オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
筆が乗りに乗ってしまった
詰め込み過ぎたわね……
ガバ多いと思うので注意
───さて、それからの話をしよう。
僕がシャーレの先生にオフィスに担ぎ込まれてから、今日の朝でなんと十五度目の朝を迎えてしまった。因みにシャーレの窓から見た景色は、あまりにも美しく『透き通っていた』事をお前に教える。あんなに美しい街で今日も美少女達がドンパチやるのだと思うと、胃が痛くなってくる。この美少女グラセフがよぉ……!!
それはさておき、『なんでや!!アビドスに帰るんやろ!!早よホシノとユメ先輩に会わんかい!!』と思われる方も居るかも知れない。実際僕も早いところここから出てアビドスに帰るつもりだった。しかし、そうは問屋が下ろさないようで……
” クロ君、ごめんね。実は……キミの身柄はシャーレで保護するってもう生徒会に伝えているんだよね…… ”
『へ?』
” 最初は、生徒会からキミの身柄をヴァルキューレに引き渡すよう要請が来ていたんだ ”
「え……ええっ!?」
” だけど、命の恩人がまるで容疑者みたいな扱いをされるのは納得いかなくて……シャーレで預けるよう直談判したんだよ ”
「そうなん、ですか……?ありがとう先生……っていうかなんで?なんで僕がヴァルキューレに引き渡されなきゃいけないんですか?」
” クロ君が悪い子じゃないのは分かっているし、むしろ私にとっては助けてくれた恩人ですらあるんだけど…… ”
「そ、そらそーですよ!!むしろ生徒会からも感謝されて然るべきでは!!」
” やっぱり何処の学校にも所属していなくて、戸籍も無くて、事前に私の存在を知っていたっていうのは、怪しむには十分過ぎたみたい…… ”
「あっそっかぁ……」
” 素直な子だなぁ…… ”
成る程なぁ……そらそーだわ。先生の存在は一応生徒会にとっては機密事項だった筈で、それを事前に知っていた上にこの戦闘力だもんな。警戒する筈だわそりゃ。
───というわけで、暫くシャーレで過ごして貰う事になったというわけだ。大体一週間位かな?それくらいはシャーレに居なきゃいけないらしい。
ホシノとユメの精神状態は……まぁ何とかなると信じて、ここは我慢せな……
……いやまぁ新しく後輩も出来ている事だろうし、案外僕の事なんか忘れて青春やってたりすんのかな?まぁそれはそれで良いんだけど、ちょっとやっぱ寂しいぞ……
……さて、現在十五度目の朝を迎えた僕は、ある問題に頭を抱えていた。これからのキヴォトスを左右するかも知れない程の重要な問題だ。それは何かというと……
” 本当にありがとう……!!クロ君……!! ”
「先生……外の世界ではどうやって生活していたんだ……?まさか、ごみ屋敷とまではいかないまでも、かなり汚い部屋に住んでいたんじゃ……」
” 流石にごみ屋敷じゃないよ!! ”
「はぁ……そこしか否定できないんですね……?ごみ屋敷じゃないなんて、人として最低限ですよそれ……」
” うっ…… ”
はあ、と溜め息を吐きながら辺りを見渡す。半月前までスッキリクリーンだったシャーレのオフィスが、いつのまにやらクッソ汚くなっている。
大量に床に散乱するお菓子の空袋に、キッチンに放置されたコンビニ弁当の残骸、そこらに散らばる重要そうな書類、開封してそのまま放置したのであろうニチアサヒーローの変身ベルトの空箱、なんか落ちてる下着……
……そう、先生の生活能力が低すぎるのだ。
整理整頓ならまだしもコンビニ弁当の残骸があるあたり自炊も出来ないようだ。ついでに洗濯も。
いやマジでダメダメである。なんでこんなにダメなのか、アプリ内の先生のオフィスはもっと綺麗に片付いていた筈だが?……まぁ、アプリの先生と同じ存在だとは思わない方が良いな……途中でユウカを庇って死にかけるシーンなんて無かった筈だし。
” そもそも!!ゴミを捨てると二酸化炭素が─── ”
「黙りな!!僕にとっちゃ環境云々より先生の衛生と健康の方が何万倍も大事だよ!!見苦しい言い訳は止めなさい!!先生それでも大人かぁ!?」
