Q.『ドキドキ文芸部』ってホラゲーなんですか? A. ギャルゲーです   作:もどき

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実生活が結構忙しくなかなか執筆時間がとれないため、評価が思ったよりも高かったら続けてみようかなと思ってます。


1話

カナトの日記────

 

 

 

 

〇月〇日

 

ドキドキ文芸部。

僕が生きる前に生きていた時。つまり、『()()』で何回か聞いたことのあるゲームのタイトルだ。

こういうのにとてつもなく疎いボクが知っていたぐらいなんだからかなり有名なゲームだったんだろう。

 

どうして人生で初めての日記の冒頭が前世のゲームについてなのかは至極簡単だ。

なんなら、このゲームこそこの日記を書く意味といっても差し支えない。

 

理由は単純。

僕はもしかしたら……本当にもしかしたらなんだけれど、僕は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()宿()()()()()()()()()

 

……自分で書いていて何なんだけれど、かなり馬鹿らしい状況だと思う。

人が転生して新たに生を授かる。

これは別にそれほど馬鹿げた話ではない。

 

仏教でも輪廻転生という言葉がある通り、古くから人の魂は肉体が朽ちてもなお再生し続けると信じられているし、現代でも輪廻転生の考え方は浸透しているし、科学の力で存在しないと断定できないでいる。

 

死んでからまた生きるといったプロセスは特別不思議というわけではないんだ。

……だからと言ってこの身をもって体験するとは思わなかったけど。

 

でも………でも!ゲームの世界に転生したという話はいくら何でも馬鹿らしすぎる!

大体そんな事実があったら、世界を想像しているのは神でも大自然の力でもなんでもなくて、コンピュータを片手にした人間の力ということになる。

文字に起こすとよりとんでもなさが際立ってくるように感じるよ。

 

……愚痴はまだ星の数ほどあるにはあるけれど、なんだか日記を書いているという気がしないのでここらでやめにしよう。

 

 

話を戻すと、僕はおそらくドキドキ文芸部の世界にいる。

一万歩譲って、ゲームの世界に転生してしまったというのは見逃そう。

だけれども、一つ最大の問題がある。

 

このゲームが()()()()()()らしいということだ。

『らしい』とつけたのは単に僕自身、あんまりこのゲームの知識がないから。

 

……何がそんなに問題かというと、僕は超が付くほど怖いのが苦手なんだ。

冬の少しあたりが暗くなってきたころの夕方の学校とか、ちょっと雰囲気があるさびれた神社とか、もっと言えば後ろからワッ!と驚かされるだけでも体中がビクッッ!!となってしまう。

ましてや、ホラーゲームなんてもってのほかだ。

 

生まれてから一度もホラー映画もホラーゲームも見たこともやったこともない。

それぐらい、本当に怖いのがダメなんだ……。

 

でも、じゃあなんで『ドキドキ文芸部』なんてホラーゲームを知っているんだという話になってくると思う。

 

理由は単純、僕のことを怖がらせようとしてきたやつらがこのゲームを勧めてたからだ。

僕の友達は僕が極度の怖がりだということを知っているにもかかわらず、このゲームを大絶賛して是非カナトにも!!……と言ってパッケージを見せながら「怖くないよ~」といった感じで勧誘してきた。

 

その時点で嫌な予感がすると思ってトイレに行っている間にスマホで調べたら、案の定というか浅はかというかやっぱりホラーゲームっぽかった。

いや、あんなの誰だって気づくさ。

明らかにいつもとは違うといった感じでニヤニヤしながら近づいてきやがったんだ。

 

その後、僕の友達たちは違うよといった感じで弁明してきた。そのためにこのゲームの特徴とかをぺらぺらとしゃべっていたのだ。

……まあ、そんな努力空しく結局僕はこのゲームをやらなかったんだけどね。

 

これが僕と『ドキドキ文芸部』というゲームとの初めての出会いだった。

まさか、新たな世界で待っていたのがこのゲームだなんて想像もできなかったけど。

 

そんなこんなで今僕はこの世界を生きているわけだけど、日記を書くのもこのゲームがホラーゲームだとわかっているからだ。

……ホラーゲームと日記の関連性なんてないじゃないかと思うかもしれない。

だけどこれは本当に重要だ。

 

その理由は……

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

……アホかと思われるかもしれないが大事なことなんだ!

 

だってホラーゲームだよ!

あんなパッケージしてても、中を覗けば次々とゾンビに食われてヒロインたちがゾンビになっていくB級映画っぽい内容だとしても何らおかしくはない!!

 

……仮にゾンビにならないとしても人体実験をされて人の心がなくなってサイボーグになっちゃった!とか嫌すぎる。

だからこそ、昔の僕を忘れないようにするためにも、ゾンビ化した僕が心を取り戻すためにもこの日記は必要なんだ!

やけに説明が多いのもこれが理由だ。

内容が多ければ多いほど、ゾンビ化した脳の中にあるわずかな記憶を呼び覚ますかもしれない!

