Handler Archive   作:ゲオザーグ

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名前共々イメージ元となったイタチザメの英名「タイガーシャーク」にちなんでタイガの誕生日にしてた「世界トラの日」に当たる7月29日に投稿したかったけど、ここ数日座ってるだけで腰が痛くて立ってる方が楽だった・・・
関係ないけど使ってるアプリのキャラ枠課金で増設して、『S.H.A.R.K.S』メインメンバー全員作成できるようになりましたんで、合わせがてら全員分挿絵付けてみました


()Side:S「エデン条約介入」

「いやぁ~残念だったねぇ風紀委員の方は。っても交渉担当(アギトもオセアも)どっか行っちゃったから、当然っちゃ当然なんだけどさぁ……」

 

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 アギトとオセアの行動に不満をぶつける物言いとは対照的に、ケラケラと笑いながら煙草を口から離し、切り分けられたピザを頬張るヨシキ。結局あの後風紀委員会との交渉は決裂し、ならばと今度は紹介された万魔殿に向かうも、対面した議長マコトのヒナに対するみみっちいほどの嫉妬と、耳障りなほどの自己顕示欲に早くもタイガが「実力もない癖にプライドばっか無駄に強い出しゃばりのバカ」とウンザリし、偶々交渉中顔を出した途端マコトが顔を緩めて猫可愛がりしだした幼女、『丹花(たんが)イブキ』を便乗してあやすと見せかけて胸元に抱き寄せスイングで遠心力のまま振り回し、伸びた足で何度もマコトに回し蹴りを決めさせ、倒れ伏してピクピクと痙攣したところにトドメとばかりにイブキを勢いよく降ろす姿を見た『(なつめ)イロハ』は顔を引きつらせていた。

 幸いにもタイガの腹いせを兼ねたイブキのご機嫌取りは功を成し、復帰したマコトには痛めつけられたことへ憤りこそぶつけられたが、それよりも会って早々にイブキが懐き、上機嫌で帰っていった姿に気を良くし、「風紀委員会の仕事を奪ってやれ」とゲヘナ各地の巡回と、騒動への介入を承諾されたことで、多少流れは変われども、目的通りゲヘナでの働き口は確保できた。現在は途中離脱したアギトとオセアも交え、アジトにしている雑居ビルの1室で、談話を交えつつ夜食を摂っているところだ。

 

「そこに関しては無条件に謝罪しましょう。何せ、目下最大の商売敵になりうる、『S.C.H.A.L.E』のデビューでしたから」

 

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「そうそう。まさか幸か不幸か、先越したブッキング相手たぁ思わなんだったが、武器や陣形に関しちゃ、多少はデータを取得できたからな。万一ぶつかったって、ただじゃやられはしねぇよ」

 

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 ヨシキの皮肉を意に介さぬアギトとオセアは、それぞれ煙管とパイプを吹かしながらフライドポテトを摘まみ、功績をアピールする。その背面では両肩の盾で体を支え、体を反らせたシロナが、うとつきながらカップに満たされたコーラを、胸の上に乗せてストローで吸っている。

 

「そういや何かスペアのプランもあったみたいだけど、そっちはどうすんの?アタシとしては、そっちでも暴れられたらそれでいいんだけどさ」

 

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 そこに割り込んできたのは、ヨシキの横からピザを1切れいただき、「オイ僕が頼んだピザだぞ!」と抗議されても気にせず頬張るタイガ。良くも悪くもヒナ任せな風紀委員会の現状を挑発気味に指摘したことで、それに釣られたイオリを相手に「5分で片付いたらヒナと戦わせろ」と啖呵を切って暴れ、わずか2分で彼女率いる1個中隊を単身で壊滅させた後、残る3分でイオリを下して、そこからヒナを相手に、マコが戻るまでの10分ほど戦い続けてみせる圧倒的な単体戦力を示し、これもまたヒナにマウントを取ることに躍起なマコトの機嫌を直し、契約に持ち込む要素になった。それでも暴れ足りんとばかりに、2人が用意していた計画について尋ねる。

 

「あぁ、そっちは明日の予定だ。一応相手方には連絡とってるが、負けず劣らずの大山だぜ」

 

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「教えんなら変にもったいぶってねぇでさっさと言え。オレはもう寝るぞ」

