Q.『ドキドキ文芸部』ってホラゲーなんですか? A. ギャルゲーです 作:もどき
カナトの日記──
〇月△日
今日で日記を書き始めて三日目だ。
三日坊主で終わらしたくはないから、なにがなんでもこれで明日は日記を書かなければならない。
『三日坊主』という言葉がある限り、僕は何に対しても三日目で終わるなんてことは絶対にないだろう。
……四日目や一週間で終わったことは多々あるんだけどね。
そもそも三日坊主という言葉が悪いと思う。
一週間坊主とか、一か月坊主とかもっと長いスパンの言葉にしてくれれば、僕だって何に対しても一週間とか一か月続くと思う。
本当に、誰か偉い人が変えてくれないものかな。
………相も変わらず、僕は日記を書くとなると話が脱線する癖がある。
いや、だって楽しいんだよ。
こういうクソほどどうでもいいことを書くの。
男子高校生みたいな何もないけど面白い会話とはまた少し違う気もするけれど、こうやってどうでもいいことを一日が終わってゆっくりしている時にふと考えてみると、なんだかいつもとは違う満足感のようなものを得れる気がする。
これからもやめようと思ってもどうせやめれないだろう。
もう僕はどうでもいい話中毒だ。
今日起こったことを思い出してみると、たいそうなことは起こらなかったものの、思わぬ出会いがあったのでかけることは多そうだ。
まず、今日の朝はいつも通りサヨリと一緒に登校した。
いつも通り他愛もない会話をしていたんだけど、どうやらサヨリも日記を書き始めたみたいだ。
どうしてか聞いてみたところ、僕が日記を始めたからサヨリも日記を始めたらしい。
……何で僕が日記を始めたらサヨリも始めるんだ?という永遠にループしそうな質問をしようとしたけど、やめておいた。
なんでかわからないけど、教えてもらえなさそうな雰囲気があったからだ。
まあ、自分も日記を始めた理由をそんなに詳しく……というか全く言わなかったから、お互いさまということで納得した。
サヨリとの登校の話で書けることはこれくらいかな?
他に書くことがあるかな言われれば、ほぼ何にもないと言わざるを得ないけど。
……あと、久しぶりに
高校一年生の時からまったく会わなかったから、久しぶりにちょっとだけ話した。
せっかくだし、モニカについてもこの日記に書いておくか。
いつか僕がゾンビになってこの日記を見た時、多くの人の情報を書いた方が思い出のどこかに刺激してくれるかもしれない。
まあ、あまりモニカとの思い出はないんだけどね。
………本当に日記だけの秘密なんだけど、モニカってなんだかゾンビ世界でも生き残れてそうな感じがする。
完全に直感というか勘というか偏見なのだけど、なぜだかそんな感じがする。
……こんなことを言ってしまった日には絶対に殺されるから決して言うことはできないが。
モニカは僕が高校一年生だった時のクラスで一緒になった人だ。
勉強もスポーツもなんでもできる──いわば高嶺の花的な存在だった。
話し方も理知的で魅力的だったけど、そんな完璧な存在だったが故、男子たちは単純に話しかけられなかった。
うちの高校の男子たちは自分の身の程をわきまえているところは評価できる。
もちろん、僕も例外じゃないんだけどね!
だけれど、同じクラスということもあって、少しぐらいは話すことがあった。
そこそこは仲は良かったとは思う。
僕たち二人は二年背になった今では、それぞれ館が違うため、二年生になってから一切見かけることがなかった。
だけれども、今日の昼休みは僕が久しぶりに食堂で昼食を食べようとして、廊下を歩いているとばったりとモニカと会ったんだ。
そこからはモニカと一緒に食堂に行って、一緒に昼食を食べた。
どうやらモニカは今日は一人で昼食を食べようとしていたらしく、別に女友達とかと食べようとしていなかったため、同席させてもらうことにした。
一年生の終わりからまったく会ってなかったこともあって、話は盛り上がって結構たくさんのことを話せた。
大体の会話の一部始終は覚えているから、忘れないうちに書いていこう。
「そういえば、私が新しく部活を作ったのは知ってる?」
「……いや、知らなかった。ということはディベート部はやめたの?」
「そうね。部内政治にうんざりしていたころだったから」
「あー、確かにそれは面白くないよな。……まあ、僕は部活には入ってないんだけどね」
モニカが部活を新しく作ったなんて話は僕にとっては初耳だった。
僕は基本的に情報弱者だからそういう情報がなかなか入ってこない。
だから、前世では恋愛関連の話に僕だけ全くついていけないなんてことが多々あった。
友達によれば、恋愛関連の情報は一日たてば学校中に広まるらしい。
………そんなこと、あるのか?
