同郷の奴隷達から、人間だけの理想郷の噂を聞かされるが、拳銃を突き付けるダークエルフの女に買われ。
――脱衣を命じられる。
コメディチックな展開が若干……あります。
書きたいとこに中々たどり着かない……
俺は命じられるまま、服を脱いでいった。
先ず制服のシャツの上ボタンを外し、首の袖付近を両手で指で摘まんで一気に脱いだ。
……イーレシスンの様子を伺う素振りを見せると、表情を動かさず首と肩、組んだ腕の筋肉が隆起し、ベッドの沈み込みが深くなったように見えた。あれは腕を動かす前駆動作だ! イラついてるらしい……ここは早く脱いだ方が良さそうだ。
シャツも同じ要領で脱ぐ。
そうすると乳首が外気に晒されたのを感じた。
見えているはずだ。そのことを意識すると俺は、なんだか急に恥ずかしくなってきてしまうのだった……。
異世界転移する前に絆創膏でも張っておけばよかったか。どんな変態だよ! と自分の中でノリツッコミしていた。
「……下もですか」
「ち、早くしろよ」
俺は脱いだシャツを地面の制服の上へ重ねると、ズボンのベルトを緩め始めた。
これから
ズボンを脱ぐと前かがみにならざるを得ない状態になってしまった。流石にこの状況下で
パンツを下した。なにか行動に起こす前兆を見て、反射的に慌てて脱いだのだ。
壁から身を起こすところだった。いままさにイーレシスンに目をやると、こちらへ飛び掛からんばかりの圧力を感じた。コレは絶対、某怪盗三世のようにアレ目的で飛びかかるつもりではないな、と確信させた。
――そして俺は生まれたままの姿をさらした。ただし股間を抑えた姿勢でだ。
そういえば、部屋のドア開けっ放しだった。
「ドア、閉めましょうか?」
「なんで俺に聞くんだ。そんなんどうでもいいから」
えー……そういう癖なのか……
そんなイーレシスン姉さんは、相変わらずベッドの上で壁に背を持たれて腕組みしている。
「あれ? イーレシスンさんは脱がないんですか?」
槍の石附が股間めがけて伸びてくる! 一切の予兆なく槍で攻撃を繰り出してきたのだ!
俺はとっさに――『ステータスオープ』
ゴス
「勘 違 い し て ん じ ゃ ね ー ぞ 。 マ セ ガ キ が!」
地獄の時間が終わらない! 加速したせいで、痛みまで引き延ばされたのだ――!
俺は加速する時間の中でゆっくりと。ゆっくりと……崩れ落ちた。俺TSするかもしれません。
『と・じ・ろ』
パサ
悶絶中の通常モードに戻った俺の顔の横に、麻の服が投げてよこされた。
「ソイツを着ろ」
イーレシスンは俺が脱ぎ捨てた服を拾い上げると、上に置いたスマホや、ポケットの中を全て取り出した。
「そ、それは……ぅぉぉ」
「お、タバコじゃん。……コレ、ゴムか……」
イーレシスンは俺を微妙な顔で見下ろすと、吟味を再開した。
というか当然のように俺の物を物色してるんだが……!
「栄養剤……? なんでこんなもん持ってんだ? それに、岩塩? 変わってるな。お前。あとカギな」
そして彼女はこちらへスマホをおもむろに向けてこう言った。
「はいチーズ」
――!
俺の全裸の写真を撮ったのか!? ……コイツ……。
……あれ? 音がしなかったが……
「見てみ」
そう言って、アルバムを起動し俺に見せてきたのだが……。
無いのだ。データが。全て。
「よくできた偽物なんだよ。コレ」
「は?」
「なんでかわからないが、中身が足りないんだよな。俺たちも足りないだろ? 記憶とか。同じだよ。こいつはただのガラクタ。余程うまく売らないと大した金にならねーんだよ」
そう言って、色々いじり始めた。
「計算アプリも、押しても入力出来ねーし。他のも殆どガワだけだな。多少期待したが、どれも同じだな」
そして衝撃的な台詞を吐いた。
「知ってっか? コレ中身全部たぶんプラスチックなんだぜ。基盤とか、バッテリーとか、中身が無いんだ」
「……は?」
コン
コン
コン
コン……
「中身の詰まった音しか聞こえないだろ? ククク……」
中身が無い? じゃぁ! どうやって動いてるんだよ! ふざけんなよ!
