オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
“ 息は、ある……意識を失っているだけ……だけど…… ”
シャーレに辿り着くまでに私の命を助けてくれた男の子が急に倒れたとの連絡が入った。
慌てて彼の所に向かい、怪我の具合を確認するべく服を軽く脱がしたのだが……そこで見たのは……
“ なんで、こんな……酷い傷が…… ”
──おぞましい程の酷い傷が、彼の体に刻まれていた。
しかも、一つどころではない。大小差違はあれど、まるで嵐にあった後のような激しさが感じられる程びっしりと傷が付けられている。
そのどれもがもう治りかけてはいるようだが、それでもこの傷たちを隠すまでには至らなかったらしい。
“ 私を守る為に、こんな傷を……? ”
……なんて、ことだ……先生として着任して早々に、私は……生徒に酷い怪我を……
「……いえ、先生。これは違います」
“ ? ”
“ ユウカ、違うって……? ”
「先ほど彼の戦いを視認した限りでは、彼の被弾率は衣服や髪の毛等の部位を含めても、僅か約0.028%。含めなければ、約0.003%。被弾はほぼ無かったと言って良いでしょう。」
「というかあの体勢で彼が被弾していたなら、抱えられていた先生も一緒に被弾している筈です。」
“ 確かに……でも、そんなの── ”
「ええ、人間業じゃありません……一人手ぶらでも不可能に近いのに、自身より大きい先生を抱えながらなんて……」
そう言ってユウカがまるで信じられないような物を見るような視線を彼に向ける。
“ じゃあ、この傷は…… ”
「……この傷の形、かなり多量の薬の投与が行われた形跡が見られます……一体彼に何が……」
ユウカが顔を歪めながら呟く。
“ 投薬…… ”
……彼は、どんな投薬を受けたのだろう。それになぜ彼は投薬を受けたのだろう。そもそも彼はそれを自覚しているのかどうか。もしかしたら見知らぬ内に拉致されて人体実験……なんて事もあり得る。
それだけじゃない。この子のヘイローと左眼の色、今はそれぞれ灰色と黒色だが、さっき私を助けてくれた時には赤く染まっていた筈。ヘイローの色が変わるなんて、そんな事があるのだろうか。
それとも、これが薬の作用なのか?
“ 私、は………… ”
……何一つ、彼がわからない。分かる訳がない。なんせ、まだ彼に会ってから一時間も経っていないのだから。言葉を交わした回数も一、二回だけ。しかもまだ私は彼の名前すら分かっていない。
───大人の行動のせいで、子供が苦しい思いをするなんてあってはならないのに。
“ ごめん、ね……本当に…… ”
─────────────────────
「んう~、む……ん?」
目が覚めたら知らない天井でした。もうこの言葉の元ネタがなんなのか忘れてしまったが、まぁこの状況にはぴったりだろうって事で言わせてもらいます。
……まぁ、そんなことはどうでもいい。どうやら僕は結構良いベッドで寝かされているようで、かなりぬくい。ぬっくぬくである。ベッドで寝ること自体かなり久しぶりなのに、こんなぬくいともうダメである。
ダメ人間になる前に早くベッドから出なくては。
「……ここは……」
取り敢えず状況を確認するべくベッドから出て辺りを見回すと、パソコンやら積み上げられた段ボールやらが目に入る。窓から見える太陽の位置からして、今はお昼頃かそこららしい。かなり明るいが、電気はついていない。なんかどっか見覚えがあるんだが、それは今は置いておこう。
「むきゃっ!?」
そして、だ。この謎のオフィスっぽい部屋、かなり高い所にある。油断して窓から下を見てしまい、思わずたまがひゅんっとなるような謎の浮遊感に襲われた。ついでに変な声も出してしまった。
怖かった……
───するとその時、このどこか見覚えがある謎の部屋のドアの向こう……恐らく廊下であろう場所から足音がした。
「えっ……」
どんどん近付いてくる足音。恐らくこの部屋の持ち主なのだろう。いやまぁここに運んでくれたのだから悪い人では無いのは分かっているが、こちとら無許可で部屋を色々探索しているので軽くパニックになってしまった。
そうこうしている内に、ドアが開く。
“ ただいまー、って……あ!! ”
ガチャリとドアが開くと、一人の女性……大人?の女性が部屋に入って来た。
……つか待て、この人さっきの先生じゃねぇか!!あの時僕が助けた先生!!てことはここはシャーレかよ!!どうりで見覚えあると思ったよ!!ホーム画面で何回も見てるから!!
