本読んで、ご飯食べて   作:恵の鷹

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頑張れ自分!


Episode of ハルウララ

 

 

 

「すみません、やはり、これ以上仕事を続けることは難しいみたいで。」

 

 

 

「遺憾ッ!残念だ、キミのように若く情熱のあるトレーナーがいなくなるのは、、」

 

 

「本当に残念です。あなたはとても優秀なのに、、、本当に、誤解されたままでいいのでしょうか。」

 

 

「ありがとうございます。ですが、こればかりはどうしようもないことなので。」

 

 

「懇願ッ!諦めるのはまだ早い!我々はいつでもあなたを待っているぞっ!」

 

 

「未来のことなんて誰にも分らないんですから、お体、お大事になさってください。」

 

 

「はい。それでは、失礼します。」

 

 

 

「はぁ・・・」

 

扉を閉めてから、軽く息を吐く。

 

ここは東京都府中市に位置する日本ウマ娘トレーニングセンター学園。生徒数は2000人を超えるマンモス校で、全国から一握りの天才たちがその門を叩き、日々、切磋琢磨している。

 

そこに所属するトレーナーも当然相応の優秀さを求められ、毎年URAが実施している試験では高度な専門知識が要求される。合格率が1割にも満たないことなど当たり前で、その年の合格者が0人なんてこともしばしばある。

 

それでもトレーナーを志す人が多いのは、それは、ウマ娘たちがレースで魅せる興奮が、感動が、絶望が、希望が、私たちの心を熱く焦がして離さないからだろう。

 

幼い頃にテレビで見たレースを今でも鮮明に覚えている。

 

その日は前日に雨が降っていたせいか、芝がひどくぬかるんでいたみたいで、レースで転倒してしまったあの子は、それでも、すぐに起き上がって、泣き言なんて言わずに、ただひたすらに、ゴールを目指して走っていた。

 

結果は、6着。

 

それがあの子の最後のレースだったみたいだ。

 

それでも、泣きながら担当トレーナーと抱き合っていた彼女は、あの場の誰よりも輝いて見えて。

 

だから、私も。

 

いくつもの感情が渦巻くレース場で、あの感動を、興奮を、そして、全力で走るウマ娘たちを、1番近くで、特等席で見てみたい。

 

負けたときは一緒に泣いて、勝った時は一緒に笑って。

 

そう願って、そして、トレーナーを志したのだ。

 

そう、思っていたんだけどな・・・

 

窓の外にはグラウンドで練習しているウマ娘たちが見える。

 

将来になんの陰りもないような、まっさらな笑顔の子、模擬レースで負けて悔しそうな顔をしている子、教官らしき人と真剣な顔で話している子。

 

みんな、眩しいくらいに希望に満ちていている。

 

彼女たちはこれからどんなレースを経験するのだろう。

 

どんな顔で喜んで、どんな顔で悔しがって、どんな顔で笑うんだろう。

 

最後のレースを、どんな顔で終わらせるのだろうか。

 

1人のウマ娘を思い出す。

 

彼女はこの"中央"と呼ばれる屈指の天才が集まる学園の中にあって、それでも、1番輝いてみえた。

 

誰よりも負けているはずなのに、それでも、レースの後は決まって笑顔で。

 

私は恐らく、もう、この学園で彼女を見ることは叶わないのだろうが、せめて彼女は、彼女こそは、最後まで笑顔でレース場に立っていてほしいと思う。

 

それが私の、唯一の心残り。唯一の願い。

 

私は体に残る未練を振り払うように頭を横に振った後、もうここには戻らないと心に決めて、学園を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あのっ、次はたこ焼き入りおにぎりっていうのを10個お願いします!」

 

「あの、スぺちゃん?もうそろそろにしておかないと、その、おなかが、、、、」

 

 

「ら、ライスにも、梅と鮭を5個ずつお願いしますっ!」

 

「わー!ライスちゃんすっごーいっ!たくさん食べるねっ!」

 

 

「うん、やはりキミのつくるおにぎりはおいしいな。いくらでも食べられる。」

 

「、、、、、、、。」

 

「タマちゃんっ♪ママのお膝は気持ちいですか♪」

 

 

「ほんとに不思議なの。作り方も材料も特別かわったところはないのに。

あ、おにぎりってお持ち帰りもやってるのかな?妹たちのお土産にお願いしたいの!」

 

「う~ん、、、正直メジロで食べる料理よりもおいしい。」

 

 

「このおいしさ。これは、、愛ね。」

 

「とてもおいしいですね、姉様!なんだか力が湧いてきますっ!」

 

 

「ねぇねぇ、いいこと教えてあげよっか!

