オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
予告します
今回は妄想が爆裂します
ようやくテストが終わったのでね、これくらい許して貰おうか……
───朝。頬を伝う涙の感触で目が覚めた。
……夢の余韻から逃げるようにむくりと上半身を布団から起こす。
「…………」
……どうやら、今日は雨らしい。
静謐で満たされた薄暗い部屋の中、窓の外から雨が地に弾ける音だけが鼓膜を鳴らしている。
「……はっ」
全く、あんな夢から目覚めて聞こえるのが雨音か、と滲んだ視界を両手で擦る。
高校生にもなって朝目が覚めた時に天井が滲んで見えないなんて経験は初めてだぞ、と心の中で自嘲する。
霞がかった視界が段々と現実を取り戻していく。
熱に浮かされたかのように夢と現実の間に漂っていた自意識が冷却されていく。
「……今は、五時……いや、午前四時、か……」
時計を確認した所、どうやら普段からは考えられない程の早い目覚めだったらしい。成る程、道理で薄暗い訳だ。この時間帯は流石にホシノもユメ先輩も起きていないだろう。
「…………」
その後、何となく二度寝する気になれなくて、暫く虚を見つめていた。
……何分経ったのだろう。
「……雨の日は、頭が痛くなるから、嫌だな」
永遠に続くんじゃないかと思える程絶え間なく響く雨音と、耳が痛くなる程の静寂に耐えきれず、独り言。
そこに誰も居る筈が無いのに、誰かの返事を期待している自分が居た。
当然、返事は無く。僕の空虚な独り言は一瞬部屋に谺した後に、雨音に塗り潰された。
「…………」
形の無い寂寥が僕の輪郭に染み込んでいく。
何だか、今日はやけに孤独が冷たい。
心が凍えそうだ。
真っ暗な布団の中、夕べ見た夢を想いながら瞼を閉じる。
「母さん……」
もう、顔も思い出せないのに。
───────────────────────
その後、起きても依然として雨は勢いが強いままだった。
予報によれば今日一日はキヴォトスのどこもこんな感じの天気らしく、正直憂鬱だ。まぁ雨の日は不良も温泉開発部も大人しいらしく、ほぼ鎮圧の依頼が回って来ない。
なので、今日は一日ホシノとユメ先輩とダラダラして過ごそうかな~!!なんて思っていた。
……そう、思っていたんだ……
「お、おべんきょ……?」
そうです、とホシノが真面目そうな眼差しをこちらに向ける。その手にはアビドスで使われている参考書と文房具のあれこれが握られている。
……くっ!!一応学生だったよぼかぁ!!でもやる気が起きねぇ!!勉強なんてしたくないじゃんね☆
「ごめんちょっと言ってる意味が分からないネェ。じゃ、僕は依頼があるんd」
てきとーに嘘を言って外に出ようとするが、ホシノに肩を掴まれてしまった。……滅茶苦茶手加減してはくれているんだろう。痛くは無いが、一歩もその場から動けない。
「嘘吐かないで下さい。貴方自分で言ってましたよね?雨の日はほぼほぼ依頼が来ないって。」
「……はい……すいません……」
ニッコリと笑うホシノに、もろに吹き飛ばされそうな威圧感を感じる。漫画だったら周りに
ニブニブニブニブ……!!!
とか付いてそうだ。怖いよぉ!!
「でも、でも!!僕は戸籍無いんで高校生じゃないぞ!!今はまだどこにも所属してない不審者だ!!だから勉強する必要は無いのではないか!?」
咄嗟に思い付いた言い訳を捲し立てる。そこまでして勉強したくないのか?そうだ!!僕は勉強が好きでは無いのだ!!
別にあっちの世界で点数が悪かったとかそういうんじゃ無くて、むしろそこそこに点数は良い方だった。テスト数日前まで勉強せずとも70点位は取れていたので、僕にはあまり勉強する習慣が無いのだ。
オレ全然勉強してねーわ!!(ガチ)
である。
「クロ君。学力が足りないとアビドスに入っても進級できないよ……。私も教えるから、一緒に頑張ろうね~。私は文系科目が得意だから、その辺りは教えてあげられるよ~。」
ユメ先輩が少し前屈みにファイトのポーズをしながらこちらを見つめてくる。綺麗な瞳とデッッッな二つの果実に吸い込まれる……!!
……え?進級できない?マジ?
……まぁ、そりゃそうか……
……つまり僕結構マズくね?
