オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
何回も何回も書き直してようやく納得できなくもない物を書き上げられました……
おかげで文量が二倍になってしまいました
ツッコミポイントあったら優しくおせーて下さい
「……早起きしすぎた、かな」
校舎の屋上に一人、朝焼けが霞む暁の夜空を見上げながら呟く。ここから眺めるアビドス砂漠の夜明けは、ちょっと悔しさが込み上げてくる程美しい。
……クロ君が死んでから、約一年。
彼の命を代償に砂塵の発生原因であるビナーが停止し、アビドス自治区の砂漠化の進行速度は目に見えて遅くなった。……完全に止まった訳ではない。別にアイツが居なくても砂嵐は起こる。
さて、私は既にアビドスを卒業していた。今はアビドスのOGとして学校に所属している。
まだ、前のアビドス生徒会が結んだ列車砲の問題や、クロ君が返しきれなかった約一億円の借金の問題等が未だ残っている。もうとっくにキヴォトスの外の世界に出ていく年齢ではあるけれど、私達の問題であるそれらを後輩に押し付けて出ていく訳にはいかない。
……のだが、やはり事はそう簡単にはいかなくて。企業や他校の色んな利権や思惑が複雑に絡まって、列車砲の破棄は中々進展しない。
列車砲は確かに強力な抑止力だ。だけど、今のアビドスに必要なのは、力じゃない。最早、私達だけではアビドスは復興できない。他校や企業の支援が必要なのだ。だけど、列車砲なんて兵器を持てば、企業からは支援を受けられるかもしれないが、他校との関係悪化は避けられない。いつ裏切るか分からない企業に依存して、他校との外交を蔑ろにするのはあまりに下策。
「……クロ君なら、どうするのかなぁ…」
コーヒーを一口啜り、一息───
「げほっけほっ、げほっ!!」
───熱い。苦い。思いっきりむせてしまった。
もう大人になったのだからと、ブラックコーヒーを淹れてみたのだけど、どうやら飲み方を間違えてしまったらしい。
「む~……」
気を取り直して、もう一度。
今度は目を瞑りながら、少しずつ少しずつ熱と苦味を嗜む事を意識して啜っていく───
「うっ……苦いよ~……」
───やっぱりまだ私には早かったらしい。確か、クロ君は飲めていた。クロ君はどうしてこれを平気な顔をして飲めたんだろう。
『どうしてって……まぁ、こうでもしないと夜の見回り中眠くてしょうがないからなぁ……夜三時にカイザーの連中が襲ってきた例もあるし、中々油断出来ないんだぜ。』
───ああ、そうだった。
彼は、クロ君は、1人で夜校舎を守っていたんだ。その為の、『ブラック』だった。
「……っあ……っ」
───彼との思い出が連鎖するようにフラッシュバックしていく。
一緒にラーメン食べた時に、ホシノちゃんの大食いを二人で盛り上げた事とか
勉強教えた時私が擬音ばかり使ってたお陰で分かりにくいと突っ込まれた事とか
ホシノちゃんと一緒に作った夕飯を食べて喜んでもらった事とか
そんな、幸せな思い出が甦る。
──そして、最後に映し出されたのは……ビナーに向かう前の最期のクロ君の後ろ姿。
『僕が ビナーを 殺すから』
「あああ……っ……」
もう、会えない。
何日待っても。
何ヵ月待っても。
何年待っても。
……クロ君は、帰ってこない。
「あ……っ、あぐっ、ぅ……っ」
あの時『私が』『勝手に』ビナーの所に行ったから。
「っぅあ゛あ゛っ……!!」
私のせいだ
私のせいだ
あの時私が、ビナーの所に行かなければ───
───クロは、まだここに居て、一緒に笑っていたんだ
「ごめっなさ……っ、ごめん、なさいっ……っあ゛あ゛あ゛っ、クロ、くんっ……ご゛めん゛なさ゛いっ」
喉を灼き貫く不甲斐なさと、後悔と、悲しみが慟哭となって空を震わせる。
一年間、クロ君の望みだった私達の幸せを得る為に、悲しみを振り切るように奔走してきた。やるべき事は山ほどあったから。
「えぐ、っ……えぐっ……う゛あ゛あ゛っっ……!!」
ポロポロ、ポロポロと、もう枯れたと思っていた涙が思い出したように溢れ出す。
ダメだ。
笑顔。
笑顔だ。
クロ君は私の笑顔を望んでいた。
「え、っへへ、……っううっ……あ゛あ゛っ」
───無理だ。
貴方が居ないと、私は心の底から笑えない。
