刹那の旅路   作:靴下9153

36 / 44
 祐一郎 は異世界で亜人に奴隷として売られてしまう。
 同郷の奴隷達から、人間だけの理想郷の噂を聞かされるが、拳銃ダークエルフの女イーレシスンに買われた。
 そして因縁の青髪と赤スカーフの二人と思いがけず遭遇。イーレシスンの魔法でお互い大したけがもなく事なきを得るが、ほとぼりが冷めるまで国を離れることに。
 
 0012〜0013のの出来事を細かく描写します。
 
 一日目:2つの村を横切る。第二の太陽は一時間周期。
 一部他人のステータスが覗けるようになった事に気づく。
 
 二日目:廃村で幽霊に襲われる。
 村落が点在する一帯で足止めされる。
 
 三日目:祐一郎はアイスという少女と出会う。
 アトーエにあるダンジョンを目指し船を乗り継いで港へ辿り着き、魔法鍛冶師誘拐未遂を防ぐ。
 
 四日目:後片付けを手伝い出発するが迷って尻尾の無い巨大サソリ。ヴァイオレントスパイダーと遭遇してしまう。
 しかし、そこへ謎の女ハロが現れ同行することに。
 川を渡ろうとしたところトラブルに遭遇し、イーレシスンと知り合いの兵士が現れる。
 そこでヴァンパイアについて話を聞くことに。
 
 其の二十二
 
 この章の登場人物{
  ハロ:同行することとなった女性
  ジャグ:兵士。直情的
  ゾイ:兵士。ヴァンパイア事件の解決には消極的
 }
 イーレシスンの口調は、onepieceの女海賊をイメージしてます。


0012_21 追加分/一週間に起こった出来事 その二十二 腹ペコ共のピストン運動

 

 

 一行は兵士ジャグの後をついて彼の家へ向かっていた。

 なんでも屯所(とんしょ)替わりとなってしまっているとか。

 

 

「いやー。

 ゾイさんて、おっしゃるんですねぇ。

 ヴァンパイア退治とか、凄いですぅ」

「あ、ああ……」

「?」

 

 ジャグの相棒はゾイと言う名前だという。

 ハロの媚媚び攻勢に引き気味に歯切れ悪く返す。

 

『(ハロの媚媚びが効かない!?

 さては——)

 BLか!』

「? 祐一郎がなんか言ってますよぉ! イーレシスンさん!」

 

「(BLっていうか、ゲイだろう)」 

 

「——なんだか甘美な響きですねぇ……うふふふふ……じゅるり……おっと。

 

 祐一郎! 祐一郎! 『ビーエルカ』ってなんですかぁ!?」

『あ、ああ……』

 

 言葉の分からないことになってる祐一郎に、問いかけるだけ無駄である。

 しかし腐れ気味の圧に図らずも、BLと断じたゾイとまったく同じ歯切れの悪い返しをしてしまう祐一郎であった。

 

 

 に゙ゃぁぁぁぁぁ!

 

 

 ——猫がすぐ横を通り過ぎていく。

 

「あ! ねこさんです!」

 

 ハロがミケ猫を追いかけて走って行ってしまった。

 

 

『あ』

 

「——俺の家の方だ。

 もうすぐそこだ」

 

 ジャグは一行を自宅へ案内する。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

『——人が倒れてるぞ!』

 

 ジャグ宅へ向かう道すがら。

 畑と木がまばらに生える一角に人の足が道に投げ出されている。

 祐一郎が最初に気付き声を上げた。

 

 走り寄ると俯せになった男性(黄エルフ)の体の上に黒く巨大な生物が群がっていた。

 体長は60cmはあるだろうか。

 

 

巨大吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)だ!」

 

 ハロが一人で棒を振り回して威嚇している。

 

 