「……う、うへー……お邪魔してます……」
色々調べていた事がすこし申し訳なくなって、ちょっと微妙な気持ちで挨拶をする。
“ 元気になったんだ!!もう大丈夫なの? ”
「ええ、弾丸が一発かすった位なので別に大丈夫ですよ。……ちょっと久しぶりに赤冠を使って全力で走った反動で意識が飛びまして……」
“ ……赤冠? ”
「ああ、いや何でも無いです。というか先生は大丈夫なんですか?」
“ うん、私は大丈夫。貴方が守ってくれたお陰だよ。本当に……ありがとう。 ”
「そうですか、それは良かった……」
取り敢えず目標は達成できた事、そして先生が無事でいてくれた事に安堵し胸を撫で下ろす。
……先生は、この世界の……まぁなんだ、メシア的な存在だ。死んでしまったらキヴォトスはかなり危うくなる。
……もし先生が何らかの事情でキヴォトスから居なくなった、またはそもそも来なかった場合には、僕が先生の代理を務める事も考えていた。……出来る出来ないは考えない。先生が来ない時点で実質詰みなので考える余地は無い。僕は大人のカードに近しいモノを持っていて、元
……まぁ、そんな御託抜きに1人の人間として僕は……誰にも死んで欲しくはない。
僕は死んだからこのキヴォトスに転生してきたのか、それとも何か上位存在的な奴に転移させられたのかは分からない。
どちらにせよ……僕は家族を、友達を、全員喪った。
僕は……これ以上喪いたく、無い。
無事でいて、本当に良かった……
“ ……?どうしたの、ボーッとして…… ”
「ああ、いや……先生が無事でいてくれた幸せを噛み締めていました。うん、無事でよかった。」
“ ………… ”
“ ……あの、さ ”
「……?どうかしました?」
なんだか深刻そうな表情をしながら先生がこちらを見つめてくる。どうかしたんだろうか?
“ ……さっき、貴方の身体を安否確認の為に触らせて貰ったんだけど…… ”
……へ?
“ 数十箇所の激しい傷痕に、明らかに過剰な投薬の痕跡が貴方の身体にあったんだ。 ”
「…………」
“ 一体君に、何があったの……? ”
……ここでバレんのか……
黒服には一応再生能力を付けてもらった借りもあるし、何より先生には他にもっとやるべき事がある。僕の為に業務を増やして欲しくない。なんとかはぐらかすことは……
「……先生には関係無いことですよ」
“ 貴方は私の大切な生徒だから、関係あるよ。 ”
「いやだから本当に関係」
“ あるよ。私、先生だもん ”
ううん……これはダメそうですね
だが嘘をつくのも気が引ける……ならば。
「……分かりました。言いますね。」
“ え……素直!? ”
「何ですかその反応……貴女が言ってくれって言ったんですよね?」
“ いや、この流れは話してくれない感じかと…… ”
「……何ですかそれ……いやまあ分かりますけど……」
なんか調子狂うな……
「はぁ、別に考えてみればそこまで話しても問題がある内容じゃなかったですし」
“ えぇ…… ”
「取り敢えず、この投薬の痕から話しますね」
“ うん、お願い。 ”
「……この投薬は、僕がこのキヴォトスで生き残る為に自分から志願して手術をしてもらった時の痕です。」
” ……?どういうこと?生き残る? ”
「……僕は、ヘイローを持ってるのにも関わらず弾丸を頭に一発食らうだけでお陀仏してしまう貧弱な身体なのです」
“ ……え ”
「信じられないという顔ですね……いやしかし、実際そうなのです。それでかなり僕は苦労してきました。」
「……それはもう……苦労してきましたよ……ええ……」
“ 遠い目をしている…… ”
「クソっ……!!こんな身体じゃなければ……!!!」
あんなにホシノもユメ先輩も泣かせる事は無かったのに……代償だかなんだかは知らないが、転移特典ならデメリット無しでくれよな……!!