───どのくらい時間が経っただろう。三十分だろうか、一時間か、或いはそれ以上。もうこれから涙は出ないとさえ思える程に泣き叫んだ。
「ひぐっ、ううっ……」
顔を上げれば、既に太陽は地平線を振り切って突き放すように天に登っている。
もう、朝だ。
────行かなきゃ。
今日は、シャーレから先生が初めて来る予定のある大事な日だ。手紙が読まれているかどうかは分からないが、準備はしておかなければならない。
私には後輩達とホシノちゃんがいる。
立ち止まる訳には、いかない。
─────────────────────
───確かに、確かに僕は先生に後先を考えるなと言った。全部僕が何とかするから、と。
だが…それは例えば不登校の生徒やブラックマーケットの浮浪生徒等、本来ならば社会から切り捨てられてしまうような生徒を掬い上げる時に生まれる軋轢や問題を何とかするという意味なのだ。
……日常生活の中で後先考えず行動しても良いとは一言も言ってない。
” ……ご、ごめんね? ”
これが何かの見間違いであることを願って、もう一度、アビドスに向かう先生の姿をゆっくり目を開けて確認する。
何故かもう既にしわしわのシャーレのスーツ、そのまま直に手で抱えてられているシッテムの箱、わけわかんないくらいぼっさぼさの髪の毛。
…まだここまではいい。まだ許容範囲だ。だが……一つだけ、絶対にやってはいけない事を先生はやらかしている。
「先生、水は…?」
” えーと、無くてもなんとかなるかなって……えへへ…… ”
───なんと先生、あろうことか水分を持ってきていないのだ。これからアビドス砂漠を通るというのに、どうして……?
「ま、マジかあ……」
思わず地面にへたり込んで頭を抱える。そういえば確かに先生はシロコに出会った時かなり喉が渇いていたようなシーンがあった気がしなくもないが、そんなこと思い出せる訳が無い。
水筒とコンパスを忘れて遭難しかけたユメ先輩と同じレベルの恐ろしいうっかりだ。あの時はユメ先輩が外に出て直ぐ気づいたので大事には至らなかったが……
” ……辺りに自販機とかは……? ”
「流石に無いんじゃないか……もうここら辺廃墟になっているんだし……」
そう、僕達はもう既にアビドス市街地にまで進んでしまっている。人一人居ない廃墟となった町の中に、自販機などあろうはずがない。
「……いやまぁね?先生は最近来たばかりだから気候を把握出来ていないのかもしれないけど……それにしても砂漠地帯だって事くらいは分かってるんだからさぁ……水が要ることは分かると思うんだ……」
” うう……ごめんねクロ君…… ”
先生が申し訳なさそうに俯く。この様子だと頭の中が生徒の事で一杯で自分自身の事を考える余裕が無かったのだろう。
「まぁ……やってしまったものはもうしゃーないわな。熱中症になるまでに気付けてよかった」
一応多めに水筒の水は持ってきているから水分補給は大丈夫ではある。いやー良かった大きめの水筒買っておいて……これで自販機のペットボトル一本とかだったら悲惨なことになっていた。
暑さのせいか先生の顔が朱くなってきているので急いで持ってきたリュックサックから水筒を取り出す。
「取り敢えず、僕の水筒があるから……あげる」
” ありがとう…… ”
「僕はまだ飲んでないから気にせず飲んで」
” ……え? ”
「……ふぁ?」
” だっ、ダメだよクロ君!!水分補給はちゃんとしなきゃ!! ”
「いや僕は一応出発前に結構飲んできtうおおっ!?分かった!!飲むから!!顔に水筒押し付けないで!!」
そうして先生に半ば強制的に水筒の水を飲まされた……まぁそろそろ喉渇いてきたなって頃合いだったし、丁度良かったのかもしれない。
それにしても、先生はやっぱ良い人なんだなって。僕の口が付いてしまうのを気にせず僕の方を優先してくれるんだもの。
” えへへ、間接キスだ…… ”
先生も水飲んで元気になったみたいだし、気を取り直してアビドスに向かうとしよう。
それからは特に何事も無かった。強いて言えば空き家に住み着いている不良が襲ってくる事がたまにあったくらいだ。勿論僕と先生の相手では無い。勿論あの実験で頑丈さ以外が滅茶苦茶強くなったのは間違いないんだが……先生の指揮のおかげか、赤冠君が捉えきれない人数が相手でも戦いやすく感じる。大人の力ってスゲー!!
