祐一郎 は異世界で亜人に奴隷として売られてしまう。
同郷の奴隷達から、人間だけの理想郷の噂を聞かされるが、拳銃ダークエルフの女イーレシスンに買われた。
そして因縁の青髪と赤スカーフの二人と思いがけず遭遇。イーレシスンの魔法でお互い大したけがもなく事なきを得るが、ほとぼりが冷めるまで国を離れることに。
0012〜0013の一週間の出来事を細かく描写します。地の文中心です。
異世界の生活? を実感し始める。酷い前文明的な道行に辟易する。
一日目:2つの村を横切る。第二の太陽は一時間周期。
スケルトンと遭遇。
ステータスウィンドウでイーレシスンのステータスが覗けるようになった事に気づく。そして偽名である事が判明? ステータスウィンドウ上ではヤシンタが彼女を表す名称であると類推した。
二日目:沼で巨大ダンゴムシを目撃。
峠を超えて人の住む土地に辿り着く。
しかし、無人の廃村となっており、動物達の楽園と化していた。
そこで、幽霊に襲われ朝日に命を救われる。
イーレシスンを助けたことで、少し関係が近づいた。と思われたが祐一郎の駄目さ加減が露呈。
周辺地理と、数多の亜人の存在を聞いた。
川の流れるさびれた町で、エロい人魚に反応。
其の七
イーレシスンの口調は、onepieceの女海賊をイメージしてます。
あのあと上流を探したが、何処も似たようなもので、そのうち船着き場すら見なくなって、あるのは水車小屋くらいだった。
漁は水棲亜人の領分なので、基本的に漁船を見かけることは無い。水棲亜人を刺激する行為だからだ。
現在、彼等は田んぼの真ん中で注目を浴びていた。またおおかた旅人が迷い込んだのだろうと、高くなりつつある太陽の下、木陰にチラホラ人影が見られる。
「――ここから先には渡し舟はありゃせんよ。向こう岸に行く用事なんぞ無いからね」
「ありがとう。戻ることにするよ」
「旅の人かね」
「ああ」
「アヌヒコさんのとこの若いのの抑えが効かなくなって、あちこちで暴れてるから、あんたらも気ぃつけなよ」
「人魚の件も?」
「分からんがね。前からそういう話は時々あったけど。そういう悪い奴らを捕まえるのも、アヌヒコさんがやってたから。そうじゃないと思いたいね」
「そうかい。コレで孫に菓子でも買ってくれ」
老人は寄りかかっていた青銅の槍を杖代わりに硬貨を受け取った。偶に紛れ込むモンスターを警戒しているのだろう。漁村の住人だけあって年の割に体格が良く、体の使い方に巧みさがみられた。
「ほっほ、ありがたい。最近の若いのは礼儀がなっておらん。あんたを見習ってほしいもんだ。そうそう、アヌヒコさんとこの若頭が次々いなくなってるって
「浜辺で数人うろついてたが、あれはなんなんだ」
「コ・インとこの
「コイン『コインって言ったぞ。この爺さん』」
『無駄に元気だな祐一郎は。もう少し背負えそうだな』
『ちょ! 勘弁ッスよ!』
「あんたの奴隷かい」
「ああ、そうだ」
祐一郎は人間で。イーレシスンと木陰で休む老人も耳の尖ったエルフだ。耳を見るだけで
イーレシスンは更にもう一枚握らせると、重ねて尋ねた。
「向こう岸へ渡りたいんだが、心当たりがあったりしねぇか?」
「そうだね。今の時期は泳いで渡るのは、他の季節よりは厳しいだろうねぇ。わしも若いころなら、体一つで向こうまで泳いだ事もあったが、疲れてしまってすっかり寒くなってしもうた。仕方なく帰りは船に乗せてもらって、こっぴどく怒られたもんじゃ。その大荷物で泳ぐのはちと、ムリだのう」
「爺さん、随分やんちゃだったんだな」
「ほっほ、武勇伝なら、たんまりあるぞい。そうじゃ、あれは――」
「(うぐっ、しくじったぜ……)」
――老人に昔の話を振るのは禁句であった。1時間ごとに廻る第二の太陽はとっくに樹冠の向こうに沈み、30分は余裕で吹き飛んだだろうか……。
「――昔は川はもっと向こうにあったんじゃが、7年前じゃったか。氾濫して流れが変わってしもうた。その前はさらに向こうにあったのじゃが……」
「上流はどうだ」
「せっかちじゃのう。……壁で遮られておるから。回り込まねばならん。壁は怪物どもからわしらを守る大事なものじゃて。登って崩してしまうのはまかりならんぞ」
「わかった。気を付けるよ」
「それがええ。それから、マナが荒れてるようじゃの。浮石を見たって、孫が話とった。泳ぐのはやめておいた方がええじゃろう」
浮石とは以前、祐一郎が目撃した浮遊する石の事である。彼には、ここが異世界だと確信した印象的な出来事だった。
「マナ濃度が高い時は、モンスターも凶暴化するからな。道理だ」