キミがここにいるって聞いてマックイーン慌ててお化粧はじめてねっ・・」

 

「テイオーさんっ!いい加減にしてくださいましっ!!!」

 

「え~でも事実じゃん、マックイーンはむっつりス・ケ・べ(⋈◍>◡<◍)。✧♡」

 

「反省はないようですね。いいですわ、メジロのウマ娘は誇りを守るためなら拳を握りますのっ!」

 

(●`・ω・)=O)`-д゜)

 

 

「っふん、まあまあの味ね。まあ、使い魔にしてはやるじゃない。

それよりも!今日はまた魔法の材料を集める必要があるんだからっ、遅刻しないでよね!」

 

「いいですねっ!また3人でお出かけしましょう!あたしはお祭りに行きたいですっ!!!」

 

 

「・・・・おいしい。」

 

「これはっ!すごいです!!すごくおいしくてっ!!!その、すごくすごいですっ!」

 

「ハーハッハッハ!ああっ、おにぎりを食べる姿も美しいボクッ!!!キミの腕も素晴らしいっ!!!是非ともボクと共に栄光の道を駆け抜けようじゃないか!(訳:おにぎりとてもおいしいです。よかったらまたつくってください。)」

 

「ああっ、ごめんささあぁぁぁぁぁあいっ!!!!おにぎり落としちゃいましたあぁぁ!!!!」

 

「お兄ちゃん♪・・・は違うな~、、う~ん、、、弟くん♪・・も、違うかも、、、、。」

 

 

ガラッ、、、

 

 

「遅いのだー!!!!!ウィンディちゃんもう待ちたくないのだっ!!!!」

 

「ターボももう限界だぞっ!!!お・な・かすいたーーーーー!!!!!!」

 

「は~い、落ち着きなさいアンタたち。って、まあネイチャさんも限界が近いんですけどね、、、。」

 

「ちょっと、スペシャルウィークさん!後がつっかえてるんですからそろそろ退席しなさい!キングの我慢も限界よっ!」

 

「姫たるものっ!このくらいの空腹なんて我慢・・・・・っできませんわーーー!!!!!」

 

 

 

 

なんかめっちゃうるさい東京都府中市の昼下がり。

 

本の買い過ぎで再び資金の底がついた私は一昨日に引き続きおばあさんに借りているお寿司屋でおにぎりを握っていた。

 

始めは良かったのだ。

 

9時くらいから仕込みを始め、10分で仕込みを終え、さあ暖簾をっ・・・

 

と、思ったところですでに葦毛の子が席にスタンバっていて、、。

 

扉の隙間から前回すれ違いになってしまったウマ娘たちがじーっとこちらを見つめていて、、。

 

そこからなんかぞろぞろといろんなウマ娘が入ってきて、、、。

 

いや、まあいいじゃないか。

 

お店を借りるのも今日が最後なのだ。

 

それに稼いだお金でたくさん本が買えるのだし、彼女達には感謝しなければ。

 

 

「あ、次は唐揚げ入りおにぎりを20個お願いします!」

 

「私もだ。」

 

「ら、ライスも。」

 

「うそでしょ・・・。」

 

「スペシャルウィークさーーーーーーーんっ!!!!!」

 

 

・・・・・・がんばろう。

 

 

 

 

あぁ、疲れた。

 

結局、あの後3時間ぶっ通しでおにぎりを握り続けた。

 

仕込みが底をついたのでやめることができたが、そうでなければずっとつくり続けることになっただろう。

 

 

「お兄さんすごいねー!わたしもおにぎり早く作れるようになりたいなー。」

 

 

、、いま店に残っているのはハルウララという桜色の髪の小柄なウマ娘だ。

 

なにやら私に相談があったらしく、最後まで残っていた。

 

