やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件   作:へーれ

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第四十三話 人と怪物①

 

 

12月24日

 

 

 

 

この国の命運を左右する五条悟と両面宿儺の決戦。

 

開幕の火蓋は楽巌寺嘉伸、庵歌姫による出力強化と伊地知潔高の結界による術式規模の隠蔽という補助を受けた五条による出力200%の虚式『茈』によって切られた。

 

 

それから両者は小手調べとも言えるような肉弾戦に移っていく。五条の術式による『無限』を突破する術はこの世界には殆ど存在しないといえる。事実、宿儺も術式による突破ではなく領域展延による打撃によって五条に攻撃を届かせることを狙っていく。また展延によって五条の『無限』を中和・弱体化させつつ建造物などの障害物によって圧し潰すことを画策するも五条悟は術式と六眼のみで強者であるのではない。渋谷で特級呪霊達を圧倒した格闘センス。宿儺の仕掛けは五条に有効打を与えることなく戦いは次のフェーズに進む。

 

 

 

「「領域展開」」

 

 

 

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呪術の極致、領域展開。五条悟と両面宿儺、それぞれの領域が激突する。

 

極限まで磨き上げられた領域同士が必中命令を巡って鎬を削る。二者が領域を発動した場合、より洗練された領域が相手の領域を塗りつぶし制圧する。恐らく呪術の歴史において史上最高となる領域の押し合いの結果は“互角”。

 

 

『無量空処』と『伏魔御厨子(ふくまみずし)』。五条の結界内において二つの領域は拮抗し付与した術式の必中命令は打ち消し合っていた。本来、領域が拮抗した場合は領域内での戦闘で先に多くのダメージを受けて領域の維持が不可能になった側が相手の術式効果をその身に浴びることになる。

 

そう、“本来”であれば。

 

 

 

「マジか!!?」「まさか!」

 

 

 

高専術師達が控えるモニタールームで戦局を見守っていた日下部篤也と冥冥が画面に映る現象を目にして驚愕の声を上げる。

 

 

 

 

“五条の結界内”では両者の領域の洗練度合いは互角だった。

 

 

宿儺は領域を“結界で閉じる”ことなく展開していた。その絶技により『伏魔御厨子(ふくまみずし)』の効果範囲は五条の領域の結界の外にまで及ぶ。

 

 

 

かつて特級呪霊、真人と対峙した際に領域の外部から内部へ侵入した経験のある虎杖はこの現象が行き着く結果にいち早く思い至る。

 

 

 

領域の結界は

 

 

 

「外側からの攻撃に脆い。」

 

 

 

五条悟の領域が崩壊したのはその言葉と同時だった。

 

 

 

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ただでさえ広範な効果範囲を誇る宿儺の領域の中に放り出された五条。平時であれば術式による高速移動で領域外へ離脱出来る彼だが術式を使えない今はそれも叶わない。宿儺の斬撃が絶え間なく五条の体に降り注ぐ。傷を治しながら離脱を図るが宿儺が格闘戦でそれを妨害する。状況を脱するために五条が取った手段は。

 

 

【シン・陰流『簡易領域』】

 

 

門外不出のはずの結界術を五条は誰に教わるでもなく習得していた。

 

 

簡易領域によって領域の必中効果を無効化しつつ反転術式で傷を治療する。

 

だが簡易領域は出力の面で本物の領域には劣る。おまけに宿儺との殴り合いの最中での展開。“自身の移動を禁じる”などの縛りで簡易領域の強度を上げることも難しく、五条悟であってもその結界はあっという間に破壊される。

 

再度簡易領域を展開するも五条の肉体に行われていた反転術式による治療は中断していた。

 

 

モニタールームに走る緊迫。

 

あの五条悟でさえも治癒が間に合っていない。

 

このまま宿儺に切り刻まれて敗北するのか。

 

 

 

しかし、

 

 

 

目にも留まらぬ高速移動。いつの間にか五条は宿儺に組み付いていた。

 

 

 

呪力による身体強化で戦っていたこれまでとは段違いの速度。

 

そして放たれるのは、

 

 

 

【術式反転】

 

 

 

(あか)

 

 

 

発散する“無限”が炸裂した。

 

 

 

