Handler Archive   作:ゲオザーグ

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()闇銀行襲撃

「久しぶりだね、ウォルター。それに、まさかハウンズまでいたとは思ってなかったよ。さて、アビドスの面々も色々聞きたいこともあるだろうけど、こっちもこっちで話をすり合わせなきゃならなくてね。チャティに案内を任すから、しばらく適当に見回っててくれ」

 

 渡り廊下を降り対面した『RaD』の主、『シンダー・カーラ』は、早々にアビドス面々を引き離し、ウォルターとハウンズを連れて応接室に入ると、向かい合うように座るウォルターが切り出す。

 

「単刀直入に聞く。621は上手くやったか?」

 

「それに関してだが……生憎私も分からなくてね。とりあえず、私達がここに来るまでの経緯を話そうか」

 

 恐らく無意識に気持ちが先走ったウォルターが最も知りたかったであろう結末――621の安否と、亡き同胞(友人)達の悲願たるコーラル根絶の成否に対し、濁す様に1度言葉を切ったカーラからの返答は、不明。とは言え、彼女が曲がりなりにも仕事に妥協はしないとの認識と、621を気に入っていたことから、間違っても雑に見捨てて逃げた訳ではないことは承知の上で続きを促すように黙るウォルターの意に気づいたように、カーラがルビコンでの顛末と、キヴォトスへ来るに至った事情を語り始める。

 ウォルターに621を託されたカーラは、その期待通りに脱出した621の元に駆けつけ、アーキバスの警備部隊を迎撃。奪われていた機体共々回収し、無人洋上都市として沈黙していた恒星間入植船『ザイレム』を目覚めさせると、かつてコーラルの調査や研究をしていた組織、『ルビコン調査技研』が拠点たる『ルビコン技研都市』に残されていたコーラルを宇宙に吸い上げる施設、『バスキュラープラント』をアーキバスが掌握し、星外まで伸びるほど増築を完了していたとあって、万が一吸い上げられたコーラルが宇宙空間に漏出し、手が付けられないほどの爆発的速度で増殖する前にザイレムをバスキュラープラントに突貫させ、惑星(ルビコン)ごと焼き尽くすべく向かってはいたのだが、当然迎撃にきたアーキバスの戦力を相手するべく、愛機『フルコース』に搭乗したところから突如記憶が途切れ、同じくチャティが動かす『サーカス』共々倒れ伏していた機体から出た先は、ブラックマーケットの付近にあった廃屋の中。

 訳の分からぬまま外に出たカーラは、出会い頭に銃を向けてきたチンピラを肉弾戦で返り討ちにしてから洗いざらい吐かせ、ここが学園都市キヴォトス、その一角にあるブラックマーケットに当たることや、周辺地理、常識(ルール)等を学ぶと、彼女らを傘下に収め、自身の知識や経験を活かして技師(エンジニア)として勢力を築きながら更なる情報を集めていた矢先、『S.C.H.A.L.E』なる組織の設立と、その代表とも言うべき先生にウォルターが就任したことを知って驚くも、今の立場では表立って会いに行くには不向きと機を窺っていたため、事情や経緯に難はあれども、こうして再会できたのは彼女としても幸運と言わざるを得なかった。

 

「621が上手くやってくれたと信じたいが、結局ルビコンがどうなったかは、わからずじまいか……」

 

「なぁに、621(ビジター)のことさ。成否はどうあれ、『笑える』結果を出してくれただろうさ。むしろ問題は、キヴォトス(こっち)の方だろうね……」

 

 コーラルの監視者、秘密結社『オーバーシアー』たる自分達の使命であるコーラル根絶は、残された621が1人で背負うには重すぎるだろう。しかしルビコンに戻る手立てがない以上、再び関与する術はないと割り切ったカーラは、621の身を案じるウォルターに、優先すべきは今自分達がいるキヴォトスの方と話を導く。

 

「そうだったな。チャティを介して知っているようだが、アイツ等(アビドス)の借金問題は、俺が思っていたよりも、大分根深かったようだ」

 