「それからネズミも増えとるの。川や海が汚れたせいかのぅ……(ブツブツ)」
「――情報助かったぜ、爺さん。ありがとよ」
「おお、おお……もう、行ってしまうのか。金は要らんから、もう少し、話に付き合ってくれんかの」
「すまん、爺さん。こっちも暇じゃないんでな。故郷でガキが待ってんだ」
「故郷? 大陸かね――」
ダークエルフは北の大陸一帯の覇権を握っている。そのため、彼女もそこからやって来たのだと類推したのだ。
「ああ、この島に流れ着いて5年になるな」
「なんと……それは、なんとも難儀じゃのう……」
「まぁ、そういう訳だから。悪いな、爺さん」
「ううむ。仕方ない。帰れるといいのぉ。お前さんが無事故郷にたどり着けるよう、太陽神に祈るとしよう……むにや、むにゃ……――」
それから気絶している祐一郎を覚醒させて、木陰から再び容赦なく照らす太陽の元へ引き返し始めた。
道沿いにあった店で、玄米としょっぱニガイ謎野菜の不味いスープと、ややマシな魚の干物を手掴みで詰め込みながら情報を集めたが、大半は老人の言葉を裏付けるものだった。
魚人たちが誘拐犯を逃がさないために川を封鎖しているのだとすれば、祐一郎達が昨日渡ってきた川も封鎖されている可能性がある。
『――閉じ込められたってことッスか』
『一日か二日、上流へ行けば川も狭くなって歩いて渡れる場所もあるはずだが……ここら辺は山際で危険なモンスターが、そろそろ出てくる深度だ。高リスクだな……』
『深度ってなんスか?』
『深度が深くなるほどモンスターが強くなる。そんなのがあるんだよ』
『ゲームみたいッスね』
『ああ……(ゲーム? すっかり忘れちまって何のことやら……)』
『これって、人魚の子供を助ければ川のとおせんぼも、解かれるってフラグッスよね』
『まぁ、自力で渡河するって手もあるがな……』
『密室って事じゃないッスか。この町のどこかに誘拐犯が潜んでるって事になるんスよね』
『なるほど……それで?』
『俺たちで捕まえるのはどうッスか』
『どうやって?』
『え……いやぁ……――』
話しながら食事をとっていると、徐々に客が増えてきた。
「『話は一先ずお預けだ』すまん、宿を教えてくれないか」
「それでしたら、道なりに暫く行って、左手に靴と
「そうか、ありがとう」
そういって
店に入った時は既に日が傾き始めていて、ついには人々で満席となった。
どうやら二人が座っていた場所は地元の人間の定位置だったらしく、二人が席を立つと大柄の男が席を移ってきた。
「フン」
『(なんなんだ……)』
祐一郎は嫌な思いをしつつ荷物を背負いなおした。
なんとなく壁に目をやると、下手くそな顔と文字の書かれた板がかかっていることに気が付いた。
『(漫画家のサインだったりして……んなわけないか)』
手配書をサインと見間違う、相変わらずな祐一郎をよそに、イーレシスンはさっさと店を出て行ってしまっていた。
『速く来い』
『あーはいはい』
『――え、ここ……宿屋なんスか!?』
店で聞いていた宿は、果たして聞いていなければ宿と分からないような、地味な
かろうじてわかるのは、低い位置にある、宿であることを表す木の杭で打ち付けられた靴ぐらいだろうか。
「……あ?」
果たして出迎えたのは、態度の悪い店員だった。
「泊まれるか。って聞いてんだ」
「あー、ムリっすねー。川が渡れないんンでー。満員なんすわ。マジすんませーん」
「――この……」
店員の男は祐一郎をちらりと見て更に煽ってきた。
「それに、夜に変な声上げられても困るんでー」
「何だと!」
吠えると意外に高音のハスキーな声が出るもので、祐一郎は普段あまり聞かないイーレシスンの怒号に、場違いにも聞き入ってしまった。
黄色エルフが主なこの島では、ダークエルフは隆盛を極めるアルリカ帝国の主要民族だが、ひがみのような感情とともに根強い差別意識も存在していた。
店員は胸ぐらをつかむイーレシスンを更に煽りたてる。
「暴力はんたーい」
「覚悟できてんだろうな」
「そっちこそ、いいんすかー? 暴力おばはんダークエルフなんて、いいとこ袋叩きっすよー」
奥の部屋から
「俺はアルリカ人だ。邦人が
言ってしまった――これでは、完全に威光をかさに着た悪役である。
信用商売は舐められれば終わりである。暴力をひけらかして黙らせればいいのだが、何故かこの男は覚悟がキマり過ぎていた。
アルリカからの駐在官は彼女をアルリカ人扱いしていないのであるが……。分かってはいても、ダメもとで言ってしまったが、やはりだめだったようだ。とはいえ見慣れぬ旅人が長居すれば遅かれ早かれ因縁を付けられるものだが……それにしても、この男は何かがおかしいと感じられた。