” ぐうぅっ!! ”
まだぐぅの音は出るのか……
「……全く、今日はセミナーの方から生徒さん……確か、早瀬ユウカさんだっけ?が来るんだよな?」
” うん…… ”
「それで、直前までろくに片付けをしていなかったってのに、直前になって僕に泣きついてきて……いや文字に起こすと本当に情けねぇぞ先生……」
” ご、ごめんね…… ”
本当に先生に朝5時に叩き起こされた時は何事かと思ったよ……起きたらなんか先生土下座してるんだもの……なんか緊急事態かと思って慌てて銃を取り出した僕がなんともバカみたいだった……
「……まぁ、こんな事言ってもしょうがない。人には得意不得意があるからな……」
「取り敢えず僕が一通り片付けて掃除機もかけておくよ。冷蔵庫にあった余り物で作っておいたサンドイッチでも食べて待っててくれ。ゴミ出しも僕がしてくるから。」
” うん…… ”
「そんで、ユウカがもうすぐ来る時間になったら早めにエントランスで待機しておくことをお勧めするぞ。」
” うう……ありがとうクロ君…… ”
──────────────────────
クロ君に半ば介護?のような扱いを受けつつもサンドイッチを食べ終わり、ビルのエントランスでユウカを待つ。
ピンポーン、とチャイムが鳴って、1人の少女がビルに入ってきた。
「こんにちは先生。セミナーから来ました、早瀬ユウカです。この前はどうも。」
ユウカのお辞儀に合わせてペコリ、とお辞儀をする。あの時の青ざめた顔を思い出し、彼女よりすこし深めに。
” こんにちは、ユウカ。この前はありがとう。そしてごめんね……あんな事しちゃって…… ”
「あれは……本当に肝が冷えました……。私を身を挺して守ろうとしてくれた事は感謝しています。あの砲弾を食らえば私は気絶していたでしょう。ですが……キヴォトスの事実上連邦生徒会長の代理のような先生の命を張ってまで助けて貰う状況ではありませんでした」
……もしあの男の子が助けてくれなかったらと思うと寒気がしますよ、とユウカが呆れ半分怒り半分のような溜め息を吐く。
「まだキヴォトスに来てすぐのようでしたし、ご自身がどれ程重大な立ち位置に居るか理解が浅いようでしたので、しょうがないとはいえ……次からは気を付けて下さいね」
” ……うん、気を付けるよ ”
「はい。そういえば、あの男の子は……?」
” ああ、クロ君なら今ゴミ出しに── ”
「……えっ?」
「え、えぇ……?あの男の子を?ゴミ出しに行かせているんですか?」
” あっ、い、いや、違うよ!?こき使っている訳じゃなくて、あの子が自分から行ってくれて…… ”
「…………」
” ………… ”
「…………」
” …………燃えるゴミって何曜日だっけ ”
「…………今日と同じ、火曜日ですよ」
” そっか…… ”
「……まぁ良いです。取り敢えずシャーレの部室に案内して頂けますか?」
” ……うん、こっちだよ ”
──────────────────────
「電池が燃えるゴミの中にかなり入っていたお陰でかなり時間がかかっちゃったよ……」
後で先生にはゴミの分別を教えなくてはならないな……と決意しながらシャーレに向かう。知ってるか?電池って燃やすとヤバいガスが出るんだぜ?なんでも、中に含まれている水銀が大気中に放出されるらしい。キヴォトスでもそうなのかは知らないが、取り敢えず燃えるゴミに電池を入れるなとは注意書きがあったので多分そうなのだろう。
さて、場所が場所なせいでやたら長い階段を登り、なんか思ってたより長かった廊下を通ってシャーレの部室に到着する。
中から先生ともう1人の話し声がするのを聞くに、どうやらもうセミナーフトモモダイマオウこと早瀬ユウカは既にやってきているらしい。……ん?セミナーオオフトモモだったか?まぁどちらでも良いな。
「さてさてと~、ただいま」
ガチャリとドアノブを回し、扉を開く。
見ると、そこには───
「ホストクラブ『ふわりん』に七万円……!?せ、生徒の模範であるべき先生が、こ、こんないかがわしい店に行くなんて……!!」