 祐一郎は荷物をその場に放り出すとアンダースロー気味に盾を投げつけた。

 だが。地面すれすれに水平に投擲した盾は浮き上がって外れる。

 巨大吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)はそれぞれが滑稽にも見える四つん這いで木に走り寄ると翼についたかぎ爪で、もったりもったり登り始めた。

 イーレシスンも荷物を置くと槍を取り出しかけよったが、巨大吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)は攻撃範囲外である木の上に登ってしまっていた後である。

 

 

 ——以外に素早い。

 

 

 全部で5匹。

 

 

 ジャグが抱き起こした男性は顔面蒼白であるが辛うじて息はしているようだ。

 

 

 チチチチ

 

 

 巨大吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)は木の上10m程の枝にぶら下がり威嚇音を発している。

 食事の邪魔をされたことに腹を立てているのだろう。

 

「チ。不愉快な奴らだ」

 

 イーレシスンは舌打ちして槍を構えながら後退り——投擲。

 慌てて飛び立とうとした蝙蝠の被膜を貫通し、一匹が地に落ちる。

 他の4匹はそれを見て恐慌状態になり、次々滑空して飛び降りると川の向こうへ羽ばたいて消えていった。

 祐一郎は甲高い鳴き声が負け惜しみの様に聞こえて少し人間臭く感じられて、すこし奇妙であった。

 

 

 原住民にとってたかが蝙蝠(こうもり)でも弱者を狙う十分な脅威である。

 何より病気を媒介させる吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)は呪いを振りまく不吉の象徴なのだ。

 

 男性は皆の見ている前で息を引き取った。

 

 身なりはさっぱりしていて農業をする人間(エルフ)とも思えない。

 

 

「——たぶん、売春宿の従業員だろうな」

 

 ゾイがこぼす。

 

 そして祐一郎は疑問に思った。

 体長60cm程度の巨大吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)が5匹いたとして、成人男性を殺せるのだろうかと——。

 

 男性の首筋には特徴的な噛み跡が残されている。

 他にも皮膚表面を削り取って、血を舐めとった跡が無数にあるが。

 どれも倒れて身動きできなくなるほどの傷には見えない。

 

『あのコウモリが殺しんスかね?』

『……まぁ——確かに』

 

 イーレシスンは屈みこむと地面に落ちた巨大吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)に止めを刺す。

 そして、口を(めく)りあげて牙を(あら)わにさせた。

 

『コイツじゃ、ちょっとムリかもな』

 

 祐一郎は違和感を感じた。男の首にある噛み跡は牙の間隔より狭く見える。

 

 

「まったく……今、家が屯所替わりになってるんで、そこに運ぶから」

「——さぁ、行きましょう!」

 

 そう言うとジャグと相棒のゾイは遺体を持ってさっさと移動を始める。

 イーレシスンと祐一郎も疑問を残しつつ後に続いた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 ——丘の上を見上げると寺院があり、道の脇に目的の家はあった。

 

 その家は斜面にある面前に畑のある二階建てで。一階は石造りで二階が玄関となっている。

 畑では女性が屈みこんでなにか仕事をしているようだ。

 更に隣り合う厩舎からはカタルシスを感じる(かぐわ)しいかをり(パルファム)が漂い。水牛が(つな)がれているのが見えた。

 

 家の玄関で出迎えたのは野菜を(かご)に抱えたジャグの奥さんだ。

 浅黒くぽってりとした女性で長い髪を後ろで縛って。化粧ケはない。もちろん現地エルフである。

 

 

「——あら、お帰りなさい!

