ウォルターの元にケートスからの依頼が届く数日前、ミレニアムでは『機工開発室』の製作した新兵器が次々と大型トレーラーに積み込まれ、搬送されていった。
「ふぅ、今回は結構大規模な発注だったけど、間に合ってよかった。場合によってはここから更に増えるって考えると、嬉しくもあり更に大変でもあるけど……」
「お疲れ様、キホ。今回は随分と大仕事だった様ね」
最後のトレーラーを見送り、部室に戻ろうと振り返るキホの前に現れたのは、青い髪を前に垂らした『セミナー』の副会長、『
「ああ副会長。今回はケートスって学校からの発注だったんだけど、なんかアビドスみたいに襲われてるらしくて、その迎撃に雇われてる『S.H.A.R.K.S』からの伝手で、自衛用にって砲台頼んできたんだ」
「そう。ところでそのケートスって、いわゆる『原作』に登場する学校?」
「いや、少なくとも『原作』に登場する学校は覚えてるつもりだけど、記憶にはなかったな。転生者が他の仲間やはぐれ者を集めて、新たな学校を起ち上げたり、アビドスみたいな廃校寸前のとこを立て直したりする二次創作もあったけど、その類か、或いは単純に『原作』に出番がなかっただけの存在か……」
リオが政務を放棄してまで打ち込んでいる事情など、原作知識についてはキホに頼る場面も多いとあって、今回の
「この音は……?」
「あぁ~、ちょっと前に『S.H.A.R.K.S』の人が呼んだ漫画に影響されて、その真似がしたいって依頼してきたけど、再現難しいとこ折衷して作ったの受け取った後、誰か相手に試してるのか……?」
別れて部室に戻るつもりだったキホが、ロミと共に音源へと向かって行くと、フィットネスセンター前にて、トウニが腰部に巻いたベルトから伸びる2対4本の蛇腹状のロボットアームの1本で縛り上げたネルを、リングのマットに叩き付けるところだった。
「『ゴールドラッシュドライバー』!!」
「グゴハァッ!!」
「3!2!1!ノックアウト!!勝者、那須昂トウニ!!」
「イェーイ勝利ぃ!!ヴイヴイー!!」
後頭部から首を中心に叩き付けられ、呻き声をあげて動かなくなったネルを開放したトウニは、
「あぁ、またネル先輩が機嫌損ねる……」
「ア、アハハ……そこは、妹がご迷惑を……」
「それにしても、アームに加えてあんなサイズのガトリングガンを6丁も持てば、相当の重量のはずですけど、それをものともしない跳躍なら、ネル先輩を圧倒できるのも納得はいきますね……」
そんなトウニの様子を眺めながら談話するのは、頭を抱えるユウカと、苦笑いと共に謝罪をする同じロボットアームを装着したアトラ、単純な重量だけでも何かの拍子に道路を陥没させそうな状態でも、ごく普通に自分達と同じ様に歩く姿を見てその膂力とバランス感覚に驚愕するノア。そこに製作したキホと、事情を聞きたいロミが近寄る。
「あー、すまんなユウカ」
「あぁいえ、キホ先輩は悪くないですよ、頼まれて作っただけですし。問題はネル先輩が、この鬱憤をどこで発散するかですけど……」
「それについては、近々調査がてら例の廃墟にでも送って、そこで暴れてもらうことにするわ。ところで、何があったの?」
「実は、キホ先輩からあのロボットアーム付きベルトを受け取ったトウニさんが、早速動作を確認するのにエンジニア部のロボットを使おうと向かってたところにネル先輩が遭遇して、リベンジを申し込んできたんです。そこで、ちょうど近かったのもあって
ある意味当事者たるキホの謝罪に、それよりもネルの機嫌をどうやって収めるかを考えていたユウカに、つい最近まで連邦生徒会が出入りを制限してたミレニアム近郊の廃墟に、調査も兼ねて彼女を送り込む予定を伝え、そこで憂さ晴らししてもらうつもりのロミに、ノアが経緯を説明する。
「なるほどね……ところでどんな要望を受けて、何を参考にしたの……?」
「それが……キン肉マンのペシミマンが由来の制御可能の射出アームだったんだけど、流石に発射後に動かすってのは厳しかったから、当のペシミマンのロングコートと2人のジャケット見て思い出したスパイダーマンのドック・オク参考にして、位置調整がてらちょっとふざけて数増やしてみたら……」
「あぁ、あの2人が着てるジャケットと比べたらもっと丈はあったけど、言われてみれば映画でそれっぽいコート着てたわね、あの博士……」
『原作』では権利や世界観の関係もあってか、それとなく匂わせるようなタイトルの作品が多々挙げられていたが、まさかある意味正反対とも言うべきプロレス漫画がまんま存在していたことに驚き、更にその登場人物を気に入って「同じ様な発射できるアームが欲しい」と駆け込んできたことに思わず顔をひきつらせたものの、いざ作ってみると色々難しい部分の妥協案として提出した部分を了承され、進んだ結果出来上がった代物――ついでに言えば、参考元の演者にちなんで『モリーナ』と名付けた――の上で靡くトウニのジャケットを見て、開発事情をキホから聞いたロミは、思わず遠い目をする。
「まぁ、何はともあれ、ありがとうございました、皇さん。これなら近々ある仕事でも、今まで以上に活躍できそうです」
「あら、直近で早くも予定が?」
「と、お久しぶりです、益網田副会長。えぇ。実は前々から世話になっていたケートス水産高等学校ってところが、厄介な相手に目を付けられていたんですが、近々その迎撃のために加勢することになってて、まだ私達が参戦するかまでは決まってなかったけど、そうなった場合は、早くも『
「あぁケートス……ってことはアレも……」
「そう言えば、『
そこに改めてアトラが礼を言うと、予期せぬ活躍の場に興味を持ったロミが尋ね、キホも製作者として聞きたがる様子を見せたことで、守秘義務に該当しないと判断したのか話し、奇しくもつい先程搬出した新兵器の受注先と知ったキホが、おそらくその矛先が同じと認識し、納得した様子を見たアトラも、事情を理解したところに、トウニが合流する。
「アトラアトラ!見た?さっきの『ゴールドラッシュドライバー』!!いい具合に再現して決まったでしょ?キホさんのおかげで思う通りに動いて、すっごく調子いいんだから!」
「そうねトウニ。かっこよかったわよ。それじゃあ、失礼しますね。そろそろ
「じゃあねキホさん!6連搭載化した『ファルジネス』とこのアームで、クロノススクールが1面に飾るほど活躍して見せるんだから!」
「お、おぅ……」
まだ受け取って間もないはずながら、早くも使いこなしてポーズまで決めて見せるトウニを見て、予期せぬネルのやられっぷりから、有言実行が予想できるその発言に、後々それを目にした彼女の言及を考慮して、キホは頬を引き攣らせ、返答の代わりに気の抜けた呻き声を漏らすばかりだった。
結構前で今更感もありましたが、偶々イメージCVだった野水さんが反応してたのを見て、以前某プロレス系ブラウザゲームに参加されていたことと、映画系小ネタ動画で見たスパイダーマンのネタが混ざって、こうなりました・・・
今回のPU枠だろうけど、名義としてはアトラ(ロボットアーム)とトウニ(ロボットアーム)、ってところでしょうかね
しかし別にネルが気合って訳じゃないけど、如何せん喧嘩っ早い性分とわかりやすい強さなのが相まって、気付いたらつい噛ませ状態になりがち・・・