” ち、違うよ!!それは……ってクロ君!? ”
───領収書の計算真っ最中だったらしい。
「……あの」
” く、クロ君!?これは違うよ!!えっと── ”
先生が滅茶苦茶慌ててらっしゃる。まぁ確かに、生徒の前で自分はホストクラブに行ってますなんてばらされたら社会的に死亡一直線だわな。
……まぁ、なんか放置してるのもアレなんで、友達として助けてやりますか。
「いや、知ってる。ソシャゲのガチャだろ?最近そんなイベントやってたもんな先生。」
” し、知ってたの!? ”
「いやまぁ……なんかよく先生” 天井は嫌だ……天井は嫌だ…… ”とか” やった!!最適持ってるじゃん!!新高難易度無双してやるぜ!! ”とか言ってるもんだから気になって調べちゃった訳よ。」
” そ、そうなんだ……!! ”
「げ、ゲームのガチャ……ですか……?」
ユウカが困惑した表情でこちらを見る。ユウカはあまりゲームとかには縁が無いのだろう。というかミレニアムのぶっ飛び具合を思い出すに、イカれた奴らの皺寄せが来る会計係にはそんな事をする時間が無さそうである。哀れ……
「ああ、最近そのソシャゲでホストイベなるものが開催されてんだ。キャラクターのホスト衣装とかが期間限定でガチャから排出されてるってことよ。」
ゲームの画像を見せながら説明していく。
……先生の視線が救世主を見るようなそれだ。
「そのイベント名が……クラブ『ふわりん』ってわけ。決して先生はホストに貢いだ訳じゃないぞ。」
「なるほど……」
ユウカが納得した表情を見せた。……いや、安堵もあるのか。シャーレの先生が職務について早々にホストに行くとか洒落になんないもんな。
” ありがとう……クロ君……!! ”
……いや、感謝してくれているところ悪いけど、別に問題が根本から解決した訳じゃないからな?
「……って、でもゲームのガチャに七万円は使い過ぎです!!」
” うっ!! ”
そら見たことか。先生の課金額の内訳は、1天井で二万、2天井で四万。開催記念のお得パックが一万。合計で七万円の課金である。……他にも変身ベルトとかプラモデルとか色々買ってるだろうに、そら金欠になるに決まってるんだよなぁ。
「いくらキャラが欲しくても、限度というものがあります!!ある程度自制心を持って下さい!!」
” うう、でもそれはいくら配布石を捧げてもガチャからあの子が出てこないのが悪いんだよ…… ”
そう言うと先生は助けを乞うようにこちらに視線を向けた。それでいいのか先生!!僕は別に全部擁護するつもり無いからな!!
「ああ、それは同感だ。最低でも一天井で我慢するべきだったぞ。キャラは手に入れられるんだし、別に2天井する必要は……」
” ……でも、このキャラ……1凸ですごく強くなるんだ、も……? ”
───その時、ユウカの中で何かが切れた───
「先生、クロくん。座って下さい。」
” え ”
「へ?」
「いいから座って下さい」
──────────────────────
あの後こってり怒られた。すごく怒られた。もうどっちが大人か分からない位にはユウカは怖いママだった。
今はユウカの支出計算が終わって帰っていった後だ。クロ君と二人で反省会を開いている。
” ……うう、あんなに怒られたの久し振りだよ…… ”
「残念でもないし当然だ……っていうかなんで僕まで巻き込まれなきゃいかんの……?」
クロ君が椅子の背もたれから顔を乗り出して、疲れたように文句を言う。
” ごめんね……私がだらしないばっかりに…… ”
生徒の模範であるべき先生が、こんなだらしない生活を送ってはいけない……ユウカの言う通りだ。
” ………… ”
後先を考えず自らの命を非合理に危険に晒し、その結果クロ君に無理をさせて、私生活もままならない……
” ……こんな私に、本当に先生が務まるのかな ”
「……え?」
” ──あっ!!ご、ごめんねクロ君!!こんな弱音吐いちゃって ”
「いや、僕はもう貴女は立派な先生だと思うけど!?」
” ……え……? ”
どうして、
どうして?