 え? またけが人?」

巨大吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)だ。お前も気を付けろ」

「別に病気でもないし大丈夫よ。大袈裟なんだから。

 それで、後ろの人たちは?」

「前に話したイーレシスンって人のこと覚えてるか?」

「ああ、ああ! ——あの凄腕の女剣士だって言ってた人!」

 

「この人たちの分まで飯を用意してくれ」

「その怪我人は手伝うことある?」

「この人は亡くなってるから。

 一階の家畜小屋に置いておこうか」

「え……わかりました」

 

 丁度昼前で昼食の準備を始めたところなのでタイミングが良かったのだろう。

 あっさりと奥の台所へ引っ込んだ。

 

 死体を前にして素っ気ない態度に祐一郎は、なんとも言えない気分になった。

 

 

 

 

 死体を安置して二階に戻ってきた二人。

 

 

「——なんか。屯所が流されてから、いつの間にか屯所替わりになっててなー。

 色々整えたら狭いのなんの」

『(いやいや! 駐在所くらい用意しろよ! 国!)』

 

 それぞれが思い思いの位置に座る。

 奴隷の祐一郎は玄関わきに荷物を降ろして中の様子を(うかが)った。

 

 そしてジャグは背を伸ばし息を吐きだした後、話始めたのである。

 

 

 

 

 

 

「——つい先日の事だ。売春宿の従業員のファノという男がヴァンパイアに襲われ殺された。

 年齢は29。明け方裏路地で発見。

 遺体にも肩に直径5mm程度の丸い穴が二つ噛み跡が残っていて。幅は3cm程度。他に外傷はねずみによるもの以外見られなかった。

 家族は居らず、職場である売春宿で寝泊まりしていたそうだ」

『へー』

『祐一郎ー。』

『……。』

 

 祐一郎を叱ったイーレシスンは、一瞬息子を(しつ)けているみたいな錯覚を覚え。彼女は己を戒めた。

 

 

 ——生じた間にゾイが補足する。

 

「——当然我々も捜査を開始し、関係者などにあたってヴァンパイアの足取りを追おうとしました」

「ちょっと待て。もうこの町に居ないって可能性は無いのか?」

 

「当然の疑問です。

 

 私見ですが、ヤツはこの町に潜んでいると思われます」

「なんでそう言える?」

「吸血された小動物が絶えず発見されるからです。

 たぶん、人の生血だけでは足りないのでしょうな」

 

「ふーむ」

 

 イーレシスンは椅子の背もたれで腕を組んで唸った。

 

『ていうか、相手がヴァンパイアならどうしようもないんじゃね』

『なんでそう思う?』

『だって。ヴァンパイアって、蝙蝠(こうもり)とか霧に変身できるんだろ?

 追い詰めようがないじゃん』

『祐一郎。

 この世界のヴァンパイアは、ヴァンパイアそれぞれが別々の能力や弱点を持ってるんだ。

 だから、犯人がどんな能力を持っているかによる。あと調子にのんな』

『ピキーン』

 

 

 ジャグは二人の会話はまったく理解できないが、取り敢えず話を進めることにした。

 部屋の外にいる耳の短い奴隷に配慮する必要を感じなかったからだ。

 

俺としては(・・・・・)(あきら)めるつもりはねぇ」

 

 イーレシスンはジャグの物言いに引っかかりを感じた。

 

俺としては(・・・・・)

 ほかの兵士に協力を仰げないのか?」

「今朝、本部に行って増援をたのんだら、捜査を切り上げろだとさ」

「そんなわけ無いだろう!

 ヴァンパイアだぞ!?」

 

「俺もそう思うよ。何考えてんだって感じだよな。

 本部も何か考えてるんだろうが……。

 こうしている間にもヴァンパイアの野郎が好き勝手してやがるんだぜ。

 最悪俺だけでもやってやるつもりだ!」

 

 そこで同僚のゾイが口をはさむ。

 

「——なぁ、別に俺たちがやらなくても、きっと本部が良いようにやってくれるんじゃねぇの?

 大袈裟に騒ぎすぎなんだよ。

 下手に動けば邪魔になりかねないしさ。

 出しゃばってかき回すより、大人しく本部からの指令を待った方が——」

「オマエなァ!

 もうヴァンパイアの被害者が出てるんだよ!