というか、なんで私に。

 

 

「スイープちゃんとアヤベちゃんがねっ!困っていることがあったらお兄さんにそうだんしたらいいよって!」

 

 

あの小娘共、、、。

 

せっかくこれから大量の本を買おうとわくわくしていたのに。

 

まあ、、これもしょうがないのかもしれない。

 

元々神様からいただいたこの「料理」スキルはいろいろとチートが過ぎると思っていたのだ。

 

ただ美味しいものをつくれるようになるだけじゃなく、食べた人は暴走するし、怪我は治るし、幽霊も食べられるし、なんならすこしの間実体化するし、、、。

 

とても気まぐれでもらえるような特典ではないだろう。

 

きっと何か意味があるはず。

 

とりあえずは困っている人が必要としているのなら、基本的には使っていこうと考えている。

 

神様の意図は分からないが、私はそう結論付けている。

 

で、相談だったか、、、

 

 

「うんっ!あのねっ、わたしねっ、模擬レースにぜんぜん勝てなくて、それでねっ、トレーナーさんがなかなかみつからなくて、、どーしよーかなって・・・」

 

 

なるほど、そういう感じか、、。

 

ウララさんはここから近くのトレセン学園の中等部に在籍している生徒さんらしい。

 

もともと走るのが大好きでトレセン学園に入学したみたいだが、まわりには足の速い子しかいなくて、模擬レースでは負け続き、、。

 

本人曰く、負けることに関しては「楽しかったー!」で、特に気にしていないみたいだが。

 

でもさすがに負け続きだと自分に声をかけてくれるトレーナーさんはおらず、メンバーを募集しているチームの選抜試験に片っ端から申し込んでいるが、全て不合格だったらしい。

 

このままではトレーナー不在のまま退学、、ということでさすがの彼女も焦ったらしく、でも現状試せる方法はすべて試したみたいで、行き詰っているとのことだった。

 

 

うーん、困ったな。

 

こういった類の相談だと、私はあまり力になれそうにない。

 

怪我を治してほしいって相談なら一瞬なんだが。

 

まあ、私の全力の料理を食べさせて一時的にパワーアップみたいなこともできるのだが、加減を調整できるようになっている今、誰彼構わず強くするのはあまりしたくない。そういうのはちゃんと努力している人に失礼だ。

 

現状、打てる手は思いつかないな。

 

このままじっとしていても同じだろう。

 

とりあえず、もう少し考える時間がほしいと告げ、彼女と連絡先を交換しておいた。

 

 

「うんっ!おはなしきいてくれてありがとねっ!」

 

 

「またねー!」っといって去っていく彼女を見送ってから、私も店を後にする。

 

書店を巡りながら考えよう。

 

と、思い歩をすすめようとしたのだが、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、あなた。

さっきハルウララさんと一緒にいたみたいだけど、、、って、え、男の子?!」

 

なんか最近こういうこと多くないか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「すみません、私はカフェオレを、、えっと、キミは、ああ、すみません、このDXジャンボスペシャルイチゴパフェ~季節の訪れと共に~もお願いします。」

 

「・・・。」

 

 

場面変わってここはお寿司屋さんから徒歩15分の場所に位置する喫茶店。

 

優しそうな顔の初老のマスターが注文を受け付けてくれている。

 

ここは入り組んだ細い路地の先にあるお店で、お姉さんの行きつけの店なのだという。

 

年季の入ったソファやテーブルはきれいに使われているみたいで、どこか安心感を感じる。こじんまりとした店内には私たちの他に中のよさそうな年配の夫婦が1組。

 

すこし気持ちを落ち着けたところで、私は改めて対面に居心地悪そうに座っているお姉さんをみる。

 

年は20代半ばくらい、少なくとも30代にはみえない。。

 

肩まで伸ばしている黒髪はきれいに切り揃えられていて、清潔な印象を受ける。

 

すこし隣を歩いた感じ、身長は160cmくらいかな。人間の女性としては高い方だろう。

 

中でも、彼女の特徴として一番に目につくのはやはり"目"ではないだろうか。

 

切れ長の瞳は見るものにどこか冷たい印象を思わせ、一見すると近寄りがたい雰囲気だ。加えて彼女は私をにらむように見つめていて、余計にそう感じる。

 

