刹那の旅路   作:靴下9153

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0006 後片付け

「***! ****」

 

 中年女性が話しかけてくるがまったく何を言っているのか分からない。

 

 さっきのヤバイ女性の所に連れて行こう。もしかしたら、何とかできるかもしれないからな。

 

 俺は中年女性を手招きして、さっきまで戦っていた子供と女性のいた民家へいざなった。

 

 ついてくるのを確認して、やや速足にして急いだ。

 

 

 大股で数歩の距離なのですぐに連れてこれた。さっきのめった刺しの女性は大丈夫だろうか?

 

 果たして大きくあけられた家の中をのぞくと、女性は変わらず血だらけで、その横では子供が、涙で顔をびっしょり濡らして、不安げにキョロキョロと辺りを伺っていた。

 

 子供はこちらに気づくと、大声をあげて泣き始めた。安心したのだろか? 母親と思しき女性は意識を失っているようだ。

 

「*****!」

 

 一緒にやって来た中年女性は、意識を失って倒れている女性へ駆け寄ると、状態を確認し始めた。

 

 どうしようか。ここで手伝うべきか、それとも未だ続く戦いへ助勢するべきなのか……。

 

 手伝うといってもせいぜい、使いっ走りか子供のお守り位だろう。

 それなら加勢に行きたいところだ。とりあえず、声だけかけてここを離れよう。

 

「すみません! 俺、他へ加勢に行きます。じゃあ!」

 

 そう言って、持っていた槍を掲げた。

 

「**」

 

 意図を察したのだろう。言葉も通じない有様じゃ、大して役に立てないだろうし。女性は手を払う仕草で加勢を促しているように見えた。

 

 俺は争う音のする方向へ急いだ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 結果的に言って加勢は必要なかった。

 

 俺が駆けつけた時には既に、大勢でタコ殴りにしている場面だったり。後かたずけをしている場面に遭遇しただけだった。

 

 仕方なくあの民家へ戻ってきたわけだが、きまり悪い訳だ。

 どういう体で戻ればいいのか……。

 まぁ、息を切らしてしれっと戻れば大丈夫かな?

 いや、わざとらしすぎるか。

 

 そもそも、全部片付いた後で、見ず知らずの初見の人間が、何故息を切らせて戻ってくるのか意味不明すぎる。

 普通に戻ろう。

 いや、戻る必要あるのか?

 無いよな?

 ……でも俺が気になるのだ。

 

 

 ――などと優柔不断に葛藤していると、衛兵の青髪さんが笑顔で俺の方を叩いた。

 

「****」

 

 何を言っているか全くわからないが、とりあえず笑顔を返しておく。

 そのまま、いざなわれて後をついていった。

 

 

 

 村の中央では、緑の小人が積み上げられていた。そして、最後の一匹を乗せると、藁のござが被せられた。

 その間村人が俺の方をチラチラ見てくるが…… 感謝を伝えたい、とか? それなら直に言えばいい。

 それとも、見知らぬ人間が知れっと混じってるからか?

 ああ、そうか。俺の耳が珍しいのか。俺意外全員耳が長いからな……。

 

 

 ――やがて村人はまばらに散っていく。

 焼いたりはしないのだろうか?

 

 青髪さんが、また肩を叩いた。今度はどこに連れてゆくのか。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 着いたのは、衛兵の詰め所だった。もう一人の衛兵赤スカーフはいないようだ。

 

 青髪さんは、小屋の中央に座り込んで槍の手入れを始めてしまった。

 俺の様子を見て、座るように促してきた。立ったままでというのもナンなので、囲炉裏[?]の向かいに座った。

 

 俺も見様見真似で槍の手入れを始める。布が無い……。水をもらって、手で血糊を落としてゆく。

 血糊を払うと随分刃こぼれしていることに気が付いた。今まで状態の悪さに気づかず使っていたということだ。緑の小人にお見舞いした渾身の一撃がいまいちだったのは、武器の性能もあるのかもしれないな、と思ったのだった。

 

 あらかた済んだので何気なく外を眺める。青髪さんは未だ手入れに余念が無い。

 

 外は日差しが強い。なんだか、喉が渇いたな……。

 ふと、村人が通り過ぎた。

 こちらをちらりと目をやりながら通り過ぎていった。

 

 ……この炎天下たいへんだなぁ。きっと、襲撃の後かたずけか何かだろうな。

 そういえば、喉が渇いた。

 

「(水)」

 

 俺は水を飲むジェスチャーを青髪さんにした。

 青髪さんは、手を止めると水瓶を指した。自分で勝手に飲め、ということだろう。

 いや、いや。さっき下痢で七転八倒してたの見てたでしょうが。

 

 俺は囲炉裏を指さして水を飲む仕草をした。

 

 青髪さんは露骨に嫌な顔をした。

 

 しかたない、自分で沸かそう。囲炉裏の鍋を取って水を汲むべく水瓶へ向かい、柄杓で水を入れてゆく。青髪さんの分もついでに入れよう。

 そして鍋を手に振り返ると、青髪さんは俺を凝視していた。

 

 あ、勝手にやったのまずかった……? やっちゃったかー……

 

 暫くにらみ合ったまま、立ち尽くすと。青髪さんは深いため息を吐いて、俺から鍋を奪い取ると水を甕に戻して鍋を囲炉裏の上に戻した。

 

 ――なにか地雷を踏んだのだろうか? ……実は気難しい異世界人だったのだろうか。





所持品

装備:スピア 2kg
装備:服 0.5kg
装備:上着 0.5kg
装備:ズボン 0.5kg
装備:インナー
装備:ボクサーブリーフ
装備:靴下
装備:靴 0.5kg
装備:伊達眼鏡 -
スマホ -
小銭 ¥361
タバコ 3本
¥100ライター
コンドーム
プラスチック袋{栄養剤 43錠}
ビニール袋{岩塩 -}
カギ
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