オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
自分が遅すぎるだけですね
はい
「うう……いだがっだ……」
───やり過ぎてしまいました……
クロが、顔を青くしながらよろよろと壁に手を付いて力無く寄りかかっている。どうやら抱き締める力が強すぎたらしい。コイツの身体が弱く脆いのをすっかり忘れていた。
「す、すいませんクロ……久しぶりで加減ができませんでした……」
「い、いや……ホシノとユメ先輩の抱擁を受け止められない僕が悪いから……」
「ご、ごめんクロ君!!ついクロ君とまた会えたのが嬉しくて、本当にごめんね……?」
ユメ先輩も酷く申し訳なさそうに頭を下げている。そんなに身体が大きくない私だけならまだしも、豊満な肉体を持つ先輩までも飛び込んでくるのは流石にクロは耐えられなかったのではと思っているようだ。
……正直あのダイナマイトボディは羨ましい
並大抵の男はあのたわわに実った二つの果実から目が離せなくなるだろう。
まあ私を可愛いと言っている時点で彼が胸の大小を気にしないのは確定なので、例えユメ先輩の豊満な胸といえど彼はときめか───
「え!!あ、うーん……大丈夫です、ユメ先輩……正直ご褒美でした……」
───は?
バカな、なんでまんざらでも無さそうな顔をしているのだ。……やはり男は胸の魅力には逆らえないのか。咄嗟に視線を自分の胸に向けると、残酷なまでに垂直な断崖絶壁と薄汚れた廊下の床が視界に映る。
───私も成長したらああなる……なりますよね?
高校生になっても未だ成長の予兆すら見せない私の胸部装甲に一抹の不安を抱きつつ彼に頭を下げる。
「……取り敢えず、肩を貸しますから一旦教室まで行きましょう。この一週間何があったのか全部きっちり話してもらいますからね?」
「あ、ありがとうホシノ……助かる……」
「あ!!ホシノちゃん!!私もクロ君抱っこしたい!!」
「……これは抱っこじゃないですし、早い者勝ちです」
「むー……!!分かった!!クロ君、後で私もキミの事抱っこしていいかな?」
「ご、ご自由にどうぞ……」
先ほど見せつけられた身体の格差を埋めるようにクロの側に近づく。彼のベッドの残り香もかなり薄くなっていたので、久しぶりの彼の匂いを堪能できる事に少し興奮を隠せない。さっき飛び込んだ時は最早匂いどころではなかったので、あまり堪能できていないのだ。
「じゃ、肩貸しますねっ───」
意気揚々と彼の右肩を上げ、私の左肩に載せようとしたその時───彼の身体から、『異臭』がした。
「……?」
異臭といっても、それは別に鼻を突くような不快感のあるものではない。ほんのり甘く、芳しく、どこか『体温のような』暖かみのある匂い。しかしそれは間違いなくこの場の誰のものでもない匂いに、私の思考は一瞬フリーズした。
───この、匂い……なんだか嗅いでると胸騒ぎがします
そして、次の瞬間───私はその匂いがどのような経緯でもたらされたのかを理解した。
───っ!?
彼の服に付いていた、一本の長い銀色の髪の毛。……一瞬見間違いかと疑ったが、それは紛れもなく誰かの髪の毛だった。
───なんで、なんで……
「ねぇ、クロ……」
「ん、どした?」
「……貴方の服から、明らかに私達のではない匂いがします……どういうことですか……」
「へ?……ああ、多分ヒナの匂いが付いちゃったんだな。まーあれだけ密着していればそうなるか……」
「───はっ!?」
「あ、そうそうお金のことだけど───」
「話を逸らさないで下さい!!」
「へ?」
「ヒナ!?ヒナって誰ですか!?」
「!?」
「密着って、この一週間に誰か他の女と密に関わったんですか!?誰!?誰なんですか!?そしてそいつはクロの何!?『あれだけ密着』とか、なんですかそれ!?それだけの仲なんですか!?ねえっ!!ねえっ!!」
「ほ、ホシノ……!?」
「まさか私達よりそいつを選ぶなんてありませんよね!?アビドスの一員になりたいとか、私達に幸せになって欲しいだとか言ってたのに!!今さら私達から離れるなんて駄目です!!絶対離しませんから!!」
「……お願いです」
「私達から、離れないで……」
息を切らしながらありったけの思いを無責任に投げつける。正当性なんて関係なく、ただ自分の我が儘ばかりをぶつけてしまった。
何の見返りらしい見返りもないまま、彼は私が背負わせた借金を命を懸けて返し続けてくれている。ただ、『可愛い』というだけで。
……もし他所の高校に彼が親密になった女がいるなら、きっと彼はそいつの所に行ってしまう。きっとソイツも私達と同じかそれ以上に『可愛い』だろうから。
