オリ主がアビドスの借金を頑張って返そうとする話 作:タンペペン
テスト終わったら文化祭準備
実行委員だから本当に時間が無く
文化祭おわったら風邪で倒れました
許してくれとは言わない
こればっかりは許して欲しい
「「「………………」」」
───明るい雰囲気、と言うには少々湿度が高すぎるし、重い雰囲気、というにはそこまで悲しい事が起こった訳でもない。
現在僕は対策委員会部室にて委員会の面々と先生に囲まれながら正座している。
彼女らの目線が一様にして忙しなく泳いでいるのは、先ほどの状況に理解が追い付いていない為か。
『あのユメ先輩とホシノが、今日会ったばかりの筈の僕をベッドに泣きながら押し倒していた(ように見えた)』
……これは酷い。TRPGなら正気度チェックが入る感じの衝撃的な絵面だ。実感できるように身近に置き換えると
『部活の親しい先輩二人が新入部員を泣きながらベッドに連れ込む場面を見てしまった』感じか……
これで押し倒していたのが僕なら既に僕の身体は原型を留めて無かったと思われる。当たり前だなぁ。
因みにその後二人は泣き疲れて寝てしまった。
「…………あの」
対策委員会の部室が混沌とした雰囲気に包まれる中、アヤネが口を開く。
「先ほどは……あの、先輩がすみませんでした。お怪我はありませんか……?」
濃く頬を染め、眼鏡越しに目を四方八方に忙しなく泳がしている。並大抵のメガネフェチなら多分四回は死んでいるだろう。だが僕は別にメガネフェチではないので問題は無い。
「いや……うん、大丈夫だ。問題無いよ」
「そ、そうですか……」
それは良かったです、とぎこちなく笑みを浮かべて後退するアヤネ。特にそれ以降何を聞かれることもなく話は終わってしまった。
(───え!?ちょ、ちょっと!!今はそんな事より聞かなきゃいけない事があるんじゃないの!?)
(───わ、分かってます!!けど、そ、その……あんまり人のそういう所に突っ込むべきじゃないかなって……)
(───それはそうですけど……でも、この案件はどう考えてもこれからの連邦生徒会とアビドスとの関係に重大な影響がありますよね……)
(───じゃ、じゃあどうやって聞くんですか……?「三人はどういう関係なんですか?」なんてそんな事聞けないですよ……二人だったらまだしも……)
セリカとノノミとアヤネの三人が集まって何やらひそひそと話をしている。ごめんよ、こんな頭抱えるような事案を持ってきちゃって……
そういえば先生が全然喋らないのが気になる。どうしたのだろうと上を向くと、先生は
” ??? ”
……なんだか良く分からない顔色をしていた。よく分からないけど、少なくとも良い気分では無さそうだ。所謂おめめグルグルって感じ。というかそれ大丈夫か!?しっかりしろ先生!!
「ん、キミの名前は『黒江クロ』で合ってる?」
「ふぇっ?え、あ、うん……合ってるけど。」
先生の様子に気を取られていて、シロコの質問に答えるのが一瞬遅くなった。そういえばシロコはさっきの事案の後も他の部員と比べてもあまり動揺していないように見える。その度量の広さは是非とも見習いたい。
「そう、なら良かった。じゃあ質問させてもらう。
クロは、いつからホシノ先輩とユメ先輩の二人と付き合ってるの?」
ンドストレイトォォッッッ!!!!
「「「し、シロコちゃんっ!?」」」
いや気まずくて先に話さなかった僕が悪い!!悪いんだけど!!それでも言い方ってものが───
……いやこれ全部僕が悪くね?何勿体ぶって聞いてくれるのを待ってんの?ああクソッ、年頃の女子になんて事見せて言わせてんだ僕はぁ!!……ん?
「ってか付き合ってる訳じゃないよ!?」
「ん、ウソっぱち。付き合ってなきゃあんな事しない」
「あー、えっと違うんだ、あれはたまたまあんな感じの体勢になっちゃっただけで……」
「私は先輩二人が幸せなら重婚もオッケーだと思ってるから」
「何で結婚前提にっ!?」
変わらない表情から放たれるぶっ飛んだ言動にとてもではないが驚愕を隠せない。どういう思考回路してるんだこの娘……
「……だけど、もしホシノ先輩とユメ先輩を悲しませたら……
その時は容赦しない」
「……っ」
砂狼シロコの蒼い目が、己の心を揺らす。
もしも、もしも元の世界に帰れたら───ホシノとユメ先輩は悲しむだろう。この問いにどう答えるのか……答えは、決まっている。
「はぁ!?当たり前だぁ!!全霊で幸せにしてやらぁこのパプテマスシロッコがぁ!!」
僕は、この世界に生きると決めたんだ。だったら、なにも迷う必要など無い。
「パプテ……?その呼び方は分からないけど、覚悟は受け取った。ん、先輩をよろしくね」
ん?……しまった!!やられたこんちくしょう!!
