ブルアカ概念置き場   作:珱瑠 耀

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続いた。

こういう概念を描いてる時が一番楽しいですね。


造花:抱擁

 

 

 

「ミドリー?いるー?」

 

ゲーム開発部の扉を開けて、多分中に居るであろう妹を探す。

 

レトロゲームが敷き詰められた部室の床を、それでも一度もぶつかる事なく進んでゆけば、目当ての人物は布団にくるまっていた。

 

私達が部室に泊まる時に使っている布団がこんもりと丸くなっており、かたつむりみたいだなぁなんて。

 

「ミドリ、聞こえる?」

 

布団から飛び出したヘイローが、ミドリが起きている事を知らせてはいるけど。

 

それでも、「聞いてるだけでいいからね」という意味を込めて。

 

「多分、ユウカはただ気になっただけなんだと思うよ?怒ってるような雰囲気はなかったし、『どうすればいいの』って私に聞いてきてたから」

 

「きっとね、ユウカは受け止めてくれるよ。あんなに心配した顔、初めて見たもん」

 

「……おねえちゃんは」

 

「?」

 

一区切りしたところで、布団の中から小さな声。

 

「お姉ちゃんは、嫌じゃないの?自分が———」

 

 

 

———人間じゃない、って言われるの

 

 

 

「大丈夫だよ」

 

「っ」

 

布団の端を掴んでいた手に、布団越しで手が乗せられる。

 

「私はね、人間かそうじゃないかである前に、ミドリのお姉ちゃんだから。ミドリが私を姉だって言ってくれて、私がミドリを妹だって言う。それ以上に必要なものなんてないよ」

 

「でも、私の勝手で、お姉ちゃんは」

 

「勝手じゃない!」

 

震える手に力を込める。

 

「私がお姉ちゃんなのは、私が()()()()()()って思ったから!最初にミドリがそう在ってほしいって思ったのと同じで、あの時も今も私もそう思い続けてる!」

 

そうして、だから、と一息。

 

「……だから、大丈夫。私を信じて?ミドリ」

 

 

 

じんわりと暖かくなる手をぼうっと見つめて、ミドリは次に出す言葉を探っている。

 

眩しい。

 

無機物で出来た命でさえ二の次にしている姉が、ただただ眩しい。

 

私はそんな姉を利用しているだけの、ただの臆病者。

 

彼女の設定された明るさを使っている卑怯者。

 

「……こわい」

 

「?」

 

「言って、その後が……怖い、よ」

 

だから、弱音を吐いて。

 

「……大丈夫、私もついてるから!二人なら怖くないよ!」

 

貴方の優しさに甘え、また利用してしまうのだ。

 

 

 

 

 

どのくらいそうしていただろう。

 

その空間を破ったのは、モモトークの受信音だった。

 

私達ともう一人、三人だけの秘匿されたグループ。

 

「……あ、()()からだよ」

 

その三人目からの、定期的な連絡だった。

 

「『もうそろそろ検診するから、都合がいい日を教えてくれ』だってさ、ミドリ」

 

あぁ、それならこちらも()()()()()

 

「ねぇ、お姉ちゃん」

 

スポ、と布団から顔を出して、姉の方を向く。

 

「んー?どうしたの?」

 

その頭を優しく撫でてくれる姉。

 

「—————————」

 

「———いいね、そうしよっか!」

 

そうして、私の考えた案に姉は、二も無く即答するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モモイが言ってたのはこの辺り、かしら……?」

 

数日後、モモイから連絡をもらった早瀬ユウカが来たのは、D.U.アザミ地区の端の方にあるとある地点。

 

以前ミドリが混乱して追いかけて行った後、夕方になって突然連絡が来たのだ。

 

『ここの店に来て!』

 

という短すぎるメッセージと共に。

 

モモイらしいざっくりとしたメッセージではあったが、ユウカはこのメッセージの真意がわかっていた。

 

はぁ、と小さく溜息を溢す。

 

「先生はトリニティの仕事でこちらの仕事に掛かれないし……大事になった気しかしないわね……」

 

そうしてさらにマップの通りに進む事数分、彼女はとある場所で足を止めた。

 

「『EQUIP Midnight』……普通によくある武器店よね、これ」

 

外観はどこにでもあるようなお洒落なデザインで、扉を開くとからんころんと鈴が鳴る。

 

「いらっしゃ……おや、君が()()かな?」

 

その音に反応して奥から出てきたのは、紺色のエプロンが良く似合う女性だった。

 

ざっくばらんに切られた灰色の髪が軽い癖になっていて、柔らかい雰囲気の目と整った鼻口が優しくこちらに微笑んでくる。

 

背は私より少し高いくらいだろうか?すらっとしていて大人の女性という言葉がしっくりくる。

 

「え、ぇと……モモイからここに来いと……」

 

「うん、聞いてた話と同じだ。青髪でツインテールの先輩が来るって聞いててね」

 

ふふふと笑う女性にほんの少しだけ目が奪われる。

 

「あっ、の……早瀬ユウカ、ミレニアムサイエンススクールの二年です」

 

それをどうにか振り払って自己紹介をすれば、向こうからも同じような言葉が返ってきた。

 

「ありがとう。僕は沖田(おきた)キキ、ミレニアムサイエンススクールでエンジニア部に所属していた()()()だよ」

 

「エンジニア部……えっ、卒業生!?」

 

あのエンジニア部の!?とびっくりして彼女を見れば、あははと朗らかに笑いながら沖田先輩は後頭部を掻く。

 

「いやぁ、あの頃は本当にいろんな事をしたよ。6種類の武器に分離・集合する剣とか、銃弾を磁力で反発させるアーマーとか……そうそう、宇宙戦艦用レールガンってあったでしょう?あれの初期段階の設計図、僕が描いたんだよ」

 

 

「アレを設計したんですか!!?」

 

 

「計画だけだけどね。まさか後輩が本当にアレを作って、ましてや振り回す子が出るとは思わなかったけどね……」

 

アリスちゃんのことね……と私は軽い眩暈を抑え、先輩は遠い目をしていた。

 

「……さて、それじゃあ……取り敢えず、表の看板を裏返して鍵を閉めてくれるかい?()に行こう」

 

「あっ、はい」

 

そうして戸締りを終えた私は、手招きされるままに先輩の後ろをついて行く。

 

「……ここの通路の先はね、ミレニアム自治区外にある『廃墟』のうちの一つに繋がってるんだ」

 

「それって、アリスちゃんの……」

 

「そう。僕も初めて聞いた時はびっくりしたよ、まさか()()()()()()()()()に二回も会うなんてね」

 

それを聞いて、まさか、と小さな声が漏れた。

 

「さ、着いたよ」

 

その声が聞こえているのかそうではないのかは、もう問題じゃなかった。

 

だって。

 

 

 

「———モモイ?」

 

 

 

いつも元気なはずのモモイが、その扉の先で機械に囲まれて眠っていたのだから。

 

 

 




6種類の武器に分離・集合する剣はFFの合体剣、銃弾を磁力で反発させるアーマーはアイアンマン・アーマーのことです。

オリジナルの生徒を生やした関係で、タグに「オリジナルキャラ」「オリジナル生徒」を追加しました。



名前:沖田(おきた)キキ
年齢:19歳
所属:元ミレニアムサイエンススクール エンジニア部
身長:169cm
誕生日:4/11
特技:発明、設計、整備
趣味:からくり制作
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