 その台詞、被害者家族に言えんのか! ああ!?」

 

 他人任せな言動に。ジャグは言葉尻を怒りのこぶしで机ごと打ち付ける。

 そして荒々しく立ち上がりゾイを怒鳴りつけたのである。

 

 その剣幕に、ゾイは口をパクパクとさせ呆気(あっけ)に取られてジャグを見上げた。

 台所の奥さんも、旦那の怒鳴り声に顔を(のぞ)かせ、不安そうに眉間にしわを寄せている様子が(うかが)える。

 

 

『(なんか。凄い修羅場みたくなって来たな。

 

 ていうか、途中で拾ってきた人はいいのか?

 ヴァンパイアに凄い拒否反応だなぁ)』

 

 

 怒鳴られたゾイは目をしばたたかせた後で 軽く咳ばらいをし。同僚のジャグに向かって口を開いた。

 

「——きっと、本部にも考えがあるんだよ。

 そもそも一介の兵士にヴァンパイアをどうこうできると思ってんのか?

 お前、嫁さんに子供もいるだろ。

 

 先走りすぎなんだよ。

 大体。払う報酬のアテはあるのか?

 

 俺を頼られても困るぞ。

 それに本部に無断で雇ったことが知れれば、罰せられはしないだろうが良い印象は与えないだろうし」

「グ……」

 

 こんどはジャグが口をパクパクとさせる番である。

 考えなしに衝動的な行動に走ったことに気が付いたのだろう。

 脱力するかのように椅子に(もた)れ掛った。

 

 だが。ゾイを(にら)みつけたままなので、すべてに納得している訳ではなさそうである。

 

 

『(なんか凄いことになって来たな……。

 っていうか。イーレシスン頼みだけど。最悪、俺一人でヴァンパイアを相手取る場面が来るかもしれないな……。

 どうすんの? ——俺。)』

 

 未だに満足に使えるのは、己の拳か蹴りと盾。そして≪発火(イニシャライズフレイム)≫くらいなものだ。

 

『(ブラックジャックだっけ?

 袋にに石を詰めて振り回す鈍器。作っとくか。

 無いよりマシな程度だけど……)』

 

 

「あのー。報酬は大丈夫なんでしょうか?」

 

 ——沈黙を破ったのはハロだ。

 それに対し(いぶか)し気に疑問の声を上げたのはゾイであった。

 

「……あんたも参加するのか?」

「いやー。私、魔法使いなんですよねぇ。

 手合わせします?」

 

 面倒な時間を作りたくないのだろう。イーレシスンは口をはさむ。

 

「この女の。ハロの実力は俺が保障するよ。

 さっき目の前で巨大蜘蛛サソリを一人で手玉に取ってたぜ。

 見ての通り無傷だ」

「何!? とても、そんな風には見えない……。

 本当なら大したもんだが」

 

「——それで。報酬なんだが。

 ヴァンパイア相手だと3000ルドからってところだな。

 まぁ、相手によるが。

 エルダー相手なら100000でも足りないかもしれない」

「げ! 目ン玉飛び出る額だな!

 根拠は!?」

 

大物(エルダー)相手の場合、上等な装備か。

 若しくは人の命の値段の数人分相当。

 

 ……まぁ。命すら消耗品扱いにしないと倒せないな。

 ドラゴンを瞬殺するような相手だし。

 普通に傭兵団に支払う報酬ならそれぐらいだが」

「あんたが傭兵団に匹敵すると?」

「場合によってはな。

 やり方次第だ」

 

 

 再び訪れる沈黙。

 

 

 ——ジュゥゥゥゥゥ!