「…………クロ」
僕の様子に呆れたのか、溜め息を吐きながら僕とユメ先輩との間に入ってきた。……そんなわざわざ間に入ること無くない……?まぁ邪な気持ちで見てたのは否定できないけど……
「私も理数系で分からない所があれば教えてあげますから、勉強頑張りましょう」
……まぁ、しゃーない。学生の本分は勉強だし、高一でキヴォトスに放り出されたから知識のアドバンテージなんてある筈が無い。それに、ホシノとユメ先輩が教えてくれるならもう……絶対やるしかねぇ!!
「よろしく、お願いします……!!」
─────────────────────
「───そこ、間違ってますよ。そこはcosではなくsinです。名前が似てて間違え易いので注意してください。」
「え、ああ……確かに。ありがとうホシノ。」
「どういたしまして、クロ。」
……クロが勉強を始めて三十分程が経った。コイツからの要望で取り敢えずクロには数学から始めて貰っている。どうやら文系科目はそれなりに出来るが、数学はダメだとのことらしい。というわけで、今は私が教えている。
暇になったユメ先輩はいつもの見回りに行っていて、暫く帰って来ない。雨の中だから早めに切り上げても良さそうなのだが、『またクロ君みたいに倒れてる子がいるかもしれないじゃん!!』とユメ先輩は言っていた。全く、どこまでもお人好しな先輩だ。
……まぁつまり、今は私とクロの二人っきりということ。
「えーと、ここは1:2:√3だから……∠Aはここで……」
「…………」
クロの背中から服越しにじんわり伝わる体温と汗が、私の制服にじんわりと伝わり、また染み込んでいく。今、私とクロとの距離はゼロ。彼の背中にピッタリくっついて背中越しに彼の問題を見ている。
さっきまでは私が背中にくっつくと集中できないと言っていたが、最早今では私の事などただ何か教えてくれる人としてしか意識に入っていないようだ。
───なんか、良いですね
昼前なのに薄暗い外から響く雨音
年季の入った明かりが照らす教室
その間に在る見えない壁のような何か、或いは安らかにくぐもった閉塞感。
例えるなら、まるで世界滅亡の後に駆け込んだシェルターから二人っきりで外を見る時のような、酷く退廃的な───
「──シノ!ホシノ!大丈夫か?」
……彼の私を呼ぶ声が聞こえて、我に帰った。
「あ、ああ……大丈夫です、どこか分からない所がありましたか……?」
「い、いや、今はまだ詰まってる所は無いけど……それより大丈夫かホシノ……?かなりボーッとしてたけど、もしかして風邪か?」
───っ!?
クロがいつの間にかこちらの瞳を覗き込むように近付いていた。かなり距離が近く、間近に迫るクロの瞳に思わず心臓が跳ねる。
「っい、いや……大丈夫です……ちょっと考えて事をしてまして……」
「そうか……それなら良いんだけど」
───……はぁ、本当に大丈夫ですか私……
訳の分からない妄想を膨らませて、彼の勉強を見ていなかった上に心配までされてしまった自分を恥じる。
だめだ、ちゃんと集中しなければ───
「じゃ、ちょっと失礼して。」
───その瞬間、私の額に彼の少しゴツゴツとした手の平がふれた。
「~~ッッ!?」
脳がショートしている私をよそに、彼がもう一つの手で彼自身の額に触れる。
「おーん、いや熱くね?本当にこれ大丈夫?顔も赤いし、多分これ熱あるでしょ。」
───貴方のせいだ、と言いたかった。ただでさえ先ほどの妄想で火照っていた身体がさらに熱くなっていく。
彼が離れても、身体は依然として熱を保っていた。
何も言えずにいる私を見て、彼は私の肩をポンと叩いて微笑みながら言った。
「そんな状態で勉強教えてくれて、ありがとなホシノ。でも取り敢えず一旦ベッドで横になってきな。この天気この状態で学校から帰るのはアレだから、僕のベッドか保健室のベッド、好きな方を使いな。」
まぁ保健室一択だろうけど、と彼は続ける。
「まぁホシノが一通り教えてくれたからホシノが居なくても勉強出来るぞ。というか本当なら僕一人でやんなきゃいけない事だからな……」
「いや、でも───」
もう少し二人っきりで───そう言おうとした時、不意に身体が宙に持ち上がった。
「うっし、じゃあ保健室に連れてくぞ~。嫌だったら言ってくれ~。」