――俺は股間の激痛と頭の傷の痛みに加え、目の前に示された事実で眩暈をおぼえた。
「361円……。6の2の3……11ルド位か」
「……?」
「不思議そうな顔してるな。ここでは使えるんだよ。地球の硬貨が。¥500が4ルドで、¥100硬貨と¥50硬貨が1枚、2ルド。¥10硬貨が3ルドで、¥1¥5は使えねぇが、全部分かる奴に売ればそれなりだ」
「俺の金……」
「あん? てめぇ、自分の立場分かってねぇだろ。お前は俺の所有物なの。分かる?」
「そんな……そんなん犯罪じゃねーか……」
「奴隷を取り締まる奴なんかいねーんだから、意味の無い言葉なんだぜ。それ。……ここじゃ、銅貨のほうが価値が高いんだよな……令和?」
「奴隷なんておかしいだろ」
「……なんで、お前が奴隷なのか分かるか?」
「いや、それは……俺がエルフじゃないからか……」
「分かってんじゃねーか。エルフが奴隷にされたら、家族や知り合いが取り返しに来るだろうな。場合によっちゃ戦争だ。人間は突然何のつながりも無くこの世界に放り出されるわけだ」
そうなのだ。目の前にいる転生者であるダークエルフですら、この世界では一人では無いのだろう。転生であるなら家族や親戚がいるはずなのだ。
漂流して帰れなくなったから帰りたがってる。そう言っていた。海の向こうにはこの女を待っている家族がいるのだろう。
見た目は30代にもなる。こんな世界だ。現代ですら少し前までは20代で
そう思い至ると急に自分がこの世界でたった一人、取り残されてしまったかのような心細さを感じた。
――だが別に弱気になった訳じゃない、俺の覚悟はこの世界に来る前から既に決まっていた。
逆に考えれば俺は何者にも縛られない。
言わば自由。
無敵だ。
前の世界で奴らに捕まっていれば死んでいてもおかしくなかった。
だったら。
既に死んだ身なら。
なんでも出来る。
この世界になんら、
突然この世に現れた虫のように無意味な命。
いや、虫ですら親や兄妹や親戚? がいるはずだ。
畜生ですら無い、虫にすら劣る存在。
――おもしれぇじゃねぇか。
そんな半端なクソが生きあがいてやんよ! この加速能力を使って生き汚く抗ってやる。せいぜい俺の死に様を見やがれ!
「痛てぇ! 頭、傷があるんだから死ぬだろ! 槍で叩くなや」
「キモイんだよ。なにニヤついてんだ。バカたれが」
締まらねぇー……まぁ、なるようにしかならねーか。
そういえば、なんで制服を着替える必要があったのだろうか。目立つからか……? 高く売れるからか。
カン
カン
カン
カン
カン
濛々と煙たなびく槌音響く町の一角。
爺さんが店先に腰かけて防具や金物を乱雑に置いているように見えるが、置き方が悪くごちゃついてるだけで分類されてない訳じゃないが、一言で言えば。汚い店だ。
盾を手に持った。イーレシスンはまるで皿のように突っ込まれた棚の一角から引っ張り出した。
木の板に金属を打ち付けただけの直径30cmくらいの中古品のようだ。金属板の端がめくれあがってビスが幾つかなくなっている。
「酷いな、こりゃ。*****、**! ****」
「……****」
「?」
「***。鋳つぶすのも、めんどくさいんだとよ。まぁ、コレでいいか。**! ***、*****」
俺に向かってフリスビーのように放って寄越した。俺は犬じゃないんだが……。
よく見ると、裏側が湿って黒ずんでる。ダイジョブか? コレ。
「得物は命を左右するもんだが、お前には上等だろ。あと、これもだ」
シュピ
回転投擲で迫る盾。
カン!
盾で受け止めた!
「あぶねぇ! 当たってたら確実に怪我してたぞ!」
「受け止めたじゃねぇか」
「……」
別の場所に突っ込んであった盾を掘り出して、こちらへ投げつけてきたので、慌てて持っていた盾で受け止めたのだ!
