騒音混じりの保存記録   作:空ボトル

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誰かの暇つぶしにでもなってくれたら嬉しいです。



0-1 病院にて

 

 激痛で目を覚ます

 というのは、なかなかない経験だった。

 心安らぐ眠りからの起床なんだぜ? 目が覚めるのもスッキリしたもので、よしんば悪かったとしても起きづらい程度だろ。

 思わず自分のものだと信じられないぐらいの叫び声をあげてしまった。

 たぶんほぼ雄叫びだったことだろう。

 頭痛(Lv100)のピークは過ぎたがまだ痛む。

 

 ここはいったいどこだ? 

 病院……のようにキレイだったみたいだが、部屋のいたるところに亀裂が入っている。しかも割れ方が新しい。

 

「大丈夫ですか!」

 

「うぅ……耳が……」

 

「誰か呼んでくれ!」

 

 外が騒がしい。地震のような災害が起きてその避難を? 

 でも極めて一般人の俺だけ別室になることある? 

 頭が包帯で巻かれているようだけど、ケガや病気はなかったと思うんだが……

 けっこう重症かも? 

 あっ、誰か来た。

 

「先生! 大丈夫ですか?」

 

 ……犬? 

 扉を開けて入ってきたのはすっげぇモフモフの人だった。

 もしかしてドッキリでもしかけられてんのか? いや、あの表情の動きは作り物じゃない……? 

 

 よくわからん状況に困惑しているなか、腕前は確かなようで診察を終えてしまった。受け答えた俺は上の空だったが。

 

「手榴弾が放り込まれたのかと思いましたがよかった。これなら頭の包帯もすぐに取れそうですね」

 

「……あの、なんで俺は病院? にいるんすかね」

 

「はい?」

 

 診察が終わって我慢ができずに質問をすると、驚き3割困惑7割で返ってきた。

 

 まさかと、はっとした顔でいくつか質問をされた。

 名前、誕生日、住所、ここはどこか、仕事先……

 ははは、何をおっしゃるそんなの簡単ですよ。

 名前は……えーっと、えと、えと、え……。あれ。思い出せない。

 いや待ってくれ、ここは日本だろ。しがない大学生活を送って仕事に就いたんだ。そこで社会の厳しさを実感しながら生活したのは覚えてる。

 けど……そこから……? 

 マンガやゲームについては覚えているのに記憶が朧気だ。リソースの割き方がおかしいだろ。

 

 これってもしかして……記憶喪失……? 

 

 そこからが忙しなかった。

 病院の色んなところを転々としての検査、検査、検査。

 そんでもって原因が分からないとのこと。腕前は確かと言ったことを撤回させてもらうぜ。

 

 当然ながら入院は続行。ベットは温かいのにこれからをこれからを考えると冷え冷えだ。

 飯もイマイチだし、量も足りない。退院したらとりあえず美味い料理を食べるとするか。

 金については……まぁ、なんとかなるだろ。

 

 

 と、心配していた翌日に身元保証人によって引き取られることが決まった。仕事の上司に。

 わーいやったー。でもそれってもしかして(仕事漬け

 まだだ、こんな得体の知れない人間を引き取ってくれるんだ。いい人に違いない……違い……ないんだっ……。

 

 ついでに頭の包帯も取ることになった。検査上では特に問題ないしね。やっぱり邪魔だよ。頭が痒くなるし。

 それじゃ、ご対面。

 

 包帯を取ってもらって、鏡を覗いた。

 暗い赤の髪、ビキビキの額の凶悪そうな目。見てくださいよこの凶暴そうな顔、26種ぐらいの生物を絶滅させてそうですね。

 

 

「ゼブラじゃねーか!!!」

 

 

 ちょっと叫んだだけでも引くくらいに出る声の感じをみるに、見せかけだけじゃないなこの身体。

 なんでよりによってトリコのゼブラ!? 

 どうせなら釘パンチとかナイフとかやりたかったんだけど! 

 こんなに筋肉ダルマなのに気づかなかったのかって? 

 はい……すっごい身体が軽くなったぐらいしか思っていませんでした。

 扉が低く感じたけど、比較対象が犬や猫ばっかりで等身が狂うんだよ。

 

 よくよく聞いていると会話のところどころに物騒な単語が出てくるし、もしかしてち〇かわみたいなノリに銃が出てくるような世界なのか? 

 ふわふわなようで闇が深い世界なんて嫌なんだが??? 

 

 うだうだ考えているうちに上司と会う時間になってきた。

 せめてデカくてモフモフの犬種のヒトであってくれぇ──!! 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりです、先生。その……記憶喪失とのことですが私を覚えているでしょうか?」

 

 長い黒髪に、ネガネに加えて元々もっているのであろうよく分かる知的な雰囲気。着ていて恥ずかしくないの? っていう制服。

 そして何よりも目につくのが頭上の輪っか(ヘイロー)

 

「ああ……わかるぜ、リンちゃん」

 

「はい?」

 

 ブルアカかよぉぉおおおおおお!!!! 

 

 と、叫ばずに頭を押さえて空を仰ぎ見るだけに留めた俺を褒めて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これから地獄への切符をいろんな少女が握っている世界で奔走することになるんだが……最初はこんなところか。

 いや、いうほど走っていなかったかもしれない。

 やっぱり先生なんてむいてねぇ……何で早く来てくれねぇんだか。

 ()()()のもなかなか楽じゃねぇんだよ

 記録を残すなんて柄じゃねぇが、また記憶がなくなってもな。いらないかもしれんがまぁないよりましか。

 

この記録が役にたってくれることを願う

 

 

──ファイル0.目覚めの悪い始まりから

 

 

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