「……あっ、いや、だから付き合って無いって!!違うんだって!!」
「(銃を向ける音)」
「ヤメロォ!!だああっもう分かった!!どういう関係か話すから!!既成事実は勘弁してくれ!!」
─────────────────────
「えーっと、つまり貴方は元々ホシノ先輩の同級生で、借金返済を手伝っていた……」
「けれど、一年前に『ビナー』とかいう古代兵器?にやられ、ホシノ先輩とユメ先輩に死んだと思われていたけど、実は何とか一命を取り留めていた貴方は……その『誰か』とやらの助けを得て今に至る、という訳ですか?」
うーむ、他人に口にされるとかなり波乱万丈だな。
” ……元々クロ君はアビドスの生徒だったってこと? ”
いつの間にか調子を取り戻していた先生がこちらに問い掛ける。……いや、完全には治ってはいなそうだ、目に光が宿っていない。お疲れのようだから後でヒナ御用達の頭皮マッサージでもするか!!
「んー、まあ『実質』生徒だったかな。」
” 実質? ”
「うん。だって生徒手帳とか証明書とか戸籍とかそういう類いの物一切持ってないからね、正式には僕は生徒じゃなくて浮浪者とか不審者とかと同じ扱いだよ」
” あっ、そういえば確かに……でもどうして? ”
「ほら、お金を手っ取り早く儲けるには住所と戸籍は無い方が小回りが効いてやりやすいし。なにしろ九億返すんだからなりふり構っていられない訳よ」
「「「「九億!?」」」」
あれ、アヤネ達が驚いた顔をして……ってそらそうか。今のアビドスの借金は二億足らずだったな。一億まで減らした筈だったんだが、また膨れ上がってきちゃったか……
「うん、僕が居た頃のアビドスは九億程の借金を抱えていた。」
「あの、もしかして、ですけど……当時九億の借金が今では二億足らずなのって……」
「……まぁ、うん。僕が頑張ったからね。ホシノとユメ先輩は校舎を守る事で手一杯だったし、自由に金儲けできるのは僕しか居なかった。」
イキり……ではあるな。だけどこれくらいは誇ってもバチは当たらない……よな?だって年収七億だぞ?まあ完済出来なかった時点で変わらないんだけど。
「……でも、借金を無くす事は出来なかった。結局キミ達後輩とホシノとユメ先輩に二億もの借金を背負わせてしまった……」
「いやいや、そんな!!先輩は出来る限りの事をして───」
「───駄目なんだ。」
「え、」
「出来る限りの事をするなんてのは当たり前だ。その上で結果を出さなければ意味が無い。」
「そんなこと───」
『ホシノとユメ先輩、そして来たる後輩達に借金のしゃの字も残さない楽しい学校生活を送って欲しい』
「それが、僕の目標……いや、義務だ。一年経った今でもそれは変わらない。」
「「「っ!!」」」
……ここからだ。僕は、あの人との約束を破る事になる。約束を破るのは恥ずべき事だ。言い出しっぺは僕なのに、僕の方から破るからなおのこと最悪だ。
「なあ、先生」
覚悟を決め、頭を低く下げて、先生の方に向く。今先生がどんな顔をしているのか分からないが、それでも。この借金は、返さなければいけない。
” ……クロ君 ”
「あんな事を言った手前、本当に申し訳ないが……暫くシャーレには行けそうにない。この借金の問題が解決したらまた行くよ。それまで───」
その時、はあ、と溜め息の音が先生の口から響いた。駄目、なのか……?と恐る恐る先生の顔を見上げる。
先生は、呆れながら言った。
” ……はあ、クロ君。私達がここに来た理由、忘れてない? ”
「───えっ……?」
” 私は、困っている生徒を助けに来たんだよ ”
” なに勝手に、一人で背負う気でいるのかな? ”
───ああ、そうだった。
───貴女は、『先生』だった。
ゲームでは、先生がアビドスに協力することに何の違和感も無く受け入れていた。
だって、僕は
だけど、いざ現実にしてみると。
普通の大人ならまず見ない振りをして済まそうとするだろう、こんな借金まみれ厄ネタまみれの弱小校なんて。
あまりにもリスクとリターンが見合ってない。
なのに───
” 誰一人切り捨てない……そう言ったのは、クロ君だよ ”
