連邦生徒会長が失踪して以来、未だ満足な手掛かりが見つからず、傍から見れば本来の業務を放棄し、その捜索に無駄な労力を割き続ける連邦生徒会。先日のアビドスとカイザーに対する声明も、ウォルターがチャティのハッキングを誤魔化すため、『彼女の名を借りるのが手っ取り早かったから、サンクトゥムタワー掌握の際に得た権限を使って偽装した』と言われ、カイザーへの監視も最低限に戻していたが、つい先程行われた定例会見でも、『いつまでも進捗のない連邦生徒会長の捜索よりも、かまけて疎かにしている業務をこなし、混乱止まぬキヴォトスの情勢を鎮静させるべきでは』と放たれた無粋な質問に対し、リンが私情込みの暴言としか思えない様な口調で「連邦生徒会長の発見以上に優先すべきことはない。そうした雑務は『S.C.H.A.L.E』に一任している」と返し、無理矢理切り上げたとあって、外では行政官たちが締めだしたマスコミが未だ居座り、『S.C.H.A.L.E』の実態や、現在ある意味でそれ以上に話題となっている『S.H.A.R.K.S』とSRT廃校の噂の関連性などの説明を求め、対処に呼び出されたヴァルキューレの生徒達ともめている。
「いや~、相変わらずうるさい連中だね~」
「成果がないのは認めざるを得ませんが、だからってリン先輩にあんな言い方は……」
会見からさがるや否や執務室に籠ったリンを見送り、、取り出したスナック菓子の袋を開けて中身を頬張るモモカの呆れる様な能天気すぎる呟きに対し、腰からハスミ達同様の黒い羽が生えた調停室室長の『
「それもそうだけど、問題は『
「報告書を見たけど、酷い有様だったわ。『あるものは根こそぎ持ってけ』とばかりに車両や銃器にその弾薬から、机や椅子みたいな備品どころか、重要書類を保管されていた金庫ごと盗難されていたなんて。翌朝警備の交代に訪れたヴァルキューレ生が無人の校舎を不審に感じて覗いた結果らしいけど、おそらく当直の生徒は買収されたか、元から『
続く『S.H.A.R.K.S』の話題に答えたのは、財務室の室長を務める『
「キヴォトスの
「以前ヴァルキューレへの併合に関する予算の話をした際に聞いてみたけど、肯定ではないと断ったうえで、『
「規模や目撃の多さで
続けてモモカがこの場にいないカヤのことを話題に挙げると、過去に言及したことのあるアオイが当時のやり取りを思い出し、手っきり手駒に加えようとでも思われていた予想に反し、意外とそこまで積極的に接してないことを告げると、アユムがSRT関連について触れる。大半は連邦生徒会の勧告通り、防衛室管下にあるヴァルキューレに編入したとあってか、実力はともかく、離脱当時の規模は全体としてそこまで多くなかった『S.H.A.R.K.S』の勝手は許容範囲としているようだが、実は極僅かながら、どちらにも属さず独自の行動をしている元SRT生も存在している。
「あー、そう言えば
モモカが思い出した『RABBIT小隊』もその1つで、現在はSRT閉鎖に反発し、その抗議活動としてD.U.の一角にある『子ウサギ公園』を占領し、野宿キャンプ生活を送っているが、1年の新人かつ僅か4名とあって、周辺地域の『子ウサギタウン』の再開発の邪魔にこそなっているものの、ほぼ放置されている。
「まあ、
対する様にアオイが挙げた『FOX小隊』は、かつてワカモの捕縛など、『最も優秀な特殊部隊』と評されるほどの実力と実績を有する腕利きの3年生で、現在はカヤ直下として度々彼女と行動を共にする姿が目撃されている。
「やれやれ、物わかりのいい
呆れとも哀れみともとれるRABBIT小隊への辛辣な評と入れ代わりに、袋から取り出したスナック菓子を口に放り込み、「後は野となれ山となれ」とばかりに関心を失ったのか、手頃なソファに腰かけてそのままスナック菓子を食べ続けるモモカに対し、呆れたように睨むアオイと、「流石に放置はまずいのでは」、と困惑した様子のアユムは、引き続きキヴォトスの現状について話し合う。
「『S.H.A.R.K.S』の勝手もだけど、ある意味『S.C.H.A.L.E』の行動は、それ以上に問題ね。リン先輩に生徒会長の残した『S.C.H.A.L.E』の概要を教えてもらったけど、ウォルター先生の方針は、全然違ってたもの」
アオイがリンから聞いた『S.C.H.A.L.E』の組織方式は、『各学園の生徒を無制限に加入させることができ、自治区に自由に出入りし制約なしに戦闘活動すら可能などかなり強力な権限が与えられている、超法規的機関』とのことだが、ウォルターはハウンズの4人だけを部員として迎え、活動内容も、専ら企業や連邦生徒会含む各校上層部からの依頼を遂行する、傭兵組織としている。時折リンやアオイが本来の在り方を求めることもあるが、「
「そ、それは……」
「幸い連邦生徒会に届いて、リン先輩が委任してる業務はそれなりにしているけど、日々届く分に比べると、機能してるとは言い難いわ。アビドスから戻って多少は増えたみたいだけど、それも提携した『RaD』を通して、どこか下請けに任せてるんじゃないかなんて言われてるし」
ウォルターから増員の話を受け、長らく締め切っていた部員の募集を開放するのかと思いきや、相手はブラックマーケットで様々な機器を扱い、警戒対象として連邦生徒会に知られていた『RaD』。そのせいで「提携とは言いつつも、連邦生徒会の目に付くのはまずい、裏社会からの依頼を斡旋されているのでは」などと変な噂が持ち上がり、ウォルターも聞かれれば否定はしているが、特に外聞への興味関心などない様な振舞いのせいで、払拭しきれていない。
「これで奪還に協力してくれたユウカさん達みたいな他の生徒が属して否定してくれてればいいんだけど、来るのは専ら『RaD』所属を名乗るガラの悪い奴等ばっかり。このままじゃ更に生徒達の評は悪くなりそうね。不信任決議案を発効しようにも、こちらに対して相応の干渉はしてないし……」
独特の立ち位置上、悩ましい存在である『S.C.H.A.L.E』——ウォルターとハウンズだが、アオイの悩みが解決する目処は、なかなか立ちそうにない。
カヤ側の情景も書きたかったけど、投稿予定に間に合わんかった・・・