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領域の使用直後はしばらくの間、術式の使用が困難になる。

 

 

 

領域展開の会得者が希少でその習得も会得者個人の感覚によるところが大きいため、この事象が発生する理由は実のところあまり詳しく判っていない。

 

術式は人体においては脳に宿るとされている。「されている」と表現したのは人体と脳そして術式の関係は現代の医学をもってしても未解明だからだ。

 

 

仮に脳組織の劣化や損傷により術式の使用が困難になるのであれば常に自身の脳を反転術式によって治療・回復している五条はそのデメリットを受けることは無い。

(最もその説が正しいならば、領域会得者は発動の度に脳組織が損壊していき、やがて生命活動そのものが停止してしまうだろうが。)

 

 

だが、“現代最強”、五条悟であっても領域の使用後に術式が使用困難になるという事象は克服出来なかった。実際、五条は術式が使用できない隙を突かれて自然呪霊の術式効果を受けたこともあった。

 

 

領域会得者の多くが領域展開後の術式使用が困難になる状態を“焼き切れ”と表現しており、その一人である乙骨憂太もこの事象を「オーバーヒートした機械が正常に動作しない」ことに例えて説明していた。

 

 

五条悟であっても領域の使用後は術式の使用は困難になる。

 

 

術師の誰もが、恐らく対峙している宿儺でさえもそう考えていたが、事実として五条は領域展開後のクールタイム経過を待たずに術式の再使用を可能にした。

 

 

それが如何なる無茶の上に成り立っているのか、それに思い至っているのは乙骨憂太と術式の直撃を食らった宿儺の二人だった。

 

 

 

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「領域展開」

 

 

 

五条が術式を回復させた技を見切ったのか、宿儺も焼き切れた術式を回復させていた。

 

五条と宿儺の領域合戦は続く。

 

 

今度は結界の対内条件と対外条件の逆転、つまり内側からの攻撃に強く外側からの攻撃に弱かった結界を内側からには弱く外側からの攻撃に強いものに作り替える。

 

領域は拮抗したが、次は宿儺が対内対外条件を切り換えた上で領域内での自身の必中命令をオフにする縛りで結界外での攻撃力を引き上げる。必中命令をオフにしている間に自身を襲う『無量空処』の術式効果は五条に触れることで凌ぎ結界を破壊するまでの時間を稼いだ。五条の領域が再び崩壊する。

 

 

 

「「領域展開」」

 

 

 

三度目の領域はバスケットボール大にまで大きさを絞って展開した。『獄門疆(ごくもんきょう)』という極小空間に閉じ込められていた経験があるからこそ為し得た絶技。

 

今度の領域は結界外からの攻撃にも持ち堪える。

 

 

3分間。

 

 

恐らく術式範囲を狭めて結界外の攻撃力を引き上げたのであろう。宿儺の領域が三度五条の領域を破壊したが結界外に表れた宿儺の『伏魔御厨子(ふくまみずし)』も同時に崩壊する。

 

 

領域内の戦闘では五条が宿儺を上回っていた。宿儺が領域を保てなくなるほどのダメージを五条は与えていた。

 

 

 

 

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「「領域展開」」

 

 

 

4度目の領域展開。

 

 

先ほどと同じく外殻の破壊と内部の戦闘ダメージで宿儺の領域が同時に崩壊する。

 

 

 

「「領域展開」」

 

 

 

五条にとって5度目の領域展開。

 

 

だが領域内で負った負傷を治療した分、今回は宿儺の領域展開がほんの僅かに五条よりも遅れた。それは0.01秒にも満たない時間だが宿儺に『無量空処』が直撃したことを意味する。

 

 

 

無量空処

 

 

 

無限の回数の思考や呼吸、すなわち“生きる”という行為を強制され宿儺が行動を停止する。その隙に攻撃を仕掛けようとする五条だったが…

 

 

 

布瑠部由良由良

 

 

 

八握剣(やつかのつるぎ)異戒神将(いかいしんしょう)魔虚羅

 

 

 

呪詩とともに突如顕現したその式神は『無量空処』を一撃で破壊した。

 

 

 




原作をなぞるだけなので不要かなと思う部分ですが、五条ファンなので書きたくて書きました。
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