本来ならチュートリアル面々に会うくらいまでは進めたかったけど、投稿優先したらそこまで間に合わなそうだったんで、もう少しぶつ切りでやってくことになりそうです
「……先生、起きてください」
声が聞こえる。相手は若い女性のようだが、聞き覚えはない辺り、おそらく初対面なのだろう。それが機になった訳ではなさそうだが、まどろむ意識が徐々に目覚めていくのを感じるものの、引き留めるような気怠さに捕らわれ、完全に目覚めるまでは至らない。
「ウォルター先生!!」
直後、一転して放たれた怒号でようやっと頭が働きだし、眉間にしわを寄せながら一際目を閉じると、不完全ながらも開いた目に映るのは、おそらく声の主であろう、白いコートを羽織り、吊り上がった目に眼鏡をかけ、紺色の髪を伸ばした少女。しかし特に目を引くのは、彼女の頭上に浮かぶ、3つの縦線が交差し、十字の様になった青い円だろうか。多少上下するその円に目を取られていると、件の少女は目を覚ましたことに気づき、軽くため息をついてから話しかける。
「少々待っていてくださいとは言いましたが……お疲れのようですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは」
「俺が、寝ていたのか……?」
皮肉程度のつもりだろうが、相手の小言を聞いて、目を覚ました人物――『ハンドラー・ウォルター』は、思わず呆然とする。最後に覚えているのは、621に脱出用のACと、遺言同然のメッセージを残し、それが見つからぬ様、周囲を警戒していた『ヴェスパー』の実働部隊を引きつけ、逃げていたこと。少なくとも暢気に寝てしまうような場面ではなかったし、仮に彼女達が助け出したにしても、わざわざヴェスパーを敵に回してまで自分を救うに値する理由があるとは、到底考えられない。
だが眼前の少女は、ウォルターの心情など気にも留めぬとばかりに、「起き抜けに申し訳ありませんが、目を覚まして、集中して頂けると助かります」と話を続ける。
「改めて自己紹介を。私は、学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部、七神リンと申します。そして貴方はおそらく、私たちがここに呼び出した先生……のようですが……。ああ、推測系でお話したのは、私も先生がここにいらっしゃった経緯を詳しく把握していないためです」
どうやら『七神リン』と名乗る眼前の少女も、ウォルターがここにいる理由を認知していないらしい。
「学園都市『キヴォトス』……?ルビコンではないのか……?いや、それより、把握していないだと?だとしたら、俺を呼んだのは誰だ?」
「はい?ルビコン、ですか?聞いたことのない地名ですね……あぁ、失礼。混乱されてますよね。心中お察しします。しかし私はあくまで案内役ですから……先生を選んだ方はまた別であり、詳しい説明は私からは致しかねます」
直前までいたはずのルビコンについてすら初耳な辺り、彼の身の上に関する情報さえ満足に共有されていないようだが、ウォルターにしてみれば、最早それどころじゃない結果とも言える。ここがルビコンでないなら、そもそも自分はどうやって辿り着いたのか。そんな自分を
わからないことばかりの八方塞がりではあるものの、少なくとも眼前のリンは、理由こそどうあれこちらに敵意は有してないのは幸いと言えた。万が一彼女が自分を認めなかった場合、突然連れ込まれたこの異邦の地で、目覚めることさえなく生涯を閉じていたかもしれなかったのだから。
「とりあえず、今は、私について来ていただけますか……?どうしても、先生にやっていただかなくてはいけない事があります」
一切事情も分からない中、見ず知らずの自身に懇願してくるリンの言葉に、ウォルターはかつて621に送った言葉を思い出す。
『621、お前に意味を与えてやる。仕事の時間だ』
621に託しはすれど、ルビコンでの
「わかった。今は他にできることもない以上、お前に従うしかないようだ」