「睨んでいるんじゃないわ、、昔から緊張するとどうしても目に力が入ってしまって、、、癖みたいなものよ」

 

難儀な癖だな。

 

あの後、私を引き留めた彼女は私が男である事に動揺していたが、それでも後には引けないと思ったのか、それからなぜかウララさんのことを尋ねてきた。

 

曰く、最近見かけるウララさんは何だが元気がないように思える。何か困っていることがあるのなら陰ながら支えてあげたい。あなたはなにか知らないか。

 

なんでも、ここ最近彼女のことが気になって仕方がないらしく、たまに彼女の後をつけては原因を探ろうとしていたらしい。

 

ストーカーかな?

 

「ストっ?!、、いえ、確かにそう思われるのも仕方ない、、、かも。でも、彼女が心配だっていうのは本当なの。それに私は元々トレ、、、じゃなくて、私は、そう、私は彼女のファンよ!」

 

随分熱心なファンだな、、。

 

でも彼女からは嘘を言っている感じはしない。

 

なんていうか、幼い子供を陰ながら見守る母親のような、そんな印象を受ける。

 

どうしようかな。

 

まあ、悩んだところで仕方がない。なるようになるさ。

 

どのみち私1人で考えるだけでは解決策なんて思いつきそうもない。

 

でも、一応ウララさんには許可を取っておくか、、、

 

連絡を入れると速攻で「いいよー!!!やったー!!!ヽ(*゚▽゚)ノ バンザーイ♪」と返ってきたので問題ないな。

 

 

~少年説明中~

 

 

「はぁっ?!何よそれ、中央の連中見る目がないんじゃないのっ?!」

 

ウララさんがトレーナーを探している現状をざっくりと説明すると彼女はひどく憤慨していた。

 

「ハルウララさんの魅力に気づかないなんてほんとに呆れちゃうわ、、、彼女の笑顔はまるで地上に降り立った女神のようでその天真爛漫な笑顔は見るものすべてを浄化して病んでいる心も内に抱える絶望感も彼女の笑顔に触れるだけでまるで天に召されるみたいにきれいさっぱり消え去って、ああ思い出されるのははじめてあなたに出会ったとき周りの人から避けられていた私をそれでもあなたはいつもと変わらず微笑んでくれて・・・(お耳汚し失礼しました)」

 

10分後。

 

「・・・。」

 

きっっっっっっっっっしょ、、、、、、。

 

ウララさんの魅力とやらを語りだした彼女はそのまま永遠に話出しそうだったので流石に止めた。

 

まだまだ言い足りないと不満を全身で表している彼女には申し訳ないが、それよりも手伝うのか、もしくは解決策でも思いついたのか、とにかく話を先に進めたい。

 

「え、あっ、ああ、そうよね。ごめんなさい。どうにも彼女の話になると自分でも気持ちが抑えられなくて、、。」

 

その後、そういうことならウララさんのトレーナー探しに是非協力したいというのでそのまま一緒に行動することにした。

 

というかお姉さんは仕事とか大丈夫なのだろうか。

 

「ああ、つい最近まではちゃんと働いていたのよ。

でもいいの、キミのような少年に詳しく話すようなことでもないわ。今の私はとにかく心残りを残したくないの。、、、、私にはもう時間がないから。」

 

なんかいきなりシリアスな雰囲気を醸し出しはじめた彼女にはなにか引っかかったが、まあ他人に自分の素性を詳しく話すのなんて本来あまり気持ちのいいものでもないだろう。

 

話したくなったら話せばいいしね。

 

「さあっ、そうと決まればトレセン学園へ行くわよ!ウララさんの魅力をちゃんと伝えてあげれば彼女のトレーナーなんてすぐに見つかるに決まってるわ!」

 

そういって足早に近所のトレセン学園へと足を向けた彼女の背中を見つめながら、そういえば彼女の名前を聞いていなかったことを思い出した。

 

「え?ああ確かに。ごめんなさい、自己紹介もしてなかったわね。改めまして、私の名前は小野寺 桜。短い付き合いになると思うけど、よろしくね、少年。」

 

