Handler Archive   作:ゲオザーグ

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結構脱線すると

それとちょっと前に登場したネズミですが、今回再登場させるにあたり名前変えとこうかと
由来に関してはモチーフ共々下の動画を参考ください
https://www.youtube.com/watch?v=Xmv44QQ5AJY


()Side:S「美食研究会殲滅」

 『ドルフィン17』達が『便利屋68』を巻き込み、闇銀行で『ジャンカーコヨーテス』と攻防を繰り広げていた頃、ミナト達の協力で釣果を収蔵したモウカ(ネズミ)は、ゲヘナの食堂を訪れていた。

 

「やっほー!フウちゃんいる~?」

 

 勢いよく扉を突いて入った直後、入れ違いで飛び出そうとした相手を塞ぐように足を伸ばし、躓いてドサドサと倒れたのを全く気にせず、抱え上げられていたものが宙に舞ったところを受け止める。

 

「大丈夫……じゃねぇか。って、う~わウチの連中ボッコボコ……」

 

「ムグ……っはあ!ありがと。偶然だけどいいタイミングだったわ……」

 

 受け止めた簀巻きの相手――給食部の部長、『愛清(あいきよ)フウカ』の拘束を解きながら食堂の中を覗けば、そこにはゲヘナの食を担う彼女の護衛も兼ねて、調理研修に送り込まれた『S.H.A.R.K.S』の一般隊員達が倒れ伏していた。無事解放されたフウカを伴い、隊員達の様子を伺おうとした矢先、文字通り眼中になかった後方から声がかかる。

 

「いったたたた……何すんのよ!

 

「こっちのセリフだっての、美食気取りの爆弾魔共が!」

 

 最後尾にいた赤髪ツインテールの『赤司(あかし)ジュンコ』が下の面々の身体に手を着いて身を起こし、放った抗議をどこ吹く風とばかりにモウカが『凶暴な魚(Lamna)』と名付けたバトルライフル、『ARAGANE mdl.2』を握った手だけを向けて数回引き金を引き、黙らせた彼女達『美食研究会』は、気に入らない店を爆破する悪行で知れ渡っているが、度々『S.H.A.R.K.S』も巻き添えを食らっており、自己満足で他者の食事を邪魔する彼女達は不倶戴天の存在と認知されている。それと同じくらい繰り返しているのがフウカの誘拐で、各地で目を付け手段を問わず入手した食材を調理させるべく、今回の様に無理矢理連れ出すことが多々あった。

 

「っし、とりあえず動かんうちにふん縛って、プールにでも沈めとくか。ヒナちゃんに突き出しても、どうせ適当に牢屋入れとくだけだし」

 

「イヤイヤイヤ、さすがにそれは……って、私に何か用があったんじゃなかったの?」

 

 そのままフウカの体に巻き付けられていた縄で一纏めに縛り上げたところで、物騒なことを言い出したモウカの意識を美食研究会から逸らすべくフウカが話しかけると、「あ、そうだった」と目的を思い出したモウカは、彼女達を放置して取り出したスマホを見せる。

 

「実は昨日から泊りがけで夜刀浦に釣り行ってきたんだけど、思った以上に大漁でさ~♪帰る前に内蔵抜いて簡単に保存処理はしたんだけど、ちょっと調理までは手が回らなそうで。幾らかお裾分けするから、手伝ってくんない?」

 

 画面に映っていたのは、現地の漁師に出してもらった船の上で釣り上げたキンメダイ。他にもホウボウ、カワハギ、イワシにコウイカと、指をスライドさせるごとに様々な魚介を見せていくうちに機嫌を直したモウカが完全に美食研究会を忘れたところを見計らい、フウカが倒れた隊員達の元へと連れて行く。

 

「それなら悪くならないうちに準備しちゃいましょ!特に青魚は結構足が速いから、醤油に漬けたり干したりした方が冷蔵庫に置いたままより日持ちするわ!キンメダイやホウボウも、煮付けにするならタレ作りや煮込みに時間かかるから、早く皆を起こして向かわなきゃ!」

