本読んで、ご飯食べて   作:恵の鷹

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第8話

 

 

「あのっ、せっかくですし記念に打ち上げでもしませんか!」

 

 

きっかけはこの一言だった。

 

あの後、見事模擬レースで1着を取ったウララさん。私も見ていたのだが見事な逆転劇だった。

 

そしてその場で桜さんが大号泣。

 

心配して駆けつけてくれたウララさんとしばらく抱き合って泣いていた。

 

その後は無事に担当契約できたみたいで、ウララさんがめちゃくちゃ喜んでいたのが印象に残っている。

 

ああ、今更だが桜さんはトレーナーに復帰している。

 

私の特製きび団子(レベル8)の効果は絶大だった。

 

食べた後はしばらく呆然としていたが、なぜか体の疲れがなくなっていることに驚いて、なぜか肌もつやつやになっていて、急いで病院に戻ったらなぜが健康体に戻っていて。

 

医者も呆然と『奇跡だ・・・私は奇跡を目にしている・・・。』と言っていた。

 

私の料理が原因だということはあの場にいた2人なら当然理解していたが、私が黙っていてほしいというと素直にうなずいてくれた。

 

ウララさんはトレーナー契約を結べて、桜さんは元気になった。

 

これで一件落着だとなっていたところで桐生院さんが是非、打ち上げを。と言い出したのだ。

 

桐生院さんはものすごく不器用というか、くそ真面目というか、まあ、その性格が故か、友達と呼べるような知り合いがいないらしい。

 

そんな中で比較的自分と波長の合う桜さんが現場に復帰したことがすごくうれしかったらしく、長年やってみたかった打ち上げというものをこの機会に是非経験してみたかったと。

 

そういうことなら私も嫌はない。

 

本来は東京で料理を作ることももうないかと思っていたのだが、ここは盛大に祝おうといつものお寿司屋さんを貸し切りにして、私の料理を振舞うことになった。

 

で、参加メンバーなのだが、、、。

 

まず私と桜さん、桐生院さん、ウララさんは当然参加。

 

そして桐生院さんが誘いたいというので連れてきた担当ウマ娘だというハッピーミークさん。

 

あとその場でウララさんを応援していたキングヘイローさん、ライスシャワーさん。

 

私はこのくらいでいいんじゃないかと思っていたのだが、ウララさんがお祝いならもっといろんな人を誘いたい!というので、まあいいんじゃないかと了承。

 

とりあえず暇な子がいたら連れてくるというのでいったんその場は解散し、学園や仕事が終わる18時にお寿司屋さんに集合ということになった。

 

ああ、お金は全額桜さんが負担してくれるそうだ。

 

結構な金額になると思うのだが「むしろ全然足りないくらい」だと言っていた。

 

今まで使い道のなかったお金がやっとつかえるとも、、。

 

そういうことなら遠慮はいらないかな。

 

 

 

そして、一足先にお寿司屋さんに向かった私の前には様々な種類の魚介が鎮座していた。

 

鮭、鮪、鰯、鯵、鰹、鱧、タコ、アオリイカ、ホタルイカ、穴子、カレイ、クエ、アワビ、甘海老、ウニ、etc...

 

事情を説明したらおばあさんがかなり張り切ってくれたのだ。

 

目利きは任せなといって、近くの市場にある新鮮な魚を片っ端から買い上げたみたいだ。

 

目の前に並べられている魚が光り輝いて見える。

 

ここまでしてくれたのだ。

 

私は久々に心が昂るのを感じる。

 

この魚介を私が料理したらどれほどおいしくなるのだろうか。

 

だが、さすがに全力(レベル10)で作るなんてことはしない。あれは1種の劇物だ。おいしいとか以前にまず意識を保つのが難しい。

 

意識を保っておいしく料理が食べられるのはレベル3まで。

 

それでも恐らくこの世界で出されるどの料理よりもおいしいだろう。

 

人類の限界がレベル2だからな。

 

うん。お祝い事だし、やはり今日はレベル3でいこう。

 

18時まではまだ余裕があるな。

 

これが私が遠征でつくる最後の料理、みんなに喜んでもらえるように頑張ろう。

 

私は包丁を握った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・。すごいな、これは。、、私は、これほどおいしい料理を食べたことがない。なんだこれは、手が、止まらない。一口一口噛み締めるごとに旨味があふれてくる。」