 

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 それに答えたのは、ヨシキのピザ共々帰りの道中買ったハンバーガーを食べ終え、食後の一服を堪能していたマコ。しかし相手をぼかし焦らす様な物言いに不満をぶつけ、飲み終えたカップを捨てて席を立たんとするシロナに、「まぁ落ち着け」と宥めて続ける。

 

「次の相手はトリニティだ。なんでも、ゲヘナとデケェ話があるらしくてな。そこに1枚かましてもらおうって訳さ」

 

 

 

 

 

 

「なるほど。経歴を見る分に、確かに実力や功績に関しては問題ありませんね」

 

「しかし、元来一介の遊撃部隊に過ぎない身でありながら、一体どこからエデン条約を嗅ぎ付けたのかい?」

 

 翌日『S.H.A.R.K.S』の面々が向かったのは、ゲヘナとは長らく対立関係にあると共に、並んでキヴォトス最大勢力の一角に位置する『トリニティ総合学園』。その生徒会にあたる『ティーパーティー』の一員で、『S.H.A.R.K.S』独立以前のSRTとしての活躍と、カスミの惨状など一部を隠した前日の温泉開発部鎮圧の様子を見ていた『桐藤(きりふじ)ナギサ』と、現在水面下で主導していたゲヘナとの和平交渉、『エデン条約』を見抜かれたことに警戒する『百合園(ゆりぞの)セイア』を前に、場が場とあって普段手にしている煙管を懐にしまい、手持無沙汰に弄っていた書類から手を離したアギトが答える。

 

「独立してる分、許されるかどうかを抜きにすりゃ勝手に行動できるんでね。連邦生徒会(うえ)の連中が何かコソコソしてるとは思ったが、まさか連邦生徒会長(主導者)が途中でトンズラぶっこくたぁ思わんかったわな」

 

 元々エデン条約締結を先導していたのは連邦生徒会長だったが、それを放棄するかの様に途中で姿を眩ましたとあって、梯子を外されたトリニティは、セイアが自主的に引き継ぎ進めていた。そうして元々乗り気でなかったのを、実績での知名度向上を口実に焚きつけられていたマコトと交渉を繰り返し、何とか後は外部に締結を宣伝するまで持ち込みはしたものの、最早対立していた理由も知らず、ゲヘナのことを漠然とした不快感で不倶戴天の存在と認識していたトリニティ生からは反発も大きいとあって、秘密裏に進行してきたところに突如現れ、『勢力を問わず黙らせる武力調停機構としてどうだ』と売り込んできた相手を警戒するのは、仕方ないとも言える。

 その反面、例えば衝突した場所や問題を起こした人物の所属などゲヘナの風紀委員会や、トリニティの同ポジションに当たり、ハスミが副委員長を務める『正義実現委員会』が動きにくい場面では、どちらにも属しない、立場上公平な存在が必要なのも、事実。そうした意味では、完全部外者たる『S.H.A.R.K.S』が両組織の上位存在として両校に目を光らせることは、双方から選び抜いた面々で新たに組織を作るよりも楽で、双方のヘイトをよそに向ける意味合いでも、「突如上についた未知の部外者」の存在は有効と言えるだろう。

 

「ふむ……。まぁ、不安要素は少ないに越したことがないだろうね。よくわからん奴等が事情を知っていながら手放しになっているのは、こちらとしても対処しておきたいし、万が一ゲヘナが君達を通じて優位を掴まんとするなんて疑念を持たれ、ここまで来て座礁するなんて事態も避けたい。そうした意味では、先にゲヘナと組んだのは、やってくれたと思わざるを得ないよ」

 

「お褒めに授かり、光栄の限り。今後とも、我等『S.H.A.R.K.S』をよろしくお願いします」

 

 そうした意味では、マコを挟んでアギトの反対に座り、こちらの穴を的確につく形で「始める前に終わらせていた」オセアが、涼しい顔で席を立ちながら放った挨拶に、思わず「厄介な輩だ」と苦い顔をしながら続く面々を見送ったセイアは、思わず心配そうな顔を向けるナギサを案じながら、紅茶を飲む。

 

 

 

 

 

 