振り返りそういった桜さんは、なぜかすごく儚げに見えた。

 

そうして、私達「アヤベさんを救い隊」改め「ハルウララさんのトレーナを見つけ隊」は勇ましく活動を開始したのであった。

 

 

・・・もう改名することがないよう、切に願う。

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんやあって、学園に到着。したのはいいのだが、、、。

 

 

「・・・・。」

 

「わ、分かってるわよ。自分でも変なことしてるって自覚はあるから、、。でも今は詳しく聞かないで、あとその無表情でじっと見つめるのやめて下さい、、きれいな顔のせいで余計に怖く感じるから、、、。」

 

学園に入ろうとしたところでなぜか髪をポニーテールでまとめてサングラスとマスクをつけはじめた桜さん。

 

明かに不審者なのだが。

 

ああ、遠くから警備員らしき制服を着たウマ娘さんがこちらに向かってくる。

 

しょうがない、この手はあまり使いたくなかったが。

 

私は明らかに不審者然とした格好の桜さんに向かってきた警備員さんの間に割って入って、懐から「特製きび団子(レベル5)」を取り出し警備員さんの口に放り込んだ。

 

警備員さんは軽く痙攣した後に口から泡を吹いて倒れた(眠っているんだよ)。

 

ちょろいな。

 

気を取り直して活動を再開する。

 

・・・というか学園に入ってから明らかにお姉さんよりも私の方が注目されている気が。

 

怪しげな桜さんの格好に生徒の子たちは全然動じておらず、中には「ああ、今日もやるのね、、。」なんて達観した顔でみている子もいた。

 

まあ、私に視線が集まるのはしょうがないだろう。

 

逆の立場で考えれば、女性が少ない世界の男子校の敷地をうら若き女子中学生が我が物顔で闊歩しているわけだからな。いやでも注目される。そもそも私は変装すらしていないからな。

 

だが基本的に話しかけられてもスルーすればいいわけだし、そもそもあと数日で小暮町に帰るのだ。気にせずトレーナーを探そう。

 

 

「OH!!!こんなところにキュートな少年がいるデースッ!!見てくださいっ、グラス!」

 

「あら、ほんとに、、。どうしたんですか?迷子、、でしょうか。」

 

「ああ、少年が怖がっているデース!!でも安心してください!エルがお腹が痛くなるくらいの秘密を暴露します!!・・・実は、、、グラスはこうみえてお尻が超デッカイのデース!!!」

 

「・・・。」

 

「うふふ、ごめんなさい。少し用事ができたので私たちはこれで失礼しますね。」

 

「ぐ、グラス、、これは冗談デ、、、」

 

「うふふ」

 

 

、、、、、気にしない。

 

 

「あああぁぁぁぁぁああああ!!!!!ちょっと使い魔!!アンタ今日は集合って連絡したのになんで普通にすっぽかしんのよっ!!!!」

 

「あの、返信がなかなか帰ってこないんですけど、、、。ひょっとして私って嫌われてますk・・・。」

 

 

、、、、、気にしない。

 

 

「やあやあそこの少年、私はアグネスタキオンというものなんだが、どれ、お近づきの印にこのカラフルなキャンディを進呈しようじゃないか!さぁっ!遠慮せず早く舐めてみたmッッ!!」

 

 

(゜o゜(☆○=(-_- )

 

 

「いきなりすみません。この頭のおかしい人のことは気にしなくていいので。あと、そのキャンディは惚れg・・・いえ、あまり体に良くないものが入っていますので私が回収しておきますね。」

 

 

、、、、、気に、しない。

 

 

「あら、アナタ!とってもマーべラース!!!」

 

 

「はいはい、すみませんね、すぐに回収しますので、、、、、」

 

 

「よくわかんないけどターボも!マーベラース!!!」

 

 

「わぁっ!それはとっても素晴らしいマーベラスねっ!!!じゃあ今度は一緒に・・・」

 

 

「「マーベラース!!!」」

 

 

「・・・。」

 

 

「あの、本当にすみません。」

 

 

、、、、、、気にしないったら気にしない。

 

 

 

いや、すごいな。なんか全体的に、濃い。

 

普通に学園をまわるだけでたくさんの個性的な子たちを見つけた。

 