「その件については、今もチャティがお嬢さん方の愚痴を聞いてるが、そもそも回収した利息の行き先以前に、数百年単位の借金なんて、桁外れすぎて、聞いてるだけで乾いた笑いしか出ないよ……」

 

 例え星系規模のアーキバスや、同じくコーラルを求めルビコンに実戦部隊『レッドガン』を差し向けるも、その壊滅でアーキバスとの勢力争いに負けて手を退いた『ベイラム・インダストリー』の様な企業だとしても、普通なら完済までの年数が2桁も行けば、見切りをつけて資産の差し押さえに動きそうなところを、カイザーは最早アビドスが返済の見込みどころか、自治体としての機能すら満足に体を成していないにも関わらず、律儀に3桁規模の年数を前提とした返済を相手している。

 当のアビドスにはそれを確認する余裕がなかったことを抜きにしたところで、今回の偶発的な露呈がなかったにしても、最早単純な金銭のやり取り以上の裏があることは、傍から見れば、かつて621が下した、コーラル中毒で自身の実力を過剰認識していたカーラの傘下、『無敵の(インビンシブル)・ラミー』のような満足に頭が働かない人間でもない限り、すぐ気づきそうなもの。

 最も肝心の狙いが分からない以上、アビドスを救うにしろ見捨てるにしろ(どうするにしても)動き方が分からない以上、その確認のために闇銀行から取引履歴を入手し、金銭の流れを確認して手の打ち方を探るのは必須だろう。

 

「となると、問題はこちらの戦力だろうな……」

 

 ため息と共に両隣を固めるように座るハウンズを眺めるウォルターだが、少なくともつい先日、『ドルフィン1』のシロナ1人にあしらわれたことに驚きはすれども、彼女達に対する失望は一切ない。それよりも既に「『S.C.H.A.L.E』の戦力」と知れ渡っている彼女達を駆り出せば、それは「『S.C.H.A.L.E(自分達)』の犯行だ」と大々的に宣言しているも同然であり、今後の行動において明らかに足枷となる。

 キヴォトスと外の相場や、技術の進歩具合は不明だが、彼女達が再度手術を受け、普通の人生を送れるよう、可能な限り稼がせておきたいウォルターとしては、浴びなくてもいい余計な泥のせいで、これまで築いた実績を無碍にしかねない銀行強盗(今回の仕事)は、彼女達にとって最悪百害あって一利なしな骨折り損とあって、出し渋るのも当然だった。

 かと言って、それこそ問題の当人たるアビドスの面々では「踏み倒しに襲ってきた」などと言いがかりを食らって確認どころではないし、『S.C.H.A.L.E』の権限でユウカやハスミを呼び、その縁故から戦力を工面しようなら、他校への余計な飛び火で却って被害や問題を増やすリスクが大きい。

 対峙こそしたが、商売敵と警戒しつつ、表にできない仕事(こうした時)に使えるかと目を付けていた『S.H.A.R.K.S』は、先程現金輸送車を護衛していたことからまず敵側についていると見るのが妥当だし、金を握らせた適当なチンピラを嗾けたところで、彼女達相手では戦力どころか肉壁にさえなるかどうか、と悩むウォルターに、やたら慌てた様子のアロナが決断を急かす。

 

『先生!早く闇銀行に向かいましょう!このままだと手遅れになりますよ!?』

 

 しかしアロナに対し、答えたのはウォルターではない。

 

「盗み聞きとは感心しないねぇ。誰だい?人の選択に余計な茶々を入れるのは」

 

『うぇえ!?な、何で先生以外の人に私の声が!?グェ!』

 

 ドスを利かせたカーラの声に驚くアロナだが、直後彼女がいる謎の空間に現れた侵入者——成人男性サイズの『サーカス』に圧し潰され、呻き声と共に倒れ伏す。

 

『ボス、断続的なハッキングを防ぎながら逆探知をした結果、コイツが発信源のようだ。どうする?』

 

「安心しろ、少なくとも敵ではない。尤も、シッテムの箱(この端末)自体が出所を始め、構造だなんだと未知な部分が多いせいで、信頼していいかも怪しいがな……」

 

「だそうだよ。とりあえず、武器は降ろしてやりな」

 