 

……そんなわけで今日から日記を書くことにした。

幸いにも前世ではそこそこ勉強は頑張ったから、この世界で少しぐらい別の時間に費やしても問題はない。

 

良き人生を送るためにも、ゾンビ化しないためにもこの日記を続けていきたいと思う。

今日はこれぐらいにしよう。

明日から本格的に日記を始めよう。

 

……よく考えなくても今日のこれって日記じゃないな。

 

 

 

 

 

〇月◇日

 

昨日から日記を始めてみたけれど、よく考えてみれば僕の学校生活に日記を書くだけのストーリーがあるのだろうか?

考えた結果、なかった。

 

……この事実に気づいたときは、それはもう悲しさとか空しさとかそういうのじゃ言葉に表せない感情があふれた。

この気持ちと似たようなことがあるシチュエーションを挙げるなら、夏休みの最後の方に何をしたっけ?誰と遊んだっけ?と自分自身に質問して驚くほど回答がなかった時と似ている。

 

流石に何にも書かなかったら、いずれゾンビに襲われたときに心を取り戻すことなんてできやしないから、無理やり今日起こったことを書き連ねよう……。

 

とりあえず今日の朝は少し遅刻しそうだった。

日記を昨日から始めたこともあって、いつもよりも少しだけ寝る時間が遅かったんだ。

 

正直、昨日は日記を書いていた途中から結構遅い時間になっていたから後半は焦りながら書いていた。

途中でもう終わろうかなと思ったけれど、さすがに記念する日記第一回目なんだからしっかりと書こうとした結果、いつもよりも一時間ぐらい遅い時間になってしまった。

 

急な睡眠生活の改変に無力な僕が耐えれるわけもなく、今日の朝は時計を見て変な悲鳴が出てしまった。

 

そんなこんなもあって朝はだいぶバタバタしていた。

 

なんとか家を出る時間に間に合わしたが、いつもの家を出る時間から10分ぐらい遅れてしまった。

僕が遅れてしまったから、家の前にはいつもなら僕が迎えに行っているはずの()()()がいて、真っ先に話しかけてきた。

 

「遅いよー! 熱でも出したんじゃないかって心配してたんだよ!」

 

わたし、不機嫌です。みたいな顔をしながら詰めてきたから対応に困ってしまった。

僕だってサヨリに心配をかけるつもりはなかったんだから許してほしいと伝えたら以外にあっけなく許してもらえた。

 

………どうせだったらサヨリについてもっと書くか。

今のままだと書く内容が遅刻しかけた話だけになりそうだし。

 

 

一言で僕とサヨリの関係を表すと『幼馴染』という言葉がしっくりくる。

本当に昔からの付き合いで、腐れ縁というわけでもなく、この世界での数少ない女の子の友達として仲良くさせてもらっている。

高校生になった今でも、たまに一緒に遊ぶほどの仲だ。

 

………そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

何が言いたいかというと、僕がここが『ドキドキ文芸部』の世界だと気づいた原因がサヨリなのだ。

 

……そういえば、昨日の日記には気づいた原因を書いてなかった気がする。

 

僕が前世で生きていた時、同級生から『ドキドキ文芸部』のゲームをめちゃくちゃしつこく勧めてきたんだけど、その時に何度かパッケージや画像を見せてもらったんだ。

……本当にうろ覚えだけれど、その中の一人に()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()

 

今になってそのことを思い出した訳は、正直書きたくなさすぎるので割愛する。

 

……サヨリについてはこれくらいでいいか。

 

 

話を戻すと……と、書いたもののこれ以降特にこれといった書きたいことはなかった。

……強いて言うなら今日のサヨリの髪型が結構好みだった。

 

最近、どうやらサヨリはヘアスタイルにこだわっているらしく、今日もいつもとは少し違った雰囲気が感じられた。

 

本当に最近どんどん可愛くなっている気がする。

好きな人でもできたのかな?

 

とりあえず、昨日の自分の二の舞にならないよう、今日はもう寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚めた時にベッドから起き上がる理由が、何にもない。

 

何の価値もないわたしがやることなんて、何にもないの。

 

 

なんで学校に行くの?

なんで食べるの?

 

          なんでどうしようもない私なんかのために、誰かが時間を費やすの?

 

 

 

  誰かを幸せにしないといけない

 

 

               誰かから幸せをもらってはいけない

 

 

 

 

   完璧に無価値なわたしがやることなんて何もない

 

 

                      でも、みんなを幸せにしないといけない。

 

 

 

      わたしは幸せになる必要なんてないんだ

 

 どうせいつかわたしだっていなくなる時が来る

 

 

           そのときにどれだけわたしはみんなのことを幸せにできていたのかな?

 

 

                   わたしは最低限がんばれていたのかな?

 

 

 

     みんなを悲しませてしまわないかな?

 

 

 

 ああ、そんな風に思われたらわたしに意味なんてなくなる

 

                  最初からわたしがいなかったなら

 

 

        せめてもっと早くにいなくなっていたら

 

 

  みんなもっと幸せになってたのかな?

 

 

                         きっとそうだ。

 

 

          私に価値なんてないから

 

 

 

だから………

 

 

 

 

わたしなんてこの世に必要とされていない

 

 

 

 

 

………でも

 

 

 

 

 

 

 

そんな私を肯定してくれた人がいたんだ。

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