 

 

 台所から吹き(こぼ)れる音が聞こえてくる。

 奥さんは慌てて台所へ戻っていった。

 

 

 

「具体的な方法は?」

「企業秘密だ。

 そうそう手の内を明かせるもんじゃない」

「それで信用しろと?」

「信じてもらうしかないな」

 

「ええと——ドラゴンを瞬殺……ですか?」

 

 戦力を例えるにしては荒唐無稽(こうとうむけい)に過ぎるキライがある。

 一介の兵士がドラゴンを目にすることは(まれ)である。

 ごくたまに若い竜が人里の上空を飛ぶのを見かける程度だ。

 

 

 疑念(ぎねん)

 

 

 報酬を吊り上げるため法螺(ほら)を吹いているのではないか。

 ジャグたちはそんな懸念(けねん)を抱いた。

 ゾイが(いぶか)しげに疑問を口にする。

 

 

 

「——(ちな)みに、その知識はどこで……?」

「【大樹】(まぁ【ザイレム】も【大樹】の一部だしな……)」

 

 

 ——【大樹】……。

 

 

【大樹】とは世界に名をとどろかす巨大教導機関である。

 カバー範囲から逸脱するが、イーノエススにもその名声は響いていた。

 

【ザイレム】では、ヴァンパイア対策は必修なのだ。

 

 

「ドラゴンの強みは空中からの一方的な攻撃と高い魔法耐性だ。

 魔法も使うが、ブレスで攻撃してくる。

 ブレスの有効射程は思ったよりも短い。

 十分に槍の投擲が届く距離だ。

 

 レッドドラゴンは年齢によって強さに幅がある。

 年齢100才程度の若い個体なら、魔法なしで地上で戦った場合熊の方が強い。

 槍の投擲が被膜を貫通すれば飛べなくなる。

 年齢500才でも十分槍で対応できるだろう。

 (ちなみ)みに成獣クラスだとライオンよりは強いが犀や象には及ばない」

「出くわしたことは?」

「【大樹】にいたときに一度。

 俺より強い奴らがゴロゴロいたから瞬殺だったな。

 コツは目を狙うことだ」

「「……」」

『(目て。大抵そうだろうよ!

 当たり前みたいに言ってるけど、動く相手の目ってあたらねぇからな!)』

 

 

 ジャグ達はいまだ半信半疑。

 へぇ。という感想しか浮かばない。

 疑念を晴らすには実力を見るしかないだろう。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「——いつでもいいぞ」

「……」

 

 現在、イーレシスンとゾイは向かい合って幅広剣(ブロードソード)刺突剣(レイピア)を構えている。

 

 

 ——!

 

 

 ゾイの動き出しをとらえたイーレシスンの軽い切っ先は、ゾイの喉の皮一枚で止まっていた。

 

「——」

 

 何か言いかけるゾイから刺突剣(レイピア)を引き、幅広剣(ブロードソード)を腰から抜く。

 

 そして、つまらなそうに切っ先を(いじ)り始めるイーレシスン。

 

「この——」

 

 あからさまな挑発に我を失う。

 

 

 ガ——

 

 

 振り上げた柄を払い、幅広剣(ブロードソード)(のど)に当てた。

 

 実力が違い過ぎるのだ。

 端から勝負にすらなっていない。

 卑怯なようでもヴァンパイア相手の何でもありな殺し合いの中では、無意味な行儀のいい試合作法に過ぎない。

 

「く、わかった。あんたの実力は認めよう……」

 

 未だ納得していないのは、ゾイの実力が低いせいだ。

 代々兵士の家計のコネで兵士になっただけで、そもそもゾイには実力が(ともな)っていない。

 イーレシスンの実力を測ることすら覚束ない。

 

 

 

 

 ——疑念は晴れないが、ゾイは取り敢えず話を進めることにした。

 捜査を進めれば馬脚を現すはず。

 そんな計算もあった。

 金の方は当てもある。

 

 

「——まだ話していませんでしたが、最初の被害者が現れてから次々ヴァンパイアの毒牙にかかるエルフが現れるようになりました」

「最初の被害者はどれくらい前に?」

「3日前です。2日前の被害者はクォブという大工で32才。私の担当区域外で殺されました。

 屋根補修詐欺の噂がありましたが担当者は賄賂で見逃していたようです。住民には相当不満が溜まっていたようですね。

 死体はゴミ捨て場で早朝に発見。

 遺体の損壊が激しく首筋のやや外側に直径5mm程度の丸い穴が二つ噛み跡が残っていました。幅は3cm程度です」

 