ああ、トレーナー探しの方は難航している(こっちが本題です)。

 

トレーナー室を片っ端から訪ねて桜さんが熱心にウララさんの魅力をプレゼンテーションしているが反応は乏しい。中には話を聞きながらずっと私の頭を撫でている(話を聞いてもらう報酬)人もいて、結局最後の1人になるまで断られてしまった。

 

まあ、断る理由はウララさんより強い子はたくさんいるという至極まともな解答なのだが。

 

そして最後の1人、、、

 

「いや~、あの子は私と同期d、、、じゃなくてまだ新人だから望みは薄いわね。」

 

桐生院 葵さんというらしい。

 

彼女はまだ新人さんらしく、しばらくはすでに担当契約しているハッピーミークという子以外はとらないだろうと。

 

まあだめでもともとだ。聞くだけ聞いてみよう。

 

 

「あの、ごめんなさい。」

 

 

はい。無理でした。

 

いや、想定していたとはいえなかなかこたえるな。

 

これで打つ手がなくなってしまった。

 

「それよりも、あの、、小野寺さん、ですよね?私と同期の・・・」

 

桐生院さんは私の頭を撫でながら桜さん(不審者ver)を不思議そうに見つめていた。

 

「ナ、ナンのコトカナ?ワタシ、オノデラチガウデス。」

 

「いや、さすがに分かりますよ、、、。」

 

ゴミカスみたいな反応を返した桜さんは、それでも、もう言い逃れはできないと悟り、観念してサングラスとマスクを外した。

 

「はぁ~、やっぱりあなたにはばれるわよね。」

 

「はい、あの、、すみません。」

 

どうやら桜さんは桐生院さんと同期でトレーナーになった才媛だったらしい。

 

桜さんが1位で、桐生院さんが2位。

 

筆記は満点だったみたいで、周囲からの期待もすごかったみたいだ。

 

「私もすごい尊敬していたんですから。それよりも、なんで急に辞めたりなんて、、私はなにも聞いていないのに、、。」

 

「・・・。」

 

しばらく思いつめた表情をしたまま沈黙していた桜さんは、それでもぽつりぽつりと事情を説明してくれた。

 

 

その年のトレーナー試験で優秀な成績を収めた桜さんは、それでも最初は期待を胸に学園へ就職。

 

新人トレーナーとはいえ周りから注目されていた彼女は、さっそく担当ウマ娘との契約のために奮闘した。

 

だがかなしいかな、いざ実際にウマ娘の子と対面するとひどく緊張してしまったらしい。そのせいで目つきは怖くなり、怒っていないのに勘違いでおびえられたりと、予想外にスカウトは難航してしまった。

 

かなり落ち込んだらしいが、それでも頑張ろうと奮起したのもつかの間・・・

 

「はじめはね、ちょっと腹痛が続くなって、その程度の違和感だったの、、。」

 

始めは特に意識していなかった腹痛は、それから時間がたっても止むことはなく、食欲は低下して、次第に体重は減少していった。

 

外出が困難な日もあり、学園と相談していったん自宅で出来るテレワークの事務仕事を中心に回してもらうことに。

 

これはさすがにおかしいと、意を決して病院へ向かった彼女は、、、

 

 

『癌ですね、、しかも進行がかなり早い。これは、、、。』

 

 

「そんな・・・。」

 

「・・・。」

 

「今はね、お医者さんからもらったお薬で進行を先延ばしにしてもらっている状態。それでもあと1週間もしたら、もう、病院から自由に出ることも叶わないんだけどね、、、。」

 

彼女はどこか達観した表情で、淡々と語った。

 

それまで随分と悩んで、苦しんだのだろう。

 

「もういいの。そりゃ死ぬほど泣いたし、なんで私がって理不尽な怒りを覚えたりもしたけど、、。」

 

でも、彼女は。

 

「自分では納得できたつもり、だったんだけどね。でも、自分に自由がなくなるんだって徐々に自覚していったときにね、最後に一目、ハルウララさんをみたかったの。」

 

「・・・。」

 

