オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
かなり駆け足気味です
後から良い文が思い付いたら付け足す可能性があります
ご了承下さい
───そして、数ヶ月が経過した。
あれから特に大きな出来事も無く、平穏な日々が続いた。
毎日ヒナからの依頼を受け、3、4件の不良か温泉開発部の鎮圧をする。
その後ヒナの所まで行って報酬金を受け取り、一時間程ナデナデしながら愚痴を聞く。
その後、電車に乗ってアビドスまで帰ってくる、そんな感じの生活。大体6時かそこらに学校に帰宅するのだが、まだホシノとユメ先輩が学校に居る事が多い。
なんでも、僕の無事を確認しないと眠れないそうだ。いつも6時位までには帰るかな、と一言言ってしまったのが原因で、7時になっても帰らないと彼女らに大目玉を食らう。お陰で僕は何があろうと絶対に夜7時までに帰宅しないといけなくなった。他のバイトや依頼が受けられねぇ!!まぁ僕が悪いんだけど!!
……そういえば、どうやらあのバカ温泉開発部員が考えた中二異名『赤い残光』はあの後脱獄したソイツによって広まってしまったらしく、依頼の現場に行く度に『赤い残光だ!!』と言われる羽目になった。
なんてこったいふざけんなバカ野郎ッッ!!
……まぁ、割と大真面目に言ってくるから恥ずかしさよりカッコよさの方が強調されてきているので、結果良かったのかも知れない……まぁ自分で『赤冠転輪』って付けてる時点で僕も大概だし……
まぁ、そんな感じでアビドスの借金も順調に返済していって、割と幸せな日々だったと思う。
───あの日までは。
──────────────────
「ハァッ、ッ、ハァッ、ぐっうぅ……ま、またやらかしちまったよ……」
「こん、の、バケモンが……」
「ハッ……有り、難く受け取っておくよ……ッ」
……なに、そんな珍しい事じゃない。ただ帰り道の途中に今まで鎮圧してきた不良どもの仲間やら本人やらに不意を襲われただけだ。
いつもなら不良なんて一瞬で気絶させられるのだけど、転輪していない状態でいきなり不意打ちは流石に無傷で対応は仕切れなかった。
「ッ痛ってぇ……クソ……ッ」
左膝と右肩、右太股に弾丸を数発撃ち込まれた。
幸いにも脳や内臓にダメージは受けなかったが、まともに両足と右肩が動かせなくなった。最初に弾丸を撃ち込まれて慌てて転輪したから、普通に弾丸を撃ち込まれるより悪化している。
傭兵モドキで金を稼いでいる僕にとっては致命的だ。
ヒナに明日から一定期間依頼は受けられない旨を電話で伝えて、這うようにアビドスまで辿り着いた。
「た、だい、ま……」
学校の玄関口の戸をなんとか開けて身体を引き摺るように教室に入る。この時ばかりはいつも使っている教室が一階にあることに心から感謝した。
「漸く帰って───っ!?クロっ!?どうしたんですかっ!?」
「く、クロ君っ!?その、血はっ、なんでっ!?どうしたのっ!?」
少し遅れて帰ってきた事にお怒りだったのだろう、少し頬を膨れさせていた二人の顔がみるみるうちに青褪めていくのが見える。
「ホシ、ノ、ユメ、先輩……悪い……不良、っどもに不意打ちを受け、て……」
「保健室までなんとか、連れてってくれ……頼む……」
「わ、分かりました!!私が持ち上げますからユメ先輩も一緒に来て下さい!!」
……前の勉強の時と立場が逆転したなぁ、なんて場違いな程呑気な事を考えながら、涙目のホシノに背負われて保健室に向かう。後ろを見ると、少し放心状態だったユメ先輩がこれまた涙目で慌てて着いてきている。
前のホシノといい今のユメ先輩といい、少しでも血を見るとパニックになってしまうのは、恐らく滅多に血を流さないキヴォトス人の頑丈さ故なのだろう。
……なんで、僕の身体はこんなに脆いんだろう。
そりゃ、後に来る先生と同じくキヴォトス外からきた人間だからとか、赤冠転輪があるからとか、色々理由はあるだろうけど……
もし、僕が普通の生徒くらい頑丈だったら、こんなホシノとユメ先輩を泣かせるようなクソ野郎にはならなかっただろうと思うと、悔しさが喉元から込み上げてくる。
「っ……」
……取り敢えず、数日間仕事はお休みだ。最近慣れてきたとはいえ反動がデカい赤冠転輪をこんな状況で使ったら最悪身体がさらに使い物にならなくなる。
ヒナに貰った時の傷が一週間で治るのだから木っ端不良どもの弾丸など数日で治るだろう。
「クロ君……あんな、あんな怪我をして……それなのに、私……」
