、顕明連(けんみょうれん)の刀身を頭部から足先の方向へズラしていき、呪物の在り処を探る。

 

(見つけた!)

 

呪物らしき異物が食道に張り付いているのを視認すると、隆景はその位置を五条に伝える。

 

「食道の肋骨あたりに呪物らしきものを視認しました。先生、間違いありませんか?」

 

「僕の眼でも同じ位置に呪物が見えてるよ。よし。それじゃそのまま解呪をお願い。」

 

「分かりました!」

 

普段よりも少し面倒な手順だが、隆景は解呪の為の術式の起動を始める。

 

(『拡張術式 フツノミタマ』!)

 

隆景の右手に石剣が形成される。

そしてその石剣を『退魔の剣』を起動中の顕明連(けんみょうれん)に重ね合わせる。

2つの術式が混ざり新たな剣が形成されていく。『フツノミタマ』がエネルギーを増幅し、そのエネルギーを受けて『退魔の剣』が新たな形へと変貌する。

 

(『二段拡張  退魔の巨剣(スピリット オブ ソード)』!)

 

それは実態を待たない『霊剣』。鎧の手甲を思わせる意匠の柄から半透明の巨大な刃が伸びるそれは「斬りたいものを斬る」変幻自在の剣。

故に室内を飛び出すほどの巨大な刃はしかし何者をも傷つけることはない。

この刃が斬るのはただ呪いのみ。

 

刃を呪物に押し当てると徐々に呪物が消失していく。肉体と密着していた箇所から出血が発生するのを同時に反転術式で治療し、失血量を減らす。

 

しばらくの後、呪物は完全に消失し被呪者の体からは呪いの気配が薄まる。

術式を解除し、元の刀に戻った顕明連(けんみょうれん)を通して改めて被呪者の体に呪いが残っていないか確認する。

 

「呪いの残存ありません。先生、間違いないでしょうか?」

 

「今まで通り解呪は完了してる。その刀の機能問題なく使えそうだね。」

 




ゆうほど全国は回ってない。
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