「私が精神的に参っていた時にね、ふと立ち寄ったレース場で模擬レースをやっていたのがみえて、、、いや、もうこんな話をしても仕方がないか。とにかく私はもう満足。最後に彼女のトレーナーを見つけることができたら最高だったんだけど、、でも大丈夫。彼女ならきっと。」

 

隣で、なんか話せてすっきりした―と言っている桜さんを見つめたまま、桐生院さんが泣いている。

 

しかし、そうか。

 

いるじゃないか、ウララさんのトレーナー。

 

灯台下暗しというやつだな。

 

こんなにウララさんのことを考えて、真剣になれるトレーナーは他にいないだろう。

 

断言できる。

 

私はトレーナーのことなんて全然わからないが、それでも。

 

 

彼女はきっといいトレーナーになる。

 

 

私は、懐に手をのばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『愛』

 

 

私にはわからない。

 

 

私の母親はいわゆるネグレクトだった。

 

 

男の子が欲しかったらしい。

 

 

滅多に家に帰ってこなくて、それでも、多少は気が咎めるのか、テーブルには不定期にお金が置いてある。

 

 

学校で道徳の授業があった。

 

 

映画を見た。子供が産めない女性が施設に預けられている女の子を引き取るお話。

 

 

画面には女の子の誕生日に一緒にケーキを作っている団欒の様子が流れていた。

 

 

周りにはなぜか泣いている子が多くて、私にはそれがなぜだかわからなかった。

 

 

物語が、終わる。

 

 

最後は母娘で抱き合っている映像で終わった。

 

 

私はその映像を呆然と見つめていた。

 

 

血のつながっていない母娘を、それでも先生は紛れもなく家族だと言っていて。

 

 

じゃあ、私は。

 

 

私に家族はいるのだろうか。

 

 

私を、抱きしめてくれる人はいるのだろうか。

 

 

私には分からない。

 

 

大人になっても、まだ。

 

 

あの後、ただ母親に褒めてほしくて、ひたすらに勉強を頑張った。

 

 

あの映像の母娘のように、いつかは私を抱きしめてくれると信じて。

 

 

結局、なんの意味もなかったのだけれど。

 

 

私には、分からない。

 

 

ただ、今でも鮮明に覚えていることがある。

 

 

気紛れで帰ってきた母親が不意につけたテレビに映っていた。あの子。

 

 

最後のレースで、転んで、負けて。

 

 

レースを終えた彼女は、一直線にトレーナーの下へ駆け出して。

 

 

彼女を抱きしめたトレーナーは泣いていて。

 

 

抱きしめられた彼女もまた、声を張り上げて泣いていた。

 

 

あぁ、いいな。

 

 

私も、私もいつか、、、あんな風に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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きょうはいいてんき。

 

 

 

あったかいお日様のひかりがきもちいいなー。

 

 

 

きっとおひるねにはさいこうのてんきだ!

 

 

 

あ、きょうはもぎレースがあるんだった。

 

 

 

わたしはきょうのあさ、おにぎりのお兄さんからきたれんらくのことをおもいだす。

 

 

 

『今日の模擬レース、きっと、ウララさんにとって特別なものになるはずだから、だから、後悔が残らないように、全力で走って。』

 

 

 

わたしはなんのことだかわからなかったが、レースはもちろん全力ではしる。

 

 

 

レースは楽しい!いつだってわくわくする。

 

 

 

「ウララさーん!」

 

 

 

あ、きづいたらじかんになってた。

 

 

 

いかなくちゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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レースが、はじまる。

 

 

 

きょうのレースもみんなしんけんだ。

 

 

 

いっしょうけんめいなかおではしってる。

 

 

 

わたしもがんばらなきゃ。

 

 

 

「ハっ、ハっ、ハっ、、、、。」

 

 

 

だめだ。どんどんはなされちゃう。でも、まけないぞー。

 

 

 

「頑張れー!ウララさーん!!」

 

 

 

あ、キングちゃんだ!おうえんにきてくれたんだ!

 

 

 

「ウララちゃん、がんばれー!」

 

 

 

ライスちゃんもいる!

 

 

 

なんだか力がわいてきた。

 

 

 

まだまだはなされてるけど、がんばろう!

 

 

 

そういえば、ライスちゃんとキングちゃんのとなりにいる大人はだれなんだろう?