「どう、黙ってないんだよ! ああ! 言ってみろよ! バーカ! バーカ!」
言質はとったとばかりに、いよいよ調子に乗って口調すら隠さなくなった店員。
ココの治安維持を担う組織の能力も士気も低く、例え目の前の店員を無残に殺したところでイーレシスンなら簡単に逃げ切れることだろう。
――バキ
「ブキャ」
祐一郎は、無法者の冒険者を煽る命知らずな狂った店員を気絶させた。
『言葉は解んなかったけど、なんか昔の事思い出して、ムカついちまって』
『……いや、ありがとう……すまんな。俺の失態だ――いくか』
むき出しの地面の上で伸びる男を見下ろしつつ、
ドスッ
「ゲホ、ゲホ……」
「……くそ、なんなんだよアイツ! 奴隷の癖に――」
「も、もうやめて……」
「俺に命令すじゃねぇよ!」
バキ
顔を
魚人騒動のあおりから、体面を気にして客を泊めざるを得ず、それも彼を
他の客にも聞こえているはずだが、面倒事を嫌ってか見て見ぬふりをしているようだった。
男は宿の住み込み従業員として入り込み、暴力で宿を営んでいた一家を洗脳し、既に娘である女性の両親は責め苦の末にこの世を去っていた。
宿など体裁だけで、貯えを食いつぶしている状態であり。それすらなくなれば、男は店を二束三文で売り払い姿をくらますことだろう。
飯屋は何を思って、ここを紹介したのかは知れないが、結果として彼は傷を負うこととなった――。
「――やー。災難だったねー。旗色が悪くなったからって殴るなんて、やっぱり冒険者はとんだ野蛮人だね」
「な……なんだ、てめぇは!」
ソレはいつの間にか、中身の空になった家具の上に足を組んで座っていた。
ソレはまるで
「な、何だいつの間に……」
本能のようなものだろうか、自分よりはるかに体格の劣る少女に気圧されるなど、本来ありえないことだ。
だが、
その場にいなければ決してわからない――感じられない異常さ。心臓を直に鷲掴みされたかのような圧迫感。肉食獣を前にした小さな草食獣などという陳腐な表現では到底足りない。絶対的な質量。重力。ブラックホールのような時空間すら捻じ曲げる強力無慈悲な闇がそこにはあった。
――男の精神は正方形をしていた。
それは制御を失い次第に男から遠ざかっていった。
遠ざかるほど
途方も無く巨大となり果てた輪郭は線と区別できない。だが同時に
――
男は、気付くとその場にへたり込んで呼吸を忘れていた。その視界は歪み、自分が逆さなのか地面に座っているのか、判断すらつかなくなっていた。
ドン
異常だ。
ただ、床の上に立っただけだ。
だが――その、体全体に響く打撃音は見た目通りの
≪
「君を殴った、横暴なアルリカ人は悪者って事だよね――」
「……ああ……あたりまえだ」
「殺してもいいって事だよね」
「……ああ。ああ、ああ――そうだな。殺せるのか」
男は穴という穴から体液を垂れ流しながら、目の前の――目の前の何かに応答した。その怪物が何なのか皆目見当つかなかったが、あのアルリカの○○が無残に殺されるのなら何でもいいと思った。
メキメキ……――パン!
信じられないことに、目の前の怪物は握力で建物を支える極太の木柱を、いともたやすく握りつぶした。分断された柱が天井からぶら下がっている。
「ははは……凄い――!」
まるで現実とは思えない光景だ。
だが、愚かな男は全能感を幻視した。宿の
「じゃあ、君も悪者だね」
「――え?」
スパン――!
「あひゅ……!? あ、ああ」
男は血まみれの
「辛いかい? 苦しいかい? きみが苦しめた宿の夫婦はどうだったんだろうね」
「ガ……あ。うあ」
ザク
男はナイフで首を切り裂かれていた。
そして、喉と
≪
「さて」
女性は
「もう、痛くしないで……」
「やー、努力するよ――」
ソレは薄く笑うと異常に発達した犬歯を覗かせた。
装備:服 1kg
装備:ズボン 1kg
装備:インナー 0.5kg
装備:靴下
装備:靴 0.5kg
装備:円形盾 4kg
装備:円形盾 3.5kg
リュック20L 10kg{
水袋 4L 0.5kg{
水4kg
}
水袋 4L 0.5kg{
水3kg
}
小麻袋 1L{
干し肉0.3kg
}
小麻袋 1L{
干団子0.4kg
干団子0.5kg
}
陶器の瓶0.75L 1kg{
}
小型ナイフ0.5kg
包帯1kg
小袋 0.2L{
木の小物入{
裁縫道具
}
}
小袋 0.2L{
火口 0.04kg
火打石 0.2kg
}
布
ロープ 10kg
}
Total:41.44kg
時系列順設定集 0000〜0013+0012蛇足へ