「……私も、頑張るから」
────────────────────
「……ユメ先輩、遅いですね。」
……そうだな、と左手で単語帳を捲りながら頷く。
……あの不意の襲撃から三日目、まだまだ傷跡は治っていない。辛うじて右足は動かせるようになったが、左足と右肩がまだ動かせない。無理に動かそうとすると脂汗が出る程の激痛が走る。
「…………」
……それにしても、どうにも帰ってくるのが遅い。もう時刻は夜9時を回っている。ユメ先輩は見回りにしてもいつも夕方までには帰ってくる筈なのに。
まぁ、そういうこともあるだろう、なんて言ってしまえばそれまでだけど、どうにも胸騒ぎがする。こう言う時の胸騒ぎは大抵当たっていると相場が決まって───
───まさか
「なぁ、ホシノ……」
「どうしたんですか?クロ」
「ユメ先輩、何か探しに行ったりしてないか」
「……ああ、そういえば確か──
──砂嵐を発生させる装置を探しに行くとか」
──予感、的中
まず間違いなくユメ先輩は奴と戦闘している
ユメ先輩が出てから五時間経過
狼狽している暇は無い
───クロ?」
『赤冠転輪』
「……ユメ先輩を迎えに行く」
「えっ」
────────────────────
「ハァッ、ハァッ……」
アビドス砂漠の何処かに位置する巨大な大穴。
そこは、アビドスの砂漠化の原因である砂嵐を生む『蛇のようなナニカ』、その目撃記録が最も多い場所。
在りし日のアビドス生徒会が残した、そいつの目撃情報を元に辿り着く事が出来た。
その名はビナー。蛇と鯨を合わせたような巨大な身体を持つ、謎の自律型兵器。
ソイツを倒す事は、アビドスの砂漠化を止める事と同義。
「あはは……やっぱり、クロ君みたいにはいかないな……」
奴の口の中に収束する光を仰ぎながら、彼を想う。
────私は、ビナーに勝てなかった。
自慢だったシールドは表面が焼け焦げ、高熱で原型を留めておらず、盾の体を成していない。
頭から血がドクドクと流れて意識が朦朧としている。
心臓が早鐘を打ち、渇いた呼吸が暴走して止められない。
悶える程の痛みが全身を灼いて動く事が出来ない。
……最初から分かっていた事だった。私は戦闘に向いた身体ではないし、まして相手は企業直属の兵を以てして倒しきれない化け物。一人で勝てる訳が無い。だけど、私はやらなければならなかった。
……クロ君が血を流しながら帰って来たとき、私は頭の中が真っ白になった。何も考えられなかった。私は、血を見たことが無かったから。
───私達の幸せは、彼の皮膚一枚の薄氷の上に立っていた事を、その時初めて知った。
「…………うう……」
何が居場所はアビドスだけだ、彼の苦しみを、痛みを、背負っている現実を知らないくせに。
ホシノちゃんの方が、よっぽど分かっていた。
私は、ホシノちゃんの言う通り、向こう見ずのバカだ。
だから、これは。見ようとしなかった現実からの、罰で───
ついに、ビナーの熱線の収束が終わった。
向けられる光に、最早避ける体力も無い。
剥き出しの『死』が、私の全てを終わらそうとする。
「あ……」
───怖い
───怖いよ
───死にたくない
「ホシノ、ちゃん……クロ、君……」
「
『───やらせねぇからなっ!?』
───刹那、赤い流星が私を拐った。
「えっ───」
「ユメ先輩っ!!大丈夫か!?」
──────────────────────
「クロ……君……どうして……」
間に合って……良かった……だけど、酷い傷だ。もう少し早く気付いていればと思うと、悔しくてしょうがない……
「ユメ先輩っ!!大丈夫ですかっ!?」
「ホシノ……ちゃん……」
後から追い付いてきたホシノがユメ先輩に駆け寄ると、その痛々しい姿に思わず顔を歪める。いつもほんわかぱっぱしている先輩が頭から血を流して倒れているんだ、ショッキングにも程があるだろう。
「なんで、ここが……」
「そんな事はどうでもいい!!取り敢えず!!ホシノ、ユメ先輩を背負って校舎に戻ってろ!!」
言い訳やら謝罪やらは帰ってからホシノにして貰えばいい。取り敢えず今はユメ先輩を逃がす事が最優先だ。
「へっ!?クロは!?クロはどうするんですかっ!?」
「僕は……
アイツを
殺すから」
───その時、ホシノとユメの顔が今までに無い程酷く歪んだ。
「冗談……でしょう?ねぇ……っ!!」
「こんな時に冗談なんて、クロ君らしく無いよ……!!」
「冗談じゃないよ、本気だ。」
「……っ!!」
「そんな……!!」