「取ってこい」
弾かれて飛んでいった盾を拾ってくるよう命令するイーレシスン。だから、犬じゃねぇっての。
「ったく……」
スペアのつもりで買った盾なのだろうか。
盾の飛んでいったほうへ歩いて行く。
この一角は主に屑鉄や、日常的な金物。中古の武器や防具。木炭などが見られ乱雑だ。工房はもっと奥の方で工房区(?)の入口にあたる場所なのだろう。槌音は奥から聞こえてくる。
随分遠くまで飛んだもので、湿った地面に盾の転がった後が伸びている。既に工房の入口を通り過ぎて、武器屋の立派(?)な店構えの前に出た。
どうやら俺たちが入ってっ来たのは、工房区の入り口ではなく裏口だったらしい。
「お! **」
店の前に落ちていたので、歩きながら屈んで拾おうとしたら、店から出てきた客とぶつかってしまった。
俺の屈んだ姿勢は、店の前に立てかけられた巨大な
果たしてぶつかった男は……青髪のエルフだった……
村を襲撃した緑の小人を一緒に撃退した男。
そして、俺を奴隷商に売り払った男……!
――忘れられる訳が無い!
自分のしたことをさも当然の事の様に。批判されれば心外とでも言いかねない。何でもない顔で、俺を売り払いやがった! あの時のことは何度も思い返してきっちり覚えてんだよ!
青髪は俺を認識すると警戒するように距離を取った。
青髪の野郎は村の警護を任された、兵士のような役割のエルフだったのだろう。戦い慣れてるに違いない。
おそらく、俺の戦ってる様子を見たのだろう。加速する感覚の中動き回る俺の動きは、外野から見たらただものではない異常な反射神経を持った、尋常ならざる人間に見えたはずだ。
当然警戒する。
『ステータスオープン』
瞬時に世界がスローモーションになる。
ステータス画面を弄ってる間の親切仕様なのだろうが、コレ絶対バグだよな! まぁ、ありがたいんだが!
――ここであったが百年目ってやつだ!
スローモーションの中、俺は拾った盾を
青髪は鳩が豆鉄砲喰らったかのような顔で、バカ面晒しながらあっけにとられて、未だ動けずにいる!
先ずは盾の左裏拳だ。
右足を軽く踏み込みつつ右腕を隠す様に顔を狙い盾で覆う様に殴りつける。
次は倒した右盾で腹を狙う。一拍置いて右手に持った盾を倒して縁で体重を乗せ正拳突きを叩きこむ。
こちらの左腕の挙動に応じて、少し遅れながらも青髪は後退しつつ腕で頭をかばう仕草に入る。ガードは十分に間に合うだろう。
だが左腕の盾によって視界を遮られた青髪は、右腕の動きに気づいていない。こちらの意図を悟らせないよう、視線を動かさないよう努める。
――かかった。
右腕の初動から体重移動に入る頃には、こちらの意図に気付いたのだろう。だが、もう遅い。腕のガードは間に合わない。
いいぞ! 青髪の腹に体重の乗った正拳突きがめり込んでいく。
すり足で前進しながら、盾左フックで側頭上部で右に捻り右腕を右へ振る。
青髪の左脇腹に立てた右盾をフックで叩きつけ。返す左でガードを上へ誘導する。
殴打の嵐の中、青髪は腕を彷徨わせた後、腰から右手でナイフを抜こうと試みる。
そこへサイドの盾右強フックが青髪の左骨盤上部へ押し出し、ナイフの鞘を押し出した。それにより、ナイフの柄をつかみ損ね刃で指を切りながら地面に落とした。
「**!」
ナイフは跳ね返りながら地面を回転して台の下に入り込んでしまった。コレでもうナイフは手に取れない。
さぁ、たっぷりお礼してやんよ――
ゴス
――俺は何故かゆっくりときりもみ回転しながら空を飛んでいた。うん。これなんてジェットコースター?
装備:服 1kg
装備:ズボン 1kg
装備:インナー 0.5kg
装備:靴下
装備:靴 0.5kg
装備:円形盾 4kg
装備:円形盾 3.5kg
スマホと思い込ませる予定調和な魔法が掛けられた適当に板的で素敵なsomething☆