「なんだ。闇の英雄でも気取ってるのか?」

 

 闇の英雄とはこの世界で必殺仕事人のようなおとぎ話上の存在である。

 

「さぁ……続けます。

 昨日の事ですが、3人目の被害者はジャー。金貸し。43才。

 飼ってる犬を(けしか)けて子供に噛みつかせて大怪我を負わせましたが、やはり担当者を賄賂で丸め込んでいたようです。同じく周辺住民は不安を感じていたと耳にしています。

 死体は自宅での宴会の夜に書斎で発見。

 肩に近い位置の首筋に直径5mm程度の丸い穴が二つ噛み跡が残っていました。幅は3cm程度です」

 

『(密室殺人だったりして——ていうか、権力の腐敗が凄い。

 この二人、ダイジョブ?)』

 

「やっぱり。正義のミカタのつもりなのか?

 ヴァンパイア相手によく抵抗したな。金貸しで43才だったか? 強かったのか?

 それと一人目は何か悪事をしていなかったのか?」

「ジャーの強さについては未確認ですね。

 一人目のファノは契約結婚をしていたようですよ。

 親族から相談を受けたので、まるで形になってませんけどね」

 

「一人目は殺されるほどのことなのか?」

「なんだかぁ。2人め以降は。

 最初の犯行のいい訳でもしているようにもみえますねぇ」

 

 ハロから見て一人目と比べると、二人目以降には死因には作為的な印象、周辺状況などには違和感を感じるのだろう。

 

「そういわれると……そう聞こえてくるな。

 ヴァンパイアの仕業だってことを誤魔化そうとしてるのか?

 深読みしすぎじゃないのか」

 

「ここで言い合っても結論は出ませんが」

「——で、この後どうする」

 

 ジャグは相棒のゾイに問いかけた。

 

「効率が悪いので二手に分かれよう。

 俺とハロ。ジャグはイーレシスンさん」

「わかった。俺はクォブとジャーを当たってみよう。

 ゾイは死体の身元のついでにファノの件を頼む」

 

「じゃあ、早速出発しようか」

 

 さあ! 事件の関係者に事情聴取の開始だ!

 

 ザ——

 

  全員が一斉に立ち上がった!

 

 

 

「ごはん出来ましたー!」

 

 

 

 ザ——

 

 

  全員が一斉に着席した!

 

 ——ハラペコ共の事情聴取は、ご飯のあとだ!

 

 

 

 

 




 次回。
 ストックが尽きました。
 殆ど読まれてもいないのに風呂敷広げ過ぎたかもという。
 未だにPlotが固まっておらず湿疹が痛んで集中できないので来週更新できるかどうか。
 最悪文章量を減らしてでも投稿するつもりです。
 
所持品

 装備:服 1kg
 装備:ズボン 1kg
 装備:インナー 0.5kg
 装備:靴下
 装備:靴 0.5kg
 装備:円形盾 4kg
 装備:円形盾 4kg
 リュック20L 10kg{
  水袋 4L 0.5kg{
   水2.5kg
  }
  水袋 4L 0.5kg{
   水3kg
  }
  小麻袋 1L{
   干し肉0.3kg
  }
  小麻袋 1L{
   干団子0.4kg
   干団子0.5kg
  }
  陶器の瓶0.75L 1kg{
  }
  小型ナイフ0.5kg
  包帯0.5kg
  小袋 0.2L{
   木の小物入{
    裁縫道具
   }
  }
  小袋 0.2L{
   火口 0.04kg
   火打石 0.2kg
  }
  靴 0.5kg
 }
 
 Total:30.44kg
時系列順設定集 0000〜0013+0012蛇足へ
時系列順設定集 0012_00〜0012_09へ
時系列順設定集 0012_10〜0012_16へ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告