個人的に「海老天の尻尾」の話はコスプレやファンアートにおけるヘイローの認識に対して結構近いものがあるよう感じましたが、『なくても成り立つがあった方が見栄えがいい』って意味ならニュアンスとしては刺身の
「連中の聴取終わったわよ、ケイラ。書類はこっちにまとめてあるから」
アドリと同じ青いシャツの上に赤いパーカーを羽織り、長い茶髪を無造作に伸ばした『トライトン』の会計、『
元々部長の『
彼女達が賛同した傭兵を連れ、斥候の名目で先行してきたのは、こうした情報や、『
「なるほど、火のないところに……とは言うが、傘下の親衛隊員にも『チビヒゲ』なんて陰口叩かれてる辺り、レッドウィンターの『稚拙で横暴な統治』って噂も、事実無根な尾鰭背鰭が伸びたデマではなさそうか……とりあえず彼女達の転入手続きに関しては、追撃を検知するまでの間で、鎮静後に片付ける準備だけしといて。イシュメール号の面々についても、上陸は許可するけど、引き続き周囲で警戒を怠らせないで」
「了解。それではウォルター先生、また後程。いつかハウンズの皆さんと共に、鯨料理でもてなせるのを楽しみにしてるわね」
絶賛実感中な通り、万人の支持を得ることはできても、少なからず不満分子は出るものと考えるケイラとしても、直属の部下からさえ見放されるチェリノの壊滅的な人望は予想外だったようで、狙った上にしても知名度がヒナに圧倒され、顔も名も満足に知れ渡っていないマコト以上にある意味酷い有様を見て、呆れた様に皺の寄った眉間を押さえ、ため息を吐く。ただ余所の統治を嘆いても意味がないとばかりに切り替え、処理と伝言を任されたアドリが、車椅子を押して部屋を後にする。
「悪いわね、ウォルター先生。もうしばらく付き合ってもらうことになりそうだわ」
「気にするな、そのために来たんだからな」
「とりあえず、『S.H.A.R.K.S』の皆さんと顔合わせしときましょうか。アビドスで首領格とお会いしたとは思いますが、他にも多くの面々が集ってますから」
謝罪に対し、皮肉とも労いとも異なる、純然に事実を伝えるだけなウォルターの返答に苦笑しつつも、カズアキに促されるまま彼等を連れ、再度部屋を出るケイラは、改めて成果や被害を確認すべく、イシュメール号の元へ向かう。
「や、やっと陸に戻れた……」
「アルちゃんお疲れ~。って、まだ足グラグラしてるよ~?」
ケートスや『S.H.A.R.K.S』の面々に混ざり、イシュメール号を降りた『便利屋68』。何故彼女等が乗船していたかと言えば、その発端は岸壁に並ぶ
「お疲れさん。今月はこれで何とかなんじゃない?」
「何とかはなるっちゃなるし、『儲け話』なんて声かけてきたから乗ったけど、そもそも何で『
「だって風紀委員からも監視がてら目ぇかけとくよう言われたし、アンタ等放置してるとクソみたいな依頼に引っかかったり、ひん剥かれて素寒貧なったりって何しでかすか分からんじゃん。おかげで実績や経験も積んで信頼や知名度も上がったんだし、それでよくね?あ、煙草についても口出しされたけど、そこは気にしなくていいから。その辺で一服したら?」
慣れない船の揺れに未だ体を引っ張られ、中腰で震える足を愛銃のH&KPSG-1『ワインレッド・アドマイアー』を杖代わりに寄りかかって必死に耐えるアルが無理をして噛みつくも、トリアは歯牙にもかけぬとばかりの涼しい顔で答える。美食研究会や温泉開発部に比べれば被害はないが、同様にゲヘナ外で余所に迷惑をかけ得る『便利屋68』は風紀委員会にしてみれば目の上のタンコブだったが、先日の一件以来、面白がったトリアが面倒を見ることを提案したため、こうして彼女が目を光らせており、今回の様に彼女経由で『S.H.A.R.K.S』の活動に同伴する場面も度々あった。
「う、煩いわね……足が震えて、それどころじゃないのよ……」
アビドスでの捕縛から釈放後、ヨシキにもらった煙草の箱を日に何度も笑顔で眺めていたアルだったが、先日遂に意を決し、渋るムツキやカヨコを振り切って口にしてみたはいいものの、初めてとあって上手くいかず、激しくむせて咳き込んでしまった。それでもヨシキに追加分をもらう際コツを聞くうち、今では崇拝と称せるほど酔心しているハルカのみならず、未だよく思ってない残り2人も、「様になる」と褒め称えるくらいには、喫煙姿が板についてきた。尤も今回は激しく揺れる船上での職務とあって、酔いのせいで満足に吸えていなかった彼女に促すトリアだが、未だ感覚が戻っておらず、まだしばらく喫煙の余裕はなさそうだ。
「よ、さっきはありがとな。って、大分フラフラだねアンタ」
そこに声をかけてきたのは、青いスーツで身を固めたイシュメール号の船長、『
「どうも。それにしても、
「まぁ、如何せん海の上じゃ娯楽なんて大分制限されるから。っても、アタシは陸でしか吸わないけどな」
先程接舷間際に『ジェリーフィッシュ』が襲撃を仕掛けてきた際、船に乗り込もうとしてきた構成員をカヨコの『デモンズロア』が放つ轟音で足止めし、アルの狙撃やムツキの爆弾で相手のボートを破壊して迎撃に貢献したが、航海中も他の乗員達と共に雑務をこなしたり、捕えた鯨の引き上げや解体もこなしていた。その最中、何人かの乗員が喫煙している姿を目にしたカヨコが、ある意味キヴォトスらしからぬ光景に言及すると、ノムは一切動じることなくゴーグルを持ち上げて顔を向ける。
「だとしても、オデュッセイアじゃ許されてないんじゃない?あっちはもっと長いこと海上で過ごしてるらしいよ?」
「随分喰い付いてくるねぇ。生憎
「それよりさ~、私達いつになったら帰れるの?さっきからず~っとこの辺で待機させられて、いい加減飽きてきたんだけど~」
「悪いけど、まだ『
アルに変な影響が及ばないか目を光らせ、普段は何もしてないのに怖がられる目を、睨む様に細めるカヨコに対し、ノムは全く怯みも恐れもする様子を見せない。そればかりか退屈を訴えるムツキを片手間に流し、未だイシュメール号の上や周囲で確認を取る乗員達の報告を受けては、指示を返すなど、完全な煙草休憩なわけでもないらしい。
「あ、そうそう。もうすぐ