私はこんなにも未熟で、
頼りなくて、
足を引っ張ってばかりで───
「後先考えずにユウカを庇った時点で貴女はこれ以上無いほどの完璧な『先生』じゃん!!」
” で、でも…… ”
「でももだっても無い。確かにあれは地味にキヴォトスを左右する危機だったが、今生きてるなら何も問題無い。そうだろ?」
そんなの、結果論だ。私の勝手な行動でキヴォトスを危機に晒した事実は変わらない。
” クロ君が居なきゃ、私もキヴォトスも── ”
「うん。僕がいるから助かった。それは確かに事実だ。……で?」
” ……? ”
「別に、これから僕が貴女の事を助けないなんて言ってないし、言うつもりもないぞ?友達だもの!!」
” ……!! ”
「そうだな……これから、貴女は『先生』として───後先の事なんて考えずに──生徒達皆が幸せになれる道を突き進めばいい。」
「どんな綺麗事でもいい」
「どんな理想論でもいい」
「どんな絵空事でもいい」
「
” クロ……!! ”
「誰一人、切り捨てたくは無いんだろ?」
” ……うん!! ”
「……やっぱり、貴女は先生だ。後先考えていたら、そんな事は不可能だって諦める。」
「先生は、欲張りだ。」
「───僕と同じだな!!」
──彼の年相応の笑顔が、窓から射し込んできた夕陽に照らされて燦々と輝く。
” あ…… ”
───この時この瞬間、私は……
彼の事が、好きになってしまったのかもしれなかった。
────────────────────
” ………… ”
夜。月の光がベッドを照らす。
私は布団に籠りながら今日の事を思い出していた。
あの時ボソリと呟いた、弱音。
『頼れる大人』として戒めるべき思いを、私は発してしまった。その言葉のせいで、彼から失望されてないか、呆れられてないか、嗤われてないか───彼の信頼が失われてしまったのでは無いか、それがとても恐ろしかった。
だけど、その頼りなさもひっくるめて私を受け入れてくれた。
……シャーレに来てから、色んな生徒と顔を合わせた。
だけど皆、私の後に着いてくるだけ。
それが、先生という存在。先に生きる者の宿命。
……ただ一人、私を友達と呼んでくれるクロ君を除いて。
” クロ君…… ”
クロ君は、これから私の隣に居てくれる。
クロ君は、私の頼りない所を受け入れてくれる。
クロ君は、私のかっこいい親友。
” ふへへ……!!クロ君……クロ君……!! ”
最初は不安だったけど、クロ君と一緒なら……!!
明日行く初仕事の、アビドスへの出張も頑張れそう……!!
──────────────────
───先生は、人間だった。
アプリの先生のように、完璧な聖人じゃなかった。
───未来は、決まってなかった。
アプリ通りのストーリーじゃなかった。
……このままじゃ、無理だと思った。
だから、背負わせた。
一人の子ども思いのお姉さんを、『先生』へと。
そうしなきゃ、『色彩』に勝てないから。
……ようやく気付いた。
僕が、『ブルーアーカイブ』にやってきたんじゃなくて。
僕が、この物語を『ブルーアーカイブ』にするんだと。
……僕がやらなきゃ、駄目だから。
……先生。
背負わせて、ごめんなさい。
……ごめ゛んな、さ゛いっ……っ
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