……そして、少なくとも私達と一緒にいるよりは幸せになれるだろう。
───それが、嫌だった。
「え、えーと、ホシノ?ひ、ヒナとはそんな関係じゃ───」
クロがあからさまに戸惑っている。もしかしたら、勘違いだったのだろうか?そうであって欲しい。その言葉の続きを待っていると、突然ユメ先輩がクロの側に近寄った。
「───ねぇ、クロ君……」
「ゆ、ユメ先輩……?あ、えっと、どうしたんですかそんな怖い顔し───!?」
さっき胸の柔らかさを堪能した背徳感からか、すこし頬を染めて目線を逸らしているクロを、ユメ先輩が───抱き締めた。
「ーーッ!?~ー~ー!?~ー!!」
胸で口を塞がれてまともに声を出せなくなったクロ。何とか脱出しようともがいているが、ユメ先輩が両腕でがっちりと彼の胴体を抱き締めているので抜け出す事は難しいだろう。彼は私達より通常時は力が弱いのだから尚更そうだ。
……なんだか、いつものユメ先輩と様子が違う。
「クロ君、仲良くなった娘がどこの学校の生徒かは知らないけど……」
「どんなに他校の娘と仲良くなっても」
「どんなに遠くの場所に行っても」
「───クロ君の帰ってくる場所は、アビドスだけだから……ね?」
……ああ、ユメ先輩も
「今からこの一週間の事、聞かせてもらうよ~」
「……分かった、けど怒らないで聞いてくれな……」
───────────────────────
「───これが、この一週間で起こった事。落ち着いて聞いてくれてありがとう。あ、ヒナへのひぼーちゅーしょーは聞かないぞ?」
別にホシノとユメ先輩はそんな事言わないと思うけど、とクロはこちらに視線を向けた。しかし、私はそれどころではなかった。
「なん、で──なんでっ、殺されかけたんですよね!?その、ヒナとかいう風紀委員に!!」
「ああ、そうだ」
「なんっでっ、そんな、何も無かったような顔をして、ゆ、許してしまってっ、」
「別に彼女だってわざとじゃないからな。それに人間誰にだって間違いはあるさ。何より、彼女だってまだ子供なんだ。」
「だ、だからって、そんな、バカな事っ───」
「───それに、賠償金もたんまり貰えたし、ゲヘナ風紀委員のバイト戦力として雇っても貰えた。不良生徒の鎮圧一回につき50万だ。これで結構返済できるぞ!!」
そう言うと、クロのカバンから分厚い封筒が出てきた。……話の流れからそれが何なのか予想はついていた。だからこそ何となくそれを受けとるのが躊躇われると、クロは半ば無理やり私の手にそれを握らせた。
恐る恐る中身を見ると、そこには万札がぎっしりと入っているのが分かった。
「───っ」
「く、クロ君……」
貴方がそうやってお金を持ってきてくれる度、貴方は傷ついていく。……いつか、自分が死んでしまうかも知れないのにそれでも持ってきてくれる。
───私は、コイツのそんな所が……好き?
まるで鳥の雛が自分のお世話をしてくれる人間を好きになるように、私は私に都合の良い彼が好きなだけなのか
───いや、違う!!私は純粋に彼の事が……
また自己嫌悪に陥りそうになった時、彼が声を掛けてきた。
「……ホシノ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。僕、強いから!!」
……さっきはあんなんだったけどね、と彼が少し恥ずかしそうに言った。……どうやら、私が彼の心配をしているように見えたようだ。
「じゃ、僕は柴関の大将に戻った事を伝えに言ってくるから、ちょっと待っててね」
─────────────────────
「あ"~……疲れた」
深く息を吸い、大きく背伸びをして空を見上げる。少し日は傾いてはいるが、まだまだ昼間。現在は午後2時辺りだろうか。あれから僕は柴関ラーメンに行き、柴大将やバイトちゃん達に無事に帰れた事を報告し、心配をかけた事を詫びた。
大将もバイトちゃん達も元気そうで良かった。ただ、あの時ゲヘナを案内してもらった娘がかなり責任を感じてしまっていたので、責任を取ってなんとかメンタルを回復させた。本当にごめんな……
……バイトは辞める事にした。バイトちゃん達と大将には悪いが、業務の性質上、いつ依頼がくるか分からない。突然職務を放棄してゲヘナに行くわけにもいかない。それにバイトをした所で収入は微々たるもの。続ける意味があまり無い。
バイトちゃん達も大将も寂しそうな顔はしていたが、仕方ない。
さて、学校に戻ったらどうしよう。
まずはホシノとユメ先輩のメンタル回復だな。僕のせいでかなりメンタルが乱れている感じだし……っていうか、なんでヒナの匂いにあんな反応したんだ?