 呆れながらもウォルターが取り出し、カーラに画面を見せたシッテムの箱には、おそらく電脳空間でのアバター的な物らしき『サーカス』の頭部をそちらに向け、両手の銃器を車輪で抑え込んだアロナに突き付け、指示を待つチャティ。絵面の酷さに心は痛まなかったようだが、話を聞く限りあまりに胡散臭い代物ながら、「ウォルターが言うなら」とひとまずは敵意を解いたカーラの指示に従い、『わ、私は先生の味方ですよ!』と抗議するアロナから射線を外す。

 

「ところで戦力に関してだが、ちょっとこっちからも話があってね。さっき見せたMTの(たぐい)、使ってみる気はないかい?

 

「いいのか?あれは外部に販売するものかと思ったが……」

 

 アロナの割り込みで話は逸れたが、ウォルターにカーラが持ち掛けたのは、先程見たMTの類似兵器の提供。確かに機体への搭乗で、操縦者(パイロット)の姿が見えないだけでも秘匿性が上がる分、ハウンズを送り込んでも、最悪離脱後機体を破棄すれば今後の支障は大きく減るだろうが、先の様子を見るに、あの機体はおそらく、ここの防衛用か、他組織に売り出す商品のはず。それを軽々提供してもいいものかと尋ねれば、カーラは呆れた様なため息を吐いて答える。

 

「まあ、まさに闇銀行(これから襲う先)を裏で操ってるカイザーもそうだが、確かにあれを欲しがる勢力は多数いるし、そうした取引もしてるよ。ただ、どうにも機体に振り回されてるような奴ばっかみたいで、上手く扱えずに余計な破損を繰り返して、その修理用パーツが予期せぬ収入になってるくらいさ。だもんでいい加減、キヴォトス(こっち)の連中が使いやすいよう調整したいところだったんだが、そんな有様だから、私とチャティ以外碌な操縦者(パイロット)がいなくてね。その点ハウンズなら、さっきのはともかくBAWS製なら多少規格は異なるが、ACの操縦経験が活きるだろうから、まだマシに乗りこなしてデータが収集できると思ったんだ。ついでに色々とアイディアも浮かんでね。折角の『愉快な遠足』、私達も楽しませてもらおうじゃないか」

 

 かつてアイスワームを前にしたアーキバスとベイラム、RaDの共同作戦を指揮し、最期はルビコンに散った『レッドガン』の総長、『G1(ガンズワン)ミシガン』が度々口にしていた言葉を借りたカーラは、口角を大きく吊り上げながら、半ば強引な参加を告げた。

 

 

 

 

 

 

「話は聞いたな。大丈夫だとは思うが、小鳥遊達のためもう1度作戦を説明する」

 

 いつもと違い直接対面で、呼び戻されたホシノ達も交えたブリーフィングだが、動揺なく首を縦に振るハウンズの姿を見たウォルターは、『あの、それ私のお仕事……』と口を出すアロナを無視して、シッテムの箱にチャティが表示させた、現金輸送車の運転手がサインし、銀行員に差し出した集金確認の書類を指さす。

 

「今回最優先すべきは、あの闇銀行が保管している収支明細を得ることだ。下手にアビドスとの取引記録だけに限ると、その先が読めないし、ピンポイント過ぎて足が付くリスクも大きい。だから黙らせておく材料にする意味も込めて、ある限り明細の書類を出させる」

 

 続けてチャティが以前シロコが調査していた情報と、先程入手していたデータを基にした地図を映すと、各員のアイコンを、話に合わせて動かす。

 

「まず小鳥遊、砂狼、十六夜は、外部から銀行の電源を破壊し、警備システムを停止させた後、撤退。合わせてハウンズはカーラと共に突入後、おそらく内部でも警備にいるだろう『S.H.A.R.K.S』の部隊を迎撃し、銀行員から収支明細と、可能な限り現金を入手しろ。交渉に関してはカーラやチャティに任せるが、金塊の様な足が付きやすくなりそうな物品は、渡されても受け取るな。……俺も現場で支援する。MTとは言え、久しぶりの操作だが、腕は鈍ってないと信じているぞ」

 