 一方トリニティを後にしようとした面々は、退室早々とある生徒に捕まった。

 

「ふぅん、貴女達がゲヘナとセイアちゃんに尻尾振ってきた『S.H.A.R.K.S』(サメ)達かぁ……」

 

「何々?アンタ強そうだし、一戦交えようか?」

 

 退屈な交渉()が終わった矢先とあって、早くもその実力を見抜き、臨戦態勢のタイガを無視し、どことなく不快なものに向けるようながらも、見定めるような目線で彼女達を眺めるのは、ティーパーティーの一員ながら、エデン条約締結に反対の意を示す反ゲヘナ筆頭、『聖園(みその)ミカ』。しかし一切動じず、むしろ面白いものを見るように不敵な笑みを浮かべたままのアギトは、彼女の琴線を刺激する発言を放つ。

 

「にしてもアンタ、アリウスとの融和たぁ酔狂なもん考えるんだな。っつーか、まだ残ってんのかねアソコ」

 

!?なんでそれを……それに貴女達、アリウスのこと知ってるの?」

 

 ミカが反応したアリウスとは、かつて群衆状態だった分派学校がトリニティとして統合するにあたり、唯一反対の意を示し、追放された勢力、『アリウス分派』。すでにキヴォトスの表舞台から姿を消して久しく、存在を知っていても、「過去の物」認識が当たり前ながら、少なくとも最近まで現存していることは確認していたような物言いに、思わず後手に持ったサブマシンガン『Quis ut Deus』を握る力を強めるが、直後マコの回答で、一気に緩める。

 

「そりゃそうさ。全員って訳じゃねぇが、俺達含めた『S.H.A.R.K.S』は、元々アリウス(そこ)出身だったからな。

 

「っても、もう10年くらいか?あんまりにも環境劣悪過ぎて食ってけねぇってんで、仲間連れて抜け出したから、現存してるかは知らんがな」

 

「オレ達が出る寸前どっちかが勝ったらしかったが、元々追い出された連中が内輪揉めしてたんだ。今更立て直せる訳ねぇだろうが……」

 

「だよねぇ。物資奪いに行っても、ガキって嘗めてる連中ばっかで、張り合いもなかったし」

 

「僕達みたいにその日食ってくのもやっとなのばっかって時点で、大分終わってたよね。巻き添えはゴメンだったから出てったけど、いっそ終わった方がよかったよ」

 

「まぁ少なくとも我々としては、『今更過去のことを持ち出されても、既にどうでもいい』と言わざるを得ない認識ですので、そうした意味では、早々個人感情(プライベート)より損得勘定(ビジネス)に切り替える訳でもないなら、そのまま流して終わりとしたいところでして」

 

 続く面々の、郷土愛など微塵も感じさせないどころか、むしろ興味も関心も皆無とばかりなドライすぎる酷評の限りに、思わず違う意味で硬直してしまったミカだが、少なくとも事情を話せば、こちらに引き入れることもできなくはないと意識を切り替え、口を開く。

 

「ず、随分と辛辣だね?アリウス自治区はまだちゃんと残ってるし、何人か交流した子もいるよ?だから、同郷の(よしみ)ってことで、手伝ってもらいたいなって――」

 

「そいつぁ構わねぇが、ただ働き(ロハ)って訳にゃいかねぇぜ?こちとら部下達におまんま食わせにゃならん身なんだ。持ち上げられてるだけのアンタと違ってな」

 

 まだ余裕はあると言え、そろそろ口寂しくなってきた苛立ちからか、棘の目立つアギトの鋭い口調と視線に、良くも悪くもそうした害意とは無縁の「お嬢様」なミカは、物怖じして口を閉じてしまう。そこに優しい笑みを浮かべたオセアが「まあまあ」と割り込んで宥めれば、気を許してしまうのも仕方ないだろう。

 

「とりあえず後は私が引き受けますから、皆さんは先に帰還を。まだ残っていた故郷(アリウス)にも興味はありますし」

 

「なるほどな。じゃ、任せたぜオセア」

 

 そう話しながら仲間に背を向け、ミカを話の出来る別室に連れて行こうとするように振舞い、振り向いて見せた悪どさ全開の笑みに、オセアの意図を察したマコは、他の面々を連れて帰路に就く。




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