と、いうわけで到着しましたアビドス高校。
” ここがアビドス高校…… ”
いやー変わってないな校舎!!懐かしくて涙が出そうだぜ。……待って本当に泣きそう。黒服の実験辛かったからなあ。ここに帰ってくることを心の支えにしてずっと我慢していたから……
……いや待てよ?僕みたいな死人()に居場所はあるのか……?
” ?どうしたのクロ君 ”
まあそんなことどうでもいいかあ!!無ければ作るだけだし!!ホシノとユメ先輩に会うことが最優先よ!!
「うんにゃ、何でもない。早いとこ入っちゃおうぜ先生。」
” うん、そうだね ”
よしきた、とチャイムを鳴らす。
『はい、アビドス対策委員会です。どちら様でしょうか』
” 連邦捜査部シャーレから来た、先生だよ。届いた手紙を読んで来たのだけれど…… ”
『来てくれたのですね!!只今玄関口の鍵を開けるので少々お待ちくださ──っホシノ先輩!?ユメ先輩もなにして──』
” あ、切れちゃった…… ”
なんか今パニックホラーもののゾンビみてぇな感じでホシノとユメ先輩が映ったんだけど……
「……まぁ、玄関口で待つとするか」
先生と顔を見合せて頷く。……なんかあの様子見たらちょっと怖くなってきたな……怒られるんだろうか……
いやまあそりゃ怒られるよなあ、だって一年音信不通なんだもの。結局借金一億円くらい残してしまったしなぁ……
「……心の準備をしとくか」
土下座は覚悟しておくか、と考えたその時、玄関口からガチャりと鍵が開く音がした。
振り向くと、そこには───
「………え、え……?」
「……あっ、え……」
───もの凄い形相でこちらを凝視してきるユメ先輩とホシノの姿があった。
さぁ、一年ぶりの感動の再開だ。
「や、やぁ……お久しぶり。元気にしてたか?ホシノ、ユメ先輩。」
「………………」
「………………」
あっダメ!!ちょっと怖い!!家出したはいいものの一晩で家に帰る羽目になった時の帰り道くらい怖い!!いや正確には違うかもしれない、なんでも良いけど怖い!!
でも可愛い!!好き!!二人ともイメチェンしてらっしゃる!!
「ホシノ、髪の毛伸ばしたんだな……短髪も可愛かったんだが、そっちも似合ってるぞ!!」
「……っ!!」
「逆にユメ先輩は髪の毛切ったの……!?おいマジかそれは予想外だったわ!!でも可愛いからOKです!!」
「……そんな、だって……」
……?なんか二人が僕を見る目がおかしいねぇ……なんでそんな異常存在でも見るような顔してるの……?
まさか僕の事を忘れた訳でも……いや、一年経っていたらおかしくないか。
なんか不安になってきた……そういえば見た目もかなり変わってるから覚えていても気付かないかも知れないし……
「クロ君、なの……?」
良かった覚えて貰えてた!!