 

「おいしいですぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!手が、手が止まりませんっ!」

 

「もぐもぐもぐもぐもぐ・・・・・。」

 

 

あれから時間になって続々とメンバーが集まってきた。

 

一番初めに到着したのが桜さんと桐生院さんで、その後から練習を早めに切り上げたウマ娘の子たちが入ってきた。のはいいのだが、なんかやけに多い気が、、というか明らかにお店のキャパを超えている。

 

いや、それよりも、到着してから早々に私の真正面のカウンター席に陣取ったオグリさん、スぺさん、ライスさん。既に100貫以上は食べているが全く動く気配がない。

 

私がお寿司を握るたびにカウンターからぶんどり、次々と口に入れていく。

 

 

「オグリッ、アンタええ加減にせえっちゅうねんっ!!!こっちに寿司がまわってこんわっ!!!!!」

 

「いや、すまない。だが諦めてくれ。私は・・・・・・・・・止まらない(ドンッ)!」

 

「どアホォーーーーーーーー!!!!!」

 

「あらあら♪」

 

 

「あっ、スぺちゃん、そっちの卵焼きもらってもいいかしら?」

 

「あげませんっ!」

 

「うそでしょ・・・。」

 

「私、日本一のウマ娘になるって、故郷のおかあちゃんと約束したんです!だから邪魔しないでください!」

 

「うそでしょ・・・。」

 

 

「ライスさん、そろそろこちらにもお寿司をまわしてほしいのですが、、、。」

 

「ライスはね、ヒールじゃない、、、ヒーローだっ!!!」

 

「いえ、あの、そういうことではなくお寿司を、、、。」

 

「ブルボンさん、覚えておいて。ライスはもう過去を振り返らないの(ドンッ)!」

 

「ピピー、エラー発生。エラー発生。」

 

 

それから3人は梃子でも動かなそうだったのでワサビ寿司を食べさせて沈めておいた。

 

 

「っぐ、くっっっ!これはっ、試練だとでもいうのかっ!私がこの寿司を食べるのにふさわしいのかというっ!だがっ!この程度で、、私はっ!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「目がっ!!ワサビがライスの目にはいっt、、、!!!」

 

 

まだ耐えるのか。

 

 

すごいな。だが。

 

 

2個目はどうする?

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」」

 

 

やっと正面の3人がおとなしくなったので徐々に全体にお寿司がいきわたりはじめた。

 

 

一番ほのぼのとしているのは桜さん、桐生院さん、ウララさん、ハッピーミークさんの席だろう。

 

 

「それでねっ!わたしが1着だったっておかあさんにいったらねっ!」

 

「う゛ん゛、、、、、、、、、う゛ん、、、、。」

 

「・・・それがすっごいうれしくてねっ!それから・・・・・」

 

「う゛う゛ぁーーー!!!!!!」

 

「ああっ!トレーナーまたないてる!」

 

ウララさんが話しかけて、桜さんが号泣しながら聞いている。あの人最近泣きすぎじゃないか。

 

 

「ミーク、あの、おいしいですねっ!」

 

「うん。」

 

「あっ、こっちのイクラも食べますか!」

 

「・・・・うん。、、、、ありがとう、トレーナー。」

 

桐生院さんとハッピーミークさんはなんかぽわぽわしている。一見ぎこちなさそうにも見えるが、あれがあの2人にはちょうどいいのだろう。

 

 

その反対側のテーブル席はかなり騒がしい。

 

「マーベラース!!!!!!!!」

 

「すっっっっごいおいしー!!!!ターボこんなにおいしーおすし食べたことないぞ!!!!」

 

「これはっ!うますぎるぞ!!それになんだか力が湧いてくる!!!

はっ、、、、今こそ!正義のおすしヒーロー、ビコーペガサス参上!!!」

 

「うまいのだーーー!!!ああ!そっちのやつも全部ウィンディちゃんのだぞ!!勝手に食べるなーー!!!」

 

「うるさああああぁぁぁぁぁぁぁああい!!!!!