“ 大丈夫? ”
「……すいません、少し冷静さを無くしてしまいました」
“ そんなに…… ”
「……話を続けます。で、そんな時にとある人物からお誘いを受けまして……
それは、僕の身体を研究させて貰う代わりに僕を耐久性の高い身体に変えてくれるというものでした。」
“ っ!? ”
「僕のヘイローが赤くなる現象、それを研究したいとの事で……僕としては願ったり叶ったり。トントン拍子に事は進み、色んなおくすりを注射されたり飲まされたりしました。」
“ ………… ”
「で、その研究が無事終わり、施設から解放され今に至る訳です。どうですか?何も怪しい所は───」
“ 大有りだよ!!! ”
芸人のツッコミ並みの迫力で叫ぶ先生。
……やっぱそうだよなぁ……でも、これ以上は話せない。
「ですが、これ以上は話せません。まだ貴女と僕は出会って1日も経っていませんよ?もう少し信用を得てからまた聞きに来て下さい。」
“ っ……!! ”
取り敢えずもっともらしい建前を付けて追及を回避する。いやもう取り敢えず信用はしているんだけどね。ユウカを戦車の砲弾から庇っちゃうような人だし。
“ ……分かった。先ずはキミの信頼を得れるよう努力するよ。 ”
なんとも悔しそうな表情をしながら後ろに引いていく先生。いや本当に今日会ったばかりだよね?なんでそんな僕の事を思ってくれるの?やっぱり先生って凄い人間なんだなぁ……
「……先生。一つ、頼みがあるんです」
“ 何かな? ”
「僕と……友達になって下さい。」
“ ……え? ”
「貴女は……このキヴォトスで唯一の『外の世界』の記憶を持っている人間」
「僕も……『この世界の外』の記憶を持ってるんです」
“ そうなんだ!! ”
「なので、あの、本当に……友達になって……下さい……お願いします……独りは……嫌だ……」
“ うん、良いよ!! ”
「……!!ありがとう!!」
「……あ!!まだ自己紹介してなかった!!僕の名前は黒江クロ!!16歳だぞ!!よろしくな!!」
“ よろしくね!! ”
「…………」
” ………… ”
「……?先生も自己紹介して欲しいのだけど」
“ えっ?私も? ”
「うん。先生って職業呼びじゃ味気ないし……友達だから……それくらい教えてくれても良いのでは……?」
“ うーん、分かった。 ”
「おお……!!」
“ 私の名前は、───だよ ”
「……へ?申し訳無いがワンモア」
“ ───だよ ”
「……おっけー、取り敢えず先生呼びは継続するな。ちょっと先生の名前だけ謎に聴こえなくなる現象が起こってる。」
“ えぇ……? ”
「取り敢えずこれからよろしくな、先生」
“ うん、よろしくね ”
『キヴォトスの外の記憶がある』───例え、それが僕の世界では無いとしても……別の世界で独りになった人が僕1人じゃないというのは、慰めになるから───
───ありがとう、先生。
“ そういえば口調途中から変わったね ”
「だって目上の人には丁寧語が普通だろ」
“ ちゃんとしてる……!! ”
アンケート
なんか他にも案あったら教えて
追記:アンケートの『黒江クロ被害者スレ』が、現実世界視点か、キヴォトスの中の掲示板かで解釈が別れる選択肢になっていることに今気付きました
一応個人としてはこれが選ばれたら現実設定の掲示板回にする予定です。もしキヴォトスの掲示板として投票した方、本当に申し訳ないです……
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