……なんとなく予想は付くけど、それにしてもあんな反応する程とは思わなかった。これからヒナとはかなりの頻度で会うことになるから慣れてもらいたい……
「……なんか自分が屑に見えてきたぞ」
女の子を泣かせている時点で男の子として屑と言われれば何も言えないが、別にヒナともホシノともユメ先輩とも付き合っている訳じゃないのに、なんか二股屑男みたいな気分になる。
……まぁ、とりあえず日雇いのバイトでも探してみるか。
依頼が無い日でもなにもしないのはアレだからな、と意気込んだ矢先に───
「クックック、貴方が黒江クロ君ですね?」
───ソイツは現れた
キッチリと着こんだスーツに、まるで影のように黒く無機質な肌、右目のような位置には光が怪しく揺らめいている。空に広がる青い空とはまるで対極にある異質なその姿に、思わず一歩後ずさる。
「……誰ですかアンタ」
「ククク……黒服、とでもお呼び下さい」
「……何か僕に用ですか」
「ええ、単刀直入に申し上げますと───貴方の身体を研究させて貰いたいのです」
……やっぱり、か。
「……なぜ」
「ククク、そうですね、先ずは私の身分を明かすとしましょう……」
「私はゲマトリアという組織のメンバーです。私達の目的は、キヴォトスに存在する生徒の持つ『神秘』について研究し、『崇高』に辿り着く事。」
「……お前みたいな奴が何人もいるのか」
「ククク、そうですよ。では、本題に入りましょうか。」
「貴方が赤冠転輪と呼ぶ、ヘイローが赤く染まる現象。キヴォトスの人間としてはあまりに神秘が薄い貴方の脆さの代償とも言うべき、桁違いの異能。それは───謂わば『崇高』の表出、とでも言うのでしょうか。私達の立てた仮説では、『崇高』は『神秘』とそれが反転した『恐怖』を乗り越えた時に発生すると考えていました。
……しかし、貴方はそれら全ての過程をスキップして、いきなり崇高に辿り着いている。」
その時、黒服の無い筈の口がニヤリと口角を上げた気がした。
「───観察者として、研究者として、探求者として。これほど興味を唆られる事は無い……!!」
「……成る程、僕を研究したいというのは分かった。だが、どうせろくでもない実験をしたりするんだろ?」
「ククク、御明察。ですから勿論タダとは言いません。実は私は元々小鳥遊ホシノにも目を着けていたのですが、その生徒からも手を引き───
───アビドス高等学校の借金も全額チャラにします。どうでしょう?」
……きた
「……そのろくでもない実験から『無事に』生きて帰れる保証は?」
「ククク……ご想像にお任せします。」
……ただホシノとユメ先輩の幸せを願う聖人ならそれを選んだかも知れない。
だけど、僕はもっと欲張りだ。
「───話にならないな。そのろくでもない実験、生き残れたとしても廃人かそこらだろう。
大方僕が彼女らの為に平気で自己犠牲できる精神異常者だろうと思ってその条件を提示しきたんだろうが……
僕はまだホシノちゃんとユメ先輩とのユメのアビドス生活を諦めてはないぞ?」
「ククク……あの借金を貴方一人で返済出来るとでも?」
「やってみなきゃわかんねぇだろそんなもん。」
「……ククク、そうですか、ではこの話は───」
「───だからこちらがお前に提案する」
「……ほう?」
「僕がもし借金を残したまま死んでしまった時、貴方が僕の死体を自由に扱って良い代わりにアビドスの借金をチャラにする……どうだ?」
「……ふむ、こちらとしては貴方に死なれたら困るのですが……それ以外受け入れそうに有りませんね」
「……分かりました。貴方の提案を受け入れましょう」
「そうか」
「では、黒江クロ君、また会いましょう」
そう言って、黒服はどこかへ行った。
「…………」
「…………」
「……行ったよな?」
「…………うう、怖かったぁ……なんで黒服あんな不気味なんだよ……今日は疲れたし、学校帰ったら寝よう……」
──────────────────────
「学校に帰って布団で寝ようとしても何故かホシノとユメ先輩の匂いが濃くて寝れない件……なんで?なんか湿ってるし……もういいや……疲れた……」
アンケートは女先生の方が多いですね
ただ男先生も書きたいので
メインは女先生
番外編は男先生
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