ちょっと、アンタたち!!いい加減にしなさいよっ!アタシの食べる分が全然ないじゃない!!!」

 

「スイープさん、スイープさん!みてください、この緑色のお寿司!特別にってもらってきました!!!」

 

「キタちゃん、、それ。わさb、、、」

 

「あっ、ダイヤちゃんもたべる?ほかのお寿司もおいしかったんだもん!これも絶対おいしいよ!」

 

「いや、私は・・・・・いえ、わさび寿司を食べてむせび泣くなんて理不尽なジンクス。そんなもの、私が打ち破ってみせるっ!一緒に食べよう!キタちゃん!」

 

「「・・・・・・う゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」」」

 

「うるさああああぁぁぁぁい!!!!!!!」

 

「いや~、ネイチャさんもどうしたらいいんだろう。」

 

 

いや、あれはうるさくなりすぎたときの保険としてもっておいてって意味だったんだが、伝える前に持っていかれてしまった。

 

まあいいか。

 

残り2席のテーブル席のうち1席はメジロ家(レース界の名門らしい)のみなさんが集まっている。

 

 

「アルダン、ドーベル。よく覚えておきなさい。

私達も沢山の美食に触れてきたわけだけれど、それでもね、本当においしい料理にはそれに見合うだけの愛情もたくさんつまっているものなの。つまりこのお寿司、これこそが、、『純愛』よ。」

 

「わあ!素晴らしいですね、姉様!」

 

「いや、意味が分からないんだけど・・・。」

 

 

「美味しいですわ!美味しいですわ!これは、、、パクパクですわ!」

 

「あの、マックイーン、、今って減量中だったんじゃ・・・。」

 

「ほわ~♪。パーマーも今日はたくさん食べるのですね~」

 

「いや、だってこれほんとにおいしすぎる、、。」

 

 

 

まあ、あそこは比較的おとなしい、のかな。比較対象にまともなのがいない。

 

で、最後の席にはアヤベさんとそのお友達のみなさんか。

 

 

「美味しいですっ!おにぎりもすごかったんですけど、このお寿司はそれ以上にすごくてっ、とにかくすごくすごいですっ!!!アヤベさんも食べてみて下さいっ!!!」

 

「落ち着きなさい、トップロードさん。ちゃんと食べてるから、、ああ、ほらお水。」

 

「ありがとうございます!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「あぁっ、ごめんなああぁぁぁい!!!オペラオーさん、間違えてわさび寿司あげちゃいましたあぁぁ!!!それは保険だっていわれてたのにぃぃ!!!すぐにお水をっ!!」

 

「ハアッ、、ハアッ、、、問題ないさ、ドトウ!この程度のわさびなんt、、あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!!」

 

「ごめんなああぁぁぁい!!!お水じゃなくて熱湯でしたあぁぁぁ!」

 

「う~ん、、やっぱり弟ちゃん♪・・・いや、、でもな~、、、。」

 

 

 

ドトウさんさんはなかなか鬼畜だな。

 

そういえばアヤベさん、あれからどんどん元気になっているみたいでよかった。彼女はもう大丈夫だろう。

 

 

 

まだまだ店に入りきらなくて外で騒いでいる子もいるみたいだけど、気にしたらキリがないか。

 

 

それよりも店内の人口密度がすごくてちょっと暑くなってきたな。

 

上着の下はちょっと厚めの半袖だし、一枚だけなら脱いでもいいかな、、、。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・この時、私は少し気が緩みすぎていたのだろう。

 

小暮町から遠く離れたこの東京で、明日には帰るということもあって、いつもより開放的になっていたのだ。

 

ここに母がいればきっと最悪は免れた。

 

私は勘違いしていたのだ。

 

確かにここが男女比1:10の世界だということは理解していた。

 

だが東京では私が町を出歩いていても、ジロジロ見られはするがそれだけだった。それは遠くから私を見守ってくれていた黒服さんが人知れず排除してくれていたということが大きかったというのに。

 

私は安心していたのだ。

 

この店にいるスイープさんやキタサン、アヤベさんやウララさん、それに桜さんなど、短い時間だが行動を共にした彼女達に慣れてしまっていたんだ。

 

そう。私はこの日、選択を間違えた。

 

私は、ウマ娘というものを嘗めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後になって知った。

 

 

この世界と前世とでは決定的に異なるところ。

 

 

それは、『エロ』という文化が全く発展していないということ。

 

 

そして、ウマ娘は人一倍強い性欲を、日々走ることで解消できていた、ということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q.飢えた獣の前にカモがネギ背負って近づいてきたらどうなりますか。

 

 

 

 

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