 

 

 

「ハアっ、、、ハアっ、、、、」

 

 

 

だめだ、だんだんつかれてきた。

 

 

 

「ハアっ、ハアっ、、」

 

 

 

まえにいる子がとおいなー、もうだめかも、、、。

 

 

 

「ハアっ、ハアっ」

 

 

 

「ハルウララさん!」

 

 

 

「え?」

 

 

 

だれだろう。わたしのなまえをよんでる。

 

 

 

「ハルウララさん、頑張って!あなたならできるわ、自分を信じて!」

 

 

 

あの大人のひとだ!

 

 

 

なんでわたしをおうえんしてくれるんだろう。

 

 

 

「頑張れ!頑張って!」

 

 

 

なんで。

 

 

 

「もう少し、頑張れ!」

 

 

 

なんで、泣いてるんだろう。

 

 

 

どうしたのかな。

 

 

 

いまからがんばっても、もうまえの子にはとどかないよ、、。

 

 

 

「あなたなら絶対にできるっ!お願い!頑張って!」

 

 

 

わかんないよ。

 

 

 

わかんないけど。

 

 

 

でも、、。

 

 

「いけー!ウララさん!」

 

 

「ウララちゃん!」

 

 

でも、なんだか、、。

 

 

「ハルウララさん!最後まであきらめないで!!!」

 

 

すっごく、負けたくないかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『ハアっ、ハアっ、、、あー、きょうもまけちゃったー。でも、レースたのしかったー!!』

 

 

 

『ねぇ、あなた』

 

 

 

『え?』

 

 

 

『その、いつもレースで負けているけれど、、悔しくはないの?』

 

 

 

『え、う~ん、どうかな?あ!でもねでもね、レースはすっごくたのしかったんだよ!』

 

 

 

『負け続けても?』

 

 

 

『うんっ!わたしははしることがだいすきなんだ!それにね、、』

 

 

 

『それに?』

 

 

 

『私はー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアっ、ハアっ、、、、思いだした。あのときのおねえさん、、。」

 

 

 

 

 

「ご、、、、ごめんっ、、なさい、涙が、、止まらなくてっ、、、、。」

 

 

 

 

 

「え、そんなにかなしいのっ?」

 

 

 

 

 

「ち、違うのっ、、うれしくてっ、、もう一度、あなたに会えるなんて、、、思わなかった、から」

 

 

 

 

 

「わー!なみだがたくさん!!うーん、こういうときどうすれば、、えと、えと。あ、そうだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、なんで、、、私に抱き着いて・・・。」

 

 

 

 

 

「わかんないけどね、でも、わたしがおちこんだり、かなしくなったときはねっ、お母さんやキングちゃんがねっ、こうしてだきしめてくれたの!だから、わたしもねっ、だきしめてあげる!」

 

 

 

 

 

「あ、ありがっ、、、、」

 

 

 

 

 

「いいよっ!お姉さんがかなしくなったらね、わたしにいって!いつでもだきしめてあげるから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたたかな日差しが照らすレース場で、桜さんとウララさんが抱き合っている。

 

 

 

 

 

桜さんはずっと泣いていて、ウララさんが慰めている。

 

 

 

 

 

一回りも年が違うのに、その姿はまるで仲のいい姉妹のようで。

 

 

 

 

 

桜さんが、口を開く。

 

 

 

 

 

あなたの、トレーナーになりたいの。

 

 

 

 

 

そう、言いたいはずなのに、、、。

 

 

 

 

 

それでも、涙は全然止まってくれなくて。

 

 

 

 

 

言い、たいのに、、。

 

 

 

 

 

伝えたいのに、、、。

 

 

 

 

 

嬉しくて、幸せで、、言葉が、のどの奥に、つっかえて、、。

 

 

 

 

 

「あ、あなっ、あなたの、、、、。」

 

 

 

 

 

溢れる感情を、抑えることができなくて、、、。

 

 

 

 

 

「わたしを、あなたのっ、、、、。」

 

 

 

 

 

それでも、どうしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙が、止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本ウマ娘トレーニングセンター学園:第4回模擬レース」

 

 

 

 

「1着 ハルウララ」

 




泣き虫のあなたへ。
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