やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件   作:へーれ

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2024/08/12 13:50
タイトルに話数を入れ忘れてたので直しました。


第四十一話 「最強」

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「さらば、友よ。」

 

呪胎九相図の一番、脹相と元星漿体(せいしょうたい)であり特級術師の九十九由基。

二名の護衛を下した羂索は薨星宮(こうせいぐう)の最奥に隠されていた天元の体に手を触れる。呪霊操術の発動を妨げるものは何も残っていなかった。

 

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夏油傑…の体を乗っ取った羂索による死滅回游へのルールの連続追加。直前まで回游に参加せずに何らかの手段で(ポイント)を一気に獲得する手段を準備していたのか。

呪霊操術ならば呪霊は術師ではなく呪霊そのものの呪力で動作する。術師の呪力はあくまで呪霊を強化するものであり個体を識別する呪力は呪霊本来のものだ。ならば呪霊に命じて回游に参加させれば羂索自身は回游に参加せずに(ポイント)をストックすることも可能かもしれない。もっとシンプルに結界(コロニー)外の術師・非術師を予め捕えておきタイミングを窺って(ポイント)を得る手段も有り得るだろう。

 

計画していた作戦は変更せざるを得ない。今からでも羂索を仕留めに行くべきだろうか。コガネの情報によれば羂索の滞留地は青森結界(コロニー)のはずだ。自力での飛行では察知される可能性が高い…。また憂憂の力を借りざるを得ないか。

 

そう思案していた隆景の元へ先ほど真希を東京へ送り届けに行った当の憂憂が戻って来る。しかし何故か随分と焦っている様子だ。何かあったのか。

 

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「憂憂!お前はいますぐ隆景を連れて来い!私はここで宿儺を仕留める!」

 

憂憂の術式によって東京へ到着してすぐ。真希が目にしたのは全身に刺青のような紋様が走る姿に変貌した伏黒恵の姿だった。

そしてそれと対峙しているのは虎杖悠仁。

経緯は分からないが宿儺は今、伏黒の体に乗り移っている。

 

宿儺は虎杖が著しく消耗した二度の事例を除いて彼の体の制御を奪ったことは無い。平安の呪いの王を封じることが出来る千年現れることのなかった逸材、それが虎杖悠仁だ。

 

だが伏黒恵は恐らく虎杖ほどの「檻」の能力は持っておらず、このままでは宿儺は他の受肉体と同様に自由意思で暴れ回る災害と化してしまう。

故に真希は即座に決断する。伏黒を殺してでもここで宿儺を止める。

少年院後の蘇生や乙骨による死亡の偽装、そして賀﨑隆景の『剥形(はくぎょう)』による肉体の固定。ここで宿儺を取り逃がすよりも蘇生や治療に賭けた方が幾分かは割が良い筈だ。

 

「分かりました。ご無事で!」

 

そう言い残して離脱する憂憂の援護も兼ねて真希は宿儺との戦闘に加わった。

 

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「大変です、宿儺が!」

 

呼び戻そうと思っていた憂憂がちょうどよく戻ってきたと思ったらいきなり爆弾発言が飛び出す。

話を聞けば伏黒恵の体を宿儺が乗っ取り、それを止めるために虎杖と真希が戦闘中。憂憂は真希の指示で手が空いていることが確実な隆景を援軍として呼ぶために戻ってきたとのことだった。

 

(迂闊だった!虎杖が宿儺を抑え込む程の逸材だからといって他の人間が受肉に耐えられないとは限らない!なのにその可能性を排除してしまっていた!)

 

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恵のものとは大きさも呪力量も桁互いの威容を誇る宿儺の『鵺』。

真希はその電撃からは直ぐに復帰できたが、その後の虎杖との即席の連携で挑んだ肉弾戦。

体がまだ馴染んでいないのか、宿儺の『御厨子(みずし)』は聞いていたよりも随分と威力が低い。だが、呪いの王は出力の上がりきらない術式を巧みに操り攻撃を凌ぎ続け、遂には突如現れた女性術師と共に去ってしまった。

 

憂憂が隆景を連れて戻ったのは女性術師の放った氷塊からようやく脱出した頃であった。

 

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「間に合わなかった…!」

 

隆景が東京に到着した時には既に宿儺は現場を離れており行方を晦ましていた。

それに合わせてか羂索が≪泳者(プレイヤー)結界(コロニー)を自由に出入りできる≫という総則(ルール)を追加しており、コガネによると泳者(プレイヤー)としての「伏黒恵」は現在どの結界(コロニー)にも滞留していないことになっている。恐らく仲間と一緒に結界(コロニー)外に出たのだろう。

 

そして凶報は続く。

 

高専最奥の薨星宮(こうせいぐう)では九十九と脹相が敗れ、天元が羂索の手に堕ちた。

続けて何者かの手引きによるとしか思えないこのタイミングでの他国の軍事部隊による結界(コロニー)への侵入。彼らはその殆どが呪霊によって殺害され死滅回游の結界(コロニー)に呪力を供給するエネルギー源となってしまった。

そのエネルギーを使って日本人全員を天元と同化させるための“慣らし”も完了してしまった。天元と日本人の同化が未だに実行されていない理由は不明だが、羂索と対峙した脹相曰く奴は天元を手にして薨星宮(こうせいぐう)の結界を出ればこの国は終わりだと言ったそうだ。その発言自体は現状から察するに恐らくブラフだろうが日本の命運が羂索に握られているという状況には変わりない。

 

だが。ひとつだけだが絶大なカードがこちらには残っている。

あらゆる術式を消滅させる術式を持つ「天使」の受肉体、来栖華と合流することが出来た。

それに羂索の追加した結界(コロニー)の出入りを自由にする総則(ルール)によって、こちらも戦力を集結させることが出来る。

 

状況がここに至った以上は術師の全戦力をもって宿儺と羂索を打倒するほかない。

そしてその最大の戦力が今復活しようとしていた。

 

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来栖華が術式『邪去侮(やこぶ)梯子(はしご)』を発動させ、『獄門疆(ごくもんきょう)「裏」』を消滅させたことにより、「彼」が帰還する。

 

突如発生した地震が収まって少しの後、「最強」、五条悟が告げる。

 

「みんな、待たせたね。」

 




羂索大忙し
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