「そうだぞ!!髪の毛とか色々変わってしまったが、僕は黒江クロだ!!」
「…………」
「…………」
なんとかこの空気をどうにかしようと元気よく声を出す。も、やはり彼女らの冷たい視線は変わらず。
……これは本当に怒っている感じだ。なんて僕は馬鹿なのだろう。迷惑と心配を掛けたんだからまず最初に謝らなくていけなかったのだ。髪の毛がどうとか元気がどうとかより優先すべきなのだ。
一年間も音信不通で本当にすいませんでした───そう言おうと土下座の体勢を取ろうとした瞬間、二人の身体の軸が力無く斜めに傾いていくのが見えた。このままでは地面にもろに倒れてしまう。
” !? ”
「なっ、なんでぇっ!?」
慌てて二人の身体を受け止める。何が何だか分からない。取り敢えず脈はあるし、顔色も良い。単純に意識を失っているだけなのだろう。
「ホシノ先輩にユメ先輩!?ちょっとアンタ!!何したのよ!!」
後からやってきたのであろうセリカが銃を突きつけながら迫ってくる。いやこっちが知りたいんですがそれは……
「僕なにもしてない!!何もしてないよ!!だから撃たないで!!弾丸一発二発で瀕死になっちゃう貧弱ボディだから!!」
「……はあっ!?どういう意味よそれ!!」
「そのままだよ!!」
「ん、そのヘイローは飾り?そんな貧弱な肉体でキヴォトスは生きていけない」
「頑張れば生きれるしヘイローは飾りちゃうわい!!」
「二人とも、今は取り敢えず二人をなんとかしないとダメだよ!!」
「ノノミさん!!よく分からないんですけど多分これ十中八九僕のせいなんで僕が保健室連れていきますね!!申し訳ないけど先生は先に行っててくれ!!」
────────────────────
───目が覚めると、そこはベッドの中だった。
「…………」
目を擦り、朦朧としていた意識と視界の輪郭を取り戻す。恐らく、私が寝ているのは保健室だろう。清潔感のある無機質な真っ白な天井がその証拠だ。
「……はぁ……」
さっきのは、何だったのだろう。シャーレから先生が来たかと思えば、その側にクロのような男の子がいて。会ってみれば、本当にそのその男の子がクロっぽくて。それで……その後からの記憶が無い。
「……幻覚、だよね~」
あの日死んだはずのクロが、まさか生きていただなんて、そんな話はあり得ない。あの血の量で生きている筈がないから。まだ幽霊になって化けて出てきたという方が現実的だ。
「……それ、でも……」
また会えて、しかも可愛いって言ってくれて、嬉しかった。本当に、嬉しかった。幻覚でも妄想でもなんでもいい。もう一度会えて嬉しかった。
……もっと、会いたい。話がしたい。幻覚でもいい。幻覚でも良いから……!!
「まだ、話したい事がいっぱいある……っ!!」
あの日から二人で頑張って来たこととか、この学校でも後輩が増えた事とか、色々話したくて。
「クロ……っ」
一度会えただけじゃ、満足なんてできる筈がない。そんな程度で未来を前向きに見据えられる程、私は精神が強くないから。
と、その時ドアがガチャリと音を立てる。後輩達が様子を確認しに来たのかな、とドアの方を振り向く。そこから現れたのは───
「よーっすホシノ!!お目覚めかぁ!?」
───え?
「あ、貴方、は」
「いやクロ君だが?さっき会ったばかりだぞ……」
「え、あ、え……」
───また、幻覚?
いや、でも、そんな───
「……大丈夫か?」
「───あ」
心配そうな顔をして、私のすぐ側まで歩み寄ってきた。その表情、その目、その口元。その全てが愛おしくて。
もう、なんでもよかった。それがなんであろうと、もう私は耐えきれなかった。
───これから、彼の胸に飛び込む。
もうこれ以上無いくらいに全身全霊で、飛び込む。
これは幻覚だから私の身体はすり抜けて、床に激突してしまう。でも、それでも良かった。
───彼の側に、居られるのなら。
「へっ!?」
そうして、無情にも無機質な冷たい床に私の身体が強く叩き付けられ───
「ちょっ、大丈夫か?」
───る事は無かった。
「……え」
───体温?
「ど、どうしたホシノ……?無言で抱き着いてきて……」
『それ』の温もりが、冷たい床にぶつかる筈だった私の頬を撫でている。
……いや、頬だけじゃない。私のお腹も、腕も、脚も、全てが『それ』の体温を感じている。
「え、あ、ああ……」
ああまさか、まさかそんな事がある筈がない。そんな都合の良い奇跡が、よりによって私に起きる筈がない。
そうだ、これは『奇跡』だ、『神秘』だ。確かめてはいけない。
きっと真実は陳腐で、理想とは程遠い。
知らない方が、私は救われる。
『目の前に死んだ筈のクロが居て、その温もりが感じられる』なら、それで良いじゃないか。
わざわざ、その『ラベル』を、剥がす必要は無い。
ああ、ダメだ。
期待するな
剥がすな
知るな
そうやって、私は何度も何度も裏切られてきたんだから───
「い、いきて……る?クロ、なのっ……?」
ああ、なんで
なんで言ってしまった
彼が
クロが居なくなってしまう
嫌だ
いかないで
やめて
ただ、貴方の側に居たいだけなのに
いやだ
いかないで
やだ
やだ
やだぁっ───
「……ああ、僕は生きてるぞ。他の誰でも無い、黒江クロがだ。心配させてごめんな」
───ぁ……え……?