「……アイツを殺さなきゃ、今度は何時何処に現れるか分からない。もしかしたら、校舎の直下から現れて校舎を破壊してしまうかもしれない」
ビナーの目撃情報に法則は無い。市街地でも、砂漠でも、線路でも、アビドスの中の何処にでも現れる。たまたま今まで校舎の近くに出没しなかっただけ。いつまでそれが続くかなんて分からない。
「バカ!!ダメ!!ダメです!!絶対ダメ!!そんなの認めない!!ダメったらダメなんです!!」
「クロ、君……ウソ、だよね……いや、いやだ、いやだよ……一緒に、帰ろ?あんな奴に構わないでいいから……ね……?クロ君……っ」
二人が必死に僕を引き留めようとしてくる。
……正直、その言葉に従って逃げ出したい。理性がそうするべきだと叫んでいる。
───だけど、そうはいかないから。
「……何か勘違いをしているね、二人とも」
「え……?」
「僕は───勝つぞ?」
「えっ……でも」
「ええい!!勝つったら勝つんだよぉ!!僕は最初から死ぬ前提の勝負は受けない!!例えここで自爆特攻をしてビナーを倒せたとしてもお前らのその後が分からん!!僕はお前らの笑顔が見たいんだよ!!その笑顔が見れないのは嫌だ!!」
「……!!」
「それに僕は──1人で借金八億を返した男だぞ?アイツに八億の価値があるか?ないだろう!!つまりなぁ!!余裕ってこった!!良いか!?分かったら早くユメ先輩を連れて校舎に戻るんだ!!」
「く、クロ君……!!」
「わ、わかり、ました……!!絶対、絶対生きて帰って来て下さいね……っ!!」
「おけまる」
……ホシノとユメが無事に見えなくなる位置まで行ったのを確認して、ビナーに近づく。
……数百メートルはあるだろう白い巨体に、橙色の光が色濃く輝いている。きっと、アレの攻撃を食らえば、僕は一瞬で消し飛ばされるだろう。そんな化け物が、今僕の眼前に存在している。
「……っ」
───覚悟は、出来ていない
───痛いのは、怖い
だけど
一人のアビドスの生徒として
一人の男として
一人の人間として
何より───
───一介の、『
” ブラックカードを使う ”
「……神名強制解放:NEITH」
きっと、ここでやらなきゃいけない事だから
『赤冠全解放』
「行くぞ、ビナー。」
────────────────────
「……クロ……クロ……お願い、返事をして下さい……」
ユメ先輩を背負って校舎で休ませてから六時間
何故か急に発生した砂嵐が収まり、クロを探しに行った
ビナーは、死んでいる
頭部を貫通する2つの風穴がそいつの死因を物語っている。
だけど、クロの姿が、見当たらない
どこにも
どこにも
どこにも
「クロ……」
その時、視界の端に何かが映る
「クロ?」
微かな期待と共に向かって行った先にあったのは
「え……」
───大量の血痕だった
「そん、な」
「あ……ああ……」
「あ”ア”あ”あ”ア”あ”ア”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!」
「なんでっ!!なんでっ!!クロっ!!」
「なんでっ帰ってくるって!!いってたのに!!」
「わたし、まだっ、何もかえせてないのにっ」
「こんなのっ、いやだ、いやだよっ!!」
───砂漠に、ホルスの渇いた慟哭が谺する。
藍色の空に朝焼けが霞む、暁の事だった。
─────────────────────
「ククク……まさかビナーを倒してしまうとは……お見事です、黒江クロ」
『はっ……そりゃどーも……』
「しかし、最初から『崇高』を完全表出なんて死ぬ事が前提のような無茶苦茶を何故行ったのですか?」
『……別に、どうせ助かるなら力を惜しむ必要は無いだろ?』
「……ほう……?」
『だって、お前らが助けてくれるんだろ?僕が死んだら困るもんな、特にお前が。』
「……!!」
『……僕は最初から何も諦めてないんだよ』
「クックック、成る程……そのイカれぶりと言い、あのカードと言い、貴方は我々と同類のようだ……!!」
『それ、褒めてんのか……?』
「クックック……そんな貴方に提案です。貴方もゲマトリアに入りませんか?」
『断る。僕の居場所はアビドスだけだ。』
「ふむ、残念です。気が変わったら何時でも言って構いませんよ」
『はいはい、で、実験すんだろ?早くしろよ』
「ええ、では早速始めてしまいましょう───」
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