「さて、それじゃあ出撃前に機体と武器を選ぼうか。ACほど幅はないが、用意できるだけはしといたから、好きに構成(アセン)を組みな」

 

 話が終わると共に、手を叩いて立ち上がったカーラがハウンズを連れて部屋を後にすると、重要とは言え序盤で出番が終わるとあって、「私も突入したかった……」と額部分に「2」と刺繍された青い目出し帽を手に、不満気にウォルターを眺めるシロコを、ホシノとノノミが立たせ、カーラに続いて出る。

 

「シロコちゃん駄々こねちゃダメだよ~。巻き込んだ私達の尻拭いしてくれるんだから、大人しく従おうね~」

 

「安心しろ、お前達の報酬(取り分)も用意しておく。経緯はどうあれ、手伝ってもらう以上当然だ」

 

「そういうことでもないけど……まぁ、次の支払いで急増して怪しまれたくないし、借金返済以外に細々使わせてもらうよ」

 

 ホシノとしては、これに味を占めたシロコがアビドスの借金返済目当てに銀行強盗をしないか心配だが、今は気分転換のつもりが予期せぬ事態につながったあって、とりあえず作戦を成功させ、早急にアビドスへ帰還してゆっくり休みたいと願うばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 一方闇銀行で待ちぼうけを食らっていたアルは、サドラ達『ドルフィン17』を連れてやっと戻って来た銀行の審査員相手に、不満をぶつけていた。

 

「お待たせ致しました。お客様」

 

「何がおまたせしました。よ!本当に待ったわよ!6時間も!ここで!融資の審査に、何で数時間もかかるの!?別にうちより先に人もいなさそうだったのに!私の連れはくたびれて、そこのソファーで寝ちゃってるし!」

 

「私どもの内々の事情でして、ご了承ください……ところで、陸八魔アル様。貴女はそのような態度をとれる状況ではないと思うのですが?」

 

「あ、うう……」

 

 従える戦力にしろ有する財力にしろ、闇銀行相手に優位を獲れる要素がないとあって、突き付けられたアルは言い淀む。

 

「当行の助けが必要なら、辛抱強くお待ち頂く事も大事かと……あ、それとお連れの方ですが、そちらでお休みになられては困ります。すいませんが、あの浮浪者……いえ、お客様を起こしてください」

 

「いや流石に数時間もほったかされちゃ、待ちくたびれて寝てもおかしくないっしょ。ここ雑誌やテレビもないから、終わって呼ばれるまで外に出て時間潰せなきゃ暇持て余すし。とりあえず……おーい、起きろー」

 

【挿絵表示】

 

 とはいえ「体のいいオモチャ」感覚ではあるものの、そこまで嫌悪感もないとあってか、サドラと似たプラチナブロンドの大きく広がった髪の上に被った青いキャップ帽にサングラスを乗せた『鳶島(とびしま)トリア』は審査員に軽口を叩きながら、ムツキを起こすべく、ゼブラ同様副武装(サブウェポン)の1つとして黒いシャツの上に羽織ったコートの裏に忍ばせていたMk23の銃口で、軽く小突きながら呼びかける。

 

「むにゃ……うは!?何々!?」

 

「……はッ!」

 

「ああっ……す、すみませんっ、居眠りしてすみません!」

 

 起きた拍子に驚いて大きく体を動かしたムツキに連動して、寄りかかり合って寝ていたカヨコとハルカもバランスが崩れた拍子に目を覚ましたのを確認した審査員は、呆れた様子で淡々と結果を読み進めていく。

 

「さて、では一緒にご確認を。お名前は…陸八魔アル様。ゲヘナ学園の2年生ですね。現在、便利屋68の社長、ですか…この便利屋は、ペーパーカンパニーではありませんか?書類上では、財政が見事なくらいに破綻していますが?」

 

「ちゃ、ちゃんと稼いでるわよ!この前だって依頼の報酬はもらってるんだから!」

 

「それと、従業員は社長を含めて四名のみですが、室長に課長、そして平社員……人数に反し肩書の無駄遣いでは?会社ごっこでもしているのですか?」

 

「そ、それは……か、肩書があったほうが仕事の依頼を……」

 