「言っただろ?僕はホシノ達の笑顔を生きて見るつもりだって!!」
───ああ、そうだ。
───なんで、忘れていたんだろう
───貴方が私を裏切った事なんて一度も無かった
じんわりと滲んでいく視界を、何度も何度も擦って。貴方の顔を、目を、表情を、ちゃんとこの両の目に捉えたくて。しつこいくらいに不鮮明になっていく視界の中、一瞬だけ捉えた彼の顔。
少しだけ大人びていたけど、やっぱりあの時と同じような夕焼けのように優しい表情。
「───ただいま。」
私に出来る事は、一つしかなかった。
「う、うう……う゛あ゛あ゛あ゛んっ!!」
彼の身体を全身全霊で捕らえる
「グエエッッ!?!?」
離さない
離さない
「あいたかったっ!!あいたかったっ!!ずっと、あいたかった……っ!!」
「ホシノ……」
「ずっと、あいたくて、でもしんじゃって、さみしくて、う、あいたくて、あえなくて、それで、それで──っ」
「──ひぐっ、うわぁぁぁん!!」
「はなしません!!はなしませんから!!クロっ、クロっ、クロッッ!!」
さらに力を込めてクロに抱き着く。もうなりふり構わずに、全力でクロに抱き着く。
「グエェっ!?力さらに強くなってっやべ……再生能力マジ感謝……っ」
もう会えないと思っていた、だけど会えた。
もう二度と、貴方を失いたくはない。
「……くろ、君?」
声が聞こえる。私ともクロとも違う声。聞こえた方向を見ると、そこにはユメ先輩が信じられないような顔でこちらを見ていた。
「あ、ユメ先輩……ただいま……っ!!」
クロが少し苦しそうな表情でユメ先輩に顔を向ける。
「ホシノ、ちゃん……もしかして……」
「くろが!!生きてました!!帰ってきました!!」
あの一週間の行方不明の時と同じように、先輩と二人でクロを逃がさないようにする。
「……ゆうれいじゃ、無かったの……っ?」
目を潤ませながら、震えた声で呟くように問い掛けるその姿。さっきの私とまるで一緒のようだ。先輩は幽霊だと思っていたらしい。
「生きてる!!一応生きてるよ!!」
親指を立てて元気アピールをするクロ。やっぱりこの感じ、クロだ。本当に本物なんだ……っ
「っ、くろくんっ」
ユメ先輩が涙で目を赤くしながら立ち上がり、こっちに向かってくる。もうベッドの上と言うことも忘れて飛び込んでくるらしい。
「ちょっ、ユメ先ぱ……いや、これは僕の責任か……ならば受け止める他あるまいっ!!」
なんだかよく聞き取れなかったが、受け止める決意を固めたらしい。
「くろ、くんっ」
「うおっ!!」
一旦力を緩めて位置を変え、ユメ先輩と一緒にクロをベッドに倒す。これでクロはさらに逃げられなくなった。
「う……ああ……っごめんなさい!!ごめんなさい!!私があの時!!勝手にビナーの所に行かなければ!!ごめんなさい!!ホントに、ご゛めん゛な゛さ゛い゛……っ!!」
ユメ先輩が後悔と謝罪の念をぶつけている。……あの日から涙を見せずにずっとアビドスの為に奔走してきて枯れていた涙が、また出てきたのだろう。どこか雰囲気が変わってしまった先輩だったけど、クロがいればきっと元のゆるふわな先輩に戻ってくれるだろう。
……私じゃ、変わってしまった先輩を戻すことは出来なかったから。
「……ちょ、ユメ先輩、一回落ち着いてくれ。受け止めるとは言ったけど、このままだとマズ───」
……何がマズいのか。それを聞こうとした次の瞬間、ドアからガチャリと音がした。
「ホシノ先輩とユメ先輩の様子はどう───は?」
あ、終わった、とクロから小さく声を洩らす。そういえば今の私達の体勢は、二人でクロを押し倒している格好だった。
……これは結構マズいかもしれない。
実はホシノのエッチな小説を自己満足で書いていてさらに遅れたという説があります
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