 

 そうして奥の厨房への道すがら手近な隊員達を起こしていき、最後に起こしたのは、厨房で倒れていた給食部唯一の後輩、『牛牧(うしまき)ジュリ』。料理の腕は壊滅を越え、バケモノを生み出すばかりと、歯に衣着せずに言えば戦力外でしかないが、フウカへの敬意と料理への熱意は実物で、それが結果につながるかはともかく、彼女なりに日々努力と特訓を積み重ねる勤勉な生徒である。

 

「うぅ……ハッ!せ、先輩!?無事だったんですね!」

 

「まぁ偶然だけど、ギリギリ彼女のおかげでね。ちょっと手伝ってほしいらしいから、行くわよ」

 

 身を挺して庇うも美食研究会にあっけなく倒され、連れ去られたと思ったフウカに起こされたことに、目を覚ましたジュリが驚いていたところ、横に向いたフウカの指先を見ると、そこにいたのは、起こした隊員達を従えたモウカ。すでに戻る準備は済んでいたようで、何人かは荷物を詰めたリュックを背負っている。

 

「お料理の手伝いですね!任せて「うん、ジュリちゃんは終わった後に洗いものお願いね」そ、そんな~……」

 

うぐぐ……あれ!?なんで私達縛られてるの!?

 

 意気込みは買えど、折角の釣果を台無しにされたくないモウカに調理を許されず、後片付けを割り当てられたジュリは涙目になるが、彼女が食材に触ると碌なことが起きないとあって、誰も反論せずに苦笑いで場を濁していたところに、存在を忘れられていた美食研究会の1人、『獅子堂(ししどう)イズミ』が目を覚まし騒ぎ立てたのを見て、モウカは露骨に機嫌を損ねる。

 

「チッ、目ぇ覚ましたか……そういや近くにまだ埋め立てられてない温泉狂が掘った穴があったっけな。安全祈願の人身提供がてら、コイツ等ぶち込んどくか」

 

「って、だからそこまで物騒な話にしないでよ!風紀委員には通報しといたから、さっさと行きましょ!」

 

 相変わらず殺意同然の隠しもしない憎悪を露わにするモウカをフウカが宥めているうちに風紀委員達が到着したとあって、『S.H.A.R.K.S』が初対面時の騒動が影響して警戒こそされたが、フウカがとりなして早々と後にしたおかげで衝突までは起きず、そのままモウカが乗ってきた73式大型トラックに乗り込んで戻るが、その道中予期せぬ会合を果たす。

 

「あれ、カグラじゃん。ゲヘナ(こっち)来てたんだ」

 

「あらモウカ。給食部なんて連れて、どうしたの?」

 

【挿絵表示】

 

 左目を隠すウェーブのかかった赤い髪に、揃いの髪飾りを付けた同僚、『飴川(あめかわ)カグラ』の姿を目にしたモウカがトラックを停めると、カグラも助手席のフウカと合わせて気付いたようで、手にしていたケバブサンドを食べ終え、丸めた包み紙を付近のゴミ箱に押し込んでから歩み寄る。

 

「ちょうど昨日の釣果調理してもらおうと思って、今から戻るんだけどそっちは?」

 

「だったら同伴させてもらうわね。暇潰しにぶらついて、小腹が空いてたとこよ。かけるならヨーグルトソースかチリソースかで揉めてるのが面白くて眺めてたんだけど、私は塩胡椒でシンプルに肉の味と香りを楽しみたいわね」

 

 奔放なカグラは招集をかければ応じるが、常日頃「面白いこと」を求め各地を放浪しており、遭遇することは珍しい。モウカの釣果はそんな彼女の興味を惹いたらしく、隊員達の乗る荷台に乗り込むと、そのまま帰路を共にした。

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