やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件 作:へーれ
11月 9日
呪術高専東京校 最下層
日本呪術界の要であるこの場所に乙骨憂太ら五条派の術師や非主流派の九十九由基、訳アリだが虎杖に付き添っている脹相という多様な面子が集結していた。賀﨑隆景も五条悟の部下として共にここを訪れていた。
目的は天元と接触し、五条悟の封印の解き方と仮称加茂憲倫が仕掛けた大規模結界“死滅回游”についての情報を得ること。
九十九曰く、平時は現世に干渉しないという天元も六眼が封印されたこの非常時なら接触出来るだろうということだったが、本来
「戻ろうか。回游のペナルティまでの時間を無駄にしたくない。」
死滅回游の実行に際して、仮称加茂憲倫は事前に二種類の
“受肉タイプ”の
問題は“覚醒タイプ”の
殺し合いへの積極参加を望む
何より仮称加茂憲倫が“死滅回游”を仕掛けた真意が不明である以上、回游の調査自体は行わなければならない。
だが、天元の助力が得られぬ以上はここに長居をしても時間を浪費するだけだ。乙骨の言葉に従い
「帰るのか?」
突如現れた気配に全員が声の元を向く。
「初めまして。現代の術師達よ。」
声の主は四ツ目の異形。
(“禪院の子”、“道真の血”、“呪胎九相図”、そして“宿儺の器”。…あとは“華咲の悲願”か。)
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天元から提供された情報は多岐に渡った。
まず、これまで仮称加茂憲倫と呼んで来た術師について。
奴の名は“羂索”と言い、その目的は日本全土の人間を強制的に進化させるというものであること。
その目的のために奴は過去に二度、天元の身柄を狙い行動を起こしたが二度とも六眼の術師に敗れているということ。
そして天元自身について。
天元は500年に一度、
これらのことを踏まえた上での羂索の目的を予想するならば、それは日本全土を死滅回游で生まれた呪力で満たし、その呪力と日本全土と一体化した状態にある天元を利用して全ての日本人を強制的に何かしらの呪術的存在へと進化させることだという。
天元の言葉が確かならば状況はかなりひっ迫している。死滅回游の阻止と羂索の殺害。この2つを達成しなければ日本は壊滅するだろう。ただでさえ渋谷を中心とした首都圏が麻痺しているというのに今度は全国十か所に死滅回游の
この二都市が壊滅すれば日本国内が文字通り分断される。そうなれば物資の奪い合いから国内が分裂し内戦状態に陥ることも考えられる。2010年代に戦国の乱世に逆戻りなんて冗談じゃない。何せ人殺しの道具は格段に進化しているのだ。そうなれば最早呪霊ではなく人同士の殺し合いによってこの国は滅ぶだろう。
日本人全員を人質に取られたこの状態を脱するためには死滅回游を阻止しなければならない。だが、阻止と言っても回游の真の目的は未だ推測しか立てられていない状況だ。この状況では最適な対策を打つのは難しい。
「となると…」
「…だね 僕らも回游に参加して、ゲームに消極的な
「そのためには他の
伏黒、乙骨と集まった面々の中でも比較的“殺し”について割り切りが出来る者らが今後取るべき方策を口にする。高専を卒業した者や術師の家で育った者に比べ、高専の学生は対人戦闘の機会が少ない。故に“人を殺す”という行為について免疫が低い者も多い。逆にそうした行為に慣れている者が主導して話を進める。
「五条先生の解放も並行して進めましょう。あの人がいれば一人で全て片が付く。」
「天元様。」
伏黒の言葉を受けて虎杖が天元に質問する。
対して天元は羂索への対策として護衛に付く術師の選出を求めた。護衛には九十九と脹相の2名が残ることになった。九十九は天元に対して。脹相は羂索に対して。それぞれ因縁のある者が志願するという形で
護衛術師の選出が決まったところで天元は五条悟解放のための方策を開示した。それは『
「『天逆鉾』、『黒縄』、“天使”を名乗る受肉タイプ
「伏黒~。言葉が荒っぽすぎない?」
伏黒の発言に対し、虎杖がツッコミを入れる。状況を考えれば伏黒の姿勢の方が正しいが。
それにしてもこの虎杖という1年は周囲を明るくする雰囲気を持つ少年だ。彼の中に宿儺がいると言うことを忘れてしまいそうになる。
「
そう言って隆景は虎杖に目配せする。虎杖はすぐに意図を察したようだ。
「あ、宿儺のことね。オッケーオッケー。天元様。悪いんだけどちょっとの間俺だけ結界の外に戻してくれませんか?」
虎杖はフランクな態度で天元に頼み事をする。九十九と脹相を除く面々はあまりの気安さに肝を冷やすが、当の天元は気にした風では無い。だが、回答は意外なものだった。
「彼の術式を試すなら君が結界の外に出る必要は無いよ、虎杖君。むしろ賀﨑君が外に出て試した方が良いだろう。君の正のエネルギーだと私の結界まで影響を受けてしまうだろうからね。」
天元のその言葉に皆が興味を示す一方、隆景は顔に手を当てながら不満を漏らす。
「虎杖の中の宿儺に出来るだけ情報を与えたくなかったから態々目線で知らせたのに…。なんで言っちゃうんですか。」
「む。そうだったのかい。人の心までは分からないとはいったが、これは戦略的見地から思い至るべきだったか。すまない、私の配慮が足りなかったようだ。実戦を離れて久しいからかな、私も大分鈍っているようだ。」
素直な謝罪の言葉に驚く一同を余所に天元は『
「秤君、乙骨君と一緒に君を外に出す。だが注意することだ。元々『
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秤、乙骨、隆景の3人は
「ここまで来れば良いだろう。始めるか。」
受け取った『
「さっきの天元様の言ってたこと。ありゃどういう意味だ?」
隆景は手を止め、疑問に答える。
「今からやるのは反転術式を俺なりにアレンジした“浄の力”って奴でこの『
「?」
「ああ、それで天元様はあんなことを言ったんですね。」
合点がいっていない秤に代わり乙骨が答える。
「天元様は『
「そうそう。今は間違いなく呪いの固まりになっているけど人間の要素が残っていないとは断言出来ない。最悪、暴発して何が起きるかわからないから反転術式を使えるおまえ達が同伴者に選ばれたんだろう。俺一人で実験しても良いけど羂索に襲われる可能性もあるし、何より呪詛師の俺を全面的に信用するのは迂闊だろう。人の心まではわからないってのは天元様が自分で言ってたことだしな。」
九十九さんも反転は使えるだろうけどあの二人は訳ありみたいだしな、と九十九が同伴者に選ばれなかった理由を口にしつつ、隆景は術式の発動準備を終える。
「じゃあ行くぞ、領域展開『
隆景が鎧を纏うと二人はそれぞれ感想を口にする。
「本当に漫画のデザインなんですね。」
「スロになってないアニメは知らねーけど、相変わらずだなー。」
二人を余所に隆景は奥義を発動する。
これまでにも過去の術師が変じたであろう呪物はいくつも祓ってきた。だが、今回の『
「術式起動『
光が収まったときに現れたのは…
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「あれ?こういう感じ?」
四方に広がった
五条復活…ならず!