やっと目覚めた術式のせいで呪詛師認定されそうな件   作:へーれ

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「(原作通りの話を書く)意味ね。 それ、本当に必要か?」
「大事なことだ。特に五条推しにはな。」



第四十四話 人と怪物②

五条の領域が魔虚羅によって五度目の崩壊を迎える。

 

宿儺はこの戦いの中で魔虚羅どころか『十種影法術』の影や式神すらも用いていなかったが、それは別の用途に既に使用していたからだった。

 

「領域でのみ発動する術式効果『無量空処』。正直なところ厄介だと思っていてな。」

 

それが『無量空処』の術式効果への適応。

 

宿儺は自身と魔虚羅が『無量空処』の効果を受けることを避けるために、彼の裡に眠る伏黒恵の魂に適応を身代わりさせていたのだ。そして5度目にして『無量空処』への適応を終えたことを見計り、魔虚羅を召喚。自身が術式効果で死亡する前に『無量空処』への対抗策を完成させたのだった。

 

「肩代わりしたのは“適応の過程”で“結果”じゃないだろ。」

 

再び帝釈天印を結びながら五条は宣告する。

 

「僕がまた領域を展開すればオマエは魔虚羅を出さざるを得ない。次は一撃で消してやるよ。」

 

対して宿儺は余裕を崩さない。

 

「貴様はもう領域を展開できない。」

 

その言葉のとおり、五条は領域を展開出来ずに鼻から血を流すに留まる。

自身も同じ技術を使ったからこそ宿儺は五条の限界を見抜いていた。

五条は自身の脳の一部を破壊し、反転術式で治すことで焼き切れた術式をリセットするという綱渡りの荒業を行っていた。ここまでは戦闘に支障なく治癒出来ていたが遂に限界が来てしまった。宿儺は術式リセットを行った回数が少ない分まだ限界は訪れていない。

 

「次、俺は領域を結界で閉じる。逃げ道は無い。」

 

「領域展開。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

術式の性能では五条が上回っていた。呪力操作の精度もそうだ。

 

だがその差を宿儺は覆した。

他者の体を乗っ取るための計画を立てる周到さ。手に入れた術式を駆使して六眼持ちすらも欺いた計略。

呪いの王の真骨頂ともいえるその意地汚さが、六眼と無下限そして五条悟という呪術界の頂点を喰らおうとしていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

爆発。

 

宿儺が展開しようとした『伏魔御厨子(ふくまみずし)』は形を成す前に崩壊、四散した。

 

宿儺が自らの脳を破壊、再生を行い焼き切れた術式をリセットした回数は五条よりも少なくそこで負った脳への負担は必然的に五条よりも少ない。

 

だが、宿儺と五条には違いがあった。

 

それは五条の『無量空処』を浴びたこと。

延べ10秒にも満たない時間だが、宿儺の脳はその間に領域の展開が不可能になるほどのダメージを受けていた。

 

「生徒が見てるんでね。」

 

“史上最強”両面宿儺

“現代最強”五条悟

 

「まだまだカッコつけさせてもらうよ。」

 

戦いは第2ラウンドに突入する。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

領域を用いない五条と宿儺の呪術戦。

宿儺は魔虚羅の方陣を自身の頭部上方に展開。五条が自身の周囲に展開している『無限』の障壁に対しての魔虚羅の適応を進める。

 

宿儺の『御厨子(みずし)』は五条の『無限』に阻まれ届かない。五条に攻撃を当てるためには宿儺は領域展延を使うほかない。だが展延は術式を中和出来るが生得術式との併用は出来ない。宿儺本来の術式である『御厨子(みずし)』だけでなく伏黒恵の術式である『十種影法術』もそれは同様で、展延で五条の術式を中和する間は魔虚羅の適応も中断する。

 

五条は『無下限呪術』では説明できないような超常現象を起こしながら攻撃を続けるが宿儺を仕留め切る前に魔虚羅の適応が完了する。

適応を済ませた上で顕現した魔虚羅は『無限』を突破して五条を切り裂く。

更に『十種』の式神である『鵺』に『虎葬』、『円鹿』、『大蛇』の能力を引き継がせた『嵌合獣(かんごうじゅう) 顎吐(あぎと)』をも顕現させ今度は宿儺が優位に立つ。

 

適応により『無下限呪術』全般への耐性を高め続ける魔虚羅、『円鹿』から引き継いだ治癒能力により再生を繰り返す顎吐(あぎと)。共に一撃で仕留めなければ撃破できない。

五条に求められているのは虚式『茈』の発動。それが分かっているからこそ宿儺は顎吐(あぎと)を呼び出し連携させることで五条にその隙を与えない。

 

顎吐(あぎと)の破壊を優先して動く五条に対し、宿儺は『十種』の影に潜み不気味に機を窺っていた。

 

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絶対防御を失ってもなお奮戦する五条だったが、魔虚羅が宿儺の“飛ぶ『解』”のような斬撃を放ったことで右腕を上腕半ばから斬り飛ばされる。

 

モニタールームの術師達は魔虚羅が宿儺の『御厨子(みずし)』さえも学習したのかと戦慄するが、同じく観戦していた隆景にはそれがより異質なものに見えていた。

 

(!? 錯覚か? モニター越しなのになんだこの不気味さは?)

 

違和感の正体が掴めずにいる隆景は疑問を言語化も出来ず、モニターに映る戦況は更に進行していた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

二度目の『黒閃』を打ち込み、更に最大出力の『蒼』で顎吐(あぎと)を圧殺した五条は続けて二度の『黒閃』を発動させボルテージを上げていく。

 

そして顎吐(あぎと)を圧殺した後も解除していなかった『蒼』に向けて呪詩で威力を高めた『赫』を打ち込むという形で宿儺に術式を見誤せることに成功する。

『赫』の到達前に適応を終えた『蒼』を消失させるべく動く魔虚羅、『穿血』を模した高圧水流の噴射で『赫』を暴発させようとする宿儺。両者の動きを見事に阻んだ五条はダメ押しの呪詩を唱えることで続く一撃の威力を更に高める。

 

「“九綱 偏光 烏と声明 表裏の間”」

 

『蒼』と『赫』が空中で衝突し仮想の質量を押し出す。

 

 

 

虚式『茈』

 

 

 

自身を巻き込むことも厭わずに放たれた無制限の『茈』が一帯を吹き飛ばした。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

五条の放った渾身の『茈』によって魔虚羅は消失、宿儺自身も左手の欠損を含む重傷を負っている。

対して五条は黒閃により一時は低下した反転術式の出力も取り戻し、宿儺ほどの傷は受けずに健在。

 

モニタールームで見守る術師達は五条の勝利を確信していた。

 

 

“世界を断つ斬撃”。それが放たれるまでは。

 

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