「ひゃっ!?」
膝裏と脇に腕にクロの腕が回され、横を向くとクロの顔が、それこそ息遣いが感じられる位置にまで近くに迫っていた。額に手を当てた時の比では無い。
というか、これは……お姫様抱っこなのでは……
ああもう、何がなんだか分からない。
「な、なんで」
「いやー、歩くのも辛いかなーって。ここの校舎結構広いし。あ、本当に嫌だったら遠慮なく言ってくれ!!」
「っ……!!」
ああ───駄目だ。
コイツの笑顔に、胸の高鳴りが───抑えられない。
借金とか、契約とか、そんなの関係無く、私は、純粋にコイツが好きなのだと。
恋する乙女なんて綺麗な言葉、私には似合わないと思っていた。だって、私のクロへの想いは恋と言うにはあまりにも重く醜いから。
───だけど、今この瞬間は、きっと私は、恋する乙女。
「ふふっ……ありがとう、クロ。」
「おう、どーいたしまして!!」
「さて、保健室はーっと」
「……あの、クロ。」
「ん?どした」
それはそれとして、さっき聞き捨てならない言葉を聞いた。
「私は……貴方の部屋のベッドで横になりたいです」
「……え」
「駄目ですか……?」
「いや、良いけど……めっちゃ汗ついてるし、汚れてるし……清潔な保健室の方が「クロ」……分かった。じゃあ行くぞ」
そう言うとクロは今一度私を持ち直し、教室のドアをガラリと開け、廊下に出た。
その後のクロが私をお姫様廊下を歩く数十秒間。それが私には永遠にも一瞬にも感じた。クロが歩く時の揺れが私を揺らす度、今私はクロに抱かれているんだという実感がどんどん強くなっていき、興奮と幸福のボルテージが恐ろしいスピードで上がっていった。
しかし、そんな時間もクロの部屋に着けばもう終わり。
「ほい、じゃあ暫く横になっててくれ。僕はまた勉強を頑張ってくる。」
「……ありがとうございます、クロ。」
私は微かに身体に残ったクロの体温の残滓に名残惜しさを感じながら、クロのベッドに潜り込んだ。
───まぁ、ここからも『お楽しみ』の時間なのですけど。
ドアがガチャンと閉められ、クロの足音が遠くに行ったことを確認する。
さて、思う存分クロの匂いを身体中で楽しもう──と、その時。
──……?
彼の机の上に大きな画用紙を見つけた。
前に部屋に来た時には無かった筈の、大きな画用紙。
何となく気になり裏をちらりと見ると、どうやら絵が描いてあるらしい。
アイツもそんな事するんだな、と思って捲ってみた。
「……これは」
そこには、大人の男の人と女の人。見るにどうやら夫婦らしい。それと、クロに似た男の子と、その弟らしき小さい男の子が、優しく綺麗なタッチで描かれていた。
「…………」
一見、普通の家族の絵に見えるそれは、しかし全員の目が黒く塗り潰されている点で異様な雰囲気を纏っていた。
普段なら間違いなく注意を向けていたそれは、しかし今は最早さっきの出来事で身体中が熱暴走しそうで辛抱たまらない私の意識には留まらなかった。
「クロ……絵も上手なんですね……」
「クロ、クロ……!!」
────────────────────
「どうしよ詰まった!!マジでこれ分かんねぇ!!ホシノに教えて貰いたい!!駄目だ!!どうしよう!!」
「ただいまーっ!!ってあれ?クロ君だけ?ホシノちゃんは?」
「あっユメ先輩お帰り!!良いところに来ました!!ホシノは熱っぽかったので僕の部屋に寝かせておきました!!暫くそっとしておいてあげて下さい!!」
「そうなんだ、ホシノちゃん大丈夫かな……」
「後で薬買ってきます!!あと!!ユメ先輩!!この問題教えて下さい!!」
「えぇっ!?私数学分かんないよ!?」
「そんな事言わずに~!!教えて下さいこの通り!!」
「もー、分かったよ~!!」
「よっしゃー!!」
「……ごめんなさい、やっぱり自分で解きます」
「え~!?なんで~!?」
「ユメ先輩の説明、擬音が多すぎます……」
「そんな~……」
これ以上過去アビドスを引き延ばすのはアレなんで、ここで宣言します
次回、ビナー戦。
恋する乙女(ヤンデレ)ホシノとユメ先輩、曇ります。
デュエルスタンバイ!!
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