「あとですね、必要以上に事務所の賃貸料が高いです。財政状況に合った物件を見つけていただかないと」

 

「ちゃ、ちゃんとしたオフィスの方が……仕事の依頼を……」

 

「……アル様、残念ですが、これでは融資は難しいですね」 

 

「えっ、えーっ!?」

 

「だぁから言わんこっちゃない……」

 

 ため息と共に締める審査員が告げた結果に驚愕するアルに反し、その後ろで聞いていたサドラは、当然の結果過ぎて「何を今更」とより大きなため息と共に顔をしかめ、那須昂姉妹の『AM/GGA-206』同様、彼女達が浮浪生活中に廃墟で拾って保管されていたレーザーライフル、『Au-L-K29』の『ブルー・マグノリア』で肩を叩く。

 

「まずは、より堅実な職に就いてみては如何でしょうか?こちらで斡旋している中には、日雇いや期間工など、手っ取り早く始められるものもありますが」

 

「は? はぁぁぁ!?(ムカつく!もう大暴れして、銀行のお金持ち出しちゃおうかしら?……いや、駄目ね。ここからお金を持ち出せたとしても、ブラックマーケット各地で巡回してる『S.H.A.R.K.S』を相手に抜け出すのは至難の業。……でも、あのリーダーたちがすごいだけで、もしかすると、他の連中は実は大したことない連中なのかもしれない。私たち4人なら、ここにいる奴全員叩きのめして逃げ切れそうな気も……。いやでも、そんなことすれば次の雇用を断られるかもしれないし……あーっ!やっぱり無理。ブラックマーケットを敵に回すなんて、そんな勇気ないわ……)」

 

 せめてもの情けか、あるいは余裕故の追い討ちか、業務の転換を薦めてくる審査員に対し、アルは内心激昂するが、如何せん彼女の欠点たる決断力のなさが足を引っ張り、半端な理性が残るせいで、踏ん切りがつかないまま黙りこくる。

 

「(くそっ、何よこれ、情けない……キヴォトス一のアウトローになるって心に決めたのに……私は真っ向から戦うどころか、とりあえず何とかその場を凌ごうって弱気になって……融資だのなんだの……こんなつまらないことばかりに悩まされて……私が望んでいるのはこんな惨めなもんじゃない……何事も恐れず、何事にも縛られない、ハードボイルドなアウトロー……そうなりたかったのに……)」

 

「この場で決断が付かないのでしたら、後日また受け付けますので、今日のところはお引き取りを……」

 

 そのまま反論がないのをいいことに、審査員が話は終わりと帰らせようとした矢先、突如照明が消え、室内が闇に包まれる。

 

「な、何事ですか!?て、停電!?」

 

「……来る!」

 

 慌てふためく審査員を余所に、額当てのおかげで影響の少ないゼブラはこの停電が人為的なものと察し、相手の更なる一手に気づくと、先程までアル達が座っていた長椅子を持ち上げ、遠心力で反転させ即席の盾にした矢先、巨大な盾で身を隠した『R2B2 SHCHIT2』を先頭に、マシンガンやミサイルランチャー、ショットガンを手にした3機の『MT-E-104』と、殿(しんがり)を務める一際大柄な4脚MT、『MT-J-048』が入り口を突き破り入ってきた。

 

「『RaD』のMT!?随分と手堅く来たわね……」

 

「ぎ、銀行強盗!?非常事態発生!非常事態発生!」

 

 『S.H.A.R.K.S』(自分達)の相手を想定したにしても、銀行を襲う戦力としては十分すぎる相手に息を呑みながらも、平常心を崩さないトリアとは真逆に、動揺した審査員が騒ぎ立て、裏で待機していた一般隊員達も、「何事か」と駆け付け、即座に攻撃を仕掛けるが、襲撃者は一切動じずに、後続の4機がそれぞれ左手の盾で防ぐ中、先陣を切った『R2B2 SHCHIT2』から、場違いすぎる声が響く。

 

「初めまして!新たなるご友人方!私は『ジャンカーコヨーテス』のリーダー、正直者の(オーネスト・)ブルートゥ!訳あってこちらにお邪魔させていただきました!」

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