───その瞬間、まるで天頂に燦々と煌めく太陽が、先生の足元を照らした。
これが、『脳を焼かれた』って事なのか
取り敢えず、今は
「……ありがとう、先生……!!」
精一杯の、お礼を。
────────────────────
一部始終を見ていた部員達に、先生を信頼してもらうのはそう難しい事じゃなかった。心配だったセリカも、元のストーリーよりかは信頼してもらえたようで一安心。
そんなこんなであっという間に夕方になった。取り敢えず今日の所はこれで解散、ということで今僕は屋上で砂漠の夕陽に黄昏ている。
「……いいねぇ」
一年経ったが、ここの景色は変わらず美しい。
「ここに居たんだねクロ君!!」
背後からふんわりとした声が聞こえる。振り返るとそこには、ユメ先輩とホシノが変わらない様子で手を振っていた。
……二人とも数時間は経過したというのに、まだ微かに泣き跡が残っている。それだけ嬉しく思ってくれた、つまりそれだけ居なくなって悲しい思いをさせてしまったのだと胸が苦しくなる。
「また居なくなっちゃったのかと心配しましたよ」
「大丈夫だ、僕はここに居るから」
借金の問題に片を付けた後に、シャーレでの仕事やゲヘナの傭兵業とどう折り合いをつけていくかが頭痛の種だが……まあ、取り敢えず今はホシノとユメ先輩の側に居るべきだろう。
「クロ君……背、高くなったね」
まだ私には追い付かないけどね!!とユメ先輩が得意げな表情を見せる。確かに、僕の身長は一般的に見れば異様な程高くなった。『恐怖』を『知った』からだろうか。『大人』への階段を登ったから、身長が高くなった。
「私の身長はちーっとも伸びないのに……なにかズルでもしたんですか!!」
「……身長なんてのは、別に無理に伸ばす必要は無いんだ。」
「見る必要の無いものまで見えてしまう事があるからな、そんな無理して伸ばすものでもない。まだ見えてない内に、思い切り今を楽しんだ方が良い。」
「なによく分からない事ほざいているんですか。何かドラマに影響されましたか?」
「そ、そうだな……当たらずとも遠からず……」
某嵐を呼ぶ幼稚園児の映画で学んだ事だからな……劇中のセリフでは無いにせよ、影響された事は間違いない。
というか意味通ってるかなこれ?かっこつけて言ったは良いものの、これで誰にも理解されなかったらマジで恥ずかしいゾ……
「というか貴方も私も同じ年じゃないですか。死ぬ程似合ってないので止めた方が良いですよ」
「辛辣過ぎるぅ泣いてもええか?」
「むー、ホシノちゃんもうちょっと優しくしなよ~」
「コイツにはこのくらいが丁度いいです」
なにこの扱い……まあ一年も放ってたらしょうがないか。
暫く、気の向くままに二人と色んな話をして。
たまにホシノの辛辣な言葉に泣かされてユメ先輩に泣きついて。
僕が調子乗った事を言うのが悪いんだと、ごく正論をぶつけられ。
それはもう、そっくりそのままあの時の日常のカタチだった。
───そうして、あっという間に日没。空には溢れんばかりの満天の星が我こそはと輝いている。
「……今でも、夢なんじゃないかって思うんです」
「起きたら貴方は居なくて、どこにいっても居なくて、ただあの血痕だけが遺されていて。だって、本当は貴方が生きてる筈なくて、死んでる方が正しくて、この状況はおかしくて───」
「ホシノ……」
「───だから、もう一度。いや、一度と言わず、何度でも。貴方の存在を、温もりを私に確かめさせて下さい。」
そのホルスの蒼と金色の双玉は、酷く澱んでいる。吸い込まれるような黒に染み込まれていて、澱んでいる。
必要なのは、証明。僕がここにいる、証明。
「───分かった。」
「じゃあ私も───良いよね?」
ユメ先輩も同じように温もりを求めているらしい。
勿論拒む道理はない。これは僕の責任なんだから。
「うん……おいで、二人とも」
この後滅茶苦茶温もりした
どっちでも美味しいので温もりの意味はご想像にお任せします
作者としては健全な温もりです
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