「あれ? サヨリから部活の話を聞いてないの?」
「ん? なんでサヨリの話がここで出てくるんだ?」
本当にこのときはどうしてかわからなかった。
だって、モニカは一年生の時も二年生の時もサヨリとは別のクラスだったはずだ。
何で知っているんだ? という思いで頭がいっぱいだった。
「確かにサヨリは最近部活に入ったらしいけど──あ、もしかして!」
「そういうことよ。だから私がサヨリを知っているってわけ!」
なるほどなあ、と思った。
どうやらサヨリはモニカにお世話になっているらしい。
サヨリからは部活の話はされるものの、部活のメンバーの話はあまりしてこなかったから、モニカがその部活にいることに全然気が付かなかった。
「なるほどねぇ。ということはモニカは
「そうよ。カナトもぜひ来てくれると嬉しいわ。………きっと、サヨリも喜ぶわよ」
確かに知っている人が部活のメンバーに加わったらサヨリでなくても誰だって嬉しいものだろう。
割とありかもしれないと思いながら僕は口の中を空にし終わってから言った。
「前向きに考えておこうかな」
「ふふっ、お願いね」
ここからまた他愛のない会話を続けたわけだが
あれ? ちょっと待って?
モニカは文芸部を作ったんだよな??
そして、その文芸部のメンバーの中にはサヨリがいる。
さらに考えると、僕は最近、この世界が『ドキドキ
そして、それを気づかせてくれたのはサヨリで、その
やばい。これ偶然じゃないな。
なんで今日の昼は気づかなかったんだ??
いや、あの時は単純にモニカに会えたからそんなこと考えてなかっただけではあるんだけど……。
それにしたって、間抜け過ぎないか自分?
普通、モニカが文芸部を作ったって時点で気づくだろ。
今思い出してみれば、パッケージにモニカの姿もいたような気もしなくもない。
これはちょっとまずいかもしれない
なにがまずいって、サヨリとモニカがこの世界の元である『ドキドキ文芸部』とモニカが作った文芸部と関係があるのならば、少なくとも彼らは
何が問題かって『ドキドキ文芸部』は何度も言うが
つまり、サヨリやモニカ、さらには他の文芸部のメンバーまで巻き込まれる可能性がないとは言い切れないんだ。
………でもなぁ、今までこの世界を過ごしてきてこの世界がホラーゲームっぽいって思ったことないんだよなあ。
ただの僕の勘違いだったらいいんだけど……。
………まあ、今僕ができることなんてないから今心配してもどうもならないか!
結局この事実に気づいたところで、『ドキドキ文芸部』のゲーム内容を全く知らない僕からしたらできる対策なんて欠片もない。
今は、この第二の人生を謳歌するぐらいしかやることがないのかもな。
じゃあ……この世界を思い存分に楽しむしかないな!
こうやって開き直ると悩みがだいぶ薄れてきた。
あんまり心配しすぎることもないかもしれないな。
……これが現実逃避じゃないかって言われればそうなんだけどね。
………そういえば、友達も「これホラゲーじゃないから! ギャルゲーだから!」って言ってたな。
もしかすると、このゲームはちょっとだけホラーとかそういう感じかもしれない。
単純に僕をだますためのウソ偽りにまみれた言葉かもしれないのは否定しきれないけど……。
まあ、深く考えすぎるのはやめにしよう。
今日の日記もここまでにしよう。
………だいぶ時間がたっちゃったな。
もう早く寝ないとまずいな。
またサヨリに叱られる。